タイトル■特集:∀〜新しい夜明ケ〜
書き手 ■谷田俊太郎+ハニーラブ2号

1999年春から2000年にかけての約1年間、
「∀ガンダム」というアニメーション作品が
ひっそりと放送された。それは「まったくガ
ンダムらしくない、まったく新しいガンダム」
だった。我々はかつてない感動を味わった。

そして今年2002年、待望の映画化!2月9日
から劇場版∀ガンダム「地球光」「月光蝶」と
いう2本の映画が同時公開される。

だが一般的にはあまり知られていないこの作品。
正直、観客動員が非常に心配…。ということも
あり、我々は勝手に立ち上がったのだった!
「一人でもいい!この機会に多くの人に見てほ
しい!」そんな願いを込めて。

ちなみに「∀」は「ターンエー」と読みます。

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■ ガンダムファンじゃない人が見た「∀」(後編) ■

<08> 一番思ったのは「偏見はよくない!」

「∀ガンダム」はガンダムファン
じゃなかった人にも見てほしい作品!
…なんてこれまで力説してきたものの、
それって実際んとこどうなの?
そう思った人もいますよね。

そこで今回も、実際にガンダムファン
じゃなかったのに「∀」には夢中になった
ハニーラブ2号さんに話を聞き、
また別の角度から
「∀」の紹介をしてみたいと思います。

ハニーラブ2号さんは28才のOL。
オーガガで
「うにさん」なる連載を
始めるはずだった人ですが、
一体いつ始まるんでしょう…?
まあ、それは忘れることにして、
今回は「∀」のお話、その後編です!



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谷田 「∀」って、すごい未来の物語みたいなんだけど、
   なぜか19世紀とかみたいな世界じゃん?
  
   機械もろくにないし、月にも行ったことのないような。
   そのへんはどう思った?

2号 歴史って繰り返されるんだなーって思った。

   でも、やっぱり人間はより便利で快適な暮らしを
   求めちゃうだろうから、
   文明を進めていこうとするグエンみたいな人だって、
   悪いわけじゃないんだよね。

谷田 一応、敵ということになる「月」については?

2号 月ってどうなってるのかな?って思って見てた。
   ずっと月の世界がどうなってるのか
   わかんなかったでしょ?

   あんなにモビルスーツみたいのがいっぱいあって、
   どういう世界なんだろうって。

   でも月の人の悲しさもわかるよね。
   四季がないみたいだし、
   地球に来て、水とか雨に感動してたじゃん?
  
   だから、地球に降りてきたい気持ちもわかったし、
   ディアナ様(注:月の女王)が、
   月のみんなにそれを見せてあげたい、
   そういう恵みみたいなものを月の人にも与えてあげたい
   って気持ちはすごいわかるのね。

   もともとは地球人なんだから、その恩恵を受ける
   権利はあるわけじゃん?
  
   でもそれで戦争になっちゃうのは悲しいよね。
   でも、しょうがなかったんだよ。

谷田 ひとつの出来事をいろんな立場の人から
   見られる物語だったよね。

2号 お姫様が、自分が善かれと思ってやったことでも
   そのせいで大切な人を殺されちゃって
   恨みに思う人もいてね。

   悪い人そうに見えても、
   好きな男に認めてもらいたいって一心だったりとか
   かわいい動機だったりね。

   女の子が戦いに出てしまって無鉄砲だなぁ、
   とか思っても自分も家族が殺されて
   今までの生活を全部壊されたら、
   冷静でいられるの?とかね。

   自分だってそうしちゃうかもな、とかね。

谷田 理想に生きる人間と感情を大事にする
   人間の対比はかなり描いていたね。

   差別の問題も出てくるけど、
   ああいうテーマも、
   普通なかなか取り上げられないじゃない?

2号 普通に暮らしている人には見えないところに、
   虐げられてきた身分の人達がいて、
   その人達にとっては、確かにああやって
   愚直に信じられる存在が必要だったんだろうな、
   とか思った。月の人とか特に。

谷田 絵はどうだった?

2号 絵がよかったねー!絵が嫌いだったら見なかったかもね。
   
   服もみんなかわいかったし。

   あとモビルスーツもみんなかわいかったな。
   カプルとか超かわいかった。
   形もそうだけど、動きもかわいいんだよね。

   戦闘シーンがなければいいなとずっと思ってたからね。
   もったいないじゃん?
   戦闘シーンで時間を使うのが。

   全然なくても良かったと思うけど。

谷田 でもまあ戦争があってこそのドラマだったからねー。

2号 まあね。

   みんな、見れば絶対おもしろいと思うんだけど、
   見るまでのハードルが高いのはよくわかるんだ。

   友達にどうやって勧めようかと思っても、
   まずアニメなんだよ、っていうとこから難しいよね。

   ディズニーとか宮崎駿だったらブランド力があるから、
   大人が見てもいいアニメって位置付けになってるけど、
   「ガンダム」っていうのは子供が見るものって
   イメージがやっぱりあるし。

   あとはね、「ガンダム」は暗くて難解らしい、
   ってイメージがあったから
   そこのハードルが高いってのもあったな。

   難しい概念とか持ち出されても、
   めんどくさいなとか思っちゃうけど、
   ∀は見てもらえれば、難しくないし。

谷田 最終回はめちゃめちゃ泣けるじゃない?
   あれはなんであんなに泣けたんだろうね?

2号 なんでなんだろう…?
   思い出すとまた泣けてくるね。

   がんばったね!ってかんじなのかな?
   みんなが。

   全員が必ずしも幸せになったわけじゃないけど、
   でも、出てきた人みんな、
   がんばったね!ってところかなぁ。

   人が成長していったところとかね。

谷田 「成人式」が重要なモチーフとして出てくるけど、
   人が本当の成人になっていく過程を描いた
   ドラマだったのかもしれないな。

2号 友達にも何人かには勧めたんだよね。
   まず「ロボット物」じゃないよって話して。

   戦闘シーンの積み重なりとかじゃなくて、
   すごい上質な童話を読んでるみたいなかんじで、
   いいんだよって言ったんだけど、
   それがどう伝わってるかは、わかんないね。

   たぶん誰も見てないと思うけど。

谷田 でも俺にしてもそうだけど、
   なんで∀は人にオススメしたくなるんだろ?

2号 たぶん「いい話」ってなかなかないじゃん?
   で、誰が見てもいいだろうと思える話だからかな。
   当たり外れがないっていうか。
  
   ああいう話をまったく受けつけない人って
   いないと思うんだよね。

   で、見て何かを感じない人もいないと思う。

   だから見て欲しいなと思うし、
   見ないのはもったいないと思うんだよね。

   単館系の映画で心あたたまる話っていろいろあるじゃん?

  「アメリ」とかもそうだけど、
   小さい世界で小さい出来事で心あたためる話、
   それはそれでいいと思うし、好きだけど、

   でも大きい壮大な世界で、
   感動させる方が難しいと思うんだよね。

谷田 「∀」は、そういう小さな映画の要素がいっぱい入ってたなー。
   イジメの問題とか、自閉症の子が心を開いていく話とか、
   働くことの大変さと、素晴らしさとかね。

2号 家族の物語でもあるし、人間とは何か?とかね

   上に立つ者の物語とか。
   私は、「神話の王」が一番好きなんだけど
   映画ではカットされちゃいそうだなぁ。仕方ないけど。

   ∀はいろいろ要素がありすぎて
   一言で言えないところが
   人に勧める時に難しいのかもね。

谷田 映画にはどんなことを期待する?

2号 なんとかわかりやすく、
   うまく作って欲しいなって思う。

   ドラマの始まりと終わりがよかったから 
   そこを生かしてほしいのと、
   小さい話をムダにしないで生かして欲しいなー。

   テレビの1年分の話を、四時間くらいで
   どうやってまとめてくれるのかっていうのは
   不安でもあるけど、楽しみ。

   テレビを見た人にしかわからない
   総集編になってほしくないね。

谷田 試写で見た人によると大丈夫そうだけどね。

2号 もともとガンダムなんて見てなかったし
   アニメにも興味がなかったけど、
   そんな私でもすごい面白かったから、
   みんなにもそう言いたいよね。

   私も機会がなかったら見なかったと思うんだ。
   でも「∀」見て、偏見はよくないって思ったんだよね。
  
   見ないと、大事なチャンスを逃しちゃうなって。
   これからは偏見なく、アニメだから、とか
   子供向けでしょ?とか思わずにいろいろ見たい。

   偏見ってもったいないことに繋がるじゃん?
   そういうことを「∀」で一番思った。

   なんなら、何人か分なら入場代だしてもいいから
   見てほしいな!って思うよ。








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