■ ∀ガンダムの監督・富野由悠季さんの基礎知識 ■


補足あるいは蛇足(01)

「ロボットおじさん」に関する謎の補足文です。
「赤い彗星」と「白い奴」、これは心の声に名前を
つけただけなので、気にしないでください。



赤い彗星  見せてもらおうか、∀特集の新兵器とやらを。

白い奴   (「ロボットおじさん 第一話」を見せる)

赤い彗星  (それを読んでいる)

       〜数分後〜

赤い彗星  フン。なるほど。

      富野監督のこれまでの歴史を
      童話風な語り口で、より多くの人々に
      わかりやすく伝えようという魂胆か…。

      絵本作家になることを
      夢見ていた奴が考えそうなことだ。

白い奴   いけないかよ!

      映画をより深く見る上で、
      事前に監督のことを知っておくのは
      基本だと貴様も知っているはずだ!

      ただフィルモグラフィーを書き並べるよりは
      「物語風」な作りにすることで
      誰もが読みやすくなっているはずだ!
     
赤い彗星  早まってもらっては困る。
      コンセプトは悪くないと言っている。

      しかし…

白い奴   貴様、何が言いたい!?
     
赤い彗星  認めたくないものだな、若さ故の過ちというものを。

      この手法自体がいけないと言っているのではない。
      私はそれほど傲慢ではないつもりだ。

      ただ、この文章には致命的な欠陥があるのだ。

白い奴   なにぃ!?

赤い彗星  ハッキリ言う。説明不足なのだ。

白い奴   貴様はいつもそうやって…
      人を上から見下して…!

赤い彗星  よく考えるんだな。

      「村」とは「アニメ界」
      「ロボット」とは「ロボットアニメ」
      「ヤマト」は「宇宙戦艦ヤマト」
      のことだろう。

      しかし、この文章だけで
      どれだけの人々にそれが伝わるというのだ。
      
      富野ファンには伝わっても、
      それ以外のひとにはまるで意味不明だ。
      これでは中途半端な童話にすぎない。

白い奴   インテリはいつもそうやって
      大衆を愚民扱いするんだ。
   
      人の叡智はそんなもんじゃない。
      想像力で補ってみせる!

赤い彗星  そういう冗談はやめにしてくれないか。

      わかる人とわからん人がいる。
      それをわかるんだよ!

白い奴   説明説明説明…

      なんでも説明していたら「想像力の冬」が来るぞ!

赤い彗星  それでは通じない時代になっているのだ!

      君は「チーズは何処へ消えた」を知っているか?

白い奴   バカにして…!

      あれほどのベストセラー、知らない奴はいない。
      しかし、貴様だってわかっているはずだ。

      ああいう本こそ倒すべき敵ということを!

赤い彗星  私にとっては違うな。
      
      童話に見立てたビジネス書として
      あの本が成功した理由は、
      一見すると蛇足的な、
      童話の内容をわざわざ解説する文章をつけていた、
      貴様が嫌悪している、あの部分なのだ。

      純粋な童話としては不要なものだったが、
      現代人には、本の意味する内容や
      メッセージを読むとる時間もなければ、
      その気もない。
      ましてやあの本はビジネス書だ。

      童話だけでは本来のメッセージは伝わらんのだよ。
      ましてあれほど売れるはずがない。

      それが許せんというなら、間違いだな。

白い奴   だから「ロボットおじさん」にも
      解説や説明が必要だと言うのか…!?

赤い彗星  貴様は素直に富野監督の本質だけを
      示しすぎた。      
      
      この企画は、富野監督のこれまでの
      波乱万丈な生涯を伝えようというものだろう。

      ならば、もっと詳しく知りたい人のために
      具体的な情報も付加すべきなのだ。

      だから、補足説明すべきと言っている。

      チャンスは最大限に生かす、
      それが私の主義だ。

白い奴   ちぃ〜っ!
      
   

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