タイトル■特集:∀〜新しい夜明ケ〜
書き手 ■中村孝太郎

1999年春から2000年にかけての約1年間、
「∀ガンダム」というアニメーション作品が
ひっそりと放送された。それは「まったくガ
ンダムらしくない、まったく新しいガンダム」
だった。我々はかつてない感動を味わった。

そして今年2002年、待望の映画化!2月9日
から劇場版∀ガンダム「地球光」「月光蝶」と
いう2本の映画が同時公開される。

だが一般的にはあまり知られていないこの作品。
正直、観客動員が非常に心配…。ということも
あり、我々は勝手に立ち上がったのだった!
「一人でもいい!この機会に多くの人に見てほ
しい!」そんな願いを込めて。

ちなみに「∀」は「ターンエー」と読みます。

>バックナンバー


■ ∀ガンダムの予備知識  ■

∀ガンダム学習帳:監督編
富野由悠季の黒歴史 (その4・困惑編)


さて、イヤな予感だけは当たるのが世の常、人の常ですね。

どうせガンダムを超えるロボット物が出来ないなら・・・と
会社はガンダムの新作を作るように富野氏に持ちかけました。

会社の命令は絶対ですから仕方ありませんが
遂に・・というか、とうとうというべきか・・・
富野氏も薄々は覚悟していたのでしょうね。

一度完結させた物語を再び作らなくてはならないのですから
これは大変な労力を要します。

全くの別物は作れないし、簡単に続きなんて作れそうにありません。

富野氏は作るのなら単なる続編物だけはやりたくない、と
奮闘しました。
そして、続編物としてはこれまた新しい物になったのです。

「機動戦士Ζ(ゼータ)ガンダム」    1985年 全50話

前作から7年後の世界を舞台にして新しい主人公を登場させたのです。
当然ながら前作のキャラクターは7年分歳を取って登場します。
アニメの世界で時間の流れた同一世界を描く事は当時、
実に珍しいものでした。

ガンダムですから当然出てくるロボットはモビルスーツです。
しかし、主力商品は玩具からプラモデルに移り変わっています。
時代は前作から確実に変わっていたのです。
過去を振り返ると結構、玩具メーカーが倒産したりしていますので
ヘタな物は出せません。

・・・だんだん暗い気分になってきますね。
書いてる私も結構ブルーになって来ました。

しかし、ロボットおじさんは伊達ではありません。
今度のガンダムのデザインには、
22歳の新人デザイナーを抜擢しました。
他のモビルスーツのデザインは複数のデザイナーが
手分けしてデザインしました。

それまでは1人のデザイナーが全てを担当する事が殆どでした。
まぁ、アニメ界は人手不足でしたから無理もありません。

さて、「ガンダム」が復活するという事で、前評判は結構ありました。
・・・最初は・・・・ね。

結果としては前作を知らない世代のファンは
ある程度獲得しましたが、前作ファンはあまり戻ってきませんでした。
・・・まぁ、劇場版からすでに3年も経っていましたから
無理もない話でしょうね。
(社会現象にまで発展した物には「ブームの期間」が実は短いと言う
変な法則がありますよね。)

商品してのプラモデルはボチボチと売れていましたし
視聴率もそれ程は悪くなかったので、商売としてはまあまあでした。

・・・視聴率と作品人気は比例しない事は以前お話しましたね。
ついでに作品人気と商品の売れ行きも比例しない事がある、と
覚えておいて下さいね。・・・後の話の展開のために。

さて、「商売」としてのΖガンダムが悪くなかった事に
気を良くした会社は富野氏にガンダムを続けるように頼みました。

頼まれた富野氏は徹底的に困惑するハメになります。
Ζガンダムですら、結構無理して作っているというのに・・・

しかし、日本の社会の仕組みというものが無常な事は
皆さんご存知ですよね。

泣く泣く富野氏はΖガンダムの続編を製作するハメに・・・

「機動戦士ガンダムΖΖ(ダブルゼータ)」1986年 全46話

安直に考えてない限りは、
物語の続編なんてそうポンポン作れないモノですよね。

結果としてはΖガンダムの物語の一部を無理やり引き伸ばす形で
ストーリーが作られたのです。
(だからΖΖガンダムなのですね・・・・)

もうヘトヘトな富野氏でしたが、物語前半は人材育成を兼ねて
若手の製作陣にストーリーを任せてみたのです。
乏しい材料の中で、何とか作品の雰囲気を変えてみたかったのですね。

しかし、Ζガンダムから考え方が切り替えられませんでした。
まぁ、単純にパート3物と呼べる物でもなかったワケですが・・・。

結局、後半は富野氏が軌道修正しながら何とか完結させました。

視聴率もΖガンダムより下がってしまいましたが
これは致し方ありませんよ・・・ねぇ。

そんなこんなで何とか2年間ガンダムを続けてやっと
富野氏はTVシリーズの製作を休む事になったのですが・・・

さて、今回はココまでです。
・・・何かキレの悪い終わりかたをしてますねぇ。

まぁ、とにかく続きは次回に。







[トップへ]