タイトル■雪と先生 〜ある豪雪の村より〜
書き手 ■市川先生

市川先生は、信州の山奥にある小学校に勤務して
います。とんでもなく雪が降るこの村。そんな豪
雪地帯での生活とは一体どんなものなのでしょう?
このコラムでは、異次元空間のような雪国におけ
る先生達の活躍を中心に、雪と暮らす人々の様子
を伝えてもらいます。では、いざ豪雪の世界へ!


>これまでの「雪と先生」




さんにんめ ● 雪国の教材を「開拓する」教師たち(Vol.3)

翌年、
隣接の山おくの村小学校にうま先生
(何でも前任校で子どもたちに「おい、うまぁ」と呼ばれていたそうな)
がやってきた。

うま先生は山おくの村小学校の
「体育科教師」であったが、
専門は理科なので
  (注:小学校の先生は全ての教科を教えるので免許状に教科は明記されません。
   しかしそれぞれに専門教科を専攻してきています。
   教科以外にも教育学や心理学を専攻している人もいます。)

大学などではほとんど
体育の勉強はしていなかったらしい。

ただ
情熱だけはあるようで、
赴任当初から積極的に体育科の学習には
めらめらと燃えていたようである。

小中学校が隣どうしということで、
小中それぞれの先生が
話をする機会も多く、
うま先生は
小学校の先生に聞いても分からない
体育学習のことを、
中学のつるべ先生に聞くことが度々あった。

そんな話の中で
つるべ先生が切り出したのが、
例の「クロスカントリースキー」問題
である。

うま先生も出身が雪国ではないため、
勿論クロスカントリースキーについては
ずぶの素人であった。
本格的な冬を前にして、
うま先生が指導経験のあるつるべ先生に
すがりついたのは言うまでもない。

つるべ先生は、
「チャンス!」と思った。
「うま先生と一緒に学校や地教委に話していけば心強い…。」
つるべ先生はだいぶ前に購入した
クロスカントリースキーの入門書を
うま先生に読ませたり、
スノーモービル、コースカッターの必要性
うま先生に話したり、
と、小中学校関係なく
クロスカントリースキーに
かかわるようになっていった。

当のうま先生はといえば、
やはりシーズンに入ってみないと
つるべ先生の言っていることは
呑み込めなかったようである。
クロスカントリースキーとは何なのか?
うま先生自身で噛みしめるのが
精一杯の1年目だったそうだ。

ただ、うま先生は
シーズンに入るやいなや、
何とMy Cross Ski Setを購入した。
中学校同様、
小学校にも児童、職員分のクロススキーセットは
あったのだが、
わざわざ買ったということは、
それなりにこの地域独特の教材に対して、
気合いを入れていたのだろう。

しかしこの年、
つるべ先生もノッポビューティ先生も多忙を極め、
校庭をアルペンスキーで雪踏みすることはなかった。

…小さな学校故の宿命とでも言おうか。

他の仕事にも追われるようになったつるべ先生、
雪踏みどころではなくなってしまった。
小学校のうま先生は
全教科を教えているので
中学の先生のような空き時間は
ほとんどない。
無論、雪踏みなどしている時間は
作り出せなかった。

結局、
山おくの村小学校・中学校とも、
クロススキー学習の環境は
つるべ先生1年目以上に悪くなってしまった。
つるべ先生は改めて思った。
「ああ、あれがあれば…。」

…あれとは勿論、スノーモービルのことである。

そして、
うま先生もあることを思った。
「ああ、あの人がいれば…」

…「あの人」とは
一体誰のことなのか??
多忙を極め、窮地に追い込まれた
山おくの村のクロススキー…

いったい、
どうなってしまうのか!?!?!?

(to be continued...)







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