タイトル■雪と先生 〜ある豪雪の村より〜
書き手 ■市川先生
市川先生は、信州の山奥にある小学校に勤務して
います。とんでもなく雪が降るこの村。そんな豪
雪地帯での生活とは一体どんなものなのでしょう?
このコラムでは、異次元空間のような雪国におけ
る先生達の活躍を中心に、雪と暮らす人々の様子
を伝えてもらいます。では、いざ豪雪の世界へ!
>これまでの「雪と先生」
さんにんめ ● 雪国の教材を「開拓する」教師たち(Vol.5 完結篇)
「雪だらけ村のあるスキー学校」から来た
ナイスガイ先生は、
まさにすばらしい人であった。学生時代より
競技クロスカントリースキーで
鍛えた技術と
児童生徒に対する卓越した指導理論を持つ、
先生の講習は、まさに
「楽しい」クロスカントリースキー
の時間になった。
何よりも、
学校の教師たちにできなかった
「手本」を
ナイスガイ先生は子どもたちに示すことができた。
その細かい技の数々は、
クロススキー素人には
到底示すことができない、
まさに「達人技」の数々であった。どちらかといえば
マイナーなクロスカントリースキー。
オリンピックでもコンバインド(複合)で
フリーなら少しだけ中継してくれるが、
クラシカル走法となれば…
ほとんどテレビでは見ることができない。
その姿をライブで、
目の当たりにして見ることにより、
子どもたちばかりでなく、
山おくの村小・中学校の教師たちにも
クロスカントリースキーが
新鮮に映ったのはいうまでもない。ナイスガイ先生は、
学校の先生の指導からは
引き出すことのできなかった子どもたちの、
満足感に満ちあふれた笑顔を引き出した。
子どもたちに
クロスカントリースキーの
醍醐味を味わわせることができたのだ。「すごいですね。
雪だらけ村のあるスキースクールで
指導してみたい子もたくさんいますよぉ。」
ナイスガイ先生は1日の講習の終わりに、
つるべ先生、うま先生にこう話している。
楽しく、一生懸命に
技術を体得しようとする子どもたちには、
自然とクロスカントリースキーを
操る技能が身に付いていた。同じ年、
小6年生のある子は
「クロスカントリースキーの大会に出てみたい!」
と言うようになっていた。
たった1度の講習であったが、
自分の技術の向上が自信となったのであろう。
その子は3月に北のはずれ村(仮称)で行われた
クロスカントリースキーの大会に参加した。
結果は60数人中47位(だったと思う)。
陸上競技で100mを走らせれば
長野県でも上位のレベルに達していたであろう
その子にとってみれば
決して満足のいく内容ではなかったであろう。
しかし、
順位に対する不満だけでなく、
同じ地域でクロスカントリースキーに取り組む仲間と触れ、
ともに走れたことへの満足の気持ちも
あっただろうとうま先生は感じていた。今年もナイスガイ先生は
山おくの村小学校・中学校の要請により、
同校を訪れてクロスカントリースキーの
指導をしてくださっている。
講習日程を2日間にし、
1講座あたりの時間を延ばし、
参加学年数を減らしたことにより、
前年以上にきめ細かい指導を
していただくことができた。
山おくの村小・中学校の子どもたちに、
昨年以上に輝く子どもたちの笑顔が
みられたことはいうまでもない。…つるべ先生、うま先生、ナイスガイ先生は
夢を語っている。「学校教育と社会教育が相対するものでなく、
指導者、教師が互いに切磋琢磨しあっていくなかで、
相互に連携していくことができれば…」より専門性のある地域の人材が
学校で活躍することが増えていくことにより
学校は
よりダイナミックな学びを
展開できる場となるだろう。
また、
学校での学びが
地域社会で発揮できれば、
それは子どもたちはもとより
地域の大きな活力に
なっていくことであろう。未来の学校、
未来の地域、
未来の生涯学習、
未来の教育の姿 に
夢を馳せる先生たちの姿を
信州の山々は静かに見下ろしている。…
[市川先生の自己紹介]
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