」」」 長い前書き<O8> 」」」
「そういうの待ってた!ってかんじ」
まずは同級生二人の参加が決まったが、
スカウト活動はまだまだこれからなのだ。次に声をかけようと思ったのは、
昔の同僚で現在は主婦のR。
結婚を機に編集部を辞めてしまい、
今は子育てに忙しそうだけど、
そういう人こそ逆に
「今の生活だけじゃない、なにか」を
求めてたりするんじゃないだろーか。久しく会ってなかったけど
この頃、ちょうど昔の仲間で一緒に飲もう
というお誘いメールが来ていたので、
その返信にこんな文章を加えてみた。「おれ今、インターネットで
雑誌みたいなことをやろうと思ってるんだ
(ウェブマガジンっていうのかな?)
要するに、何かやりたい(書きたい)んだけど
機会や場がない人や
商業誌で仕事はしてるんだけど
やりたいことがやれてない人や
ヒマだからともかくなんか面白いことに
参加したい、というような人を集めて
なんかそれぞれオモシロイと思うことをしてもらって
それを集めたら面白いんじゃないかな?とほら個人のホームページだと
結局友達しか見ないじゃん?
でも大勢の人が参加していれば
内容の幅も広がるし
にぎやかな商店街みたいな雰囲気になって
いろんな人が見に来てきてくれると思うんだもちろんノーギャラなんだけど
Rももしヒマだったら、何かやらない?
特に見返りもないんで
何かやりたいなという気持ちが
あればということなんだけど
Rなら何か面白いことできそうだと思うんだ」すると…
「オッス!
メール読んだっす!
やりたいっす!
マジで、なんかやりたいね。
そういうの待ってた!ってかんじ。
仲間入れてもらっていいの?
うれしいよぉ。
でも、正直、そんなに長い物とかはムリかな。
連載小説?みたいのとか。
そんなの私に求めてないよね?
ポエム、いいねぇ。
失礼な言い方かもしれないけど、
友達とかにメールとか手紙書く感覚で、
軽いノリでやらせてもらえるんなら、やりたいよ!」と嬉しい返事が来た上に
企画の提案が10個も書いてあった!
いいねぇ。
やっぱり同じようなこと考えてる奴は
いるんだなぁ…とまたまた感激したのだった。スカウト活動はまだ続く。
今度は僕と同じようなフリーの
編集者兼ライターのS。彼女とはよく飲む間柄だったし、
日頃の仕事だけに満足できず
「なんか面白いことしたいね」
という話はよくしていたので、話は早かった。
ただ、その時も飲みながら話していたので
どんな会話を交わしたかは記憶なし(キッパリ)!
でも、とにかく
「やろうぜ!」
「ぜひやりたい!」
そういう話で盛上がったのは確かだった。その数日後、思わぬ参加者も現れた。
とある編集部の庶務をしているC。
ある日、仕事を終え帰ろうとすると
彼女の帰るタイミングと重なった。なんだか元気がない。
「タニタさんにアドバイスしてもらったように、
言ってみたんですけど、ダメでした…」恋の相談を受けていた
…わけではなかった。
前に飲み会があったときに
相談されたことがあったのだ。彼女は本当は編集者やライター志望で、
そのつもりで編集部の求人に応募したのだけど、
その枠が空いてないということで、
庶務の仕事でもいいから編集部で働きたい、
と今の仕事をしていた。でもやっぱり作る仕事したい!
という夢は捨て切れず、
少しでもそういう仕事をさせてもらえないかなぁ…?
と悩んでいたのだった。「そういうアピールをし続けていれば、
人手不足でもあるみたいだし、
やらせてもらえるんじゃないかなぁ」
と僕はアドバイス(ってほどじゃないが)した。
実際、そういう例も過去にあったので。で、アピールしてみたのだけど
「やっぱりダメと言われちゃいました…」
と彼女は落ちこんでいたのだった。ちょっと飲む?と誘って
話をいろいろ聞くと
「もうあきらめて、今
自分でホームページ作ろうと思ってるんです」
と言うではないか?キラリ!
またまた俺の目は光った。
「こういうことやろうと思ってるんだけど、
よかったら、参加しない?」もちろん快諾である。
しかも、数日後には早くも原稿も届いた!
彼女の書いたものを読んだのは
初めてだったけど、面白かった。
やる気も十分、伝わってくる。
嬉しい手ごたえだ。
この原稿が、このウェブマガジンのために
書かれた原稿第1号である。それにしても、機会や場を求めて人は
思った以上にいるようだ。
考えてみれば、気が遠くなるような数の
ホームページがインターネットには
浮かんでいるのだ。
そういう時代なのだろう、きっと。いや、時代じゃないか。
ただ、それを実現する方法が
簡単になっただけなのだ。まだホームページを作ってなくても、
潜在的なそういう「思い」は
世の中には溢れるほどあるに違いない。まだ知り合ってないけど、
共感しあえるような人にも
これからまだまだ会えるかもしれない。Rのメールに書いてあった一文
「そういうの待ってた!ってかんじ」
このウェブマガジンが
そんな存在になっていけばいいなぁ…なんて考え、ますます
「早く作りたいぜ!」
とやる気がわいてくる俺であった。季節はそろそろ秋である。
(つづく)