エスニック

イスラムの国イラン(前章)



1:イラン人の生活

イランは乾期には45度近くまで気温が上がるので、人々は朝と夜、活動します。
昼間は暑くて何もする気がおきない。日中、人々は街から姿を消し、店は閉まり、公園の木の陰に、犬のように寝ていたりする。そして、夕方4時頃から活動を開始するのです。
だから私たちも朝と夜に行動して、昼間は寝てました。
夜の12:00に、みんな、公園でビニールシートを広げて、お湯湧かして、ピクニックしたりしてるのです。夜の遊園地
子供達までそんな時間に、ボールを蹴ったり自転車に乗って遊んでいました。
もちろん赤ちゃんもお母さんと一緒に起きているのです。
だから夜でも通りは人々で賑わい、全然安全。
しかもお酒はダメなので、酔っぱらいもいない。
こんなに安全な国は初めてでした。
日本より安全だと思いました。
(注:首都テヘランに限っては、夜は東京の「丸の内」のようにさみしく、人々はほとんど出歩いていない。)


2:イランの水

イランの水道水はとってもおいしくて、ミネラルwaterなんて必要ありません。
また、通りのあちこちに、公共の冷水器が設置されていて、誰でも自由に飲めるようになっています。
乾いたのどに、イランの冷たい水は最高でした!!
水道水がおいしい国なんて、まれでしょ?

石焼きのパン屋(ナン屋)さん
           石焼きのパン屋(ナン屋)さんにて(ARAK)

3:イラン人の日本観

イラン人ってほぼ100%親日派で、日本人だと分かると、「very good!!」
と始まり、すごい親切にしてくれます。
観光客に対してぼったりする人がほとんどいないし、とにかく「どうしてそこまで見も知らぬ私たちにしてくれるの?」っていうくらいみんな親切でした。
以下はそのいくつかの例です。

その1: あるtaxi driverは、かつて日本に住んでいたことがあり、私たちと久々に日本語で会話できた喜びで、「お金は要りません。あなた達と話せて、嬉しかったから。」と言って、断固としてお金を受け取らなかった。

その2: 1kg単位でしか売ってくれない果物屋さんで、梨を3つだけ買いたいと言って私が困っていると、どこからともなくイラン人が近づいて来て、
「どうしたの?」
と聞くので、これこれと事情を話すと、
「いいじゃないか。彼らは日本から来ているんだぞ。1kgも買えないだろ?half kgで売ってあげなよ!」
みたいなことを言いながら果物やさんとかけ合ってくれ、おまけにお金まで出してくれました。

その3:道ばたに座って、ジュースを飲んでいる私たちの隣に、15歳くらいの少年が座ってきて、しばらく主人と話をしていた。「名前は?」に始まり、どこから来たのか、イランvs日本のサッカーワールドカップのこと、今までどの国に旅行したかなどなど・・・。ちょうど街は停電中で、その間ずっと話してました。別れ際、彼は主人に「This is for you.」と言って、自分のキーホルダーをくれました。
「???」
「あなたに会えて嬉しかったです。その記念に・・・。」
イラン人は本当にpureで、優しくて、嬉しかったです。

こんなような親切は数え切れないほどありました。

人々は日本人に興味津々で、誰もが私たちと話をしたがっているようでした。話しかけてきた女学生
英語の分かる女学生なんかは、必ず
「ちょっとお話ししても良いですか?」
って話しかけて来てくれたり、
「一緒に写真をとっても良いですか?」
って寄ってきてくれて、とってもかわいかった。
会う人会う人全員「イラン、no good。
japon very good。 日本人大好き。」
って言ってくれ、在日イラン人に対して日本人が抱いている印象と正反対なので、申し訳ないような気持ちになりました。
イラン人はとってもいい人です。

ちなみに日本語で話しかけてくるイラン人は、全員「昔、日本に○○年間住んでいました。日本はとっても良い国です。また日本に行きたい。でもビザが取れない。あなた達は日本に帰れていいですね〜。」と悲しい目をして言っていた。
きっと日本に行きたいイラン人全員に日本がビザを発効し受け入れるなら、日本はイラン人一色になるのではないかと思うほど、イラン人は日本大好きだった。
もしかしたら、イラン人が優しいのは、日本人が好きだからというだけではなく、これはイラン人の人柄なのかもしれません。
私がイラン人に「イラン人はみんな親切ですね。」 と言うと、必ずみんな「日本人もいい人です。」と言っていたけれど、そうではないように思ったし、そんな自分たち日本人をなんとなく恥ずかしく思った。
これからは、在住イラン人に対して、偏見無く、親切にしてあげたいと思いました。


4:イスラム教とイラン革命

私たちの今回の目的の1つに、「イスラム教を感じる」というのがあったのですが、意外だったのは、イランは外国人にもスカーフや長袖の着用を義務づけているものの、イラン人の全員が熱心なモスレムというわけではないということでした。
若者はモスクに行ってお祈りなど、あまりしていないようです。
また、外出するときには服装は守っているけれど、家に入ったら、知らない男性(ここでは私の主人のこと)がいても、スカーフをはずし、Tシャツ、スカートになっていました。
ただ、年齢の高い人たちは、今でも熱心なモスレムでした。ARAKに住む友人の母親は、私の主人がいる間は、ずっとスカーフをかぶり、肌を隠していました。
そして、寝る前・夜明け前のお祈りは欠かさずにしていました。

私たちがもっとビックリしたことは、私たちが知り合ったイラン人家族は、反ホメイニ(反イスラム主義)で、20年前のイスラム革命を反対しており、でもそれを声に出して言うと、政府に殺されてしまうので、絶対言えないと言っていました。
本当はその家族は、革命の時に、アメリカに亡命したかったそうですが、いろいろな事情があって出来なかったと悔やんでいました。
彼らの息子は、何かにつけ、ことごとくイランを非難していて、「こんな国には1日たりとも住めない。」 と言っていました。彼は現在日本人と結婚し、日本に住んでいて、8年ぶりにイランに帰省していたのです。
イランは革命後、アメリカとは国交を閉ざしていて、「アメリカ人は大嫌いだ!!」 と言っているイラン人を何人も見たけれど、その裏では、公には言えないけれど反対の考えを持っている人たちもいるということを知りました。
もちろん、厳格なイスラム教信者もいて、朝、昼、晩にモスクから流れてくるコーラン(キリスト教の聖書のようなもの)の合図(melodyをつけて詠まれる)でモスクに集まり、お祈りをしている人も見ました。


5:禁酒国イラン

イランはお酒が禁止なので、飛行機の中でもお酒は出ません。
だから、人々はレストランなどでも、コーラなどを飲んでいるのです。
でも実のところ、お酒はこっそり闇で売られているようで、大使館員の所や、その他の所で買えるらしいです。
「外で見つかったら逮捕されるから絶対飲まないけれど、みんな家ではこっそり飲んでいるよ。」ということでした。
な〜んだ。


6:男女交際

イランでは未婚の男女が接する事は認められていない(?)ので、モスクのお祈りの場所も、バスの入口も男女別々。
バスの中では、チェーンによって真ん中で半分に仕切られています。
だから、町で男女が仲良く歩いているのを見かけません。
(でも夜になると、公園とかでデートしている男女を見かけたけどね。)
だから、イランでは男同士がよく一緒につるんでいるのです。しかも手をつないで!!(ホモではない)
すっごい不思議!!
夜、いい男同士が何組もオレンジジュース片手に川辺で語り合っているのはおかしかったです。


7:イランの国内線飛行機

イランでは、他の国のように、外国人に対して外国人料金を設定していないので、国内線が異様に安い。
一人2000円〜3000円で乗れてしまうのです。
オイルマネーのお陰か???
ちなみに、イランエアー(特に国内線)ほど、古くて汚い飛行機を見たことはありませんでした。
トイレはさんさんたる状況!!(JALを見習って欲しい・・・と思った。)
Flight attendant も愛想がなくて、恐かった。(仲良くなるとみんないい人だっだけど。)

ちなみに、国際線イランエアーには、6名のスチュワーデスの中に、1名の日本人クルーが乗務していました。彼女はイランと日本の路線だけを飛んでいて、1週間のパターンだそうです。



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