杜

解説

文章 最終更新
2003年12月20日

日が暮れ、辺りも暗くなりはじめました。まだ僅かに残る空の明るさに、杜の影が浮かび上がります。昼間聞こえていた小鳥のさえずりに代わり、夜に活動する鳥や虫たちの静かな唄がはじまります。それと同時に、杜の雰囲気が変わったような印象を受けます。杜から感じていた気配がより一層強くなったのかもしれません。

神社の森、いわゆる鎮守の杜(モリ)には他の森とは違った不思議な雰囲気を感じます。人間の知識や頭で考えたことだけでは捉えきれない、何かを感じるのです。もしかしたらそれは、太古、人々が自然に対して感じていたものと同じかもしれません。

古代の人々は今よりも自然との繋がりが強かったはずです。自ずと感性も研ぎ澄まされ、自然の背後にある気配を鋭敏に感じとっていたのかもしれません。そして、より強くそれが感じられた場所を鎮守の杜としたのでしょう。

鎮守の杜とは神がおられる場所、神域であり、人々はその杜を大切にしてきました。それは各地に多く残る鎮守の杜からも覗えます。

また、鎮守の杜に限らず、自然すべてが神そのものであるということから「むやみやたらと森の木を切ってはいけない」という精神が生まれたのでしょう。それが結果的に森を自然を護っていたのだと思います。

昔の人の智恵、直観力というのはつくづくすごいものだと思い知らされます。

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作品情報

タイトル
杜(もり)
大きさ
164KB
650×750
イメージ形式
JPEG
公開
2003年12月02日
最終更新
2004年03月03日
バージョン
ver01-01
製作ソフト