私は妙の時が好きです。
「妙の時」とは昼でも夜でもない、そのはざま、朝方や夕方のことです。
妙という言葉には「他と違った」「不思議な」「並外れて素晴らしい」という意味があります。また、その文字を分解すると「少」「女」となります。
京都で大文字焼きがあるでしょう。その中に「妙」という字がありますね。あれは少女という意味です。子供でもないし、大人の女でもない。その中間で少女です。そこに神の命を見るというのが「妙」なんです。
『神道と日本人』より引用。 [ 葉室頼昭(はむろよりあき)著 春秋社 ]
他と違い不思議で言葉にできないくらい素晴らしい。そして、そこに神を見る。それが「妙」という言葉です。
夕暮れ時、夜のとばりに包まれはじめるころ、昼とも夜とも違った不思議な感覚を覚えます。雄大でもあり儚くもあり、光と闇のふたつの世界を結ぶ不思議な時。いつしか「妙の時」と呼ぶようになっていました。