136kHz/476kHz Guardrail Ground
[135kHz, 476kHzガードレール接地の実験]
7L1RLL(若鳥)
11 November 2016 V.1.1.2
Figure 1.1.An Equivarent schematic diagram of the Guard Rail Ground with Antenna (GP2200)
is shown here for 136kHz(2200m) band.
[第1.1図,河川道路のガードレールを用いた136kHz(2200m)帯用のアンテナ・アース系の等価回路](V1.1.0)
1. Abstracts(概要)
This page summarises 7L1RLL's improvement activities on ground system for 136kHz/476kHz band.
[このページには,筆者(7L1RLL)の136kHz/476kHzの接地の改良実験の概要を示す。]
1.1 Purpose of The Experiments(実験の目的)
- Reduction of Earth Registance(接地抵抗の低減)
136kHz/476kHz帯の送信アンテナと直列接続される接地抵抗をできるだけ低減する。
- Antenna Simulation(アンテナ疑似計算の実施)
アンテナ疑似計算によって,性質を確かめる。
2. Schematic Diagram and Installation(回路図及び設営)
2.1 Schematic Diagram Drawing(回路図)
回路図は,冒頭の第1.1図(Figure 1.1)に示す。アンテナの容量約250pF(高さ7-10m,容量環18m*2本)とコイル5.4mHとで137kHzに共振させる。アース側をガードレール100mの一端に接続する。
このときのアンテナ電流は接地抵抗の低い地球を経由して,直接,
ガードレールから帰ってくる程度に接地抵抗が低い。地球への接地は,単に感電防止のための保安アースの役をするだけである(V1.06)。
2.2 Installation(設営)
2.2.1 Guardrail Ground(ガードレール接地)
河川堤防上の車道と河川とを区分けするガードレール(長さ100m,杭24本)の端にアンテナ整合コイルの接地側からの
接地線(この写真では,アースマットのブリキ板)を大型クリップで留めた。または,タイヤベースによって垂直柱を支える。
看板は,“全日本長中波倶楽部 136kHz送受信実験 無線局:7L1RLL”を表示している(第2.1図参照)。
Figure 2.1. Bottom of Antenna(第2.1図 アンテナ基部)
別な接地方法として,ガードレールのボルトにクリップ留めにしても良い。
ただし,複数のボルトで接触の良いボルトを確かめた方がよい(第2.2図参照)。
Figure 2.2. Connection to Guared Rail(第2.2図 ガードレールボルトにクリップ留め)
2.2.2 Car Top Ground(乗用車屋根の接地)V.1.1.0
乗用車の屋根が鉄板製の場合,それを接地板(例:1.5*5m=7.5平米)としてガードレール接地と並列に接続できれば,
接地抵抗を更に低減させられることがある。
筆者の場合,ガードレールの固定ボルトとハッチバックドアのスプリング入り支柱とを共に大型クリップ付き銅線によって,
アンテナ整合コイルの接地極へ臨時に接続して,476kHzのときのRF抵抗を20Ωまで下げられた(第2.3図参照)。
Figure 2.3. An Example of Ground Connection for Car Top(第2.3図 車両屋根への接地箇所例)
仮想的な電気力線(黄色線)は,車の屋根,ガードレール又は地面に垂直に交わる(第2.4図参照)。
アンテナの実効高が車高(例:1.5m)現象するがアンテナと車との間に強力な電気力線が形成されるので,
効率は向上すると推測する。
なお,車両への接地接続箇所は,ハッチバックドアのフックが確実であることを発見し,そのフックに
クリップで留めている(V1.1.2)。
Figure 2.4. Car Roof Ground(第2.4図 乗用車屋根の接地の効果)
対地電圧にご注意
ここでのガードレールは土に鉄杭を直接埋め込む施工であり対地との電圧差が低いが,
アスファルト・コンクリート道路のガードレールは対地抵抗が高いことがありえるので,
保安接地(100Ω以下のA種接地)を併用されたい(V.1.0.2)。
第2.2図に示す筆者の運用場所では,乗用車の屋根とガードレールとを併用した状態で476kHz帯の
接地抵抗が20Ω程度だったので,RF電流が1.67A流れた状態でも,計算上,33.3Vであり,
一番電圧の高い垂直アンテナ直下の車体に素手で触れても電撃を受けない水準であった。
河川堤防のガードレールは接地されているので,対地絶縁されたカウンターポイズと類似ではない。
3.Result(結果)
3.1 Field Test(実地試験)
実は,この効果は,偶然発見したもので,アンテナアナライザ(AA-54)によって,137kHzでの同調点を探し,その後で,
インピーダンス変換トランスの2次側のタップの最良点を探した。その結果,38.3Ωとなった。
このインピーダンス38.3Ωは,コイルのRF抵抗そのものであり,接地抵抗(普通,10-100Ω)が加えられていないことを意味していた。
VSWR=1.17を示し,インピーダンス変換トランス1次側の電流は,1.0Aと最大電流(50W/50Ω=1.0A)であった。
これは,冒頭第1図の等価回路図に示すようにアンテナの反対極(地面)がガードレール100mの鉄板で構成され,銅線によって送信機系への帰路が生じていた。
これは,原理的には,カウンタポイズと同じく,ガードレール及び車の上面が人工地面を形成したことと解釈した。
その後(2016年),476kHzでの実験では,アンテナ整合コイルのRF抵抗(Rc)=10Ωの場合,負荷抵抗(Rc+Re+Rin)合計が30Ωであった。
したがって,放射抵抗Rinを無視すれば,接地抵抗Re=20Ωであった(放射抵抗Rinは100ミリΩ程度)。
このアンテナから強い電波を発射させるには,人工地面(つまり,ガードレール及び車の屋根)との距離を大きくすることが重要であり,
距離が小さい(例:1m)場合,障害物に電波を吸収させることになる。しかし,アンテナ電流も増えるので,さて効率は?
距離6kmの川崎市の7L1RLLグラバでの受信画像を次の第3.1図(Figure 3.1)に示す。最初は1W出力,段々出力を上げ,画面中央部では50W出力であった(V.1.0.1)。
Figure 3.1. Received picture at 7L1RLL's Grabber in Kawasaki
JP(第3.1図.川崎市の7L1RLLグラバでの受信画像)
一応,電波は発射してはいるが,飛び具合(効率,利得),指向性の調査,アンテナ線のたる(弛)み防止対策などは,今後の課題である。
3.2 Simulation by MMANA(疑似計算)(V.1.0.2)
アンテナ解析ソフトウエアMMANA
によって,疑似計算してみた。第3.2図(Figure 3.2)が定義したアンテナ形状であり,第3.3図(Figure 3.3)は,疑似計算結果である。
容量環の18m2本とガードレール(人工地面)とで,アンテナ形状画像の右方向(X軸方向)に幾らか指向性ありという結果になった。
なお,第3.3図には,電流分布も併せ示す。この電流分布によると,垂直部の電流が一番多く,天頂の容量環で2分されている。更に,ガードレールの短い側は,電流が分布しないことを示している。
Figure 3.2.Antenna Shape for MMANA(第3.2図.アンテナ形状及び電流分布)
Figure 3.3.Result of Simulation by MMANA(第3.3図。疑似計算結果)
V.1.03版では,疑似計算の引数として,,リアルグランド=鉄パイプ,DM1=4000,集中定数L=4418uH,Q=100を入れ同調させている。
そのときの計算上のインピーダンス=41Ωで,現実のインピーダンス整合トランスのタップ=38.3Ωに近似している(V1.03)。
なお,アンテナ定義ファイル(GP2200.MAA)の内容は,次の第3.4図(Figure 3.4)に示す。
Figure 3.4.Antenna Definition for Simulation by MMANA(第3.4図.アンテナ定義)
参考:MMANAによるアンテナ定義ファイル(GP2200.MAA)を圧縮した
GP2200.zipを解凍(伸長)し,ホルダMMANA/ANTに移動させて,形状を変えてみてください。
3.3 Received by Akita Grabber(秋田グラバで受信)
JA7NI(冨樫さん)からの報告で,秋田グラバに呼出符号(7L1RLL)の一部が届いていたことが分かった。冒頭の長点は1W出力で届かなかったが,
その後,10W,20W,30W,50Wと出力を上げていった。ただし,蓄電池が放電し,RLLの途中までで電圧低下により送信停止した(V.1.0.4)。
Figure 3.5 Watch Report from JA7NI(図3.5 JA1NI富樫さんからの聴視報告)
このときの蓄電池17Ahは,仮設の充電器
Additional
Battery for Vehicle[車載無線機のための電源供給方法]
によっていたので,充電量が放電に追従しなかったと推定される(V.1.0.4)。
3.4 Summary(考察)(V.1.1.0)
136kHz帯のアンテナ系統図は,第3.6図(Figure 3.6)のとおりと先達から教えられ,それを鵜呑みにして,接地抵抗Reを下げる努力をしてきたが,
この実験によって,第1.1図のとおり,グランドプレーン(GP,地面)アンテナとすれば,アンテナ電流は極めて低い接地抵抗(Re)で流れることが分かった(V1.06)。
しかも,十分,小さい寸法でGP(地面)を構成できることが,実験及び疑似計算によって確かめられた。
Figure 3.6 Historical Configuration[図3.6 伝統的アンテナ構成]
想い起こせば,このGPアンテナの可能性は,いろいろな人が経験していた。
例えば,JH1ARY黒田さん及びJR1OAO中島さんは河川のフェンス又はガードレールのアースの良さを経験されていた。
JH1GVY森岡さんは,アースマットを敷くと(通常,接地抵抗が高い場所でも)電波の吸い込みが向上することを発見されていた。
しかし,ここで実験したガードレールアースと傘型GPアンテナは,垂直接地型の一種として分類され,
一部を人工接地にして,接地の効率を高めただけと思われる(V1.1.0)。
3.5 Instabilities of Earth Resistance(接地抵抗の不安定性)(V1.1.2)
早朝,雨後などのとき,アンテナアナライザ(AA54)で共振点・インピーダンスを求めると,
100Ω以上の接地抵抗を示すことがある。そんなとき,とりあえず,インピーダンス整合(例:107:50)させ,
出力5~20Wで馴らし運転をすると,接地抵抗が20Ω程度まで改善し,インピーダンスを(例:50:50に)再整合させることがあった。
この現象は,強い高周波電圧によって絶縁被膜(例:水膜,錆び)が破壊して,高周波抵抗が低下するのではないかと推察する。
よって,馴らし運転をした後,再度,インピーダンス調整した方がよいこともあると記憶されたい。
4. History(履歴)
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2012.11.24,First Release(開示)
V.1.0.0を公開開始した。
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2012.11.27,Add captured(受信画像追加)
7L1RLL(神奈川県川崎市)グラバでの受信画像を追加(V.1.0.1)。
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2012.11.27,Add Result of Simulation(疑似計算結果を追加)
疑似計算結果を追加。アンテナ定義ファイルも公開(V.1.0.2)。
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2012.11.29,Add External coil to Simulation(疑似計算にコイルを加算)
集中定数として負荷コイルを追加。137kHzで共振させた(V.1.0.3)。TNX JA1VUC for fine comment。
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2012.12.02,Add Charge circuit(充電不良を加筆)
JA7NI(秋田県大仙市)グラバに届いた事実及び無線用蓄電池の充電器の改良必要性を追加(V.1.0.4)。TNX JA7NI。
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2012.12.07,Changed Coil Inductance and Capacitance(コイル値及び容量値を変更)
撤収後も固定されていたヴァリオメータ位置と試験キャパシタンス251pFとで146.5kHzに
同調したので,137kHz同調のときのコイルインダクタンスは,4.7mHだったと分かり,冒頭の回路図に記入した(V.1.0.5)。
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2013.06.16,Changed Equivarent Circuit diagram(等価回路を変更)
接地抵抗を0Ωとして等価回路に記載した。また,道路のガードレールを河川道路のガードレールと限定した(V.1.0.6)。
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2016.04.25,Addition of Car Roof Ground(車の屋根の接地に追加)
河川道路のガードレールに加えて,乗用車の屋根を接地板として利用した。
構成図の接地抵抗Reを0~20Ωとした(V.1.1.0)。
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2016.05.01,Addition of Photos(車の屋根の接地の写真の追加)
屋根及びガードレールとの接続部の写真を加えた(V.1.1.1)。
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2016.11.11,Addition of Instability(初期接続不良の解説の追加)
早朝,雨後などのときの接地抵抗の高さと解決方法とを加えた(V.1.1.2)。
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Amateur Radio Activities by RLL[RLLのアマチュア無線活動]
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