MMANA-GAL Simulation of 136kHz Umbrella Antenna with Guardrail at a River side
[河川ガードレール接地を用いた136kHz傘型アンテナの疑似計算(MMANA-GAL)]
7L1RLL(若鳥)
22 November 2017 V.1.0.1
Figure 1.1.A Sample Shape of Umbrella Antenna with River Side Guardrail
is shown here for 136kHz(2200m) band.
[第1.1図,河川道路のガードレールを用いた136kHz(2200m)帯用のアンテナ・アース形状]
1. Abstracts(概要)
This page summarises 7L1RLL's improvement activities on ground system for 136kHz band.
[このページには,筆者(7L1RLL)の136kHzの接地型アンテナ(umbrella antenna)の改良実験の概要を示す。]
1.1 Purpose of The Experiments(実験の目的)
- Reduction of Earth Registance(接地抵抗の低減)
136kHz帯の送信アンテナと直列接続される接地抵抗をできるだけ低減する。
- Antenna Simulation(アンテナ疑似計算の実施)
アンテナ疑似計算(MMANA-GAL(V.3.0.0.31))によって,性質を確かめる。
1)疑似計算プログラムは,JE3HHT森 誠さんのMMANAを外国で改良された
MMANA-GAL Basic(V.3.0.0.31)をWindows 10(64-bit,Home Edition)配下で利用したが,
ここでは,その疑似計算ソフトウエア及び操作系の取扱いについての記述を省略する。
2)MMANA-GALの日本語の設定:上のWEBサイトから導入し,解凍・伸長して動作後,Setup(表示)/Language中でjapanese(日本語)を選択し,
更に,エクスプローラによって,C:/MMANA-GAL_Basic/Language/japanese.mmnファイルをメモ帳(Notepad)など文言(text)編集系
で開き,第一行目の932を1に書き直して保存し,再度,MMANA-GALを立ち上げると,日本語モードにできる。
3)136kHzアンテナの疑似計算(第1版,MMANA) by 7L1RLL:
136kHz/476kHzガードレール接地の実験。
4)472kHzアンテナの疑似計算(第2版,MMANA) by 7L1RLL:
476kHz河川ガードレール接地を用いた傘型アンテナの疑似計算。
5)136kHzアンテナの疑似計算(第3版,MMANA) by 7L1RLL:
136kHz河川ガードレール接地を用いた傘型アンテナの疑似計算。
ここでは,この疑似計算のアンテナ定義にワイヤ追加,給電点・集中定数の指定の方法を変更して利用した。
2.Simulation(疑似計算)
2.1 Target Antenna and Earth(疑似計算対象とするアンテナ及び接地)
疑似計算対象とするアンテナ及び接地を冒頭の第1.1図(Figure 1.1)に示す。中央に高さ10mの垂直線(直径1mm,銅線)があり,
その頂上から左右に18mの容量環(直径0.5mm,銅線)が伸びる。
容量環の472kHz時の末端の高さは5mであり,136kHz時の末端の地上高は2mである。
一方,接地は,高さ80cmの河川ガードレールが垂直柱の左右28mに延び,支柱が4m置きに土中に埋められガードレールを
支持している。給電点は垂直線とガードレールとの交点直上にあり,アンテナの短縮コイル4418μHが直列に接続されている。
15本のガードレール杭と土との間には接地抵抗100Ωがあるとする。なお,短縮コイルには自己共振の原因となる容量成分が存在するがここでは無視する。
また,ガードレール及び杭の材質は鉄であるが,ここでは,単純化のために銅として寸法を小さくして取扱う。
2.2 Antenna Definitions(アンテナ定義)
河川堤防上の車道と河川とを区分けするガードレール(長さ56m,杭15本)の中央にアンテナ短縮コイルの接地側からの
接地網線を大型クリップで留めた。また,ガラス繊維製の伸縮垂直柱は,タイヤベースによって垂直柱を支える。
疑似計算ソフトウエア(MMANA-GAL)へのアンテナ定義は,次の図のように入力した(第2.1図参照)。
Figure 2.1. Antenna Definitions(第2.1図 アンテナ定義)
なお,第2.1図のアンテナ定義は,次のように定義した。
アンテナ:垂直線:ワイヤ1,2及び3,容量環:ワイヤ4,5,6及び7
ガードレール:ワイヤ8~21
ガードレール杭:ワイヤ22~35
給電点No.1:ワイヤ1とガードレールとの接続点すぐ上(第1.1図中,○記号)
集中定数No.1:短縮コイルL(4418μH,Q=250)をワイヤ2(第1.1図中,x記号)
集中定数No.2~16:接地抵抗R=100Ωを15本の杭の下側(第1.1図中,x記号)
このアンテナ定義ファイル(書式がコンマ分離の文言(text)ファイル)
Umbrella2200_MMANA-GAL.maa(MMANA-GALと同じフォルダに複製すれば,アンテナ定義として使える。)
3.Result(結果)
3.1 Result of Simulation(疑似計算結果)
3.1.1 Two Dimentional Radiation Pattern(二次元放射パターン)
垂直10m,容量環36mと河川ガードレールと組合わせた場合の疑似計算結果(完全導体グラウンド)を次の第3.1図(Figure 3.1)に示す。
Figure 3.1. Result of MMANA-GAL Simulation Pattern
(第3.1図.MMANA-GALによる疑似計算結果(完全導体グラウンド))
放射のほとんどが垂直偏波であって,その指向性は天頂だけがくぼんだリンゴ果実の上半分の形をしている。水平偏波は,垂直偏波に比べて50dB以上低い。
利得は-28.81dBiで垂直高さを波長で割った数(10*log(10m/2200m)=-23dB)より5dB程度低い。
インピーダンスZは,約22Ω(このうち,短縮コイルのRF抵抗:15Ωを差し引くと,正味の接地抵抗は約6Ωであって,
1本のガイドレール杭の接地抵抗を100Ωと想定して与えたものがその約1/16に改善している。
なお,インピーダンスが通常の50Ωではないが,長中波帯では送信機との間にインピーダンス変換トランスを置くので
支障はない。
3.1.2 3D-Pattern(三次元表示)(V.1.0.1)
MMANA-GAL_Basicでの三次元表示を第3.2図に示す。
Figure 3.2 Three Dimentional Pettern(第3.2図 三次元パターン)
3.1.3 Distribution of Current(電流分布)
垂直10m,容量環36mと河川ガードレールと組合わせた場合のアンテナ形状に相対的な電流及び電流方向を重畳して次の第3.3図(Figure 3.3)に示す。
Figure 3.3. Result of Simulation byMMANA-GAL on Radio Current
(第3.3図.MMANA-GALによる電流分布及び電流方向(完全導体グラウンド))
まず,垂直線の部分の左に電流が多い。これが垂直偏波を形成している。一方,垂直線の天頂から-Y及び+Y方向の
容量環には極性が違う電流が流れている,更にガードレール部分も中心の垂直線を境に極性の異なる電流が流れている。
ガードレールの杭には,垂直線と同じ極性の電流がある。
この第3.2図の原点は,(X=0,Y=0,Z=0)であり,Y=0でY>0とY<0とに分流した後の電流方向が正負になるのは,
極性が反転するわけではなく,分岐点(Y=0)から向かう座標上の方向を正負によって表しているに過ぎない。
3.2 Summary(考察)
3.2.1 Current of Capacitance Hut(容量環の電流)
第3.2図によると,容量環の電流方向は,垂直線を挟んで極性が変わっている。これは,例えば,下から送出された電流が天頂で
2方向に別れ,片方を正の方向とすればそれと180違う方向は負電流と見ることができる。これら二つの電流は
それぞれ電磁波を放射したところで,位相が180度(半波長)違い,互いに打消してしまう。
よって,アンテナの半波長以上遠方から観察すると電磁波が放射されていないと同じになる。
したがって,この容量環からは,有効な水平偏波がアンテナの遠方には出ない。
3.2.2 Current of Gaurdrail(ガードレールの電流)
第3.2によると,ガードレールには,次の2種類の電流が流れる。
- Symmetrical Current Toward Opposite Directions(向きの違う対称電流)
容量環の場合と同じように左右に電流方向の異なる
電流ある。しかし,これによって,水平偏波が出ても半波長遠方では互いに打消しされる。
- Earth Current(接地電流)
ガードレールに重畳されている電流として給電点と大地との間に流れる接地電流がある。この部分の接地電流は反対方向の
接地電流とによって生成される水平電波は干渉して,半波長遠方から見れば打消される。
3.2.3 Current of Gaurdrail-Stud(ガードレール杭の電流)
第3.2図によると接地されたガードレール杭には,ガードレールで分配された(垂直偏波分の)接地電流が流れる。15本の杭に
分割されていて,仮に杭の接地抵抗値が等しければ,等分された接地電流が流れる。つまり,多数の接地杭をまとめて
いるのがガードレールであるといえる。ガードレールの寸法が大きく抵抗が低ければ,杭の本数の増加割合に応じて
接地抵抗が減じている。
閑話休題:マックスウェルのまとめた四つの電磁方程式は,点からの電磁波の式であって,半波長内でも
その式によって電磁波が生成される。しかし,発射した電磁波は波の位相差による相互干渉(fading)を受け,3.3.1と3.3.2のように
一旦放射した電磁波が消滅するが,これは二つの事象,つまり,マックスウェルの電磁方程式と位相干渉との複合現象である。
筆者(7L1RLL)は,マックスウェル電磁方程式には近距離だから特別な近傍領域(幻の近傍界)が存在するのではなく,半波長以内で
干渉などによって消滅する電磁波の存在などの他事象を分離できていないで論じているからだとみている。よって,電磁波の伝搬の場合は半波長より先の状態が
重要であり,近接の電磁妨害の場合,干渉によって消滅していない電磁波,磁界の短絡による電流も問題にしなければならない。
4. Acknoledgement(謝辞)
この疑似計算処理系をMANAからMANA-GALに移植するに当たって,JA1CTB谷澤さん有益なコメント,日本語化の要点の指摘などを受け
たことを感謝する。
また,この下敷きにしたMMANAによる疑似計算の完成には,JA1VUC星野さん及びJA5FP間さんの助言をいただいた。
更に,接地抵抗の低減について,JH1ARY黒田さん及びJR1OAO中島さんは河川のフェンス又はガードレールのアースの良さを経験されていた。
JH1GVY森岡さんは,アースマットを敷くと(通常,接地抵抗が高い場所でも)電波の吸込みが向上することを発見されていた。
この実験は,全日本長中波倶楽部各位のこれらの基礎的な実験があって
こそ実現したものであり,併せてお礼を述べる。
5. History(履歴)
-
2017.11.21 First Release(開示)
V.1.0.0を公開開始した。
-
2017.11.22 Addition of 3D Pattern(三次元パターン追加)
V.1.0.1によって,三次元パターンを追加した。TNX JA1VUC
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