レディ・ジョーカー

川崎・チネチッタ2

ポーラーエクスプレス 」と迷った末に「 レディ・ジョーカー 」.場所は川崎で.時間セレクトです.探していて気づいたのだけど,「 理由 」の上映館が極端に少ない.

ともかく川崎.今日もチケット売場は混雑.

今日は時間どおりの到着なのですぐに劇場へ.お客はそこそこ入っています.

「レディ・ジョーカー」.日ノ出ビールの社長が誘拐された.無事に解放はされ たが,5億円の身代金を要求された.警察は受渡しの現場を押さえようと躍起に なるが,社長の供述がいまいち不自然だ.実は,5億の要求は警察を欺くための 芝居で,実際には20億の要求をつきつけられていたのだった.

高村薫の原作を映画化.しかし,その元は「グリコ・森永事件」.一橋文哉の「 闇に消えた怪人―グリコ・森永事件の真相 」などを読むと分かるが,事件の不可解な部分の原因となりうる事実が隠されて いたりする.まあ,それが本当に事件とからんでいるのかどうかは当事者のみの 知るところなのであるが.

高村薫の原作は読んでいないのだけど,この小説の狙いは,そういう企業の裏の 部分を告発する目的があったのだと思う.

同じく高村薫の原作による「 マークスの山 」の映画化は,思いきり評判が悪かった記憶がありますが,こちらも原作の評判 が高いだけに,読んだ人にとってはどうだったんでしょうねぇ?

で,実際の事件の背景にはそういう事情があったのを知ってしまっていたので, 誘拐事件にまつわる背景の部分ではあまり驚きがなかった.そんなわけで,それ 以外の部分の描写が物足りなく感じてしまう.なぜ犯人となる5人が犯行に至っ たのかは,渡哲也以外は謎のまま.レディについてももう少し説明があってもい いと思うのだが.

もともと上下二冊の分量を2時間に収めるのが厳しいというのは分かる.でも, 映画にするならそういうところに力をいれて欲しい.今回,なんとなく小道具が 雑に見える.いちおう「日活撮影所創業50周年記念」というのだから.

日活作品だけに,制作総指揮は中村雅哉の名前.

「21世紀の裕次郎」こと徳重聡がまともに演じているのを初めてみたような気が する.たしかに石原軍団特有の雰囲気と存在感は身につけたかもね.それよりも 吉川晃司の方に目が行っちゃって.

面白くなくは無いんですけどね.見終った後にポイントはどこかと聞かれると一 瞬困るというか.たとえば,主人公は渡哲也,徳重聡,吉川晃司のうち誰でしょ うか?とか.

というわけで,日本のミステリ原作映画は次の「理由」に期待してみましょう. こちらも原作は読んでないけど.

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