カル
/Tell Me Something/텔미썸딩

Chang Youn-Hyun (1999)

台風がきてましたので家で静かにビデオでもすごす.

本日は「カル」.公開時は初日に見に行って,謎ばかりが残って・・・というの が4年前.既に細部については忘れてしまっているので気合いをいれて見直す.

「カル」.部分を組み合わせたバラバラ死体が連続で見つかる.被害者はすべて スヨンという女性の知人だった.彼女の周囲を調べ始めたチョ刑事.犯人の目的 は?動機は?

ハン・ソッキュとジム・ウナの「八月のクリスマス」の主演二人によるハード・ ゴア・スリラー.

真相が分かるという「カルの謎」という本まで出たこの映画.でも明らかにはなっ ていなかったもよう.当時,チラッと立ち読みしたような気がしないでもないが, できれば映画の情報だけでも分かるようになっていてほしい.その辺もふくめて, 今回は検証していってみたいと思います.

久しぶりに見直したら,前回明らかに見落としていた部分にいくつか気が付く. これでは真相には近づけないわけだ.

さて,ここから先は激しくネタバレしますので御注意を.








オフィシャルページがまだ残っていて,ネタバレBBSも続いていた.ちょっと参 考にしようかと思ったら500ページ以上にもなっているので,10ページくらいで 諦めた.

どこから手をつけるのが一番いいのか,複雑にからみあっているのですが, とにかく一番最後に混乱させられてしまうスヨンのセリフを検証してみます.

スヨンはパリに行ったことがないのか? これはスヨンの嘘だと考えられる. なぜならば,ギヨンが彼女の後を追ってパリに行っている.このことは警察で のギヨンに対する取り調べの中で警察側から示されている情報.きちんと裏 を取っていると考えてよいだろう.スヨンがフランスに行った二ヶ月後にギヨ ンもフランスに行き,専攻を変えてまで彼女と一緒にいようとしている. さらには最初に発見されたヒョンスンとはフランスで知り合ったことになってい る.これはスヨン自身の供述だが,彼には妻子がいるので,これも真実だ と見ていい.最初はフランスには行ったことがあってもパリは初めてな のかと考えたが,途中でパリということが言われているので,フランス=パ リという考え方をしても差し支えないと考える.スヨンがフランスに留学した というのは事実だろう.

次は,大きな展開を見せる原因となった写真について. チョ刑事がこの写真を見た時,一番最後に懐中電灯の光が指しているのは六人の 後ろにある水槽の柱だ.場所はスヨンの別荘だが,彼が訪ねた時は鏡だと思っ ていた部分が実は水槽だったということで,何かが隠されていると感じた. 結局,首無しのツギハギ死体を発見する.最初にこの写真に気付いたのは オ刑事.何に気が付いたのかが明らかにはなっていない.しかし,映画の 中ではオ刑事は別荘の中には入っていない.つまり,チョ刑事が気付いた以外 にも驚愕すべき点があったということだ.それは何かといえば,六人が一同に 揃っているという点だろう.

六人は被害者4人とスヨン,スンミン.そうすると,誰が撮影したのか という疑問があるようだ.ポラロイドには,タイマーがないものがあるという ことだが,付いているものもあるらしい.すると,一般的な考え方をすると セルフタイマーを使ったと考えるのがいいだろう.この写真の特徴は,スヨン を除く全員が,熱帯魚が入っていると思われる瓶を持っている点だ.その記念 であるとすれば,熱帯魚をあげたのはスヨン.それ以外の客人がこの写真に入っ ていないのはおかしい.そしてまた,記念写真だとすればポラロイドでの撮 影は不適切.もともと焼増しするつもりはなく,個人的な目的に撮ったもの. つまり犯人にとってのみ重要な意味を持つものだと考えられる.

被害者が全員揃っているということは,そのタイミングがいつあったかというこ とになる.スンミンとの再会の時期は少なくともスヨンが大学に入った後. ギヨンと知り合ったのが大学に入ってから.ウジンも大学から.ジュンヒョンも 哲学科の教授ということは,早くても大学に入ってからであろう.問題はヒョン スンで,彼とはフランスで知り合ったことになっている.つまり,写真で6人が 揃うには,ヒョンスンと知り合った後,韓国に帰国してからということになる. ジュンヒョンとつきあい始めたのが2年くらい前ということなので,この写真も この2年の間に撮影された可能性が高い. 父親ヨンフンが撮影したという説もあるようだが,5年も音信がないということ は,素直に考えればこの写真を撮影することはできないはず.この点については 後でも考察する.さらに,この写真を撮影したカメラのことを考えると,ギヨン が持っている可能性が高いだろう.彼はカメラマニアでもある.

では犯人になりうるのは誰か?死体はきれいに切断されており,解剖学の知識が あることが示されている.最初に候補に上がるのは医者であるスンミンである. しかし,ギヨンもフランスで解剖学を学んでいる.ということは,スヨンにあわ せて専攻を変えたのだから,スヨンも解剖学を学んでいる可能性が高い.つまり, 三人はいずれも犯人である可能性がある.

犯人は防腐材を使っており,それを購入したのはギヨンだった.しかし,解体は いずれもヨンフンの作業場である702号室で行われているはずだ.これは生体を切り刻 むのであるからそれなりの準備が整っている場所で無ければできない.また,二 人分の解体シーンがでてきているが,いずれも702号室の設備である. すると,犯人は702号室に入れる人間ということになる.明らかに鍵を持ってい るのはスヨンだけだが,ちょっとしたテクニックがあればピッキングできる. しかし,決定的なのはギヨンが呼び出されて702号室にいくシーン.彼が以前に 行ったことがあるのであれば,部屋番号をメモする必要はないはずだ.つまり, 彼はこの時にはじめて702号室を訪れたことになる.そして彼はそこで殺害され たわけだ.少なくとも最初の三件について,ギヨンが犯人ではない.

ではギヨンが防腐材を買うことになったのはなぜか?そしてそれを使ったのは誰 か?警察から解放されて自宅に戻って来たギヨンが誰かと電話で話している.こ れがおそらく彼に防腐材の購入を頼んだ犯人だ.ギヨンはその用途までは知らな かったのだろう.それで,警察に疑われたことを連絡したわけだ.702号室に呼 び出され,犯人からは「何を聞かれたのか?」みたいな会話があったのだろう. それに対して「会ってから話す」と.一番可能性が高いのはスヨンが頼んだとい うことになる.ギヨンがスヨンの気をひくためなら快諾するだろう,また,スン ミンならば病院から持ち出すという選択もできるからだ.しかし,ギヨンに罪を かぶせることが目的ならばスンミンの可能性も捨てられない.

それでは,702号室の鍵を持っていたスヨンが犯人なのか?これに関しては似たよ うなポイントで全体を見直す必要がある.ギヨンはスヨンの家に盗撮用カメラを 仕掛けていた.これはいつどのようにしかけたのか? また,ギヨンの家にジュン ヒョンの心臓を置いたのは誰か? ジュンヒョンを殺したのはギヨンではないのだ から,犯人が置いたことになる.ギヨン以外にもギヨンの部屋の鍵を持っている 人物がいる可能性がある.そうでなければ,ギヨンも共犯・あるいは利用されて 心臓を保管することになった.

スヨンはスンミンと親しい.スンミンならば,スヨンの家の鍵を持っている可能 性はある.事実,車で家まで送られてきたとき,一人暮らしのはずのスヨンの家 に灯がついているのを刑事が見ている.さらに,スヨンが襲われた時,スンミン が通報したようだ.つまり第一発見者はスンヨン.スヨンの家の鍵を持っている 可能性は高い. 一方,ギヨンはスヨンに嫌われていた. この関係は事実だろう.刑事の車が去るのを見ていたのはギヨンだ.あのカバン は,ギヨンのラボの前にあった彼の車の中のビデオカメラが入っていたカバンと 一緒のようだ.少なくともこの時スヨンの家の中にいたのはスンミンだろう. スンミンならば702号室の鍵を手に入れることも可能だ.一方,ギヨンはただの ストーカーである確率が高くなる.

では,ギヨンの部屋にジュンヒョンの心臓を置けるのは誰か? ギヨンを嫌ってい るスヨンが彼の部屋の鍵を受け取るとは思えない.ギヨン自身が持ち込んだので はないとすれば,スンミンということになる.しかし,スンミンがギヨンとそれ ほど親しい仲だとは思えない.スヨンの名前を出してスンミンが,またはスヨン が直接ギヨンに預けたということが考えられる.取り調べ後に開けてみたら心臓 だった,それで防腐材を渡した相手に電話で確認した,という展開か.この 電話をした時にはスヨンの家にはチョ刑事がいた.スヨンが携帯電話を持って いるシーンはでてこないし,病院にいるはず.合わせて考えると,電話の相手は スンミンだということになる.

スンミンが防腐材を使ったとすると,スヨンはどのくらい事件にからんでいるの だろうか?ギヨンが警察から開放された日,スヨンは病院に入院している.つま り,ギヨンの殺害に関してはスンミンの手によって行われたはずだ.しかし, 702から落下した少年のボタンを手に入れるには,当日702号室にいるしかない. また,チョ刑事が拳銃を持っていないことを知っているのは,あの時点ではスヨ ンしかいない.そして,あの写真の六人をつなぐのもスヨンしかいない.

ギヨン殺害以外の事件を順に追いかけてみよう.

一番最初の事件は,少年の落下事件だ.彼は702号室から落ちた.その時,スヨ ンが部屋にいて,なんらかの理由から彼のボタンを手に入れた.チョ刑事の想像 の通りなのかもしれない.いずれにせよ,スヨンはこの部屋に出入りしていたの は事実だ.そして少年がこの部屋に来た目的は絵を盗むため.少年は,盗みに入っ たらスヨンに見つかってしまい逃げようとして落ちてしまっただけで,ヨンフン の頭や解体シーンを見てしまったわけではないと思う.むしろ,ヨンフンの頭を 見てしまったのはどちらかというとその後も盗みに入った弟の方だろう.

最初の被害者はウジン.職業は画家.2番目にエレベータで発見.捜査会議の記述から想 像すると発見日は4月28日.スヨンとは大学時代の恋人.最近まで連絡をとって いた.現在は別の女性と婚約中. 頭と腕だけが見つかり,足がヒョンスンの頭と体と共にあった.彼の足には縛られた 跡がある.体が見つかっていない.足を縛られていた理由がわからない.

二番目の被害者はヒョンスン.バイオリニスト.最初に河川敷の車の中で発見. スヨンとはフランスで知り合い妻子はパリにいる.ウジンの殺害からは一週間後. 頭と体が発見され,腕はジュンヒョンのものと一緒にあった.足が見つかってい ない. 足の縛られた跡がなかったことから,最初のシーンで解体されていたのがヒョン スン.後に防腐材が施されているのが体の部位だとすると,ヒョンスンの体. 防腐材を使うとすればウジンの体の方なのだが.どの死体にも防腐材を使ってい たと考えれば矛盾はない.

三番目はジュンヒョン.哲学科の教授.三番目に運動場で発見.最近まで付き合っ ていて,周りは結婚するものと思っていた.しかし,スヨンの方が避けていた. 腕はヒョンスンのもの.手と心臓がない.スヨンを身元引受人にしていた.ウジ ンの発見より後に殺害されている.

少年の事件は事故だとしてギヨン以外の三人の事件はスヨン,スンミンともに実 行は可能だ.しかし,取り調べ時のスヨンの表情を見ていると殺害した本人には 見えない.エレベータの映像を見ている二回目,彼女は何かに気が付いたように 目をそらしている.また,三人の写真を見せられた時の表情が演技だとすればか なりのものである.

ギヨンの殺害は,前述のとおりスンミンだったとしておこう.

チョ刑事が車で襲われた事件.これはスヨン,スンミンともに可能だ.ビデオを 撮影した人物が犯人であることには間違いない.ギヨンなのだとすればスンミン だ.しかし,オ刑事の言葉をかりれば,犯人はチョ刑事が武装していないことを 知っている人物となり,それはスヨンしかいない.

素直に考えると,最初の三人はスヨン,スンミンとも可能性あり.ギヨンはスン ミンが殺した.そして,チョ刑事はスヨンがからんでいることになる. つまり,どこかの時点からスヨンとスンミンは通じていることが導かれる.

最後にオ刑事の殺害だが,このとき,スヨンはチョ刑事と一緒だったのでアリバ イは完璧.つまり犯人はスンミンだ.この時点で父親ヨンフンは殺害 されている.そして,スンミンは冷凍された首のありかを明らかに知っている.

父親の死んだ時期を考えてみよう.国内の画廊とは5年間音信不通で,海外で活 動しているということになっている.これは警察の調べによるので,帰国時の入 国記録がないということだろう.時期的に考えると,スヨンがフランスに留学し た直後である.しかし,頭部が国内にあるということは,海外で殺され,頭部だ けがもちこまれたということになる.海外で死んだヨンフンの頭部が国内,しか も702号室ににあるということは当然スヨンもヨンフンの頭について知っている はずだ.殺害し持ち帰ったのはスヨンの可能性が高い.ギヨンも可能性はあるが, 702号室の存在を知らないなど,可能性はかなり低い.

では,ここまでの条件を満たすストーリーを考えてみよう.

スヨンは幼いころから父親から性的虐待を受けていた.父親に憎悪のような感情 を抱いているが,大学に進んでも父親から逃れることはできず,フランスに留学 することで父親の束縛から逃れようとする.元々,絵を描くことを志していたが,父 と同じ血が流れていることを認めたくなかったのか,フランスで絵の道を諦めてしまう.

スンミンは幼いころにスヨンの隣の家に住んでいた.スヨンはスンミンのこ とを男の子だと思っていて,スンミンが唯一の友達,心の安らぎであった.ある 日,火事の中スンミンはスヨンを助けようとするが失敗し,右足に火傷を負って しまう.スヨンはスンミンが助からなかったと思い込んでいた.

大学に入り,スヨンは自殺未遂を起こすほどに思い悩んでいたが,ウジンと付き 合ってもいた.病院に運ばれたことによって医学生となっていたスンミンと再会 する.実は彼女とは高校も同じであった.ギヨンとも知り合うが,彼女は彼を避 けていた.結局,フランスに留学することで父親から離れようとするため,ウジ ンとは自然消滅.父と同じ画家であることに父親の面影が重なったため避けるよ うになったのかもしれない.

フランスに留学したスヨンだったが,父親フンミンとギヨンが彼女を追いかけて 来てしまう.そして,理由はわからないが,スヨンはフンミンを殺 してしまったのだろう.ギヨンがこのことを知っていたのかどうかはわからない. 父親の死体の処分に困ったスヨンはスンミンに相談したに違いない.彼女は医学 部だし,嫌っているギヨンに相談するわけにはいかない.そして,どういう経緯 で,どういう理由で,どういう手段でかは分からないが,頭部を切断し韓国に送 りかえすことになった.そうすると受け取り人はスンヨンだ.そして,ヨンフン の作業場の冷凍庫に保存することとなる.もしかしたら,他の部分に関しても韓 国に送ったのかもしれない.フランス時代,父親の殺害前か後かはわからないが, バイオリニストのヒョンスンと親しくなる.

帰国してからもギヨンのストーカーは続く.哲学科教授のジュンヒョンと親しく なるが,後にスヨンの方から避けるようになった.スヨンが男と付き合うのは父 親およびギヨンから逃れるためとも考えられなくない.

さて,帰国したスヨンはスンミン,ギヨンと元彼三人を別荘に集める.タイミ ングとしてはヒョンスンが韓国に帰国した時しかない.では,六人が揃うだけの 理由は何があるだろう? 想像するにスヨンがジュンヒョンとの婚約を発表したの ではないか? 元彼とギヨン,そしてスンミンをも含めて,もう私のことは諦め なさいというポーズだったのではないか.しかし,あくまでもポーズでしかない ので,その後ジュンヒョンのことは避けるようになる.

スヨンは702号室を訪れる.この時,既に再度フランスへ行き,絵を再開すること を決めていたとすればジュンヒョンを避けはじめることも理解できる.そして, ヨンフンの頭をどうにかしないといけないと考えるだろう.何らかの処置をしよ うと702号室を訪れたのだが,盗みに入っていた少年が落下してしまう.彼女に驚 いただけでなく,偶然冷凍庫内の頭を目にしてしまったのかもしれない.いずれ にせよ,この日の目的を達することなく帰宅するしかなかったはずだ.

あくまでもポーズだとはいえ,それとは知らずに,自分も捨てられてしまうと思っ たスンミンがここで動き出す.幼いころからのスヨンへの思いが,ヨンフン殺害 の秘密を共有しているという安心が,裏切られたのだ.ジュンヒョンに嫉妬を抱 いたスンミンはジュンヒョンの殺害を計画する.元彼二人と復縁してしまう可能 性,そして本命のターゲットを隠すためにウジン,スンヒョンもろとも殺害して しまうことにしたのだ.そして,ストーカーギヨンに防腐材を買わせることで疑 いをかけさせて,ライバルはすべて消えてしまう予定だった.自分の周囲で起こ る連続殺人におびえたスヨンがスンミンを頼ってくると考えたかもしれない. ところが,ウジンの身元が割れてしまったことでスンミンの計画に狂いが生じて しまう.

スンミンの予定では,スヨンを巻き込むつもりではなかった.しかし,スヨンが 容疑者の第一候補に上がってしまった.一方スヨンは,エレベータの映像をみて, 犯人がスンミンであることに気が付く.そこでスヨンは,警察には彼女が医者で あることを明らかにすることで,暗に犯人である可能性と自身の潔白を示そうと する.スヨンは誰も信じられなったことをチョ刑事に打ち明けている.

スヨンはスンミンが犯人らしいことに気が付いている.ギヨンが盗撮しているこ とにも気付いているスヨンは,自宅以外でスンミンと二人きりで話せる場を得よう として,ひと芝居打つ.そして,病院で話合いを持つ. スンミンが自分が犯人であることを認めたのかはわからない.とにかく, スヨンの自宅は何かと都合が悪いので別荘にいくように言う. おそらく,この時点で既に水槽の中に頭のない死体ができていたはずだ. スンミンからすれば,彼女の別荘に被害者の遺体があるのは,スヨンが自分を売 らないための保険のようなものだ.そう簡単に移動できるものではない.スヨン の自宅と同様,別荘の鍵も持っていたのだろう.

スンミンは取り調べの様子を尋ねるふりをして,ギヨンを702号室に呼び出す. スンミンが防腐材をどうしたのかを知りたいギヨンは簡単に誘いにのる. そして,彼も解体されてしまう. 同じころ,警察はスヨンの家に取り付けられているカメラに気が付き,ギヨン宅 に踏み込む.

警察はギヨンを探していて,ギヨンのラボの存在をつきとめる.チョ刑事がギヨ ンのラボに行き,彼の車を発見し,建物を捜索する.ここには,ほんの十数分前 に犯人が来ていた.おそらく,この時間差は偶然に過ぎないのだろう.ギヨンの ラボはいつか警察がくるはずだからその準備をしたまでだ. スヨンは,チョ刑事の自宅に移ったことをスンミンに伝えるために電話をかけに外 出する.この時,意図してかたまたま口走ったのかはわからないが,チョ刑事が 拳銃を置いて行ったことがスンミンに伝わる.スヨンの気持ちがチョ刑事に傾き つつあるのを悟ったスンミンは新たなターゲットとしてチョ刑事を襲う.しかし, この時はとどめを刺すことができなかった.

チョ刑事の車にギヨンの頭が置かれていた時も,スヨンはチョ刑事のところにい た,車で逃走したのはスンミンということになる.警察はヨンフンが事件に関係 があると考え,容疑者の一人として扱いだし,ヨンフンの家,つまりはスヨンの 実家を訪れる.

同じころ,ヨンフンの絵が画廊に持ち込まれる.出どころをたどって行くと702 号室の存在が明らかになる.そして,オ刑事がヨンフンの首を発見する. しかし,彼はヨンフンの頭を回収にきたスンミンに殺されてしまう. スヨンはチョ刑事と共に行動しているのでアリバイがある. スンミンは手術器具とヨンフンの頭を自宅に持ち帰る.

702号室で事件が起きたことから,スンミンが犯人であることを確信したスヨン は,スンミンに直接会いに行く.スンミンもまた,スヨンが父親を殺すために, 自分を利用するためだけに近付いてきたのではないかという疑問を持ち始め,ス ヨンへの想いにも疑問を持ち始めていた.

事の真相をすべて悟ったスヨンは,その後の警察への協力を断る.

病院に警察が来ているのをみて,もう逃げられないことを悟ったスンミンは,スヨンを 殺して永遠に自分だけのものにしようと決意する.おそらく自分も死んで心中し ようとしたのだろう.スヨンからの疑いの目をそらすために,自宅にすべての証 拠を集めて.

スンミンはタワーレコードにスヨンを呼び出す.スンミンは死に装束に着替え, スヨンを殺そうまわりを見回したまさにその瞬間,チョ刑事が現れる. スヨンの喉にメスをあてるスンミン.チョ刑事に殺されることを望んでいるかの ような眼差し.そんな視線に狙いがそれるチョ刑事.銃声.チョ刑事が発砲する 前にスヨンがスンミンを撃った.驚愕の表情をスヨンに向けるスンミン. 涙をこぼすスヨン.私はずっと友達のままでいたかったのよ・・・.スヨンはス ンミンがヨンフンの頭を持っているのを知っているのだ.容疑はすべてスンミン にかかることも.

スヨンはフランスに渡る.心機一転,あたらしい人生を歩み出そうとしているの だ.その一方,やっと心を許せる相手であるチョ刑事には,父親を殺してしまっ たことも含めてすべてを知って欲しいという気持ちもあった.しかし,それを明 らかにしたら一緒にはいられない.彼との関係は今のままにしておきたいという気持 ちもあった.

とまあ,こんな感じだとだいたいの説明はつけられるかな.

結局,スヨンが行った犯罪は映画の中では語られていない父親の殺害だけと考え られる.他の事件はすべてスンミンが犯人.スンミン殺害については正当防衛が なりたつだろう.

バラバラにした理由は単純に身元の判別を困難にするため.ツギハギの死体は スヨンを一人じめにするための切札.最終的にはヨンフンの頭をのせるつもりだっ たのではないか.本来,ギヨンは犯人になるはずだったのでここには含まれてい ない.

残る疑問点は,ギヨンの足についた縛られた後がいつどのようにして付いたのか と,スンミンがオービスに写された事件はチョ刑事が襲われた事件なのか,ギヨ ンの首が見つかった事件なのか,そして,どのようにしてギヨン宅に心臓が置か れたのかということ.

こんなの,一回では絶対にわかりませんがな.

監督・Chang Youn-Hyun
出演・Han Suk-gyu, Shim Eun-ha 他
シネマサービス/クー&シー・フィルム,DOLBY DIGITAL, 日本語字幕,1999年作品,本編約118分

クロックワークス/角川書店, アミューズソフトエンタテインメント,KWBV-4,3129円

[一覧] [前に見たビデオ] [今日は2004年10月9日] [次に見たビデオ] [次に見たビデオ]

VIDEO Days MOVIE THEATERs