くぼた沖縄日記2001 トラブル・トラベル

4月11日 粟国脱出、のど元過ぎれば

6時、目覚まし時計より早く、目が覚める。民宿の青年に空港まで送ってもらう。7時に空港が開くのを待ち、キャンセル待ち1番のカードをもらう。おじさんから、キャンセルは、結構出るから大丈夫と言われ、ちょっと安心。
 

この空港のカウンターには、どう見ても予約のモニターがない。 お風呂屋さんにある、体重計がある。 もちろん、グランドホステスもいない。ジャンパー着たおじさんが何人かいるだけである。別のおじさんから、今日から便数が2便減ってるし、キャンセル待ちは難しいよと言われ、どどーっと落ち込む。チャーター便に便乗する手があることを、教えてもらう。私は明日もここにいるんだろうか…。
 

8時40分の第1便。またたく間に予約で席がうまり、カウンターに「前席(!?)終了」の札が出る。 チャーター便の問い合わせを電話でしている男性は、 歯が痛くて、キャンセル待ち3番。 すばやく側により、その男性平良さんに声をかける。 セスナ3人乗りで3万6000円也。あとひとり探そうということになる。 キャンセル待ち2番は、那覇に遊びに行く女性。ちゃんと予約はしているが、もっと早くの便が空いてたら、乗りたい人。無理みたいねと、いったん家に戻った彼女を、平良さんは説得しにいってしまう。無理だっちゅうのに〜。彼の携帯番号を渡され、キャンセル待ちの人が 新たに現れたら、連絡することに。 
 

ご年配のご夫婦登場。なんと!チャーター便だ。 すいません!空席ありませんか?やった〜。ひとり乗れるって! 平良さんに気が咎めるが、「私を乗せてください!」 簡単に裏切る。あたしゃ、こういう女だよ!
 

平良さんに、ゴメンの電話。ところが、すぐそのあと、またチャーター便のグループが現れて、空席があるという。平良さんに、すぐ空港に戻ってと電話。よかったあ。 私は9時10分、平良さんも10時のチャーター便で那覇に行けることになった。セスナのパイロット席の隣に座る。わ〜い。 粟国島脱出成功!粟国に罪はないが、たぶん、もう、来ない。 飛行機は、曇り空の下、海と空がつながった、灰色の空間を飛ぶ。
 

今日と明日の宿、新金一旅館に到着。3度目。 まだ部屋には入れないので、フロント前のテーブルで、 お茶飲んで一服。行きの飛行機で会った、ご年配の男性に再会。 思いがけなく、那覇に早い時間に来られたので、予定変更。 宜野湾市にある、沖縄唯一の個人美術館「佐喜眞美術館」に行く。 
 

美術館に行く途中、バスの窓から「松山御殿(まちやまうどぅん)」 を見る。ここはかつて、琉球王朝最後の王の第三王子の住居。 今も王様の末裔が住んでいる。以前は、大変きれいなお庭が公開されていて、大好きだった所。その後、お庭は閉鎖され、 お庭を臨むレストランが出来た。そして今、お庭の一部が壊されて、マンション建設が進んでいる。とても残念。
 

宜野湾市は、市の中央にドカンと普天間米空軍基地がある、 まるで、ドーナツのような街。 基地の一部が返還され、そこにできた美術館には、 丸木位里・俊夫妻の「沖縄戦の図」がある。 夫妻が沖縄戦の絵を描くと言うことは、ずいぶん葛藤があったのではないかと思う。ちょうど、丸木俊追悼展が催されていた。 
 

敷地には大きな亀甲墓ときれいな庭。屋上からは、隣接する 普天間基地の滑走路が見える。戦闘機が時折飛んでいく。 キーンと耳の奥が痛くなる。滑走路のヘリコプターは、ずっとローターをすごい音で回している。 この音の下で暮らす子ども達が、悲しい。 浦添市美術館がここからバス1本で行けることがわかる。 今回は、なんてアカデミック!上品だわ!ほほほ〜。浦添市美術館は、琉球漆芸の常設美術館。ステキな建物。
 

宿に戻り夕ご飯の買い出しに、ぷらぷらと市場へ出かける。 おみやげ物屋で、飛騨高山で見た「さるぼぼキティ」に続いて、沖縄版「シーサーキティ」発見。何でもやるなあ、キティ。 おまえは安手の芸人か! 段ボール箱の上で香箱を作っている猫。舌を鳴らして呼んでいると、オバァが横に来て、「生きてるかね?」ツンツンしたそうに、 手に持った日傘の先が、猫の近くでゆれる。 「はごーさん(きたない)!猫はエイズうつすから、いけないよ〜」 猫の味方として、それは訂正せねば! 「猫のエイズは、人間にうつりませんよ」「え〜、そうかね〜」
 

部屋で布団に寝転がり、タンカン食べながら、のんびりテレビ見て、はがきを書く。 昨日の落ち込んだ夜とえらい違い。現金なやっちゃ。

 

 

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