くぼた沖縄日記 2001 トラブル・トラベル

 4月13日 那覇の長い夜

宿をチェックアウトし、荷物を預けて書店に行く。 昨日お会いした新城さんが、編集している雑誌Wanderを、去年の続きで買う。3冊出ていた。

ANAの「全国どこでも1万円」がスタートし、新金一旅館が満員になったため、今日の宿、月光荘に移動。 教えられた場所は、建物の間の細い路地の突き当たり。 どう見たって、ここはもと廃屋だ。それにまだまだ、改装途中。 建物と外を隔てるドアが表も裏も、どこにもない。もう、いけいけ。 2段ベッドのドミトリー(1泊1500円)が、男女別で各1部屋。 私は個室(1泊2500円)。2階はみんな共有の板の間。

私の部屋は、畳敷きの四畳半。ホントに何もない。 ふつう民宿にある、ゴミ箱、小さいテーブル、時計、蚊取り線香、もちろんテレビ、カーテンすらない。 あるのは、裸電球と布団と枕、シーツのみ窓から見えるのは、となりの建物の裏の粗大ゴミ。 窓は半開きで、どう押しても窓枠がゆがむだけで、閉まらない。 これで、2500円はぼったくり。 2つあるトイレ、1つは鍵がなくて、もう1つは鍵がなくて、電灯がなくて、ドアがちゃんと閉まらない。 トイレのドアに鍵くらいつけたらんかい!基本やろが!

新城さんに教えてもらった、栄町市場のイベントに出かける。 フリマはあまりに規模が小さく、お客がいない。さむい…。 喫茶店でお昼を食べていると、どこからか三線の音。 音に誘われていくと、おお、たくさんの人だかりが!三線を弾いているのは、商店街のおじさん。 老け化粧をして、ユーモラスに歌って踊っているのは、近くの診療所の看護婦さん。達者なもんだ。 市場の中の、かわいい広場で、おいしいあつあつのゆし豆腐(固める前のお豆腐)をふるまいでいただく。NHKの取材も受ける。全国放送かねえと、となりのおばさん。 それはちょっと、無理ではないですか?

おみやげのため、スーパーをハシゴでチェック。駐車場に猫。 近寄ると、遊んでいた子ども達も寄ってきて、おしゃべり。 みんなでキャットフードをやる。小学1年くらいの男の子が、のぞき込むようにして、私のピアスを「それ、きれいねえ!」 とほめてくれる。ちょっと、どきどきする。 

夜7時を回って、さて那覇のお約束、故アンディ・フグも常連だった「レストランkoba's」に出かけよう。 部屋のドアを開けると、えらい煙。宿の兄ちゃんが、晩ごはんは300円で食べられますって、このことか。 薪でご飯を炊いている。内容は押して知るべしってとこか。 

koba'sのお食事、いつもながらおいしい。あああ、しあわせ〜。 おいしい料理を作るって、いい仕事だと思う。 今晩もはしゃいで食べまくる。食欲暴走。 「てだこ亭」さんからの預かりもの、オリーブ漬けをお渡しし、私もお相伴にあずかる。 女性スタッフが、「ソムリエ試験、合格しました」と報告しに来てくれる。 彼女からソムリエールになりたいと聞いたのは、もう何年も前のこと。 私もすごく嬉しい。ソムリエの証、金のぶどうバッジを見せてもらう。 若くて美人で、ソムリエール。お姉さんも鼻が高いわ!

シェフから、彼女と3人で、後で飲みに行きましょうか? とお声がかかる。行く、行く、行きますっ! お店が終わる12時過ぎから、シェフのお友だちの店で飲む。 初めて沖縄に行った、最初の晩に偶然koba'sで食べて大好きになり、あれから7年。那覇に泊まるのは、このお店があるからだ。1年に1回くらいしか来ないで、 こんなにでかい常連面する人間もいないだろう。  

シェフはとても大切な、お友達。長いお付き合いになったよね。 彼は沖縄から出ないし、インターネットもしないのに、情報に詳しい。大阪のカフェ事情や、天王寺のキハチのこと、本町のシェ・ワダのケーキがなかたに亭だって事も知ってる。 プロはエライ!話をしていても、ホントに熱心でまじめな人だなあと思う。

シェフは朝7時に、漁連まで買い付けに行かなくてはいけないのに、お友だちもいっしょに、3時過ぎまで飲んでしまう。 宿に戻ると、まだまだみんなおしゃべりの最中。 話し声を聞きながら眠る。

 レストラン koba's
 那覇市久茂地3−18−12 TEL 098-868-2542
 ランチ 11:30〜17:00 ビストロ 17:00〜0:00 無休

 

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