くぼた沖縄日記2005 傘さしてオキナワ

 

  6月16日 渡名喜島待たせたなっ!

 

三度目の正直というか、三顧の礼というか、渡名喜島である。一昨年も去年も台風でふられた。 来たかったのよ〜。8時半の渡名喜島・久米島行きのフェリーに乗る。渡名喜島まで2時間15 分。甲板の方が、風が吹いて好きなのだが、雨が降り込むので船室に。中はすいている。冷房効 き過ぎ。寒い。毛布にくるまって寝ころぶ。結構揺れる。うう、気持ち悪い。早く着かないかなあ。

 

 

渡名喜島は、沖縄本島と楽天キャンプ地になった久米島の間に、ぽっちりと浮かぶ小さな島だ。 渡名喜島と無人島の入砂島で渡名喜村。沖縄で一番人口が少ない村でもある。島は南北に山 がり、その間のほんのわずかな場所に集落がある。この集落景観全体が、国の重要伝統的 建造物群保存地区に選定されている。私が一番見たかったのも、この集落の風景。

 

 

なんとか到着。宿のおじさんが車で迎えに来てくれている。同じ車に乗ったのは、男性二人と女 性一人のグループ。お仕事かな?民宿にあっという間に着く。部屋はきれいで全室テレビ付き、 コインクーラー。壁に全館禁煙の張り紙。え、そんなこと全然聞いてないよ。いいけどさ。

 

 

部屋に寝転がって、しばし休憩。今日の船はちょっときつかった。12時頃から、傘をさして村の 中を歩く。沖縄で風がきついといえば、『風のどなん』という歌まである与那国島だが、渡名喜島 も地形のせいで風がとても強い。そのため、家の周りを石垣とフクギの防風林でめぐらせ、さらに 家を地面より1mほど掘り下げて建て、風をやり過ごすようにしている。地面が砂地なので、水が 溜まることはまずないそうだ。歩いていると、目の高さに家の軒がある。

 

 

赤瓦の屋根の上にはシーサー、門の中にはヒンプン(魔よけも兼ねる目隠し)。そして石垣にフ クギ。昔の沖縄の家の姿をよく残している。道路は集落の外周しか舗装されておらず、中の道に白い砂がひかれている。八重山の竹富島も赤瓦、シーサー、ヒンプン、石垣、白い砂なのだ が、こちらはフクギが鬱蒼と茂り、道も狭いせいか、竹富のような開放感はない。

 

 

地面が音を吸い込むのか、物音のしない村の中をさらに歩く。微妙に道が曲がり、見通しもきか ないので迷路のようだ。こんな雨の中でもリュウキュウアサギマダラがフワフワと飛んでいる。役 場で島案内のパンフレットをもらい、モチキビ情報も仕入れる。新しい家が目に付くのは、数年前 の台風で壊れた家を建て直したからのようだ。もちろん新しい家も沖縄の伝統的な建て方だ。 お、あれは、ゥワーフール(豚便所)の跡では。外周道路に出ると、どっと風が吹く。

 

 

 

一通り歩き、ま、こんなもんかなと宿に戻ると、まだ 『徹子の部屋』やってるよー。2時間も経ってないの か。おじさんから、「もう外出たらだめですよ。大雨洪 水警報出たから」と言われてしまう。しょうがないの で、部屋でダラダラする。シャワーでも浴びるか。沖 縄の民宿は、シャワールーム共同、脱衣所はシャワ ールームの中という所が多くて、濡れた床で脱ぎ着し なくてはいけない。私はこれが嫌い。ここはなんと! 全室シャワールーム付きで、脱衣所が別にある。エライッ!しかし、シャワーと蛇口の切り替えレバーが、逆に 付いている。おしいっ!

 

 

ありがたいことに、私の部屋は雨が降り込まない向きのようだ。網戸にして寝転がって本を読む。今回持ってき たのは『細雪』文庫上巻。この女(雪子)とは、気が合わん。同級生ならいじめてるかも。ハッキリ言わんか、ハ ッキリ!

 

 

夕食は、特産モチキビ入りのご飯。おかず一品の量は多いが、品数が少ない。味も好みでなく、ちょっと淋しい 食事。同宿の人たちは私を入れて5人。みなさんお仕事のようで、食事を済ませるとすぐに部屋に帰ってしま った。どうやらこの宿で働いているのは、おじさんと女性だけのようだ。女性はヘルパーさんか。どうもご夫婦で はなさそう。一心不乱に調理台を磨いている女性は、なんだかいっぱいいっぱいという感じで、声をかけるのが ためらわれる。

 

 

10時過ぎに大雨洪水警報解除。雨も止むが、星は見えず。

 

 

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