くぼた沖縄日記 2010・冬 あれも初めて、これも初めて
★12月13日(月) 沖縄戦跡(トーチカ・ガマ)・てんもりさん
今日の予想気温は26℃。夏日やん。「仲村清司さんと行く『ほんとうは怖い沖縄』ツアー」に参加。このツアーは版を重ねる『ほんとうは怖い沖縄』(新潮社)の著者・仲村清司さん自らが、沖縄の伝説や民話、都市伝説の現場を案内してくださるというもの。霊感の類は全くないものの、怖いものが苦手な私。少々びびりながらの参加だ。2人と聞いていた参加者は直前に増えて5人。
幽霊伝説がある「七つ墓」へ。このツアー参加のため再読してきたが、あそこだ思っていた場所と違っていて、お墓があることも気付かずにしょっちゅう前を通っていた場所だった。今は那覇のど真ん中のこの場所が、以前は海岸だったことを知る。
友達のみどりちゃんから、魔よけの塩を必ず持っていくようにと厳命されたのだが、仲村さんからも、よかったらと参加者に塩が配られる。と、他にも塩持参の方がいた。
今は移転して更地になってしまった県立美術館跡は、子守唄「耳切坊主」の舞台になったところ。子守唄ながら耳を「ぐすぐすと切る」ホラーな歌詞は、元になる物語があったのだ。首里金城町の大アカギ、識名坂も行ったことはあるものの、それにまつわる話は知らなかった。首里の32軍司令部トーチカも、教えてもらうまでそれが何か全く知らず、存在すら気付かないまま何度も横を通っていた…。
お昼は八重瀬町にある「風庵」でおいしい沖縄そば。カツオ出汁のいい香り!奥のカウンター席から、大きなカメラを首に提げた男性が出てきて、仲村さんにあいさつされて出て行かれる。「てんもりさんですよ」。えええっ。あの方が!?本も出されている有名なフードブロガーさんだ。勝手にてんもりさんちのエンゲル係数を心配していたのだが、仲村さんによれば、てんもりさんのお腹は2000万円かかっているとか。
世界遺産の斎場御嶽(せいふぁーうたき)へ。8年ぶりに行く斎場御嶽は、有料になっていた。むむむ、もっと植物が生い茂って、薄暗い印象だったがこんなだったっけ…。以前はなかった説明版があちこちにある。最近はパワースポットとしてよく取り上げられ、琉球最高の聖地といわれるこの場所だが、それは琉球王朝の権威付けに利用されていた側面もあると聞く。
アブチラガマ(糸数壕)へ。ヘルメットと懐中電灯を借りる。入り口がとても急で、天井も低く、コンコンと頭に当たる。全長270mの自然洞窟(ガマ)は、沖縄戦で住民の避難所、陸軍陣地、のちに南風原陸軍病院の分室として使われた。あのひめゆり学徒隊もいた。中は思った以上に広く、水も湧いている。一部ロウソクの使用はあったそうだが、懐中電灯を消すと全くの闇。戦争中、広いとはいえ死臭と排泄物の臭いが満ちたこの空間に、800名からの人がいたとは信じられない。仲村さんの、凄惨な現実をこの闇があったおかげで見ずに済み、救われたこともあるのではないかとの話にうなずく。さらに、最近の報告ではこの中に慰安所もあったそうだ。
200名ほどの住民がいたのは出口近くの、驚くほど小さな場所。空が見え、そこだけは明るい。ということは、攻撃されやすい場所ということで、さらに日本軍の監視所があり、住民の行動は見張られていた。壕を出たところに供養塔があり、その向こうの崖下は遺体を投げ入れた場所。全員 無言で祈る。とかく「出る」といううわさのある場所だが、亡くなった方たちはその瞬間、全て安らかに成仏されたと思いたいとの仲村さんの言葉が印象に残る。
最後に国場川にかかっていた、人柱伝説がある真玉(まだん)橋(調査時人骨は見つからずガセか?)の遺構を見て、ツアーは終了。
ツアー後、仲村さん、Tさん、参加者のKさんと「レキオス」へ。帰りの時間が迫ったTさんとはここでお別れ。3人になって、栄町市場の「おとん」に移動。わ、エッセイストとしても有名な宮里千里さん登場。しばらくしてKさんが仕事の打ち合わせで抜ける(そうだ、今日は平日だ)。一緒にハブの話しなどして、千里さんはさっとご帰還。私たちはさらに「Bar 土」へ。長々とお付き合いくださって、仲村さんありがとうございました。 ご活躍をお祈りいたします。
風庵 島尻郡八重瀬町字友寄108
TEL 098-996-0020 11:30〜18:00(麺がなくなるまで) 火曜定休
居酒屋 レキオス 那覇市牧志2−1−2
TEL 098-862-7903 17:00〜24:00
おとん 那覇市安里379−21 (栄町市場内)
TEL 090-9049-1723 18:00〜24:00 木曜定休
Bar 土 那覇市牧志1−3−17
TEL 070-5481-1213 19:00〜2:00 日曜定休
アブチラガマ(糸数壕)・南部観光総合案内センター 南城市玉城字糸数667−1
TEL 098-852-6608 9:00〜17:00 入壕料250円 懐中電灯レンタル100円
斎場御嶽 南城市知念字久手堅サヤハ原
TEL 098-949-1899 9:00〜18:00 入館料200円 無休