旅の空からの伝言


2005年8月5日 コタバルより


この長い旅を決意したのはマレーシアのティオマン島でした。

準備期間を経て、旅を始めて2年が過ぎました。

ひさしぶりの北半球。

(昨年6月26日、エクアドルにて赤道を越えて以来)

8月が夏というのは分りやすい。

最近は日本との時差もあまり意識しません。

今いるのはマレーシアのコタバル。

マレー半島の北東、タイとの国境近くの町です。

マレーシアはマレー系、インド系、中国系と多彩な民族構成の国。

コーラン流れるモスクの隣に中国寺院やヒンドゥ寺院があったり。

様々な民族がそれぞれのテリトリーを守りながら混ざり合っています。

ムスリムが旅人を友としてもてなすというのは本当のようで

バスで隣り合わせた女の子(仕事を始めて3ヶ月)が別れる時に

1RM札を握らせてくれました。

「nice to meet you,Baizura(彼女の名前)」と書いてありました。

何て美味いんだランブータン!

マイブーム・ランブータン!

今日の昼食はビールとランブータン!

ビール1缶の値段で200個も買えてしまうランブータン!

マレーシアで一度は食べようと思っていた肉骨茶(バクテー)も食べることが出来ました。

■ひかりの中に腰かけて:http://www1.u-netsurf.ne.jp/~silent/a-world-0002-hikarino.htm







■キホさんへのレスポンスより

THINKING GROBAL! ACTING LOCAL!

キホさんは毎日2時に起きているのですね。

頭が下がります。

人々が寝静まる頃、北千住で働く男。

こうやって見えない所で汗を流す人々のおかげで美味しく食べ生きることが出来る。

そのことを忘れないようにしたい。

朝寝坊の南米から、勤勉なアジア。

早起きの癖を取り戻したいと思います。







2005年8月7日 クラビーより


最近良く移動していると自分でも思います。

移動が好きなのかと聞かれるけれど必ずしもそうではない。

荷物のパッキングも好きじゃないし、重い荷物を持ってのバスの乗り降りも好きじゃない。

片言の言葉で道を聞きながらバス停や宿を探し回るのも好きじゃない。

その度ごとの値段交渉も好きじゃない。

好きなのは流れる景色。

そして何よりも旅立ち前の高揚感。

タイにやって来ました。

タイ人は気が短いと聞いていましたが、既に何度も衝突しています。

道を尋ねただけで露骨に嫌な顔をされたり、

犬を追い払うような仕草は今までの旅であまり記憶に無い。

なんなのだろう。

(親切な人もいるのですが)

ビールが当たり前の値段で買えるのはありがたい。

(マレーシアの3分の1。イスラムの国が高いのはしょうがないのだが)

食事が美味いのもさすが。

今日食べたソムタム(パパイヤ・サラダ)は素晴らしかった。

パパイヤをメインにトマトとインゲンを少々、

唐辛子、ナッツ、干し海老に10種類くらいの調味料を加え

筒のようになった石の容器ですり潰すように軽く混ぜていました。

スマトラ沖での地震による津波を知ったのは被害から3週間ほど経ってからのこと。

世間に疎い旅暮らしとはいえ遅過ぎました。

しかも被害の直後にこの伝言板にて、「もっともっと地球をシェイク」と書いてしまいました。

知らなかったとはいえ、恐ろしい。

いろいろな民族や文化がそれぞれを尊重しながらも混ざり合っていったら

世界はもっと面白くなるのにといった思いから書いたのですが。

明日は津波の被害の大きかったピピ島へ渡ります。







■あいかさんへのレスポンスより


既にマレーシアを通過してタイにやって来ています。

相変わらずの最強コンビ!

パッタイにチャン・ビア!

やっぱタイの料理は好きだなあ。

通り過ぎてきた2年という旅の時間。

どうやってこれからの旅に繋げてゆくかを俺は意識しています。

旅は終わらない。







■kwachaひつじのひつじさんへのレスポンスより


(もしかしたらの)すでにサワディカップ!です。

タイにやって来ています。

ひさしぶりの北半球、精神的に日本が近い。

天邪鬼なもので南米にいた頃は、日本に対する憧れが強かったのだけど

アジアに来て日本に近づいてゆくほど、そこから遠ざかりたい気持ちも出てきた。

今はイスラム世界をもっと見てみたいかな。

クスコでは是非アドボを食べて下さい!

地元料理を出す食堂で朝に(お昼前くらいまで)出しているスープ。

これが素晴らしく美味い!

俺は毎日食べに行っていた。

柔らかい牛肉がごろっと入っていて、唐辛子が利いている。

ハヤシライス(のシチュー)とトムヤムが合わさった感じというのが近いのかな。

辛いのが大丈夫だったら是非!

店の前の黒板とかに手書きで「ADOBO」とある。

パンが付いてだいたい3ペソ。

探してみて。

安食堂といった感じの所で出してます。







■やじまくんへのレスポンスより


スイカ、打ち上げ花火、虫捕り、蚊取り線香。

異国で想う日本の夏は良いなあ。

どうも情緒的な方に振れるよ。

ジョグジャカルタの路地裏が良くて毎日歩き廻っていた。

ちょうど月島の路地に似ているなあなどと思いながら。

バラナシ、ホイアン、谷中・根津・千駄木。

路地裏の町は好きだなあ。

クラビーも悪くない。







2005年8月9日 ピピ島より


風がそよぎ花を揺らす。

月は輝き波は寄せては反す。

ピピ島にいます。

津波の被害の大きさに愕然とします。

嘘だと思いたいほどの現実がありました。


■「生きている者は生き続けなくてはならない」:http://www1.u-netsurf.ne.jp/~silent/a-world-0245-pipi.htm







■ユリコさんへのレスポンスより


サワディカップ!

「生きている者は生き続けなくてはならない」を読んでいただき、ありがとうございます!

嘘が無いようにというか、自分への言い訳が入らないように書き進めました。

全ての事象に終わりはありませんね。

過去のことにしてはいけないことがたくさんあります。

常に覚えている事は出来ませんが、時々思い出して、囚われることなく

道標として進んでゆくしかないのでしょう。

「おじーさん、ゆっくりゆっくりでいいんですよ。明日はいっぱいありますから」

書いていただいた、おばーさんの言葉、すごく良いですね。

過ごしてきたかけがえのない時間。

かけがえのない二人の人生の時間。

言葉からだけでも多くのことが伝わってきました。

いっぱいある明日を1日1日大切にしてゆきましょう。

俺は強くなれたかなと思える時と、まだまだだと思う時の繰り返しです。

ユリコさんが幸せに生きているだけで多くの人が幸せになれると思います。







2005年8月13日 バンコクより


ひさしぶりの真水のシャワー。

体はベトつかないし石鹸も泡立つ。

しかもお湯まで出る。

ホットシャワーはホッとシャワー、さっぱりするなあ。

お湯を浴びるなんてかれこれオーストラリア以来。

汚れも疲れも抜けてゆく。

ナチュラル・ドレッドに近づいていた髪も少しましになりました。

幸せを感じながらありがたく生きさせてもらおうと思います。

バンコクにいます。

昨日は女王陛下の誕生日で花火が上がりました。

歯の治療、ヴィザの手配、服の修理、消耗品の補給などで数日滞在します。







2005年8月17日 アユタヤより


タヒチで外れた奥歯の詰め物。

あっけないほど簡単に直りました。

削って詰めて30分(1回)で終了。

締めて500バーツ(約1350円)

ヴィッキー(ブエノスアイレス&ウブドで会った)とバンコクでもばったり。

もうすぐ帰国する彼から携帯用スピーカーを譲り受けました。

彼と一緒に世界を巡って来たスピーカー。

サバーイ、サバーイ!ムイ・ビエン!バグース!とありがたく使わせてもらってます。

スタート時にはゼロだったパソコン内の音楽データ。

今ではCD115枚分のデータが入っています。

最近のお気に入りはジャック・ジョンソン。

ゆるくシンプルなグルーヴが長期旅行者の旅の感覚に限りなく近い。

ON AND ON AND ON AND ON・・・・・

現在のBGMはリパブリカ・ドミニカーナの素朴なソン。

「生きている者は生き続けなくてはならない」の感想をメールにていただきました。

その方は、1月に行く予定だった南インドが津波の被害にあった為、

行くのを取りやめたそうです。

そこに行かなかったことが、ずっと心に引っかかっている事と

ピピ島の事を伝えてくれたことに対してのお礼が書かれていました。

実際に行くか行かないかは問題では無く、どれだけ現地の人の気持ちを思うことが出来るか、

そのことで少しでも痛みを共有することが大切なのかなと感じました。

(そして、無力感や悲しみに飲み込まれないことが)

バンコクから列車に乗って北に1時間半。

アユタヤに来ています。

空気も時間の流れもガラッと変わりました。

友人(山本堂)に作ってもらった擦り切れまくりの短パンの修理も完了。

かかとに穴があいたビーサンも新調。

後はヴィザ待ち。

タイの古都を歩きながら、ゆっくり過ごそうと思っています。







2005年8月20日 アユタヤより


ランブータンも美味いけどマンゴスチンも美味い。

アユタヤにいます。

数年前にも泊まったことのある宿にお世話になっています。

その時(9月末)のこと。

大雨が降って膝くらいまでの床上浸水に。

そんな状況の中、旅行者同士ビールを飲みまくる。

宿(&食堂)のストックが尽きるまでビールを飲みまくる。

「アメージング・ターイランド!」

その時泊まっていたウディアレンをへなちょこにしたようなイギリス人。

彼も同じく飲みまくりはしゃぎまくり。

宿のおばちゃんに抱きつくキスをする。

よれたスーツ姿でじゃぶじゃぶと歩き廻る。

ドアを開けたまま寝てしまった彼の部屋は廊下から丸見えで

パンツ一丁になぜか濡れた靴下を履いたままで寝ていた姿が忘れられない。

そのベッドで今は俺が寝ている不思議。

宿の本棚に「ちびまる子ちゃん」(1巻&5巻)があり、声を出して笑ってしまう。

ずる休みした日にスーパーに来るヨーヨーチャンピオン(コーラのヨーヨー)を、

見に行って(まちこ巻き&サングラスの変装)怒られたり。

相変わらずおバカで最高。

マンガの欄外にあったはみ出しエッセイ。

清水市(静岡県・さくらももこの出身地)の駄菓子屋ではおでんも売られていたとのこと。

自分の出身地(埼玉県・深谷市)の駄菓子屋では冬になるともんじゃ焼きが食べれた。

片隅に置かれた鉄板を囲み各自が焼いて食べていた。

どんぶり一杯50円。

ビニール袋に入れたタマゴを下げて駄菓子屋に向かった。

夏、市民プールの前にはおでんを売る店があって泳いだ帰りによく寄った。

テレビで放送されてた甲子園では浪商の香川&牛島とか活躍していたなあ。

ちなみに桑田&清原は自分と同い年。

アユタヤも夏です。

目覚めた明け方に廻り続けた扇風機のスイッチを切って毛布を被ります。

昼間は痛いほど暑くなり、その後、夕立がある気持ち良い夏です。

残暑お見舞い申し上げます。







■ヒグチくんへのレスポンスより


その時、一緒にビール飲みまくった旅人の一人ですって。

えーっ!

まじ、ヒグチくんじゃん。

驚いたなあ。

俺の書き込みから3時間後のお越しどうもどうも。

びっくりだよ。

今回のOLD BJ GHも、お客さんも多くて賑やかだったよ。

夏休みということもあるんだろうけど

初海外旅行で日本を出たばかりという同じ境遇の大学生が3人いて

なかなか新鮮で面白かった。

ヒグチくんも旅を続けてるんだなあ。

また何処かで会える日を楽しみにしています!







2005年8月21日 バンコクより


日本人の集まる日本食屋に入ったのに英語のメニューが出てくる。

露天でTシャツを物色していると「違う色は無いのか」と欧米人に尋ねられる。

インドネシア人からインドネシア語で道を聞かれる。

タイ人の子供からあやとりを教わって不器用過ぎると呆れられる。

そんなボクです。

よろしく頼みます。







2005年8月24日 バンコクより


人間の呼吸は1分間に約18回。

これは寄せては返す波のリズムと同じなのだそうです。

人の呼吸は地球の呼吸なのですね。

今宵は月に吠えてみるとするか。







2005年8月26日 シェムリアップより


カンボジアに入国しました。

ボッコボコ・ジャンピング・ロードを8時間半。

アンコールワットの町シェムリアップにいます。

疲れが溜まってたのか昨日は何処にも出かけられず15時間睡眠。

今日は早起きをして市場に行ってきました。

朝食はココナッツ・ミルクのスープに素麺のようなヌードル。

テーブルに山盛りのハーブをドカドカ千切って唐辛子とレモンをかけて食して来ました。

この町はラオ・ビアとスーパードライが飲める。

ランブータンは酸味が強い。







2005年8月31日 シェムリアップより


皆さんは元気でお過ごしでしょうか。

とにかく暑いカンボジア。

健康の維持がどれだけ大切か痛感します。

自分自身の器が満ちるのをひたすら待っていたシェムリアップでの日々。

禊ぎや祓いのような時間でした。

アンコールワットは敷地に辛うじて足を踏み入れただけ。

写真は一枚も撮れませんでした。

でもまあそろそろ旅を前に進めるとしましょう。

行き先は決めていません。

とりあえず明日プノンペンに向かうバスに乗ります。

そしてどこか途中で降りたいと思っています。