ヒゲよさらば〜長所篇

「ヒゲよさらば」、第十三回 (初出 2002/11/8)

ここからは前回の予告通り、ヒゲの長所を挙げていく。
ヒゲが濃いことの長所には何があるだろうか。

長所@Sexyである
一般に、ヒゲが薄い人よりも、濃い人のほうがSexyである。
おそらく「ヒゲが濃い→男性ホルモンが強い→アッチも強い」という図式が、太古の昔より人間の脳髄の奥に刻み込まれているため、そう感じられるのであろう。

何を隠そう、私もSexyである。
それはもちろんヒゲがあってこそだ。
仮に「ヒゲが薄いたいが」がいたとしてそれを10セクスィとすると、「現実の生たいが(つまりヒゲが濃いたいが)」は25セクスィくらいあると推定される。
ちなみにこの基準でいくと、反町隆史は1.5セクスィくらい、叶姉妹は0.001セクスィくらいである。


「ヒゲよさらば」、第十四回 (初出 2002/11/10)

男性ホルモンは性欲にも影響するという。
そういえば私も結構なスケベである。
「ヒゲが濃い→男性ホルモンが強い→スケベ」ということでもあるのか。
スケベといえば、髪が伸びるのも異常にはやい。
昔から「頭の養分が全部髪の毛にいってしまっているから、頭の中身が悪くなってきてるのだ」と夢想している。
最近では「それに加えてさらにヒゲにも養分がいってしまうから、よけいに頭が悪くなる」とも思いこんでいる。

また話がそれてしまったが、Sexyであることは、ヒゲが濃いことの誇るべき長所である。
次元大介もマリオとルイージも関羽も織田信長も、そのSexyさはみなヒゲがあったればこそなのだ。
織田信長といえば、彼を本能寺の変で討った明智光秀はヒゲが薄かったようである。
http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/mmdb/mitsuhide/aketi_jpg/ake00_1.jpg参照)
本能寺の変に関しては、その原因が様々に考えられている。
私はその核心には信長のSexyヒゲが関係しているのではないかとにらんでいる。
光秀は信長のSexyヒゲを妬み、そのヒゲを燃やそうと本能寺に放火した。
しかし思いのほか火が大きくなってしまったために、ついでに信長を滅ぼしてしまった、というのがことの真相ではないだろうか。

昔、大哲学者のパスカルは、『パンセ』の中で「クレオパトラの鼻がもっと低ければ、世界の歴史は変わっていた」という主旨の言葉を吐いた。
同じように「もし織田信長のヒゲがもっと薄ければ、日本の歴史は変わっていた」かもしれない(私の推測の中では)。
それほどに「ヒゲのSexyさ」は侮ることのできないものなのである。


「ヒゲよさらば」、第十五回 (初出 2002/11/18)

長所A手の甲を掻ける
これは十五年以上のつきあいになる私の悪友・イネ氏(仮名)も指摘したことであるが、手の甲が痒いとき、ヒゲ、特にあごのヒゲで掻くことができる。

例えば車の運転中、急に左手の甲が痒くなったとき、あなたならどうするだろうか。
右手で掻いてもいいのだが、それだとちょっと危険を伴う。
それがヒゲが濃い人ならどうだろう。
右手はそのままハンドルを握ったまま運転、左手をあごに擦りつけるだけですむのである。
実際に両方やってみればすぐにわかるが、右手で掻くよりもあごのヒゲで掻いたほうが、明らかに安全度は高い。

他にも例えば横になっているとき。
右手を手枕にして寝ているとき、もしくはピロートークの最中、右腕で彼女に腕枕しているときに(このときもちろん照明はピンクである)、左手の甲が痒い場合などにもアゴヒゲが使える。
まだまだある。
例えば電話で片手がふさがっているとき、料理で包丁を扱っているとき、バッターボックスに立って両手でバットを握っていなければならないときや、崖から落ちたが途中で木の「つる」かなんかにつかまってどうしてもその手を離せないときなど、意外と日常で役立つ場面が多い。
もちろん手の甲に限らず、応用として手首や指、上級者になれば肩や胸元をもアゴヒゲで掻くことができるようになる。
さらに達人ともなれば、胸元やヘソを口ヒゲで掻くこともできるというが、まだこの目で確かめたことはない。


「ヒゲよさらば」、第十六回 (初出 2002/11/22)

この「掻ける」という長所は、ヒゲが濃いものなら誰に教えられることもなくひとりでに気づき、いつのまにか利用しているものであるが(おそらくヒゲが濃しもののDNAに刻み込まれているのであろう)、先日この長所から派生する別の利点を指摘する人物が現れた。
私のホームページのBBS、18番のカキコを見て欲しい(「ヒゲ イネ」で「ワード検索」すればすぐに出る。たまにはそういう便利な機能も使うべきである)。
それはイネ氏(仮名)のカキコであり、そこにこうある。
「ちなみに私もヒゲが濃い。メリットは手が痒いときに便利。嫁にほうずりすると『毛が生えるからやめて』と言われます」
ヒゲですりすりすると「毛が生える」?
これが事実かどうかは確かめていないが、もし事実ならハゲで悩む男性諸氏に朗報ではないだろうか。

そもそもヒゲが濃いということは男性ホルモンが活発な証拠であり、男性ホルモンが活発な人(男性に限らない)は禿げやすいという。
近い将来、ヒゲで擦ると毛が生えることが科学的に証明され、街角でお互いの頭とアゴを擦りあわせあう「ハゲでヒゲの濃い男たち」の姿が、日常的に見られる日が来るかもしれない。
そしてその中に私とイネ氏の姿も・・・


「ヒゲよさらば」、第十七回 (初出 2002/12/20)

気を取りなおして次の長所。

長所B持ちネタとして重宝
ヒゲが非常に濃く、もう滑稽なほど濃いというのなら、それは一つの持ちネタとなる。
所謂「自虐ネタ」としても使える。
自虐ネタについては右に出るものはいないという大先輩が私にはいるが、その人はヒゲが薄く、その点に関しては「ヒゲ自虐ネタ」ができる私を羨んでいるに違いない。

例えば次のような場合に重宝する。
会社に入ってまだ1ヶ月目の新人(中途採用ではない)。
先輩たちも全員の新人の名前を覚えきってはいないだろう。
そこでおりにふれて「自分ヒゲ濃いんッスよね〜」なんていう風に言いながら、ヒゲの剃り跡(あるいはヒゲそのもの)を見せてまわろう。
「うわっ、本当にスゴイ・・・」と、そこでファースト・インパクト。
さらに先輩たちの間で「今度入ってきたタイガ(仮名)ってやつは、ヒゲすごいらしい」との噂が広まり、みんなに顔と名前と、あとヒゲを覚えてもらえることだろう。
濃いヒゲのおかげである。
他には・・・


「ヒゲよさらば」、第十八回 (初出 2002/12/26)

例えば次のような場合。
タイガ(仮名)は最近ホームページを開設。
いきあたりばったりでエッセイ(のようなもの)のコーナーを開いた。
しかしすぐにネタは尽き、書くことがない・・・
そういうときにこそ「ヒゲ自虐ネタ」が重宝する。
「おれはヒゲが濃いんだぜ〜」みたいなことを延々と、できるだけ面白く(実際は全く面白くないのだが)語るのである。
少なくともエッセイ欄の字数稼ぎくらいにはなるだろう。
ただし一日当たりのヒット数が下がる可能性が高いが、その点については当局は一切関知しない。

いずれの場合も自分自身に「ヒゲが濃いやつ」というキャラクターづけができれば成功である。
友達とでも誰とでも、会話していて話すことがなくなり、ちょっとした沈黙ができた時や、手紙やメール、BBSの返信などでオチが考えつかない時などに、「ヒゲ自虐ネタ」が使えるようになるからである。
しかし何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」で、しつこく言い過ぎるとうざがられる危険性も伴う。
諸刃の剣。
このことは私という経験者が語っているという意味で、これ以上の説得力はないだろう。
そこでどれくらいの頻度で言えばいいのか、その調整ができるようになればしめたものである。
私自身は濃いヒゲ歴28年になるが(現在28歳)、まだその調整の極意には達していない。

この「長所B持ちネタとして重宝」は、ヒゲの濃さは言うまでもなく「個性」の一つであり、使いようによっては様々な恩恵にあずかることができるということである。
個性を活かし、人生を実りあるものにする・・・蓋しこれ以上の「ヒゲが濃い」の長所は、もしかするとないのではないだろうか。


「ヒゲよさらば」、第十九回 (初出 2003/2/28)

長所C剃ったときの爽快感が大きい
ヒゲが濃いが故に、ヒゲが薄い人に比べて剃ったときの爽快感は大きい。
短所を挙げていったときに、ヒゲが濃い人は剃らなければならない回数、頻度が高くなり、めんどくさいと述べた。
しかし頻度が高くなるといっても、おのずから限界があり、普通は1日1回だろう。
そして、本来ならば1日に2回剃らないといけないくらい伸びるスピードが速い御仁が1回しか剃らないとすると、1度にかなりの量(この場合量というのだろうか)のヒゲを剃ることになる。
これは非常に爽快である。

ヒゲが濃くない人のために、この爽快感の説明を試みよう。
例えばあなたが2週間お通じがなかったとしよう。
いくら頑張っても、ウンともスンとも出ない。
そこで下剤かなにかを飲み、溜まりに溜まったモノがするする〜と出る。
そのときの爽快感に近い、と言えば、いかに気持ちがいいかわかっていただけるだろうか。


「ヒゲよさらば」、第二十回 (初出 2003/3/1)

さて、短所に続いて長所も一通り列挙してきた。
短所を挙げたときと同じように、ここまでで挙げたきた長所もまとめてみたい。

私が挙げてきた長所は次の四点である。
@Sexyである
A手の甲を掻ける
B持ちネタとして重宝
C剃ったときの爽快感が大きい

なんのためにここまでで短所・長所を挙げてきたかといえば、(1)それぞれを検討し、比較することによって、ヒゲについての考察を深め、かつ(2)長所が短所を凌駕することを証明することを以って、私がヒゲに対してポジティブであることの証左とするためであった。
(1)については申し分ないだろう。
様々な角度からヒゲについての考察がなされ、私の人生の中でもこれほど実り豊かな考察は今までになかった。
逆から見れば、私の人生においては大した考察など今までに何一つしていないと言うこともできる。
問題は(2)である。
果たして上で挙げた長所四点は、短所を駆逐しうるほどのものなのであろうか。

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