佐知子の歌日記・第十六集
佐知子の歌日記・番外編
コロナに怯ゆ

令和2年1月〜

残雪の尾根道(高鈴山〜御岩山)
マスクしてまたは小声の「こんにちは」山でのあいさつ新しくなる
忘れたと引き返すまでの五分間マスクは無しのわがアウトロー
蒸し暑き三浦半島の山に来て 人の気配にマスクをつける
ワクチンに三十八度の熱だすもカレーライスを平らげる息子
四回目のコロナワクチン接種券 終わりなき世への招待状か
 令和2年
渋谷では案外少ないマスクの人コロナウイルスと騒いでいるが(1.25)
世界中コロナウイルス漂いて流す石鹸の泡にも怯える(2.21)
朝刊の三十四ページそれぞれにコロナウイルス棲息してる(3.3)
館内に行司の声の高らかに響く大阪無観客場所(3.13)
安倍首相緊急事態宣言す コロナウイルスまだ潜みいて(4.7)
世界中のコロナウイルス無くなれと赤赤燃えるスーパームーン(4.8)
外に出てあっ忘れたと引き返すマスクをつける今の日常(4.11)
一年に一度のこと故許されたし誕生日ケーキ買いに行くこと 不要不急?(4.12)
学校へ行きたいと孫らは言えりコロナ休校に二月
(ふたつき)が過ぎ(4.15)
日本間にはそぐわぬパソコン置く息子 本日からはテレワークなり(4.20)
「人類は滅亡するか」SFのタイトルのごとし コロナに怯ゆ(4.23)
「見つけた!」と状袋に二十枚 弟からのマスクが届く(4.28)
消える日が来るのだろうかわが歌や新聞・テレビにコロナの文字が(4.28)
人はいさ柿の葉萌黄に染まりゆきもみじの緑ひごと深まり(4.28)
冷蔵庫・米びつすぐにすき間でき健やか息子の在宅ワーク(5.1)
(コ)来ぬ人を(ロ)路傍で待ちし(ナ)夏の日に(ウイ)憂いの指もて(ルス)留守電さぐる (5.2)
雨風にさらされ生うる野の草よ人とコロナを如何に見いるや(5.8)
鎮まらぬコロナウイルスうらめしや予約が消えたスイスアルプス(5.11)
あじさいの花芽日ごとにふくらんで しばし忘れる世の中のこと(5.17)
宣言が解除されるも外出は鎧のごとくマスクをつける(5.28)
忘れたと引き返すまでの五分間マスクは無しのわがアウトロー(5.30)
朝行く子十時に帰る子行く子いて分散登校始まっている(6.5)
ほとんどが密を避けての二人連れ 三頭山を静かに歩く(6.9)
マスクしてまたは小声の「こんにちは」山でのあいさつ新しくなる(6.9)
まずは桶よくよく洗い口閉じて湯舟につかる日帰り温泉(6.21)
コロナゆえ富士山閉ざす令和二年 眺めるばかりの霊峰となる(7.1)
全滅とはならぬコロナと歩めとや せめて行きたし日本アルプス(7.1)
記入台済めば素早く消毒し扇風機まわる知事選会場(7.5)
過食の由コロナと定め適切な菓子の処遇に家内見回る(7.15)
都民生活七十年あこがれは鄙の山川裸足でゆくこと(7.21)
観客はマスクで拍手の大相撲 声援なしの秩序はあるが(7.23)
紙面には「コロナ時代の言葉たち」数多載りおり日常語なり(7.25)
西へ行くほどに緑増す東京の東のわれに来よと言うがに(7.27)
慣れたくはないが慣れねばと炎天にマスクを忘れまた引き返す(8.3)
アルプスのテレビ画面に「来年」と無言で誓う家居の今年(8.10)
甲子園交流試合となりたるが球児いきいき球追いかける(8.16)
息子との食事時間が増えたのは在宅ワークのおかげと思う(9.29)
東京のGoToトラベル始まりて胸張り山へ行く行け行くぞ(10.1)
キャンセルのキーを押す指進まずにツイてないねと夫はささやく(10.9)
GoToのクーポンを手になつかしの峠の釜飯九つを買う(10.29)
第三波のコロナ浮上し人類はワクチン欲しと漂うばかり(11.13)
目の前を断片のみの言の葉が点滅しながら早足に過ぐ(12.1)
横浜の皆がマスクの地下道に人ごみとしてわれは歩けり(12.12)

 令和3年
初詣・駅伝見物やめたるも いつもどおりにお節は作る(1.1)
新しき習慣となる午後三時感染者数のニュース見ること(2.21)
「あたたかな日差しあふれる休日の梅園は密」ですが・・・知事殿(2.23)
あちこちで聖火はリレーされゆくが見物するなのコロナ対策(4.2)
本当にオリンピックが出来るかなコロナのご機嫌伺うばかり(4.2)
大阪を変異ウイルス覆いおり東京もすぐとニュースは言うが(4.8)
コロナ禍に後ろめたさを持ちながら奄美へ向かうマスクをしつつ(4.23)
八時半混み合うネットに挑む夫 予約が出来たコロナワクチン(5.21)
腕重く気だるい夕べ じわじわとコロナワクチンわが身をめぐる(5.30)
高齢がワクチン接種待つ部屋に黒髪長き女性がおりぬ(6.26)
オリンピック無観客にて開かれる もともとテレビ観戦だけれど(7.9)
蒸し暑き三浦半島の山に来て 人の気配にマスクをつける(7.10)
「つ」が書けたとドリルを見せる五歳児のマスクは無しのはじける笑顔(9.16)
金木犀今年二度目の花咲かせコロナに籠もる人を誘う(10.26)

 令和4年
コロナ禍に雑煮食みつつ応援す国道で見たし箱根駅伝(1.2)
よしなにと祈るほかなし明日打つ三度目となるコロナワクチン(1.27)
副反応二日すぎれば熱は引き腕は自在にびゅんびゅん動く(1.30)
ワクチンに三十八度の熱だすもカレーライスを平らげる息子(4.30)
四回目のコロナワクチン接種券 終わりなき世への招待状か(6.9)
ワクチンの熱や痛みは二日後に薄れて元の偉丈(婦)になる(7.11)


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