ようこそ「佐知子の歌日記」へ
~佐知子の歌日記(短歌集)~
更新 R07/07/14

(近況)
迎え火がわかるだろか亡き人よ無言で呼びかけ祈りておりぬ
朝からの三十度に耐え午後からはやっとエアコンお出ましとなる
数独やクロスワードパズル解いてボケ度を計る目安になるかな・・・
手足脳衰えゆくもの数えるを止めたときから春がくるかな
手の甲のシミや血管うきあがる 啄木は手のひらを見ていた(と思う)

* 日付順に並べた歌日記(編年体の全作品)です。
第一集 平成25年2月~3月
第二集 平成25年4月~5月
第三集 平成25年6月~7月
第四集 平成25年8月~9月
第五集 平成25年10月~12月
第六集 平成26年1月~3月
第七集 平成26年4月~6月
第八集 平成26年7月~9月
第九集 平成26年10月~12月
第十集 平成27年1月~3月
第十一集 平成27年4月~6月
第十二集 平成27年7月~9月
第十三集 平成27年10月~12月
第十四集 平成28年1月~3月
第十五集 平成28年4月~6月
第十六集 平成28年7月~9月
第十七集 平成28年10月~12月
第十八集 平成29年1月~3月
第十九集 平成29年4月~6月
第二十集 平成29年7月~9月
第二十一集 平成29年10月~12月
第二十二集 平成30年1月~3月
第二十三集 平成30年4月~6月
第二十四集 平成30年7月~9月
第二十五集 平成30年10月~12月
第二十六集 平成31年1月~3月
第二十七集 平成31年4月~6月
第二十八集 令和元年7月~9月
第二十九集 令和元年10月~12月
第三十集 令和2年1月~3月
第三十一集 令和2年4月~6月
第三十二集 令和2年7月~9月
第三十三集 令和2年10月~12月
第三十四集 令和3年1月~3月
第三十五集 令和3年4月~6月
第三十六集 令和3年7月~9月
第三十七集 令和3年10月~12月
第三十八集 令和4年1月~3月
第三十九集 令和4年4月~6月
第四十集 令和4年7月~9月
第四十一集 令和4年10月~12月
第四十二集 令和5年1月~3月
第四十三集 令和5年4月~6月
第四十四集 令和5年7月~9月
第四十五集 令和5年10月~12月
第四十六集 令和6年1月~3月
第四十七集 令和6年4月~6月
第四十八集 令和6年7月~9月
第四十九集 令和6年10月~12月
第五十集 令和7年1月~3月
第五十一集 令和7年4月~6月
第五十二集 令和7年7月~更新中


佐知子の第一歌集 ここが汝のふる里
6年間(H25年~H30年)の作品をジャンル別に編集

短歌集1~山に登れる喜び 手招きするよな等高線
短歌集2~日々の暮らし(春~夏) ここが汝のふる里
短歌集3~日々の暮らし(秋~冬) 十八の目が見てる
短歌集4~いつもの散歩道 わざわざ踏んで廻り道
短歌集5~ふと振り返る 一体わたし何なのかしら
短歌集6~可愛い孫たち 孫に伝えるバナナ伝説
短歌集7~老いた二人の母 やさしい雨が降るばかり
短歌集8~私達夫婦の日常 湯たんぽのごとく

コロナに怯ゆ その厄災に関する歌を集めてみました。



例えば、こんな感じです↓
 ~山に登れる喜び~
山の名を互いに忘れ二分後にニヤリと君は「斜里岳・・・」と言う
 ↑平成26年度NHK全国短歌大会・入選作(自由題)
庭先で夫の髪刈る老女おり城峯の里風やわらかく
十月
(とつき)ぶり二人で歩く山道は吐く息聞こえうれしはずかし
明日の晴れ念じて荷物整える山に登れる喜び詰めて
山並みが靄(もや)っていても静けさがうれしい二人の父不見山
風強くからまつの葉の舞いにけりリュックの中に黄葉を見る
地図広げあちこちの峰ゆびで追う手招きするよな等高線
 ↑平成30年度NHK全国短歌大会・佳作(佐々木幸綱選・自由題)
回り道しながら君は酒蔵へ一升瓶をリュックに押し込む
雨止まず 登山中止の午前九時 濃いコーヒーを君と味わう
お土産はアスパラガスとエシャロット道の駅にて夕餉のしたく
 ↑平成30年NHK学園通信講座作品コンクール・入選
青春の18きっぷを持ちつつも譲られ座るシルバーシート
ピカソでもゴッホでもない青の空 奥秩父にてゆるりと眺める
山道を霧につつまれ君と行く 赤鞍ガ岳を二人占めする
 ↑平成28年NHK学園通信講座作品コンクール・佳作
一日中富士を眺めて歩いてる そのしあわせをリュックに詰めて
「こんにちは」に「ニーハオ」と返す人もいて高尾山頂にぎわいにけり
山頂の眺めはきかず朝からのこの汗は何なのとタオルをしぼる
耳なれぬ会話がはずむ近鉄でわれもしばらく異邦人となる
平日の満員電車の足元に登山リュックを隠すごと置く
 ↑令和元年大田区文化祭短歌大会・大会賞・互選賞
雲厚く展望台に立ち尽くす「心眼」または「心願」の富士
鈴ならし落ち葉踏み分け山道へクマさんどうぞどうかお先へ
つま先を岩の隙間にぐいと入れ烏帽子岳の頂上に立つ
ためらわず優先席へと直行す登山帰りの山手線に
交易のさかんでありし奥多摩のむかし道行く余暇のわれらが
 ↑令和4年・第23回NHK全国短歌大会・佳作(高野公彦選・題詠「行」)
削られてもなお堂々の武甲山 昼のおにぎり少し塩っぱい

 
~いつもの散歩道~
霜柱を踏みつつ歩く公園の行きずりの人「寒いね」と告ぐ
さんぽみち夫が先行く三歩あと歩く老女の本心見たい
水鳥のいない岸辺に老夫婦それぞれの杖もちつ歩めり
公園に黄色の三輪車わすれられ五日をすぎても桜によりそう
髪たばね少年野球の一員の少女はピンクの自転車をこぐ
人の目はおおかたサクラにそそがれて静かにもえるクスノキのわかば
 ↑平成29年大田区文化祭短歌大会・互選賞
満開の日から二日が過ぎたのでニュースにならないきれいな桜
地境のアスファルトより這い出でて つゆ草は独立を宣言す
散歩後の背中の汗にシャワーして なんだかんだもついでに流す
もう一度甘きかおりに酔いたくて金木犀まで十二歩もどる
世にあるは難しからん公園の電話ボックス やっぱり消えた
 ↑令和2年大田区文化祭短歌大会・大会賞

 
~老いた二人の母~
四十五分ひと匙ずつの昼を終え ごちそうさまの手を合わす母
 ↑平成25年度NHK全国短歌大会・入選作(題詠「母」)
口飲みがトレンドだとは知らぬ母 ペットボトルのふたでお茶飲む
 ↑平成26年NHK学園通信講座作品コンクール・秀作
樹のみどり好む義母連れふるさとへ やさしい雨が降るばかりなり
「こんにちは」と訪ねし母にそと言えどかすかにまなこを開けるばかり
「甘い」とう言葉がふいに蘇る 母のおやつは氷イチゴ
帰る時「また来るね」って手を握る「さよなら」なんて母には言えない
言の葉を忘れた母の手を握ること多くなり四年目の秋
炊飯器のタイマーをセットし忘れて朝をむかえたり母亡き翌日
胡蝶蘭に母の唇うずまりて野の花が好きと言っているらし
一枝
(ひとえだ)を折りて青柿持ち帰り ふるさとをそっと母に手向ける
 ↑平成27年度NHK全国短歌大会・入選(題詠「一」)
二七日
(ふたなぬか)過ぎて天空に浮かびくる母の丸顔すずめに似てる
 ↑平成30年度NHK全国短歌大会・佳作(東直子選・題詠「天」)
母編みて二十年経るセーターのほつれをかがり今日もぬくまる
 ↑令和元年度NHK全国短歌大会・入選

 
~可愛い孫たち~
テラスにてくつろぐ孫はお台場の景色となりぬ緑のTシャツ
孫帰り静かな部屋で栓を抜く とくとくとくとビールこだます
十歳の女孫
(まご)と美肌の湯につかり しっとりしたねと腕をみせあう
マンガからゲームにノート靴下に妖怪ウオッチ出没をする
おでこにはボールがあたった赤いこぶ七歳おのこのがまんの勲章
ぬか漬けのきゅうりをほおばりずすずすと日本茶をのむ八歳の孫
遠足にかずえちゃんだけ持ってきたと孫に伝えるバナナ伝説
 ↑平成28年度NHK全国短歌大会・入選(自由題)
孫からの「ありがとメール」を待っている夫落ち着かぬ夜 ホワイトデー
 ↑平成29年NHK学園通信講座作品コンクール・入選
涙ぐむ娘をみれば夫もまた手にハンカチの孫の卒業式
10代の孫らの会話は意味不明 娘の通訳が頼りとなりぬ
梅干を作りはじめて十三年 孫は髪長きおとめになりぬ
スマホには迷惑メールに挟まれて孫から届くハッピーバースデー
黒光りしていた髪を茶に染めて静かな孫は何を訴う
 ↑令和5年・第24回NHK全国短歌大会・入選

 
~日々の暮らし~春から夏へ秋から冬へ私達夫婦の日常ふと振り返る
雨の午後えんぴつかたく握りしめ眠ったままでいすから落ちる
人様にかかわりなきも秋晴れに こっそり悩む体重増加
鉄瓶の湯気立つ部屋で居眠りすアメリカ映画はハッピーエンド
台風に倒れた柳幹くだけ とがった木口怒りの形相
 ↑平成25年度NHK全国短歌大会・入選作(自由題)
雨音が歌っているよな夜ひとり つられて足がタンタンタタン
ゆで忘れ一本残りし菜の花をグラスに挿せば黄色く咲けり
白髪など染めてみたとて大袈裟に変わるわけなく今日も暑いな
肩もみ券 娘に貰って三十年 今も鏡台の抽斗にあり
わけもなく気ぜわしくなる十二月 深呼吸せよわが生まれ月
 ↑平成28年NHK学園通信講座作品コンクール・優秀賞
レジに待つ日本男子のかごのなかキャベツに醤油缶ビールなど
あんパンが四角になりそうに力いれパン屋の新人トングを握る
 ↑平成29年度NHK全国短歌大会・入選作(自由題)
なんとなく覘くつもりが五点ほど買うことになる百円ショップ
寒に入りハエが手をすり日向ぼこプランターの隅風やわらかく
プランターに迷い込んだほとけのざ今日からここが汝(なれ)のふる里
ゆったりと紅茶をすする昼下がり左回りに金魚が泳ぐ
ステンレスの物干し竿に日が射して きらっと矢のごと夏空をさす
 ↑平成28年大田区文化祭短歌大会・互選賞
夕暮れにアブラゼミ鳴く猛暑日に水槽からドジョウ跳ね落ちる
歯医者にて親知らずぬく何事もなかったような二日が過ぎる
「眠れないの?」に「うん」と云って寝返りす午前三時の君のやさしさ
護岸より見えるは道路倉庫群アメリカ行きのあの海が見たい
ちっぽけなわたくしごときの歌なれどこれでも多少なやんでおります
階段の五段をのぼると膝痛む洗濯物が重すぎるのだ
 ↑令和元年NHK学園生涯学習フェスティバル鎌倉市短歌大会・入選
隣席の細くて若い女
(ひと)の食う あのステーキは三百グラムだ
わが腕は規格の外にあるらしいユニクロのシャツ3センチ長い
値上がりを告げし灯油屋いつもより素早くポリタン置いてゆきたり
土曜日の患者がたった三人の待合室はなんだか不安
大空をささえきれずに困ってる降りだしそうな雨が重くて
舟盛りの鯛や平目がピクピクとこちら見てるが我らは食べる
プランターを逆さまにして土ほぐす宿を追われたみみずが五匹
「から揚げはお好きですか」に「はい」と言う
        ほんとは「カラオケ」と云ったらしいが

カキフライ六個はちょっともたれるねなんて私は言ったりしない
言の葉がうかんでこないこの三日 われをゆさぶる午後の春雷
 ↑平成30年大田区春季短歌大会・互選賞
高層のビルに囲まれ背の伸びぬ東京タワーは還暦ちかい
「江下る戎克
(じゃんく)に豚の仔裸の子」兵卒でありし父の終戦句
台風に祭ばやしの聞けぬ午後 ゆっくり二度目の朝刊を読む
昼食は週に一度の「藪蕎麦」へ君と行く ほら鰯雲だよ
つるつるの門扉
(もんぴ)にバッタがしがみつき一足一足登りゆきたり
食卓にノートや辞書を並べさぁ~デザートのような歌をつくらむ
頑丈だと夫に貰いしモンブランわが筆圧は芯を二度折る
内緒よっ(真顔よりやっぱ笑顔のトム・クルーズが好きなのアタシ・・・)
人ごみを撮ってどうする外国人 渋谷スクランブル交差点
十年の介護終えたる一月の未明を照らす白い満月
 ↑平成31年度大田区春季短歌大会・大会賞・梓志乃選者賞・互選賞
プランターを我が家と思い咲く花の いただきし青飛んできし赤
 ↑令和元年NHK学園通信講座作品コンクール・秀作
桁違いではあるけれど升に盛る節分の豆七粒を食う

無料にて眼鏡を洗う店先のキカイの名前何というの
(佐知子)
 → 店員に声をかけられドギマギす超音波のメガネ洗浄機
(Tamu)

(コ)来ぬ人を(ロ)路傍で待ちし(ナ)夏の日に
      
(ウイ)憂いの指もて(ルス)留守電さぐる
 ↑令和2年度NHK全国短歌大会・入選作(自由題)

揚げたての牡蠣フライ六個食べしのち この胸やけを楽しんでおり
 ↑令和2年NHK学園通信講座作品コンクール・優秀賞
ラーメンと焼きソバの袋を取り違え焼きソバ風のラーメンを食う
 ↑令和3年NHK学園通信講座作品コンクール・佳作
トム・ハック・アンと名付けて金魚飼う 心棒なりし物語より
外は雨うすい上着を羽織りつつ千年前の歌にふるえる
 ↑令和3年・大田区春季短歌大会・大会賞
北風にあおられ落ちた白きシャツ 物干し場にてバンザイポーズす
ハンドルが右に左に流されて自転車軽し春風強し
日曜日は春の日和のあたたかさ 縁側もなく猫もいないが
 ↑令和3年度NHK学園通信講座・冬の誌上短歌大会・佳作
夕闇にまぎれて爪に目をやれば あらほんのりと桜色だわ
交易のさかんでありし奥多摩のむかし道ゆく余暇のわれらが
この一年家居の夫がつぶやいた「ウーバーイーツなんなんだそれ?」
思うことあらば残らず出せよとて夕べの春雷耳にせまり来
コンピュータ語に挟まれて日本語は「です・ます」だけのドコモショップ
五キロごとモニタリングのポストあり 常磐道をフクシマへ入る
 ↑令和4年度NHK学園通信講座・冬の誌上短歌大会・佳作
ウクライナの「終戦の日」いつ来るや 日本は七十七回目です
黒光りしていた髪を茶に染めて静かな孫は何を訴う
 ↑令和4年度NHK全国短歌大会・入選作(自由題)
箱根路へ向かう若者来るまでを見知らぬ人と駅伝談議
帽子からはみ出る白髪のご利益かラッシュアワーに席譲られて
ユーチューブ懐メロ聴いて三時間 夫と深夜のDJになる
みぞれ降る夜に娘と孫は来て ほっほほっほとおでんをつつく
 ↑令和5年度NHK学園通信講座・冬の誌上短歌大会・佳作
帽子からはみ出る白髪のご利益かラッシュアワーに席譲られて
 ↑令和6年度NHK学園・くにたち短歌大会・佳作


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