佐知子の歌日記・第十六集
佐知子の歌日記・第四十八集
令和6年7月〜9月
手回しの鉛筆削りなお使う 六十五年の鈍き音たて
人の声聞き取りにくし 花や木に涙まじりの水やりをする
「晴れたよ」と喜ぶ友の声弾み常念尾根を軽やかに行く
使います中学生がと店主言う縦十七行のキャンパスノート
日本をのそりのそりと巻き込んで台風十号暴れ放題
室温の二十七度に涼しいと感じてしまう九月四日よ
老人の老人による祝賀会「また来年も」を合言葉に
烏帽子山の頂上踏めず十津川の温泉に入り齢を思えり
千六百キロ運転の夫に「お疲れ」の言葉も忘れ玄関に入る
ちらほらと巾着田に咲く彼岸花 見物人もまばらなりけり
「日和田山からエベレストへ」と碑に刻まれた田部井淳子の偉業を思う

探せども探せども無い手作りの夫の箸置き八年使うが (7.3)

手回しの鉛筆削りなお使う 六十五年の鈍き音たて (7.3)

朝からの三十度超えに幾度も見つめられたる温湿度計 (7.6)

いつもより裏の小道に人多し都知事選挙の用紙片手の (7.7)

人の声聞き取りにくし 花や木に涙まじりの水やりをする (7.16)

 
大楠山(おおぐすやま)ハイキング (7.17)
大楠山汗かき下り腹痛をいっとき忘れまぐろ丼食う

 
北アルプス常念山脈・5日間の山旅 (7.29〜8.2)
 第1日目(東京…上高地〜徳沢園)
朝食はあずさ号にてお決まりのあさりたっぷり深川弁当
梓川右岸の道は混み合いて外人多し明神までは
徳沢園みごとな食事に酒・会話 はずむ老い人七人である
 第2日目(徳沢園〜蝶ヶ岳ヒュッテ)
黙々と雨の山道登りたり蝶ヶ岳へと重いリュックで
 第3日目(蝶ヶ岳〜常念岳〜常念小屋)
「晴れたよ」と喜ぶ友の声弾み常念尾根を軽やかに行く
夕方の丸く大きなブロッケン友らの笑顔あふれる小屋前
 第4日目(常念小屋〜大天井岳〜燕山荘)
梅ジャムとクラッカーの昼 青空とおいしい空気と緑の山よ
大天井・槍・穂・剱や富士山と名だたる山のパレードである
長丁場の歩程に足がもつれたか転び怪我した友痛々し
応急の手当てが良しと夏山の診療所で言われたらしい
 第5日目(燕山荘〜中房温泉…)
朝七時合戦小屋の西瓜食べ皆に笑顔が戻ってきたね

バックは常念岳
  常念岳は目の前だ↑

転居する友を囲んで十四名 なごり惜しやと浜辺に酔いて (8.18)

 原因不明の腹痛に・・・
カプセルに閉じ込められて二十分 MRIの轟音のなか (8.19)
「痩せたね」が褒め言葉から不安へと谺になりて体内めぐる (8.20)

使います中学生がと店主言う縦十七行のキャンパスノート (8.28)

日本をのそりのそりと巻き込んで台風十号暴れ放題 (8.30)

室温の二十七度に涼しいと感じてしまう九月四日よ (9.4)

清掃車のガァ−という 音聞き取れずゴミ当番に何度か路地へ (9.13)

老人の老人による祝賀会「また来年も」を合言葉に (9.16)

 
西日本への5日間の山旅 (9.17〜21)
 東京〜和歌山県(烏帽子山登山)
だだ広い部屋のカーテン全開し550キロの乗車を休む
烏帽子山の頂上踏めず十津川の温泉に入り齢を思えり
登山着の参拝の人数多いて熊野大社に我らも詣でる
 奈良県(釈迦ヶ岳登山)
テレビでは田中陽希がスキップの釈迦ヶ岳への草原へ来た
 奈良県〜兵庫県(氷ノ山登山)〜東京
十五年前のカーナビと土地勘のない我ら乗せ車は養父市へ
断念の二座の分もと意気込みて氷ノ山では頂きに立つ
本当に四方八方山である うす青くひく裾野つらなり
千六百キロ運転の夫に「お疲れ」の言葉も忘れ玄関に入る

氷ノ山の山頂にて
 
 氷ノ山の山頂にて↑

 
日和田山から物見山 (9.24)
ちらほらと巾着田に咲く彼岸花 見物人もまばらなりけり
「日和田山からエベレストへ」と碑に刻まれた田部井淳子の偉業を思う


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