和歌山・奈良・兵庫へ 5日間の山旅日記-その① No.481 烏帽子山910m(和歌山県) 令和6年(2024年)9月18日(水) |
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9月18日=高田グリーンランド-《車8分》-林道終点(俵石登山口185m)~俵石集落跡~見晴台(烏帽子山の少し手前)~俵石集落跡~俵石登山口-《車1時間》-熊野本宮大社(参拝)-《車45分》…十津川温泉 【歩行時間: 4時間】 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ 9月19日=十津川温泉…釈迦ヶ岳登山(敗退)…やぶ温泉 9月20日=やぶ温泉…氷ノ山登山…ハチ北温泉 9月21日=ハチ北温泉…東京 岩崎元郎さんの新日本百名山(*)が発表されてから20年近くが経つ。ムキになって完登を目指したわけではないけれど、私達夫婦はそれなりにその存在は意識してきた。新日本百名山で未だ登っていない山を調べたら、残りは5~6座になっていて、その多くは西日本に属している。 この国の西側は不案内な地だけれど、ガイドブックやネット情報を頼りに、その残りの数座のうちの3座(和歌山県の烏帽子山・奈良県の釈迦ヶ岳・兵庫と鳥取の県境に位置する氷ノ山)に狙いを定めて、時間をかけて計画を練ってみた。しがらみを断ち切って、私達に許された連続する(初秋の)フリーな日は9月17日から21日までの5日間だ。温泉宿の予約もネット情報(なるべく安い宿)を参考にした。 お天気にもまずまず恵まれて素晴らしい山歩きの日々だったのだけれど…、結果論的には、マイカーの運転時間などとの絡みで、老夫婦の私達には少しきつい日程だった。つまり(三山完登には)もう1~2日が必要だった、と後悔することになる。 * 新日本百名山: 登山家の岩崎元郎さんが、中高年が登り易い山という点を加味して、各県から選んだ百名山。平成16年(2004年)10月5日付けの朝日新聞で発表された。 ●9月17日(曇り):東京→新宮高田 朝の6時頃には東京都大田区の自宅を発ち、首都高→東名→新東名→伊勢湾岸道→東名阪道→伊勢道→紀勢道…、と高速道路を快調に進み、熊野尾鷲道(無料区間)→国道42号線(熊野街道)と、紀伊半島の東岸を南下する。新宮の市街地へ入って右折して、(熊野川に沿った)国道168号線→(高田川に沿った)県道230号線…、と静かで風光明媚な谷間の道を走る。 途中のSAで食事を摂ったりGSでガソリンの補給もしたりして、この日の宿「高田グリーンランド・雲取温泉」の駐車場に着いたのは14時頃だった。走行距離は約550km(ETC料金:10,870円)。暫く運転から遠ざかっていたこともあり、妙に疲れた。助手席の佐知子は終始目を大きく見開いて、まんじりともせず前方の道路標識や標示を睨みつけていた。16年以上は使用しているカーナビなので、モニター上では空中遊泳する箇所(つまり新しくできた道路)が次から次へと出てくるのだ。 渋滞もなく思ったよりも早く着いたので、そのままマイカーを走らせて林道を進み、高田グリーンランドからは7~8分の運転で、烏帽子山の登山口(俵石登山口)を下見する。林道終点には7~8台は駐車できると思われる空間(駐車場?)があり、そのすぐ先の登山口の周辺には、緑に輝くシダ類やマツカゼソウの白くて小さな集散花序が、森のやさしい風に揺れていた。 高田グリーンランド・雲取温泉: “自然に囲まれた静寂な隠れ家”がキャッチフレーズ、らしい。地籍は和歌山県新宮市高田。高田川(熊野川の支流)のほとりに建つ“自然活用型宿泊研修施設”。日帰り入浴施設としても存在感を示しているようだ。ゲルマニウムを含むという温泉は、実感としては全く分からなかったけれど、多分スゴいものであるのかもしれない。地底1500mから汲み上げられたものらしい。微かに白濁、無味無臭のアルカリ性単純泉。加温。(多分)半循環。…受付のスタッフは、とてもいい感じ。チェックインを済ませた私達に烏帽子山登山の注意点などを丁寧に教えてくれた。1泊2食付き一人6,150円(税込)はかなりの割安感で、もうなんも言えない。 高田グリーンランドのホームページ 佐知子の歌日記より だだ広い部屋のカーテン全開し550キロの乗車を休む ●9月18日(晴):高田…烏帽子山登山(途中撤退)…十津川温泉 高田グリーンランド・雲取温泉の7時からの朝食後、マイカーを約8分走らせて、昨日下見をしておいた烏帽子山登山口(俵石登山口)のがらーんとした駐車スペースに車を止める。ここは標高約180m。昨日観察したシダ類やマツカゼソウに見送られ、歩き始めたのは8時近くになっていた。シダ類もそうだが、道沿いのコケ類も緑に輝いてとても美しい。 スギ林の中をひたすら登る。途中で大小6回の徒渉(大1+小5)があったり石積みの俵石集落跡を通過したり、と変化に富んだトレイルで、飽きることはない。ところが2時間ほども歩いた地点…樹林の隙間から近隣の山々がチラッと見える見晴台と呼ばれる箇所を少し過ぎた処(標高約700m)…でハタと考えて、緊急夫婦会議となった。ここから烏帽子山の山頂910mを往復すると優に1時間以上はかかってしまいそうで、きょうのこれからの行程にシワ寄せがきそうだ。…で、「ここいら辺で引き返そうか」ということになった。佐知子はもちろん大賛成だ。 その緊急夫婦会議の内容(山頂断念の言い訳)を箇条書きにしてみる。↓ ・疲れたし、この先はもっと急登になるらしいし、風がなくて超蒸し暑いし、ザックの水分が足りなくなりそうだし… ・烏帽子山の山頂には展望がないというし…(→じつは山頂の先に展望の良い帽子岩があるのだが…) ・この見晴台の辺りまでで(多分)烏帽子山の魅力の半分くらいは満喫できたと思うし… ・やっぱり安全と安心が第一だし… ・なるべく早く今日の宿(十津川温泉)に着いて、テレビで大相撲(9月場所の11日目・大の里が連勝中)をゆっくりと観戦したいし… ・十津川温泉へ行く途中にある熊野本宮大社に立ち寄って参拝する時間も欲しいし… そう(山頂をあきらめて途中撤退)と決まったら心が軽くなって、見晴台に戻って小1時間の大休止。菓子パンなどを食べたりサーモスの熱い湯で紅茶を淹れたり、そして周囲の植生についてなども観察したり…することができた。 * 見晴台の近辺で観察のできた樹木: ヒノキ(多い)、スギ、アカマツ、葉の小さいアセビ(多い)、サカキ、クロソヨゴ?、(コバノ?トサノ?)ミツバツツジ、コメツツジ(=ウンゼンツツジ)、ネジキ、…など。林床にはシダ類が多く、ササ類や草本が超少ないのは珍しいかも。 登山口に戻り着いたのは13時頃…。きょうのこのコース(烏帽子山の俵石コース)を歩いたのは私達だけのようだ。朝と同じに、私達の青いマイカーだけがポツンと駐車スペースに停まっていた。 烏帽子山の登山道について: 烏帽子山910mは和歌山県の新宮市と那智勝浦町の境に位置しているが、「新日本百名山(山と渓谷社)」の該当項では、那智大滝も近い南側(那智勝浦町)の大門坂から陰陽ノ滝などの滝めぐりをしながらの沢コースが紹介されている。ところがその沢コースは13年前の頃から登山道崩落のために通行不可となっている。 私達が歩いたのは北側(新宮市高田側)の中腹までで、この山の云々を語るには語弊があるかもしれないが…、烏帽子山登山の真骨頂は南側(那智側)の滝見物にあるのかもしれない、と思った。なんとなれば、岩崎元郎さんの烏帽子山のキャッチフレーズは「那智大滝の源、深山幽谷の霊気」であり、南紀在住だった博物学者の南方熊楠(みなかたくまくす)が観察のホームベースにしていたのも烏帽子山の南麓(夜見ノ滝がかかるクラガリ谷)だった、という。 今回、那智大滝を見物する機会がなかったのが少々心残りだったけれど…もう半世紀も昔のことだが…一度は見物しているので、まぁいいかぁ~。 佐知子の歌日記より 烏帽子山の頂上踏めず十津川の温泉に入り齢を思えり
次項「釈迦ヶ岳(奈良県)」へ続く
見晴台から妙法山方面(南面)を望む ↑妙法山749mは富士山を遠望できる西端の山…とか 烏帽子山登山の写真集: 大きな写真でご覧ください このページのトップへ↑ ホームへ |