佐知子の歌日記・第十六集
佐知子の歌日記・第四十一集
令和4年10月~12月
「朔日」のひびき晴れやか新品の鉛筆三本使い始める
冬ならばスキー客らで賑わえる志賀高原は静かな秋色
山道の左右に清き水流れ岩菅山
(いわすげやま)へと誘われたり
赤ワインりんごジュースに芋の茎「信州クーポン」を使い果たせり
ネコジャラシ散歩帰りに摘んできて一輪挿しに飾る夫よ
歯科眼科きのうはワクチン五回目の いつまで続くか老い人の忙
霜月の日暮れ気になる山道にアスファルト見ゆ 安堵の瞬間
テーブルの手鏡に向く女子高生 新幹線にて化粧の二時間
赤や黄のもみじをいっそう際立たせ空よあなたは今日もブルーか
朝六時徹夜の夫が笑ってるワールドカップ スペインに勝った
ぽこぽこと散らばりている低き山 讃岐平野に紅葉うつす
金比羅山 千三百の階段をうどんの力で登りきりたり
急坂の細いロープを掴みつつ 下ればそこは栗林公園
「朔日」のひびき晴れやか新品の鉛筆三本使い始める (10.1)

朝のお茶ぐいと飲み込み見るテレビ どのチャンネルもJアラートで (10.5)

ブラウスは友の手作り青生地に白い小花と小鳥が遊ぶ (10.9)

 
志賀高原の山旅[志賀山岩菅山 (10.10~12)
冬ならばスキー客らで賑わえる志賀高原は静かな秋色
思い出の記憶違いは多々あれど五十年目の熊の湯温泉
山道の左右に清き水流れ岩菅山
(いわすげやま)へと誘われたり
うろこ雲空一面の朱となりて「おーお うぉーお」と言うばかりなり
ブナ林を見上げ微笑む夫である傘さし歩むカヤの平に
赤ワインりんごジュースに芋の茎「信州クーポン」を使い果たせり
四十八池:バックは裏志賀山
 ↑志賀高原の四十八池湿原

9点に入れば皆の拍手ありシニアの輪投げ案外むずかし (10.17)

ネコジャラシ散歩帰りに摘んできて一輪挿しに飾る夫よ (10.25)

納戸より「お久しぶり」と声のするワインラックや餅つき機らの (10.26)

かつ節か卵が先かと迷いたるお好み焼きに弾む夕食 (10.27)

またしても元の壁見る一ヶ月カレンダーの貼り場所変えて (11.8)

望遠鏡買ったんですと赤黒い皆既月食を見る隣人 (11.8)

歯科眼科きのうはワクチン五回目の いつまで続くか老い人の忙 (11.14)

 大多摩ウォーキングトレイル (11.16)
十五個の差し入れの柿はたちまち友らの腹に消えてしまいぬ
八人の足どり軽し奥多摩の清い空気を胸におさめて
赤や黄のもみじをいっそう際立たせ空よあなたは今日もブルーか

つながらぬ電話に怒るが灯油屋が来れば値上げに文句も言えず (11.20)

 
愛知県への山旅[鳳来寺山石巻山 (11.21~22)
千四百の石段登り本堂へ御利益願う鳳来寺山
低山と言えども奇岩あまたあり足場に迷い膝が泣いている
行者越えあたりで迷うがコンパスと地図読む夫が見つけた山路
霜月の日暮れ気になる山道にアスファルト見ゆ 安堵の瞬間
川底の岩が大きな板のよう鳳来峡の流れ静かに
手違いにクーポン券はもらえないお土産無しの湯谷温泉
半島や渥美湾を抱え込む豊橋を見たり石巻山より
テーブルの手鏡に向く女子高生 新幹線にて化粧の二時間
石巻山の石灰岩の山頂
 
↑石巻山の山頂にて

湯島から順天堂までリヤカーに乗せられ姑はわが夫を産んだ (11.29)

たのしみのグランドゴルフ休みたり今日は火曜日ゴミ当番だ (11.29)

朝六時徹夜の夫が笑ってるワールドカップ スペインに勝った (12.2)

十二月の雨は上がりてつわぶきの濃きみどり葉に玉なす露が (12.6)

 
四国への山旅(稲叢山飯野山・紫雲山) (12.11~14)
はじめての成田エキスプレスに乗る京急の事故に仕方なくて
はじめてのジェットスター機に乗る「ピーチ」にあきた訳じゃないけど
落人の隠れし洞窟見上げれば鉄の鎖が一本揺れてる
狸かな貂かもしれぬ足跡が新雪にあり我らを導く
カーナビが教える帰路は雪の道 夫は静かにハンドル回す
ぽこぽこと散らばりている低き山 讃岐平野に紅葉うつす
標高は四百ちょっとの飯野山すがた美し讃岐の富士山
金比羅山 千三百の階段をうどんの力で登りきりたり
急坂の細いロープを掴みつつ 下ればそこは栗林公園
四国山地のど真ん中!
 ↑稲叢山の山頂にて

年ごとに減る年賀状 印刷に手書きのひとこと添えて送りぬ (12.22)


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