四国(高知〜香川)・3泊4日の山旅日記・その@ No.446 稲叢山(いなむらやま・1506m) 令和4年(2022年)12月12日(月) |
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12月12日(登山日)=高知-《車100分》-稲村ダム登山口〜(滝めぐりコース)〜四差路〜稲叢山1506m〜(小路ルート)〜稲村ダム登山口-《車100分》-土佐ぽかぽか温泉(入浴)-《車10分》-高知パレスホテル 【歩行時間: 3時間40分(上部は雪道)】 ※移動はレンタカー → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(稲叢山)へ 高知県高知市に2泊、香川県高松市に1泊の、LCC(今回はジェットスター)を利用した格安ツアーをネットで見つけて、すぐ予約した。新型コロナからの観光需要喚起策としての全国割や地域クーポンやらで、驚いてしまうほどの低料金で旅ができる…不思議なこのご時世に感謝すべきなのか憂えるべきなのか…、ちょっと考えさせられてしまうけれど、まぁ、いいかぁ。 ●登山前日(12/11・高曇り) 五台山公園散策 14時半頃、定時を少し遅れて機は高知龍馬空港に降り立った。ツアーのセットにもなっているレンタカーの手続きもスムーズで、まずは桜とツツジの名所で夜景スポットとしても知られる五台山公園へ行ってみる。 なるほど、最近オープンしたという五台山の展望テラスなどからは高知市街や浦戸湾がよく見渡せる。紅葉もまだ充分に楽しめて、思わずあっちへ行ったりこっちを歩いたり、長居をしてしまった。近くにある四国八十八ヵ所第三十一番札所「竹林寺」の参拝や牧野富太郎博士の業績を顕彰する「牧野植物園」の見学を端折ってしまったのは、後から思うと、返す返すも心残りだ。…高知市民が羨ましい…。 この日からの(2連泊の)宿は高知市街の目抜きに位置する「高知パレスホテル」だ。温泉宿に宿泊するのが私達夫婦の山旅の標準スタイルなのだけれど、最近は特に、あまり気にしない。というか、ツアーで(宿が)セットになっているので選べない。超割安だから…、これもまぁ、痛し痒しだ。 この日の夕食は地域割り(クーポン券)を利用して、近くの海鮮料理屋へ。カツオの刺身をつまみに飲んだ地酒(利き酒セット)が超美味くて、やっぱり、ちょっと飲み過ぎたかも…。 ●登山日(12/12・晴れ) 稲叢山登山 6時30分からのホテルの朝食後、カーナビに導かれて1時間40分ほども運転すると稲村ダムの調整池(ダム湖)が見えてくる。“近辺から切り出した石英片岩で造成したロックフィル式の堰堤”とのことで、なかなか立派で美しい景観だ。その管理棟脇のがらーんとした駐車場に車を停めて、軽ぅ〜くストレッチしてから手袋をつけて、車止めのゲートをすり抜けて歩き始めたのは9時半頃だった。ここは標高既に約1130m。高知県の北、四国のど真ん中だ。 保線道の登山コースを右に見送って、ダム湖の北岸を西進する。それから暫らくしてそのダム管理道を左に見送ると、いよいよ登山道だ。モミ、ツガ、リョウブ、ヒメシャラ、シデ類(アカシデ?)、そしてブナなど、割と細身の樹木が多いようだ。林床の主はスズタケかな。 分岐で下山路に予定している小路ルートを左に分け、沢ルート(滝めぐり・洞窟コース)へ進む。と間もなく昨夜から今朝にかけて降ったと思われる残雪が現れる。四つ足のフィールドサインがずっと続いているけれど、タヌキかなぁ、それともテンとかイタチとか、かなぁ、などと云いながら沢沿いを登る。岩が多くて、けっこうな迫力だ。 季節的なものか、流れ落ちる水量の少ない大滝を過ぎると間もなく「伝説の洞窟」の標識が出てくる。事前にネットで調べていたこともあり、登山道の左側の岸壁に架かるクサリを攀じ登るとその洞窟に至ることは知っていたけれど、殆ど垂直な岩盤がやっぱり怖いので、佐知子と相談して登攀するのは断念する。少し進んで振り返ると、その岸壁の上に、洞窟の入口と思しき黒影が見える箇所がある。「案外と大きいね」「あんな怖い処に平家の落人たちは隠れていたのかしら」などと、そのときは会話が弾んだ。 それから暫くすると殆ど垂直な一枚岩のクサリ場が出てくるが…このコースは思ったよりも随分と整備されていて…足場がしっかりしているのでそれほど怖くない。やがて稜線の四差路へ出ると、道はそこからはなだらかになる。積雪が益々深くなってきたけれど、アイゼンは必要ない程度だ。リョウブやツツジ類の目立つ山稜を進み、シャクナゲのトンネルを過ぎて岩を少し登ると、その岩上が案外と狭い稲叢山の山頂だった。 二等三角点(点名:稲村ヶ台)と稲叢大明神の小祠のある稲叢山の山頂は、狭くとも居心地の良い、超一級の展望台でもあった。展望の山々の中で私達がすぐに指呼できたのは西面の石鎚山だけで、その他の山名は恥ずかしながら知らない。とにかくここは四国山地のど真ん中だ。四方が山だらけで、残雪はあるけれど、風が弱くてぽかぽかと日も差して、こんな仕合せなロケーションはめったにない。インスタントコーヒーの粉をサーモスの熱い湯で割って、コンビニのメロンパンとピスタチオとアーモンドチョコで、極上の大休止を楽しむ。 小1時間ほども静かで素敵な山頂で過ごして、南東(小路ルート)へ向かって下山を開始したのは13時頃。ブナやミズナラの森をひたすら下って、道に積雪の消えたスギの林を抜けると、今朝来たダム管理道に降り立つ。ほっとして湖岸の道を歩き、稲村ダムの駐車場に戻ったのは14時10分頃だった。 とうとう誰にも出逢わない、私達だけの静かな稲叢山で、予想外の積雪にはびっくりして慌てたけれど、変化に富んだコースということもあり、結果的にはファンタスティックで楽しい登山になった。 不思議だったのは、稲村ダムから高知市街へのカーナビだ。行きにはなかった積雪の峠道を、恐々と(ノーマルタイヤで)走っているときに、なんか変だ、とようやく気がついた。つまり、行きと帰りのルートが全く違っていて、朝の往路は県道6号線を北上するルート、午後の復路は北西側の本川発電所経由で国道194号線を南下するルート、をカーナビは指示していたのだ。どちらのルートでも時間的には殆ど同じ結果なので…、カーナビの気まぐれだったのかもしれない。 * 稲叢山について(補足): 高知県の北部・四国山地の中心部に位置する稲叢山(いなむらやま・1506m)は、新日本百名山および四国百名山に選定されています。急峻な絶壁が見られる山容から「鬼城山」とも呼ばれていて、1980年代の稲村ダム建設以前は人を寄せ付けない深くて遠い山だったそうです。ウィキペディアの該当項によると“山名は頂上が稲に似た叢(くさむら)に覆われていたことに由来する”とのことですが、私達が登ってみて感じたのは“岩っぽい山頂部”ということでした。人の感性は人それぞれ、ということもあるし、時の流れで山が変わったのかもしれないし…、その正解は謎です。 稲村ダムの登山口(標高約1130m)からの登山コースについては、私達が歩いた「滝めぐりコース」と「小路コース」の他に「保線道コース」があります。また、北面の稲叢トンネル入口の登山口(標高約1330m)からの最短コースもあります。軟弱な私達夫婦にとっては今回のコース選択は(日帰り登山として)適量なボリュームでしたが、歩き足りないと感ずる健脚者はその北東に位置する西門山1497mと併せて歩くといいかもしれません。 土佐ぽかぽか温泉: 稲叢山の下山後に立ち寄ったのが、高知市街の南西に位置するこの日帰り温泉施設で、(株)創裕が運営するチェーン店のひとつ。元々スーパー銭湯だったのが、温泉の掘削に成功したらしい。泉質はナトリウム塩化物泉、無色透明無味無臭。広い館内でゆっくりとくつろげる。65歳以上のシニアの入館料は650円で、110円ほど安くなっているのがチト嬉しい。…まぁ〜シティホテルの味気ないユニットバスよりはよっぽどもいいと思う。 帰路に(期せずして)国道194号線を経由したので、立ち寄り湯としては「木の香温泉」を利用する手もあったかな、とあとになってから気がついた。 「土佐ぽかぽか温泉」のホームページ 佐知子の歌日記より はじめての成田エキスプレスに乗る京急の事故に仕方なくて はじめてのジェットスター機に乗る「ピーチ」にあきた訳じゃないけど 落人の隠れし洞窟見上げれば鉄の鎖が一本揺れてる 狸かな貂かもしれぬ足跡が新雪にあり我らを導く カーナビが教える帰路は雪の道 夫は静かにハンドル回す |