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志賀高原2泊3日の山旅日記・その1
No.442 志賀山2036m
令和4年(2022年)10月10日(祝) 曇り時々晴れ マイカー利用

志賀山の略図
雨が止んだ・・・
登山開始(バックは笠ヶ岳)

水溜りに注意!
渋池を通過

ここが山頂??
展望盤のあるピーク

上空が開けてきた
志賀山の三角点

大沼池が見えるぞ!
展望箇所でも一休み

ここが裏志賀山の山頂かも・・・
志賀山神社に参拝

コミネカエデの紅葉
下山路にて


やっぱり志賀高原はいいわねぇ〜

《マイカー利用》 …関越自動車道・渋川伊香保IC-《車・約2時間》-志賀高原・硯川〜渋池〜志賀山2036m〜裏志賀山2037m〜四十八池湿原〜渋池〜硯川・熊の湯温泉(泊)…翌日は岩菅山登山 【歩行時間: 3時間30分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 「そうだわ!懐かしの志賀高原を歩いてみましょう!」 という妻の佐知子の発案で、急きょ宿の予約などの準備をした。27年前の秋に横手山〜鉢山〜四十八池〜熊の湯、と二人で歩いたことがあるけれど→No.17「横手山」、そのときも20数年ぶりの志賀高原だった。そう…、上信越高原国立公園の一角を占める志賀高原は…冬のスキーの…私達の青春の想い出が詰まった地なのだ。

 未明に東京都大田区の自宅を出て、関越自動車道を北上して渋川伊香保ICから国道17号線→353号線→145号線とマイカーを走らせる。辺りの景色がかなり山っぽく(自然に)なってくる。長野原からは国道292号線へ進み、懐かしの草津温泉を通過して、どんどん高度を上げる。そして、これも懐かしの本白根山の登山基地(現在は噴火警戒レベル1で火口付近は立入禁止)の脇を抜け、日本国道最高地点碑(標高2172m)も通り過ぎ、ぐ〜んと下って標高約1690mに位置する「ほたる温泉・硯川(すずりかわ)」の駐車スペースに到着する。眠気の吹っ飛ぶ…というかワクワクする…素敵なドライブだった。幸いにも朝から降ったり止んだりしていた雨が完全に上がって、この頃から薄日が差してきた。
 稼働していない前山リフトを横目で睨みながら、広い遊歩道を歩き出したのは10時20分頃だった。少し登って振り返ると、志賀高原のランドマ−クともいえる尖がった笠ヶ岳2076mが、その山頂部に薄雲を残してひょうきんな感じて屹立している。道端にはヤマハハコや野ギクの類が咲いている。何気に、シラタマノキがその白玉(果実)をたわわに実らせている。ちょっとつまんで食べてみる。よく熟れていて、甘くてスーッとした清涼感もあって、とても美味い。…と、おっといけない。ここは国立公園。むやみに採って食べてはだめですよ。…で、二粒だけにしておいた。佐知子はもちろん食べない。
 20分ほども登ると前山リフトの山頂駅が近くに見えてきて、指導標に従って分岐を右折して、しっとりとした渋池の畔を進む。モウセンゴケがたくさん生えているらしいが、花もとっくに終わったこの時季では…小さいし…ちょっと見ではよく分からない。この辺りは前山湿原と呼ばれる広々とした高原で、これから向かう志賀山2036mやその右手の饅頭を潰したような山容の鉢山2041mが近くに見えている。
 やがてコメツガ、シラビソ、ダケカンバといった亜高山性の樹林帯へ入る。林床の主はチシマザサ(ネマガリダケ)だ。森の脇役はオオカメノキ、ナナカマド、オガラバナ、コミネカエデ、ドウダンツツジ、アカミノイヌツゲ、そしてネズコ(クロベ)、などで、自然な植生だ。流石にこの一角がユネスコ・志賀高原エコパーク(志賀高原生物圏保存地域)の核心地域に指定されただけのことはあると思う。
 分岐を左折して、いよいよ志賀山の登山道へ入る。そして40分ほども急坂を登ると小広い空間へ出る。ここには木のベンチがあって、古いけれど立派な方位盤が設置されている。でも木々に囲まれて展望はなく、山頂標識もなく、なんか変だとは思ったけれど…、ここで大休止にする。何気に、目の前に割と大きな松が生えていて、その根元に「ポイント10-25・五葉松」と書かれた標識板が置かれている。おにぎりを食べながら近付いて見てみると、確かに五葉(短枝に針葉が5本束生)のマツだ。針葉の長さが8cm〜10cmほどもあるので(ヒメコマツではなくて)キタゴヨウかも、と思った。
 大休止の後、よっこらしょと腰を上げて、少し進むと開けた小広場へ出る。中央には三等三角点2035.65m(点名:志賀)の標石があり、それに寄り掛かるようにして小さな木板の…「志賀山」と書かれた…地味な山頂標識が置かれている。う〜ん、そうか、こちらが志賀山の山頂だったのか、と納得して、取り敢えず証拠写真を撮って、いそいそと裏志賀山へ向かう。足元ではゴゼンタチバナが可愛らしく赤い実をつけている。
 山稜を進むと背の低い…這っている…五葉のマツが目立ち始める。う〜ん?なんだこれは? もしかして(キタゴヨウやヒメコマツではなくて)高山帯の象徴であるハイマツかも、と気がついて驚いた。この辺りの標高が2000m足らずだったからだ。

* 志賀山の五葉の松について: マツ属の中で、その針葉が5本束生する種の代表格が高木の五葉松で、その変種にはキタゴヨウやヒメコマツがあります。高山帯に自生する低木のハイマツも葉は5本ずつ束になっていますが、キタゴヨウなどとの境界は案外と曖昧で、その中間種らしきものも多々あると聞きます。この志賀高原のハイマツと思しき五葉のマツが、まさにそれ(中間種=交雑種)かもしれない、と、なんとなくそう思いました。…それは実際、DNAとかミトコンドリアとか、そんな遺伝子レベルでの話で、私の浅薄な同定の推論を信じてもらっても困りますが…。[Tamu]

 そのハイマツやチシマザサや、疎に茂るコメツガ・シラビソなどの明るい山稜を進むと…遠景は雲の中だったけれど…横手山や笠ヶ岳や鉢山などの近隣の山々がよく見える。所々から湿原を飾る小さな池も見下ろすことができて、なかなかの展望だ。しかし岩場もあったりで、気が抜けない。裏志賀山の山頂手前の展望箇所などからは、森に囲まれた青色の大沼池が神秘的に見えている。その大沼池の左上空の、寺小屋峰の右肩から顔を出している双耳峰的な山容は、あれは明日に登る予定の岩菅山に違いない。
 志賀山神社の石祠が置かれた裏志賀山の山頂部も、木々に囲まれてひっそりとしていて、なんか、霊気が漂っているように感じた。何れにしても、この志賀山は、思っていたよりもずっと静かでワイルドだ。
 裏志賀山から四十八池湿原へ下ってからのトレイルは、27年前に歩いた懐かしの道(→横手山)だが、例によって、佐知子も私も殆ど記憶が薄れていて、その思い出話も長くは続かない。池畔を巡りながらの二人の会話を要約すると…「まぁでも、あのとき端折った志賀山登山ができて、よかったじゃない」…「ささやかながらリベンジ成功かも」…「冬も夏も、やっぱり志賀高原はいいわねぇ〜」、といった帰結だったと思う。
 ほたる温泉・硯川の駐車スペースに下山したのは15時30分だった。今日の宿「熊の湯ホテル」はここからすぐ近くだ。

* 志賀山(しがやま)について(補足): 志賀山2036mと裏志賀山2037mの二つのピークの総称が志賀山で、別名を向志賀山(むこうしがやま)とも云うようです。両峰間は直線距離で約500mあり、見た目よりもけっこう離れています。日本山名事典(三省堂)の該当項によりますと、『カルデラ湖の旧志賀湖から噴出した火山で、その際に流出した溶岩台地が志賀高原である』とのことです。
 なお、志賀山は新日本百名山・信州百名山・信州百山の一座に選ばれています。


佐知子の歌日記より
冬ならばスキー客らで賑わえる志賀高原は静かな秋色
思い出の記憶違いは多々あれど五十年目の熊の湯温泉

熊の湯温泉「熊の湯ホテル」: No.17「横手山(志賀高原)」の頁を参照してみてください。

次項「岩菅山」へ続く



〜池めぐりも楽しい〜
奥は赤石山
裏志賀山から大沼池を見下ろす
四十八池に着地!
四十八池湿原:バックは裏志賀山
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