「私達の山旅日記」ホームへ

志賀高原2泊3日の山旅日記・その2
No.443 岩菅山(いわすげやま・2295m)
令和4年(2022年)10月11日(火) 概ね晴れ マイカー利用

岩菅山の略図
アライタ沢コースの起点です
聖平の岩菅山登山口

アライタ沢に注ぐ支流のひとつ
武右衛門沢の徒渉
木橋が割れている・・・↑

上条用水路との合流地点
アライタ沢を渡る
↑グリーンタフの岩盤
(緑色凝灰岩)


紅葉にはちと早かった・・・
ナナカマドの実

前方が岩菅山
天空の稜線漫歩だ!
↑花の季節には高山植物が
咲き乱れるらしい・・・


登山地図を見ているところです
岩菅山の山頂

コンロで湯を沸かして・・・
山頂でカップヌードル
発哺温泉の部屋の窓から…
「岩菅ホテル」の部屋の窓から撮影
素晴らしい夕焼け!


展望も植生も素晴らしい!

《マイカー利用》 前日は志賀山登山…熊の湯(泊)-《車25分》-聖平登山口〜小三郎小屋跡〜底清水〜アライタ沢出合〜中間点〜ノッキリ〜岩菅山2295m(往復)-《車10分》-発哺温泉(泊)… 【歩行時間: 5時間20分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 1998年の冬季オリンピックは長野県で開催されたが、そのとき、志賀高原の岩菅山山頂をスタート地点として男子滑降のコースを開設する計画があったという。しかしそれは自然保護を訴える市民運動などの結果、会場は北アルプスの八方尾根に移され、岩菅山のブナ林が救われた、というエピソードがあったことは周知のとおりだ。…戦後の志賀高原は開発し尽くされ、わずかに昔の姿をとどめているのはその岩菅山と志賀山くらいなものであるらしい。→「日本の山1000(山と渓谷社)」の該当項などを参照して記述]
 昨日の志賀山登山に続いて、本日は岩菅山登山だ。私的には、もうずぅ〜っと昔から狙っていた山で、この日も朝から気合が入っている。…結論を先に書いてしまうのはつや消しかもしれないが、この岩菅山は、展望も植生も、私の期待以上の素晴らしい山だった。それについては、いつも平常心の妻の佐知子も異論なく、諸手を挙げて賛成してくれた。

 熊の湯ホテルの7時半からの朝食を食べてからチェックアウトして、いそいそとマイカーに乗り込み、朝露に濡れたフロントガラスをワイパーで払ってから、徐に発進する。今日はいい天気だ。
 昨日も感じたことだが、この志賀高原はやっぱり冬向きの(スキーに特化した)リゾート地で、無雪期の今は何かと不便なことが多い。とりわけ交通関係(つまり道路)は…積雪時のスキーでの移動を考慮してのこととは推測するけれど…あちこちにたくさんあるスキー場や宿泊施設などの駐車場と幹線道路との境目が曖昧で…というか道路標識とか表示などがはっきりしなくて(完備されていなくて)…、カーナビを駆使しても観光施設などの脇道に迷い込んでしまう。
 そんな訳で、マイカーでの若干の“道迷い”もあったけれど…、まぁ何とか8時20分頃に、聖平の岩菅山登山口の狭い駐車場に着くことができた。既に5台ほどの車が駐車していたけれど、辛うじて私達の車の駐車スペースを確保できたことはラッキーだったかもしれない。平日のこの時間でほぼ満車ということは、やっぱりこのコース(アライタ沢コース)は人気のコースなのかもしれない。(→道路沿いに縦列駐車する、という手はありそうですが・・・)
 登山口の案内標示によると、ここは標高1535mであるようだ。岩菅山の標高が2295mだから、多少のアップダウンを考慮すると、凡その累積標高差は800mを優に超えそうだ。う〜ん、今の(日ごろの鍛錬不足の)私達にとっては、体力気力において、日帰り登山の限界の一歩手前くらいだ、多分…。
 準備して、気合を入れ直して歩き出すといきなりの急登だ。しかし登山道はよく整備されていて、丸太の階段などは割と歩きやすい。登山口付近に少し生えていたミズナラは標高が上がると姿を消し、ブナやダケカンバが目立ってくる。それらの林冠から降り注ぐ木漏れ日が目と心にやさしい。
 間もなく一の瀬方面からの登山道と合流して、そこ(小三郎小屋跡)からは上条用水路沿いの平坦な道が続く。右側に沿って流れるこの用水路は「清らかな小川」とでも表現したいほどの清流だ。「底清水」と呼ばれる水場を過ぎて、小さな枝沢を二つ三つ渡るとアライタ沢との合流地点(アライタ沢出合)で、その本流を木橋で渡る。地図で追いかけてみると、この地域を流れる沢水は雑魚川→中津川となって、新潟県の津南町で信濃川に吸収されているようだ。
 急登の再開だが、こちらも木製の階段が整備されている。1000段以上はあるそうだが…山道の丸太階段としては比較的歩きやすくて、それほどストレスにはならない。小休止した小ピーク1739mで辺りをよく見てみると、何時の間にかブナが消えていて、コメツガ・シラビソ・ダケカンバの亜高山性の植生になっている。中間層にはナナカマド(赤い実)やコシアブラも少し生えている。林床は矢張りチシマザサ(ネマガリダケ)で、とても自然で感じのよい森だ。
 「岩菅山中間点」と書かれた看板の置かれている箇所を過ぎる辺りから、左前方の樹林の隙間に岩菅山の堂々とした(ピラミッド型の)山容が見え隠れするようになる。近そうに見えたけれど、実際はここからが(も)けっこうきつく感じた。ぬかるんだ箇所やアップダウンの歩行が、ボディブローのように体力を消耗するのだ。
 ようやく主稜線へ出た。ここはノッキリと呼ばれる高天ヶ原登山口方面からの道との合流点で、左方へ進むと空が大きく開け、いよいよ「天空の稜線漫歩」の始まりだ。身体は疲れてきたけれど気分は最高潮になる。展望を楽しみながらガレ岩の急坂を登りきると、避難小屋もトイレもある岩菅山の静かな山頂だった。もちろん1点360度の超大展望だ。
 この岩菅山の山頂には一等三角点の標石や石祠、岩菅山大権現の石碑、そして秩父宮様の登山記念碑も立っている。その碑文によると、秩父宮様ご夫妻と竹田宮殿下(竹田恒徳様)は昭和4年8月7日に岩菅山に登臨されているようだ。昭和4年といえば私の母が生まれた年だ。凄いなぁ宮様は、と思った。
 山頂でぐるっと大きく見回してみる。近隣の志賀高原の山々や、原生林が広がる魚野川源流域の景色や、それらの向こうの上信越の数多の峰々などがジオラマとなって目に飛び込んでくる。西面の北信五岳の左後方には北アルプスがよく見えるらしいが、この日はその方面に雲が沸いている。南面の彼方に目立って見えているのは浅間山だろうか…その右肩のずっと奥に薄ぼんやりと…あっ、富士山だ。などと小さな声で騒ぎながら、コンロで湯を沸かす。最近の私達の山での定番メニュー。佐知子はカップヌードルで私はマルちゃんの赤いきつねだ。
 岩菅山の山頂2295mからこの先の裏岩菅山2341mまでは往復70分のコースタイムで、できれば行ってみたいのだが、大人しく来た道を引き返すことにする。…岩菅山は深くて静かでコースにも変化があって、森の姿も展望も予想をはるかに凌ぐ素晴らしい山だということが、もうこの時点でしっかりとガッテンできたし…、矢張りもう私の体力気力の限界ということもあるし…。
 山岳風景やこの山の植生を復習しながら楽しく下って、聖平登山口に戻り着いたのは15時25分。駐車場には私達の車ともう一台だけで、しーんとしている。今日の宿泊地はここからほど近い…今朝に通り過ぎた…発哺(ほっぽ)温泉だ。

* 岩菅山について(補足): 岩菅山は志賀高原北東部(奥志賀)にある山で、岩菅山と裏岩菅山の2峰からなっています。日本山名事典(三省堂)の該当項には、『西に位置する湯田中の湯宮神社と沓野の天川神社の奥の院として(山頂に)岩菅大権現が祀られ、石室もあり、木曽御嶽の流れをくむ行者の霊山であった。昔は岩巣護山(いわすごやま)と書き、タカの巣を管理する巣守衆がいて、幕府にタカの子を献じたと伝えられる。山名の「すげ」は草ではなく霧氷の意。または東側の魚野川地方から見ると柱状節理の岩が大きく見えることによるなど、諸説ある。』 と書かれています。
 なお、岩菅山は日本二百名山・一等三角点百名山・信州百名山・信州百山、などの一座に選ばれています。


発哺温泉「岩菅ホテル」: 志賀高原のほぼ中央、東館山の卵型ゴンドラ「たまゴンドラ」の麓駅の近く、離れて建つ数軒の温泉宿のなかの一軒。長野オリンピックのアルペンスキー大回転会場となった東舘山の中腹(標高1,600m)に位置する。登山客はもちろん、スキー客には特に喜ばれるロケーションだと思う。当初、私達はこのゴンドラを利用して寺小屋峰経由で岩菅山に登ろうと計画していたが、やっぱりアライタ沢コースの方が楽ちんそうなので、断念した次第。(^^;)
 ウィキペディアの該当項によると、発哺温泉は志賀高原最初の温泉(開湯は1841年)であるという。発哺(ほっぽ)の名の由来は水蒸気の湧き出すポッポ・ポッポという音、或いは、この地まで湯治で上ってくるまでに体が火照ってホッポ・ホッポと為ることから、といわれているらしい。泉質は単純硫黄泉、硫化水素泉で殆ど無色透明。源泉温度50℃。蒸気で温水化する、というのが面白い。石タイル貼りの広い浴槽の大きな窓からは北アルプスや北信五岳を一望することができる。外湯はないけれど、この内湯だけで必要かつ十分だ。
 この温泉旅館の特筆は、なんといってもその人間味のあるサービスだ。宿の対応はとても親身で親切で感じがよくて、また何時かきっと訪れてみたい、と思うほどだ。なるべく早い時間の朝食を、と希望したら7時30分のきまりを破って7時からにしてくれたのも嬉しい限りだった。1泊2食付き一人10,270円(税込み)だが、ちょうどこの日から(コロナの関係の)全国割やクーポンなどが始まって、実際に支払ったのはその3分の1以下だった。何れにしても、コスパはかなり高い。
 部屋の窓からも妙高〜高妻〜戸隠などの山々が見えるが、その上空に広がるこの日の夕焼けが素晴らしかった。
 外部のサイトへ移動 「岩菅ホテル」のホームページ

 この翌日(10月12日)は雨の一日で、予定していた高標山(たかっぴょうやま・1747m)登山を断念して、その麓のカヤの平で時間を過ごした。このカヤの平高原の、小雨に煙る美しいブナ原生林(信州大学・カヤノ平自然教育園・一周約700m)もとても良かった。
 帰路は林間の県道を西進して、上信越自動車道の信州中野I.Cから東京への家路に就いた。紅葉の旬には少し早かったけれど、素晴らしい志賀高原の、大満足の三日間だった。

佐知子の歌日記より
山道の左右に清き水流れ岩菅山へと誘いにけり



天空の稜線漫歩
岩菅山の山頂は近い!
ヤマウルシの紅葉がきれい!
カヤの平高原のブナ原生林
このページのトップへ↑
No.442「志賀山」へ次のページは工事中です



ホームへ
ホームへ
ゆっくりと歩きましょう!