佐知子の歌日記・第十六集
佐知子の歌日記・第三十五集
令和3年4月〜6月
この一年家居の夫がつぶやいた「ウーバーイーツなんなんだそれ?」
蓑山
(みのやま)は みどり黄みどり深みどりパッチワークを縁取る桜
そよ風に吊す黒傘白くなる小手毬の花散り広がりて
思うことあらば残らず出せよとて夕べの春雷耳にせまり来
水疱のできたは老化かと訊けば 医師はきっぱりそうですと言う
春の雨若葉にしみて青青しこの世にありと輝き見ゆる
あと少し雲よ上がれと願えども谷川の嶺に声は届かず
雨降りの目を慰めて薄紅の三つ葉躑躅の花は咲きたり
腕重く気だるい夕べ じわじわとコロナワクチンわが身をめぐる
擬宝珠
(ギボウシ)のうす紫の花満ちて この世の隅に生き抜いており
春蝉の啼き出でし声は胸に沁み眼
(まなこ)を閉じて暫し歩を止む
六月のスカイラインは緑なり ピンクを添える谷空木の花
高齢がワクチン接種待つ部屋に黒髪長き女性がおりぬ
あちこちで聖火はリレーされゆくが見物するなのコロナ対策 (4.2)

本当にオリンピックが出来るかなコロナのご機嫌伺うばかり (4.2)

この一年家居の夫がつぶやいた「ウーバーイーツなんなんだそれ?」 (4.2)

 
箕山ハイキング (4.3)
蓑山
(みのやま)は みどり黄みどり深みどりパッチワークを縁取る桜

大阪を変異ウイルス覆いおり東京もすぐとニュースは言うが (4.8)

苦笑いしつつ娘は蝋燭をえいと吹き消す苺ケーキの (4.9)

香り良し歯ごたえ良しの筍がわが全身に春を知らせる (4.12)

そよ風に吊す黒傘白くなる小手毬の花散り広がりて (4.18)

咲き終えた白やピンクのさくら草また来年と土を覆いぬ (4.19)

 
奄美大島の山旅 (4.23〜26)
コロナ禍に後ろめたさを持ちながら奄美へ向かうマスクをしつつ
持ち出すと祟りがあるとう白き石ホノホシ浜にて撫でてきたり
今日の宿トレーラーなり最小の用は足りるが戸惑いており
明け方の嘉鉄の浜を散歩して夫と見せ合う白い貝殻
雨のなか近道をして湯湾岳へ物足りないねズルした分が
看板につられ食べればステーキは牛ではなくて豚なのだった
半日を金作原のエコツアーへ メモとる夫のペンは走れり
おお痒い弓手を刺した虫は何 南の島はもう夏なのだ
透明な海はほんのり温かく水泳できる奄美の四月

思うことあらば残らず出せよとて夕べの春雷耳にせまり来 (5.1)

血管が青く浮き出る手の甲を隠していたい七十路ではある (5.3)

水疱のできたは老化かと訊けば 医師はきっぱりそうですと言う (5.10)

菓子を買う楽しみやめて二ヶ月の体重減はほんの二キロよ (5.10)

春の雨若葉にしみて青青しこの世にありと輝き見ゆる (5.13)

 
上越の三国山赤城山の鍋割山 (5.16〜18)
走りゆく十七号線なつかしや苗場湯沢はスキーの道よ
新緑のまばゆいばかりの樹樹を愛で 君とゆっくり三国の山へ
あと少し雲よ上がれと願えども谷川の嶺に声は届かず
木の枠が枕となれる浴槽の湯が溢れでる法師温泉
雨降りの目を慰めて薄紅の三つ葉躑躅の花は咲きたり

八時半混み合うネットに挑む夫 予約が出来たコロナワクチン (5.21)

幾度も白紙のノート見つめつつ指もて回す三菱鉛筆 (5.25)

帰り来て一週間もたたぬのに次ゆく山を探しておりぬ (5.27)

きのうまで出来ていたのに力むでもペットボトルの蓋あけられぬ (5.30)

腕重く気だるい夕べ じわじわとコロナワクチンわが身をめぐる (5.30)

封印をしていたアイス食すれば舌が飲み込む意志の弱きを (6.3)

擬宝珠
(ギボウシ)のうす紫の花満ちて この世の隅に生き抜いており (6.7)

 
福島の山旅(霊山登山) (6.11〜12)
それらしく名付けられたる霊山の奇岩おのおのらしく構える
春蝉の啼き出でし声は胸に沁み 眼
(まなこ)を閉じて暫し歩を止む
六月のスカイラインは緑なり ピンクを添える谷空木の花

膝痛でピノキオみたいな足運び スーイスイスイ歩いてみたい (6.15)

ノート繰り腰屈めつつ漬けにけり十八年目の梅干しづくり (6.19)

スマホ画面繰るたび消えぬ「グーグル」の文字に戸惑う夕暮れ時に (6.22)

高齢がワクチン接種待つ部屋に黒髪長き女性がおりぬ (6.26)

駐車場にブルーの軽を置く人と朝に挨拶す名は知らねども (6.28)

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