佐知子の歌日記・第十六集
佐知子の歌日記・第二十九集
令和元年10月〜12月
京急の「まぐろきっぷ」の名につられ三崎港にて鮪丼を食う
多摩川の氾濫しそうな画面見て大切なのは何かと問う夜
台風に数多の樹木倒されて山道消える鎌倉アルプス
雨多く鍋の木葢がカビてくる今年の十月神様が泣く
病癒えし道ゆく友に手を振ればその夫も振る大きな右手
四回目のヒアルロン酸注射終え果たして消えるか膝の痛みは
揚げたての牡蠣フライ六個食べしのち この胸やけを楽しんでおり
スマホには迷惑メールに挟まれて孫から届くハッピーバースデー
聖誕祭 静かに食す晩御飯 インフルエンザの息子と夫と
 城ヶ島ハイキング (10.3)
京急の「まぐろきっぷ」の名につられ三崎港にて鮪丼を食う
城ヶ島の荒磯歩きなつかしむ釣り三昧の夫の三十路を

用語集の画面たよりにラグビーのワールドカップ観戦の夫 (10.5)

新しいスマホ買うため娘との二時間半をドコモショップに (10.8)

 
台風19号 (10.12)
出汁とりの最中に届くエリアメール台風迫る土曜の昼に
朝よりのテレビとスマホを見つめつつ台風去るを祈るのみなり
ウォーウォーと怒号のような声を上げ台風暴れる今日は大潮
多摩川の氾濫しそうな画面見て大切なのは何かと問う夜

 鎌倉アルプス (10.17)
台風に数多の樹木倒されて山道消える鎌倉アルプス
茶店跡の更地に生える草深し四年前にはおでんを食べた

花ふたつ開きて鼻を寄せたれば金木犀は微かに香る (10.18)

雨多く鍋の木葢がカビてくる今年の十月神様が泣く (10.23)

 杓子山登山1 (10.28)
車窓より五分おろがみそののちは雲に隠れておわす富士山

二枚目となるわが歌の賞状を白壁にそっと飾る夫なり (11.3)

痛む膝だましながらの三月過ぎ受診すれども完治あやうし (11.7)

増えるのは診察券と白髪なり歓迎したくはないけれども...ね (11.7)

 
樹海散策と王岳登山 (11.11〜12)
道しるべを見逃さぬよう気をつけて青木ヶ原の樹海を歩く
腰曲げてコウモリ穴を見学す悲鳴をあげるわが膝と腰
「いやしの里」茅葺き屋根の家ならび着物すがたの外国人おり
王岳の眼前の富士は気前よく剣が峰までくっきりと見す

泣くほどに赤子の顔は赤になり生きる力を爆発させる (11.18)
 
甥っ子夫婦に長女誕生

割り当ての毛糸が足りず右左違う模様の手袋を編む (11.23)

病癒えし道ゆく友に手を振ればその夫も振る大きな右手 (11.24)

四回目のヒアルロン酸注射終え果たして消えるか膝の痛みは (11.28)

 
杓子山登山2 (12.5)
晴天に富士を眺める特等席 杓子山にておにぎりを食う
貧血に倒れた友の眼は開き名を呼ぶわれの声が震えた

揚げたての牡蠣フライ六個食べしのち この胸やけを楽しんでおり (12.10)

力ある限り登山を続けたく十九年目の会報くばる (12.12)

スマホには迷惑メールに挟まれて孫から届くハッピーバースデー (12.**)

プレゼントに何がいいかと問われても即答できぬ古稀の日の朝 (12.**)

座るなり「九十歳よ」と言う人に「お若いですね」の笑顔を返す (12.19)

丸刈りに混ざる五人の高校生の黒髪なびく全国駅伝 (12.22)

聖誕祭 静かに食す晩御飯 インフルエンザの息子と夫と (12.24)

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