イラスト■bambi design(Comic bambina)
タイトル■LOVELOVEホラー愛してる
書き手 ■ちーちゃん
「大好きなB級ホラー映画の魅力を、
もっとみんなに知ってほしいの!!」
一時のホラーブームがすたれきった今こそ!
と鼻息荒く、立ち上がった22才の自称美人OL。
この血の叫び、届け、あなたの心に!
file:01(後編)
「アクエリアス」 86年イタリア映画 監督ミケーレ・ソアビ
〜 ありがちな展開+ちょっとしたアレンジがホラーの醍醐味ね!〜
(前回のつづき)
奥の別室へ連れて行かれるも、
たいして気になるビデオとは出会えずじまい。「やっぱり、『アクエリアス』が、
一番いいみたいでーす♪」
なんって、
うまいことおじちゃんを交わし、
脱出に成功!再びレジへ向かい、
いそいそと帰り支度をする私に
「僕もね、こういう系(エロ)のビデオより、
ホラーとかの方が好きなんだよね」
とすかさずフォローに入った!「んじゃ、何でこんなトコいんの?」
と、うっかり口を滑らせそうになった私。更に、追い討ちをかけるように、
おじちゃんはホラーネタで迫り来るのであった…。「欲しい映画があったら、何でも言ってね?
月に何度か、仕入れ時があるんだけど、
そのときに、お客さんの注文受けたの買うから」おじちゃんってば、しずごいよ〜〜。
適当に交わしながら、
そんなこんなで無事生還!
ふうー。
初めてのホラー映画探しには、
こんなドッキドッキのひと苦労もありました。で、お家に帰ってゆっくり観てみましたよ。
いよいよ、映画の感想に入りたいと思います。舞台はとある劇場内。
殺人事件をテーマにした
ミュージカル公演が差し迫り、
緊縛した空気の中、役者たちは居残り練習を……
と言いたいところですが、
熱の入った演出家とは裏腹に、
役者たちときたら、恋人同士いちゃつく者までいて
ヤル気のないこと、この上ナシです。前半は特に大きな動きもなく、
間が抜けた感じなので、うちのママさんが、
私の隣で爆睡していたのも頷けます。「早く血しぶきでも見せて、盛り上げろぉ〜!」
と焦る心を落ち着かせつつ、
待ちわびること30分。
ついに、殺人鬼が場内潜入!!なんでも、この殺人鬼。
連続殺人犯である上、
精神病院からの脱走犯だというのだから
札つきワルなんです。この殺人鬼が、劇場内に潜入しちゃうですねー。
その手口はというと、ミュージカルの殺人犯に成りすのだ!
で、このミュージカル、
フクロウのお面を被った、
フクロウ仮面が殺人をするというお話。
なので、殺人鬼役の役者を殺し、
そのフクロウのお面を被って舞台に上がると、
役者交代ってワケです。まんまと潜入に成功した殺人鬼は、
女性役者をナイフでメッタ刺し。
これを皮切りに、次々と残忍な手口で
一気に皆殺し作戦へ!
こうなってくると、眠気まなこだったママさんも
すっかり目が冴えて、飛び起きて
ひーひー言ってました。後はもう、潔い殺害シーンの連続!
なかでも、もっとも栄えある殺害シーンは
なんと言ってもドリル殺人でしょう。ドアの向こうにいる役者めがけ、
唸り声をあげる電気ドリルで、身体をドアごと貫通!
電気ショックで麻痺したかのように、
身体をブルブル震えさせながら、
死にもだえるシーンに絶句!分かりやすく、かつインパクトありありで、
「これぞ正しい殺害シーン!」と言えるのでは?
ホラーフリークならずども、
必見の価値ありシーンですよ。(本当かっ!)終盤は、打って変わって、
落ち着いた厳かな雰囲気に。フクロウ仮面は、おもむろに舞台へ上がると、
死体と化した役者たちを並べ始めるのです。
下半身のない女性に、
首だけしかない演出家…。
死体を並べ終えると、
舞台中央に置かれた赤いソファーに
ゆったりと腰を据え、
優雅に黒ネコを撫で回す。おまえは中尾彬かーっ!
とツッコミたくなるような場面ではありますが、
静寂の中での恐怖は不思議と美しく、
センスのよい演出が光っていました。背後から忍び寄る
フクロウ仮面に気づかないといった
ありがちなシーンもありますが、
思わず「志村〜、後ろっ!後ろっ!」って
叫びたくなったりして、
こういうのがホラーフリークのツボを押さえてて、
ニクイんだわ〜。仮面を被った男がひたすら殺すとか、
残り一人になると途端に弱くなるとか、
「典型的なホラーじゃん」
と言われちゃえばそれまでだけど、
妙に凝ってないストーリーだからこそ、
かえって観る者の心にズシッとくるんだなーと
つくづく実感。本作品の大きなポイントは
“凝った演出を取りませながらも、
ストーリーはいたって簡単”ということ。
ありがちな典型的ホラーシーンがあるからこそ
観る者に安心感を与えてくれるんです。江頭2:50にしても、さま〜ず三村にしても
「また同じギャグか」と思いつつも、
実は心のどこかで
それを期待している自分がいたことってないですか?
私は、彼等の「またか」的なギャグが
非常に心地よく感じるんです。でも、いつも同じではつまらない。
いつか飽きられる時がくるかもしれない。だから、おなじみのチェンソーに
電気ドリルを加えるといった
“ちょっと”したアレンジがある。
その“ちょっと”がちょうどいいんです。こう考えると、一見観る人が限られていそうなホラーも
「実は万人ウケするのでは?」
なーんて思いました。
こう考えると、私って保守的なのかな??
まあ、いいや。今は結論を出さずに
徐々に解明していきましょう。えがちゃんとか、
あの辺のおなじみギャグが好きな方、
ぜひぜひホラー映画にも
チャレンジしてみてくださいね。後で知ったんですが、
監督のミケーレ・ソアビって、
私の大好きなダリオ・アルジェントの秘蔵っ子だそうで。
アルジェントといえばあなた、
「サスペリア」や「デモンズ」で知られる
イタリアンホラー界の巨匠ですよ。そんなアルジェントの愛弟子が、
ど偉い賞までとった本作品で、デビューを飾ったというのだから、
華々しいデビューですなぁ。いいなー、私も谷田氏の愛弟子として、
華々しく映画ライターデビューでもしたいモンだわ。
ねえー、谷田さん!
<アクエリアス>
絶叫度 ★★★★☆
オススメ度 ★★★★☆
中尾彬もしくは志村けん度 ★★★☆☆
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