●総武線花見紀行

朝から渋谷へ取材に。今日もあまり天候がすぐれない。春なのに、うっかりすると春だってことを忘れて
しまいそう。桜は今週中がピークらしいけど、週末も天気が悪いらしい。今年も花見できないのだろうか。
となると今のうちに見ておかねば。総武線に乗ると、まず最初のポイントは新小岩駅をすぎた荒川の手前
にある公園。ここは広範囲で桜が広がっている。次は平井駅周辺に桜がちらほら。何年も住んでいた街だ
けに、いくつかの桜ポイントは完全に把握。目カメラをパンさせながら桜見物。亀戸のテニスコート周辺、
スポーツセンター近くの公園も桜がいっぱい。隅田川を超え、御茶ノ水、水道橋あたりになるとピンク指
数が一気に上昇。クライマックスは、飯田橋〜市ヶ谷〜四ッ谷のお堀3兄弟。花見スポットでもあるこの
一帯は、本格的に花見気分を満喫できる。水と桜というコントラストもすばらしい。とりあえず堪能した。



(2004.03.30)



●子どもの王様

読了。講談社の「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」第一回配本作品で、
同じく第一回配本作品だった島田荘司の『透明人間の納屋』もそうだったけど、企画も内容も装丁も実に
グッド。しかもこの小説は団地が舞台。そこでまずグッとくる。主人公はヒーロー番組「神聖騎士パルジ
ファル」が大好きな小学生。団地育ちでヒーロー番組も大好きな小学生だった俺としては、とても親しみ
の持てる物語だった。ある意味意外なラストは、殊能作品では最も余韻が残る不思議なものだった。これ
で発表されている殊能作品はすべて読み終えてしまった。残念ながらしばしのお別れ。新作が待ち遠しい。

(2004.03.29)



●コロッケ

いま最も好きな食べもの第1位は、コロッケ。肉屋さんのコロッケもうまいが、家でつくったコロッケも
最高。ほかほかに茹でられたじゃがいもを丹念にすりつぶし、ひき肉とまざあわせ、たまごの黄身とパン
粉でころもをつけ…、という過程を見てるだけでもウキウキウェイクーミーアップ。揚げたてほやほやの
大ぶりのコロッケにかぶりつく。ころも、じゃがいも、肉の香ばしい匂いがふわ〜と鼻と口の中に広がる。
たまらんね。コロッケってなんとなく肉料理界では軽視されがちな食べものだけど、なぜだなぜなんだい。
ステーキよりもトンカツよりも手間かかるのに。そんなところもいじらしくて好き。そして翌日、6枚切
りライ麦パンを焼いて、残りもののコロッケをはさんで食べる。トーストの香ばしさも加わって、これま
たうまい。すばらしいねコロッケ。ものまねのコロッケさえいなければ、ペンネームはコロッケにしたな。

(2004.03.29)



●華麗なる誘拐

自分の中の横溝ブームと殊能ブームのはざまでプチブームになっていたのは、初期西村京太郎の再読運動。
中でも左文字進シリーズの『華麗なる誘拐』と『盗まれた都市』は、いま読んでも大傑作だと思った。今
ではすっかり“電車ミステリ専門の人でしょ(笑)”という印象しかないと思われる西村氏だけども、初
期の作品はバラエティに富んでいるし、発想もむちゃくちゃブッとんでいて、本当におもしろいんですよ。

『華麗なる誘拐』なんてすごいですよ。日本国民一億二千万人を誘拐したと宣言する連中が、国を相手に
五千億円の身代金を要求。つまり、日本国民全員が人質となってしまうわけです。身代金を払わなければ、
人質として誰でも無差別に殺すと。この発想には当時も舌を巻いたんだけど、今回読み直して思ったのは、
いつテロが起きてもおかしくない今の日本人にとって、すんごいリアルな話なんですよね。アメリカ支持
をやめなければマドリッドのようになってもおかしくないわけで、まさに『華麗なる誘拐』状態ですから。

「俺が映画監督だったら、今これを映画化するなぁ」とか思っていたんだけど、昨日有楽町を歩いてたら
恋人はスナイパー』なる映画の看板を見つけて、びっくり。<原作『華麗なる誘拐』/西村京太郎>と
書いてあるじゃないですか!うわー、すごい偶然。やっぱり同じようなことを考える人がいたんだなー。
でも、なんだか全然話題になってないようだし、タイトルもトホホだし、主演がウッチャンってのもウー
ムなんだけども、いかりや長介さんも出てるし、なんといっても脚本は君塚良一だ。期待してみようかな。

(2004.03.28)



●村

あらゆる「村」意識というものは、悪である。『砂の器』最終2話を見て、つくづくそう思った。

(2004.03.28)



●曙

新宿でロビーさんらと飲む。新宿紀伊国屋では『語ろうシャア!』発見できず…。K-1ワールドGPは、
翌朝ビデオで。ビックリ人間ショー化、ワイドショー化が進み、前回のK-1 MMAも史上最低の内容で、
もうミドル級以外はすっかり期待できなくなってしまったK-1(視聴率は反比例して上がってるけど)。
今回も、ボンヤスキーvsホーストが消滅してしまい、あ〜あ…だったけど、曙はかなりよかったと思う。

正直、武蔵のローキック2〜3発でバタッと倒れて終わりでしょ、と予想していたんだけど、予想以上
の大健闘。サップ戦ではまるで感じられなかった元横綱のポテンシャルの高さ、怪物性が感じられた。
なにより「なんとしてでも勝つ!」という気迫が伝わってきたキラーな目がよかった。バーリトゥード
やK-1に挑戦するプロレスラーに期待していたのは、こういう闘う姿勢なんだよなぁ。過保護なマッチ
メイクに守られてるのに、消化不良試合しかできなくなったサップよりも、よっぽど今後期待が持てる。
一方、最大最後のチャンスを逃した武蔵は、やっぱスターになれる資質がないんだなぁと改めて思った。
“決闘”という意識だった曙と、“K-1の1試合”という意識しか持てなかった武蔵。この差は大きい。
結果的に勝ったのは武蔵だけど、内容では曙の勝利だ。次回はホーストかイグナショフとの対戦を希望。

(2004.03.27)



●『語ろうシャア!』書店に立つ

本をつくる仕事をしていて、けど大ベストセラーなどとは無縁な活動をしている無名のライターにと
って、書店の新刊や話題作がずらりと平積みされたコーナーは永遠の憧れ。あそこは何千何万冊とい
う本の中から選ばれた、スター中のスターといえる本しか置いてもらえない、夢のひのき舞台である。

昨年の暮れ。「シャアの本」を作るということは決まっていたものの、どんな内容にするのか方向性
が定まらず、企画を考えては暗礁に乗りあげ、また考えては暗礁に乗りあげ、ということを繰り返し
て煮詰まっていた時期、いつものように飯田橋駅前の文鳥堂に寄ると、あの花形スター本のひのき舞
台・新刊平積みコーナーに、知り合いの大岡さんと高井さんが出した本『
現代サッカー様式学入門
があった。「おおっ!すげー!」と思いつつ「うらやましい…メラメラメラ」と激しい嫉妬も感じた。

けれども身近な人の本があったことで、雲の上の存在だったあそこが少しだけ身近に感じられるよう
になった。やる気も奮い起こされた。そして、この書店に寄るたびに「俺たちもいい本を作って絶対
ここに置かれてみせる!」と念じ、闘志を燃やした。そして数ヶ月。ついに『語ろうシャア!』発売。

友人Kから電話がかかってきた。今朝アマゾンから本が届いて、一気に全部読んでしまったと。「おも
しろかった! 今回は何も文句ない、こういう本が読みたかった!」そう興奮しながら絶賛してくれた。
20年以上一緒にガンダムの話をしてきた男であり、辛口のファンでもある彼の言葉はなにより嬉しい。
ひとつの目標はクリアできた。さてもうひとつの目標はどうだろう…。今日は打ち上げ、飯田橋に行く。

ドキドキしながら総武線に乗る。そわそわして落ち着かない。飯田橋駅を降りる。交差点を渡ると、文
鳥堂だ。「あるだろうか、ないだろうか…。あっても普通のアニメのコーナーだろうか…」。遂に審判
が下される。いつも以上に手汗がにじむ。自動ドアが開く。緊張しながら一歩一歩進む。雑誌コーナー
を抜けると、そこが新刊平積みコーナーだ。見えてきた。深呼吸をする。顔をあげる。ジャッジメント!

……あった!あったよ!ありました!…真っ赤な本が平積みになって、ドーンッとそびえ立っている!

しかも隣に置いてあるのは、村上龍『13歳のハローワーク』。80万部を超える大ベストセラーの超ス
ター本だ。特等席じゃん、すげえ!「ゴ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッル!」
と謎の実況が脳内にこだまする。「ワッショイ!ワッショイ!」と胴上げされて空を舞っている自分、
選挙を終えて「ありがとう、ありがとう」と涙ぐみながらタスキ姿のまま握手をしてまわってる自分、
そんな謎の映像がバババッと脳内をフラッシュバック。やった、やったよ、やりました、遂にあのひの
き舞台に立ったんだ。とりあえず今日だけでもスター本の仲間入りだ。こんなに嬉しいことはない…。

喜び勇んで「今日は握手でもするか」などとニヤニヤしながら浮かれ気分でレッカ社へ。さっそく編集
Sに興奮気味に報告すると「ああ、さっき確認した」とあっさりした反応。あらら…ちょっとがっくし。
なにやら忙しかった様子だからまあいいか。とにかく俺的には今日は記念日、2004年3月26日金曜日、
YaYaあの時代を忘れない。その後のスタッフ大集合の打ち上げが楽しかったことは言うまでもない。

(2004.03.26)



●ニュータイプ?

打ち上げで、もうひとつ感動したことがあったので記しておこう。『語ろうシャア!』の制作スタッフ
7人が初めて一同に会してワイワイ楽しく飲んでいた。今回テープ起こしをしてくれたNさんは、実は
ガンダムをまったく知らない。専門用語ばかりで、Nさんにとってはわけのわからない会話を苦労して
文におこしてくれた方。送られてきたテキストを読むと、“プロ力士”なる謎の単語があったりして
(正しくは、黒歴史)、まあ大変な思いをさせてしまったのですけど(笑)、音楽が好きな人なので、
今回の本について俺は音楽にたとえて話をした。「音楽でいえば、ロッキンオンは渋谷陽一がファンの
視点からロックを語ろうみたいなコンセプトで始めた雑誌じゃないですか。アニメも昔はそういう雑誌
があったんですけど、今は商業誌と同人誌であまりにも二極化が進んじゃって、あまりそういう本がな
い。だから今回はそんなかんじの本を作りたかったんですよね」。すると、デザイナーのSさんが「あ、
やっぱりそうなんですか。私、文を読んでて、渋谷陽一っぽいかんじがしたから、そういうのを意識し
てデザインしたんですよ」。ええ〜、びっくりだ。俺、今までそんなこと一言も口にしたことなかった
のに…!つか、渋谷陽一というのは実は今思いついた単語だったのに…。ニュータイプ?さらに、今回
「シャア専用トリビア」や「シャア語録」を担当してくれたライターHさんが、表3のカバーの折り返し
部分が、赤い地に黒い帯で、シャアザクの顔みたいなデザインになっていることを指摘。ええ〜、俺そ
んなこと全然気がつかなかった!編集Sもである。「そうなんですか?私モノアイを入れるかどうかで
すごい悩んだのに」とデザイナーSさん。この人もあまりガンダムのことを知らないはずなのに、そこ
まで考えてデザインしてくれてたんだ!すごいや。感動。…なんていうか、今日は感動してばかりだ、
本作りって素晴らしいなあ! と嬉しくなってガンガン飲みすぎて、また二日酔い。でも気分いいや。

(2004.03.26)



●「ハイ!」

『僕と彼女と彼女の生きる道』をビデオで。とても良い最終回だった。いちばん感動したのは、今ま
でずっと「この勝手な女め!」と思っていたりょうが、草なぎくんと話し合って、最後に涙ぐみなが
ら笑顔で「ハイ!」と答えるシーン。この瞬間、ちゃんと凛ちゃんの母親に見えた。顔まで凛ちゃん
に似ていた。「本当に親子なんだな〜!」と思えた。すごいや。あと、最後の最後まで登場人物全員
に愛情をこめて作ってることにも感動。∀のラストみたいだった。個人的には、新しい“生きる道”
を見つけることができた大杉漣の場面が嬉しかった。よかったね、お父さん。じゃあね、凛ちゃん…。

(2004.03.25)



●樒・榁

しきみ・むろ、読了。おとぼけっぷりが絶好調な軽い小品ながらも楽しい一冊。殊能氏の手にかかると
密室ものはこうなってしまうわけですね。あと、この本を読んでて気がついたけど、殊能作品の魅力的
な女性の特徴は、眉が濃いこと。あの人もあの人もあの人も、みんな眉が濃かった。それから探偵小説
の登場人物は、にやにや笑う人が多いと思うんだけど、殊能作品ではくすくす笑う人が多い。くすくす。

あ、2名の人が「ハサミ男、読んでみます」とメールをくださって嬉しいです。で、にわか殊能ファン
として、ひとつだけアドバイスさせていただきますと、もしもそれで気に入って「もっと読んでみよう」
と思った場合は、絶対に発表順に読んだ方がいいですよ。それぞれ完結してる独立した作品なんですが、
どの作品も前作を踏まえたお楽しみがいろいろと隠されてますから。その方が3倍以上楽しめるはずです。

<推奨順> ハサミ男 → 美濃牛 → 黒い仏 → 鏡の中は日曜日 → 樒・榁 →子どもの王様


(2004.03.25)



●ターンAターン

午前、ハッスルについて妄想にふける。午後、編集Sと『語ろうシャア!』を届けに安田朗さんのお宅へ。
表紙イラストとインタビューのお礼。いろいろと話を聞かせてもらったり、絵を見させていただいたり。
ボカァ幸せだなぁとしみじみ。
安田さんは、僕が最も愛する作品のひとつ『∀ガンダム』のキャラクター
デザイナーであり、いま最もリスペクトしている絵描きさんなのです。絵に対する情熱も愛情もこだわり
も感動的にすごいし、とってもいい人。だからこそ、あの世界が生まれたんだなぁ…。ますますファンに。

(2004.03.25)



●『語ろうシャア!』いよいよ発売!!

できたぞーーーっ!『語ろうシャア!』できましたー。完成品が版元に納品されたと聞いて、はりき
って飯田橋へ。そんで神楽坂の飲み屋で祝杯。編集Sとふたり、できたてほやほやの真っ赤な本を肴
に飲んだ飲んだ飲んだ。おかげで今日は猛烈に二日酔い…。これが若さか。頭が痛いので一言だけ。
3月30日発売と聞いてましたけど、本屋さんによっては今日24日から発売されてるみたいですよ〜。


 安田朗さんのイラストと赤いボディが目印


(2004.03.24)




●1993

トイレで10年前くらいのロッキンオンジャパンを読んでいた。表紙はソウルフラワーユニオン。小沢と
小山田がソロデビューした頃で、佐野元春が『ザ・サークル』を発表、そんな時期。CDレビューのコー
ナーを見ると、b-flowerが載ってた。b-flower。懐かしい〜。すっかり記憶から消えていたよ。押し入れ
からひっぱりだして聴いてみたら、いい。朝のひんやりした空気みたいな独特の音は、今聴いても、いい。
ソウルフラワーの『カムイ・イピルマ』も久々に聴いてみた。ソウルフルな和の世界、いい、かっこいい。
小沢&小山田のファーストソロもしょっちゅう聴いてるし、どうやら1993年頃の音が今キモチいい模様。

  枯れた窓辺の花のように
  僕はうつむくさ
  なにしろ 今日 世界は
  始まる もしくは そこで終わる
       
    b-flower『始まる もしくは そこで終わる』


(2004.03.23)



●そういえば

いかりや長介さん死去、と聞いて驚いたんだけど、ロビーさんも書いてたように『あなたの隣に誰かいる』
での声のかすれ方は普通じゃなかったから「やっぱり…」とも思った。セリフがまったく聞き取れないほど
声が潰れちゃってて心配になった。そしたら…。そういえば、古尾谷雅人も『ホーム&アウェイ』に出てい
たときに、やつれ方が普通じゃないぞ…、と気にしていたら、しばらくして自殺したと報道された。あのと
きも「やっぱり…」と思った。さらに記憶を遡ると、岡田由希子は最期の歌『くちびるネットワーク』を唄
っているとき、異様なほど美しく見えた。それまで俺はなんとも思っていなかったのに、いきなりファン宣
言したくなるほど、普通じゃない美しさ、艶っぽさだった。恋でもしてるかな、と思っていたら…。死の気
配というのは、ブラウン管を通じても伝わってくるものなのだろうか。テレビというものが少し怖くなった。

(2004.03.22)



●白い巨塔

最終回をビデオで。医療裁判編になってからやたらと燃えて興奮しながら見ていたのに、最終回は自分でも
不思議なほど、泣けなかった。思うに、どういう意図なのかこのドラマは登場人物の内面を徹底して描いて
こなかった。なぜ財前五郎はあれほど上昇指向に取り憑かれていたのか、なぜ里見先生はあれほど人格者な
のか。重厚な人間ドラマ風な作りにもかかわらず、人間の内面や過去にはまったく触れずに物語が進められ
てきた。教授選や医療裁判の抗争劇を描く“バトルもの”のドラマとしては、それでも十分見応えがあった
んだけど、“感動もの”の人間ドラマとしては、やっぱりそれまでの人間描写が薄っぺらすぎたんじゃない
のかな。だから感動的なはずの財前の死をめぐるエピソードはどれも感情移入できなかったんだと考察。原
作を読んでいた家人はボロボロ泣きながら見ていたので、原作を読んでいるとまた違った見方だったのかも
しれないし、昔のドラマはそうじゃなかったのかもしれないけど、個人的には最終回で一気に冷めちゃって
残念。比較して悪いけど、三谷版・白い巨塔『振り返れば奴がいる』の方が圧倒的に面白かったという感想。

(2004.03.21)



●鏡の中は日曜日

見事でした、また手玉にとられちゃいました。けど、全編すべてが仕掛けになってるのでなにも書けませぬ。

物語には触れずにひとつだけ言えるとしたら、今作もミステリーというジャンルに対しての批評性が実に痛
快な作品だった。クールかつシャープで、ユーモアもたっぷりな「“館もの”とは何か?」という問題設定
と、その回答といった趣き。で、『美濃牛』が横溝正史へのオマージュなら、今回は綾辻行人。綾辻の“館
もの”はすべて読んだはずなのに、残念ながら俺はもうすっかり忘れていたけれど、それでも十分楽しめた。

あと「もしもゴダールがミステリーを書いたなら、こんな作品になるのかも」と思った。スタンスが似てる。

「私と他の連中の違いは、当時の私にとっては批評を書くということが……というか、私は一度も、映画
 について語ることと映画をつくることを区別して考えたことがありません。そして、その結果、私は少
 しも躊躇しないで、自分の映画のなかでほかの映画のことやほかのなにかのことを語ったりするように
 なったのです。」 (『ゴダール/映画史1』ジャン=リュック・ゴダール 奥村昭夫訳 筑摩書房)


(2004.03.21.日曜日)



●元ヤンキー弁護士

雨の中、八王子へ。京王線北野駅で降りると雪になっていた。ものすごく寒い。宇梶剛士が総長を務めて
いたという暴走族ブラックエンペラーの元幹部で、現在は弁護士、『
ヤンキー、弁護士になる』の著者、
金崎浩之さんの取材。不良というのは、世間で言われているような心の歪みとかではなく、一過性の熱病
のようなもの、時が来れば卒業する、ただ、卒業したあとの目標が見つからないのが問題になると。では、
どうすればいいのか? 金崎さんの回答は、「勉強して大学に行き、自分の選択肢を広げるのが一番」。
勉強なんてやれば誰でもできる、ただ、自分は頭が悪いと思いこんでるだけだ、自分もそうだったから…。
実際にそれを実行して弁護士にまでなってしまった金崎さんの言葉だけに、むちゃくちゃ説得力があった。
しかも法学というものは、誰もが大学生になって初めて勉強するものだから、それまでの成績や学歴とは
関係なく勝負できると。なるほど…! あ、そういえば、人生上初めて弁護士という人に会ったのだった。

(2004.03.20)



●豚丼/カルボナーラ/悪霊島

吉野家の豚丼を食べてみた。思ってたよりも結構うまい。ただ、カレーやキムチ丼や鮭イクラ丼が並んだ
メニューは普通の定食家のようでやっぱり寂しい。牛市場の回復を祈りたい。夜は
の10食限定つ
けめん。今月は「リコッタチーズとふきのとうと菜の花の和えそばカルボナーラ仕立て」(長いな〜)。
ズバリ言ってしまえば、カルボナーラ。初体験の菜版ベーコンは、厚みとやわらかみ、適度なしょっぱさ
が実にいいかんじ。言うまでもなく美味。今後の人生において菜以上の店に巡り会うことはあるのだろう
かと毎度の自問自答。懸案事項だった『悪霊島』がスカパーでPPV。グッタイミング。けど噂のDVD版。
謎のガイジンが唄う変てこなアレンジをされた『Let It be』は、かな〜りしょぼかった…。トッド・ラン
グレンに完コピしてもらえたら良かったのに。歌詞の字幕も余計でラストの余韻が台なし。それでも初め
てノーカット版を見られたのでヨシとしよう。映画のオリジナル人物「ふぶき」(岩下志麻演じる巴御寮
人の双生児)は、映像的に見せる上で秀逸な設定だったんじゃないかと改めて思った。市川昆監督&石坂
金田一耕助版も見てみたいという夢があるけれど、岩下志麻の怪演っぷりは誰も超えられないだろうなぁ。

(2004.03.19)



●黒い仏

あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは…
やられた。殊能将之はミステリーじゃないものも書いて欲しい、なんて書いたばかりだけど、書いてたよ。

『黒い仏』、なんじゃこりゃあ。まったくどこまで人を食ったお方なんだ、あなたって人は。呆然としまし
たよ。笑いましたよ。気持ちよ〜く裏切られましたよ。『ハサミ男』と『美濃牛』でビンビンにアツくなっ
て突撃してきた猛牛を、「まあまあ、そんなに興奮しないで」とひらりとかわすマタドールのようだった。
このすかしっぷり、おとぼけっぷり、名探偵・石動戯作そのものじゃん。森田芳光が『それから』の次に
『そろばんずく』を撮ったときの痛快さを思い出しましたよ。あなどれない、ホントあなどれないお方…。
おかげですっかりクールダウンできました。次はどんな手を見せてくれるのか、ただもう身を任せるのみ。

それはそうと、福岡市民なのに野球音痴で、ジャンボ鶴田の死に涙して妻を呆然とさせて「おまえはブルー
ザー・ブロディとの死闘を見てないのか!」と怒鳴りつけたという中村警部補に、助演男優賞を捧げます。

(2004.03.19)



●凛ちゃん

稲取で買ってきた金目鯛を食べながら(うまい!)、ビデオで『僕と彼女と彼女の生きる道』。ネクタイを
はずしたお父さんにジーンとし、凛ちゃんの笑顔がせつなくて全編涙涙。「もう絶対、3人一緒って言わな
いから」。くー。こんなこと言わせちゃいかんですよ…。そんな凛ちゃんとも来週でお別れか。さみしい。

(2004.03.18)



●美濃牛・完結

読み終わってしまった。ああ、読み終わってしまった。なんだか哀しい。すごく哀しい。何も知らずに初
めてこの物語を読む快感を味わうことはもう二度とできない。あ〜あ、永遠に終わらないで欲しかった!
でも、それではミステリーにならないわけで。そうか、ミステリーの最大の欠点は完結しなくちゃならな
いこと、謎を解決しなきゃならないことなのか。とはいえミステリーの醍醐味は謎解きにこそあるわけで、
あの快感を味わうために読むわけで…。けれど、どんなに複雑な謎も解決してしまえば、ああそうだった
んだ、で終わってしまうわけで。『美濃牛』は謎解きが始まる直前まで、まったく犯人がわからなかった。
事件の真相もさっぱりわからなかった。最後に明かされた真相は、衝撃的だった。『ハサミ男』ほどでは
ないにせよ、十分衝撃的だった。エンディングも余韻があった。でも、何か味気なさも残ったというのが
正直な読後感でもあった。それはなぜか。完結してしまったからだ。あまりに見事に完結してしまったか
らだ。ってことは、この小説に難点があるとしたら、ミステリーだったってこと?推理小説だったこと?
むむむ。俺はずっとこの小説を読んでいたかった。個人的な好みでは、『ハサミ男』よりも『美濃牛』の
方が好きだった。『ハサミ男』が究極の一品料理だとするならば、『美濃牛』は超贅沢なフルコース料理。
しかも相当なボリュームだ。横溝風味の味つけで、思いもよらない料理が次々と出てくる。ドキドキしな
がら、時にくすり、時にほろり。へぇ〜、へぇ〜、と感心しながら夢中でむさぼる至福の時間を過ごせた。
けれどやっぱり終わりはやってくる。メインが終わればデザートだ。どんなに美味しいデザートであろう
とも、デザートは終わりの合図。食べてしまえば、ジ・エンド。デザート、つまり完結しないミステリー
ってないものなのか。しかも『美濃牛』以上のボリュームで、果てしなく続く謎のフルコース料理。ない
よねそんなの。………いや、あった。『ねじまき鳥クロニクル』。あれはまさにそういう小説だったよう
な気がする。やたらに長いし、謎も残る。あるいはリンチ。『ツインピークス』もまさしくそんな物語だ
った。むちゃくちゃ長いし、最後も謎だらけ、そういえば『病院坂』や『悪霊島』でもこんな気分を味わ
ったっけ。どちらも長かっただけに、終わったときは哀しかった。ってことは、横溝よりも春樹たれ、リ
ンチたれ…ってこと?そうなると推理小説じゃないよ。でも、殊能将之という人はそんな作品を書いても
面白い作家という気がする。…いや! まあいいんだよそんなこと。なにをグズグズ思ってんだ、オレよ。
そんなら『ネバーエンディングストーリー』でも読んどけ!って話ですよ。ともかく、『美濃牛』はとて
も面白かった!その一言で十分じゃない。読み終わってしまったのが、ただ残念なだけ、さびしかっただ
けだろ?さあ次は『黒い仏』、その次は『鏡の中は日曜日』、そのまた次は『樒・榁』、最後は『子ども
の王様』が待ってるじゃない?そのうち新刊だって出るじゃない?お楽しみはまだまだいっぱいよ。な!

…と総武線に揺られながら考えていた。窓の外は雨。そして『黒い仏』を読み始めた。なに、唐の時代?
比叡山の誰も知らない教典? いきなりきた。牛の次は仏教かー!またまた期待できる予感なのである。

(2004.03.18)



●美濃牛1/3

『美濃牛』おんもしろい!今1/3ほど読み進めたとこだけど面白いなあ。なぜだか初めて村上春樹を読んだ
『羊をめぐる冒険』のときのワクワク感に似た気持ち。内容は全然違うのに、そう思う理由を考えてみると

●牛と羊、特定の動物をフィーチャーしてる ●癖になる気持ちいい文体 ●現実と非現実のバランス感覚
●食べものがおいしそう ●奇妙な小見出し ●視覚的に特徴ある登場人物 ●音楽と文学に詳しいかんじ

とりあえずそんなとこかな。そんで物語は横溝テイストなわけだから、俺好みのフルコース。たまりません。
引用のセンスもかっこいいしなぁ。石動春泥なんて、乱歩好きにはグッときちゃう。ささ、つづきつづき…。

(2004.03.16/マイクカセットコーダー・ニューマシン購入。小型軽量の新型機。F91みたい)



●節目

『ニューヨーク貧乏』が最終回。長い間お疲れさまでした。今はもう東京に帰ってきているのでしょうか。

思えば3年前、たしかアントニオ猪木の取材に一緒に行ったときに、井上さんから「NYへ行くんですよ」と
聞いて驚いた。「実は僕もこの春、会社を辞めるんですよ」と話をした。そして3月、井上さんは渡米した。

その1週間後くらいに俺もNYに遊びに行った。ワールドトレードセンターにも連れていってもらった。9.11
はその年の秋だった。あれから3年。やることは違ったけれど、井上さんには同じ時期に新しい生活を始め
たという意味でシンパシーを感じていた。さて、自分にとってのこの3年間はどうだったんだろう………?

とか物思いに耽りながらインタビュー原稿のテープおこしをしていたら、マイクロカセットコーダーが急に
動かなくなった。壊れたらしい。フリー1年目に買って以来ずっと使ってたマシンだった。節目、と思った。

(2004.03.15)



●auのネコみたいなひと

auのCMで妻夫木くんと一緒に寝ているネコみたいなひとが好きである。あのムニャムニャした寝顔がなんと
も愛おしい。でも最新バージョンのCMを見たら、出番が少なくて悲しかった。もっと出番を増やしてほしい。

http://www.kddi.com/variety/cm/index.html

(2004.03.15)



●ハサミ男

盛田さんがフロム・エーの書評で取り上げていたので気になってた『ハサミ男』読了。まいった。これは面白
いわ〜。これぞ大ドンデン返し!結末のあまりの意外さに頭が大混乱。あれがこうなってこれがああなって…、
いまだに混乱してる。盛田さんほどの人が“『陰獣』以来の衝撃”と書いていたのも、よくわかる。
殊能将之
すごいやこの人。面白大鉱脈を発見してしまった。次は『美濃牛』にいってみるか。この快感また味わいたい!

(2004.03.14)



●伊豆半島、南へ西へ

またまた美味の朝食を平らげ満腹のまま、伊豆ドライビング。桜、黄色い菜の花が美しい伊豆半島を海沿いに
南へ西へ。石廊崎の絶壁からの光景は絶品。堂ヶ島の船で鍾乳洞めぐりも楽し。南伊豆、西伊豆は初めて来た
んだけど、なんといっても海がコバルトグリーンなことに驚いた。関東近郊にこんなところがあったんだな〜。

(2004.03.14)



●銀水荘

伊豆稲取へ一泊旅行。稲取はその昔、“どんつく祭り”という、男根を奉る謎めいた奇祭を取材しに来て以来。

熱海を過ぎたあたりから桜が咲き始め、伊東あたりになるとピンクのアーチ状態。どんどん春に近づいていく
ようで、心が浮き立つ。泊まったのは、稲取
銀水荘。「プロが選ぶ旅館百選」とかいう調査では、8年連続で
<おもてなし部門:第一位>という名旅館らしいのだけど、それも納得!の見事なおもてなしっぷりだった。

チェックイン時には、煎れたての抹茶と上品な和菓子(うまい!)が出てきて、部屋に入ると今度は煎茶と椎
茸の佃煮が(うまい!)、海まる見えの露天風呂から出てくると、黒豆茶とピリカラ胡瓜とコリコリレタスが
(うまい!)。全室オーシャンビューで、窓の外が本当にすぐに海。部屋が7階だから伊豆半島も一望できる。

日が暮れて、渋滞で遅くなった義父と義母が合流し、最大のお楽しみ・ばんめしである。これまたすごいんだ。

食前酒  みかんワイン
先 付  胡麻和え、小柱、生クラゲ、独活梅漬け、山クラゲ、枸杞の実
前 菜  バイ貝木の芽味噌、鹿尾菜黄身寿司、甘海老大葉揚げ、蒟蒻牛蒡射込み、磯蛸桜煮、
     蕗色煮絹酢掛け、花びら芋レモン煮
お 椀  蛤しん薯、子持ち白魚、本俵、エリンギ茸、こごみ、柚子
刺 身  鮪、勘八、目鯛、ヤリ鳥賊松笠、生ロブ、妻色々、伊豆山葵
凌 ぎ  笹巻き寿司、金目鯛、鮑酒蒸し、茎山葵
中 皿  ロブスターコーンクリーム煮、帆立、ブロッコリー、コーン
漁火焼  鮑踊り焼き、レモン
揚 物  ジャガ芋篠揚げ、海老慈姑しん薯揚げ、スナップエンドウ、レモン
煮 物  鯛の子湯葉巻、小茄子、揚麩、筍、莢、桜麩、中華餡
酢 物  サーモン、キャベツ博多砧巻、胡瓜、蓮根青高菜巻、梶木昆布メ、葛水仙昆布メ、ナツスミレ、土佐酢
御 飯  雑炊、金目鯛焼ほぐし、岩海苔、なめこ 三葉
香の物
水菓子

懐石なんて上品なだけで量も少ないんじゃないの、と偏見を抱いていたのだが、食いきれないほどボリューミー。
見た目だけでなく、技巧の限りを尽くした味で、うますぎる。感動した。おもてなし日本一は伊達じゃなかった。
正直値段もお高いけど、これなら納得できる。たまにはこういう豪勢な気分を味わうのも悪くないでしょう。

(2004.03.13)



●鳥

立石でヤマシタさんと飲む。ウーヤンお勧めという「祭り太鼓」(笑)という店にいったのだけど、満員で入れず。
そんでアド街ック天国でも紹介されてた人気の鳥の店に。どうせ入れないだろうと思って行ったら、なぜか入れた。
唐揚げを注文したら、巨大な鳥の丸焼きみたいのが出てきて驚いた。うまかった。しかも600円。安いなぁ。これは
人気店になって当然ですな、なのになぜ今日は空いてたんだろう、と思ったら、鳥インフルエンザの影響ですね…。

(2004.03.12)



●あずみ/剣/リローデッド

強烈な風の中、確定申告。無事終了。夜、スカパーで『あずみ』と『マトリックス・リローデッド』見る。

『あずみ』は、変態オカマ殺人狂のオダギリ・ジョーや、「かっわいいなぁ」を連発する遠藤憲一率いる
3バカトリオなど、敵キャラがグッド。気になったのは、時代劇なのに若者たちが「〜じゃねぇ?」とか
現代若者言葉を使っていたこと。ま、それはいいとしても、あずみに人殺しである自分に疑問を持たせな
がらも、その問題提起は結局ほっぽりだして、平気で大量虐殺させてしまうシナリオはどうなんだろう…。
200人斬りは爽快だったし、映像も音楽も凝ってて結構面白い映画だっただけに、大味すぎる脚本が残念。

それにしても最近どういうわけだか“刀もの”というか“剣もの”が大流行してる。殺陣でいちばんシビ
れたのは『座頭市』。緊張感ピカイチ。『たそがれ清兵衛』もよかった。『キル・ビル』は殺陣はイマイ
チだけどゴーゴー夕張の鉄球がサイコーだったので、以上3つが最近の殺陣部門マイベスト3。『あずみ』
は上戸彩もがんばってたし、ケレン味はあったと思う。『英雄』は綺麗すぎて、個人的には退屈な印象。
『ラストサムライ』は未見。でもせっかくそんな“剣”を題名につけたのに『仮面ライダー剣』は………。

『リローデッド』は二度目の鑑賞。格闘シーンを見ていて、ふと思った。「ネオもスミスも実はあんまし
強くないのでは…?」実際の格闘技では、ミルコは一発の蹴りで相手をKOしちゃうし、ヒョードルのパン
チも一撃必殺。でも、ネオもスミスも何十発も蹴りを入れても全然KOできない。効いてないよまったく、
これじゃ緊張感ないよなぁ…、とか、そんなことを気にし始めたら、あまり楽しめなくなってしまった。
まあ、『マトリックス』のアクションシーンは、あの動き自体を様式美として楽しむものなんだろうけど。

と考えると、様式美を追求した『マトリックス』『英雄』『あずみ』はプロレス的、あるいはU-STYLE的
で、ガチンコっぽいヒリヒリした緊張感が漂う『座頭市』や『たそがれ清兵衛』はプライド的、K-1的と
言えるかも。『キル・ビル』は、凶器自体が魅力のハードコア路線のデスマッチ系ということでひとつ。

(2004.03.12)



●好きです、確定申告。

好きです、確定申告。請求書を書いたり伝票の精算をしたりが恐ろしく苦手な、社会生活不適合者のよう
な自分としては意外なことだけれど、好きなんです。校舎の裏に呼び出して告白したいくらい好きかも。

会社に勤めてないと、1年のメリハリってものがあまりない。ハッキリした節目としては、大晦日と元旦
くらい。会社にいる頃は、季節の節目にはそれらしい行事や雰囲気があったものだった。たとえば春にな
れば、新入社員が入ってきてフレッシュな空気がたちこめ、「花見でも行きますか」といった会話をする
ことで「春ですなぁ」という気分になったものだった。そんで、俺はそういう季節の感じ方が好きだった。

確定申告には、そういう季節感がある。フリーの人間にとって確定申告は、1年で唯一それが感じられる
る行事なのかも。だから好きなのか。そうか。たまりにたまった領収書を計算したりするのは面倒くさい
けれど、「そういや、こんな映画も見たなぁ」とか、「この飲み会は誰と行ったんだったっけ?」なんて
思い出しながら1年を振り返るのも、その1年のアルバムをめくってるみたいでなかなか楽しいし。

それが終われば、春だ。確定申告は春告げ魚みたいなものなのだ。ボーナスももらえるし言うことない。
そんなわけで今日は税務署へ。まったく関係ないけど、あややの
プリッツのCMも大好きだ。どすこい!

(2004.03.11)



●『語ろうシャア』反響第1号?

現代生活様式学会の主宰・大岡さんが「SKY WALKER NETWORK」で『語ろうシャア』について書いて
くれてた。「ガンダム関係は全然マニアじゃない僕でもトーク集なら読んでみたい」とのこと。嬉しい。

この本のインタビューは、人物名などの固有名詞が多すぎる難点はあるにせよ、ガンダムを好きな人とい
うのは、いったい何がそんなに好きなのか、どんな風に楽しんでいるのか、シャアってどんな人なの…?
といったことが、よくわかるものになってると思いますので、きっとガンダムマニアじゃない人が読んで
も面白いと思いますよ。
『語ろうシャア』のご案内ページも作りましたので、よかったら見て下さいね〜。

●17才の『永遠のガンダム語録』

『語ろうシャア!』は「永遠のガンダムシリーズVol.2」ということになってるんだけども、そのVol.1で
ある『
永遠のガンダム語録』に対する読者からの感想メールが編集部から転送されてきた。内容だけでなく、
構成やレイアウトまで褒めてくれていて嬉しかった。しかも、この感想メールをくれたのは17才の男の子。
どうもありがとう〜!「この子は将来きっと素晴らしい編集者になるだろう、間違いない」と思った。

(2004.03.10)



●ヘルメット

3ヶ月ほど髪を切ってなかったので、我ながらまるで浮浪者。さすがにヤバイなと自覚したので、散髪に。
「いやぁ、忙しくてしばらく切ってなかったので、ヘルメットみたいになっちゃいました。はははは」と
自分からとりあえずフォローしておくと、美容師さんは大笑い。「ちょっとウケすぎでは…」と思うほど。
「やっぱりそう思われていたのか……」と冷や汗。カット終了後、鏡に映して「これならヘルメットみたい
じゃないですよね(笑)」とダメ押しされた。「ヘアカットはまめにしよう!!」と心に誓った、04年早春。

(2004.03.09)




●悪霊島→本陣殺人事件→攻殻機動隊→ブレンパワード

昨年『金田一耕助の事件匣』(匣の背面デザインが最高!)を買って以来、20年ぶりに横溝正史が自分内大ブーム。
超忙しくなるまで、小説再読運動、映画見直し運動、古谷金田一のテレビ版見直し運動などを精力的に行っていた。

で、市川昆版DVDはトヨエツの『八つ墓村』以外はコンプリート。大林宣彦版『金田一耕助の冒険』も入手。
次に狙いたいのは、篠田正浩版『悪霊島』だったが、これはビートルズの版権問題でDVD化は不可能、と言われており、
仕方なく、その昔、水曜ロードショーかなんかで録画したやつを見て満足していた。

ところが、なんと今月、遂に発売されたらしい!やったー!これは奇跡だ!鵺の鳴く夜は恐ろしい〜♪
…が、喜び勇んで調べてみたら、『LET IT BE』も他のビートルズの曲も違う歌手のカバーだって…。鳴呼。
やむを得ないとはいえ、これは買うべきかどうか…。しかもわざわざ歌詞の訳を字幕スーパーで入れてるとか…。

そういえば、と思いだし、ビデオに録ってまだ見てなかった、高林陽一版『本陣殺人事件』を見ることに。
やっと映画を見られるような生活に戻れたことの幸せを噛みしめるのだ。
…が、ATG独特の異様にドン暗い雰囲気と、鈴子の顔や琴の音色がブキミで怖くなり、すぐに見るのを中断…。

そんじゃ趣向を変えて、『イノセンス』も始まったようだし、『攻殻機動隊』でも見てみっか、と見る。
この映画は今まで何度も見ようとしてるんだけど、肌があわず、いつも数分で中断してしまっていたのだ。
でも、世間的に押井フィーバーが吹き荒れてる今なら、時流に乗って楽しめるのでは、と期待。
…が、今回もダメだった。10分でギブアップ。どうにも生理的に受けつけないみたい、絵も内容も。

結局、見直し運動実施中だった『ブレンパワード』を最終話まで。やっぱりいい!しみる!泣ける!健康的だ!
「やっぱ俺は、オーガニック的なものの方が好きだあぁぁぁ!」
そう心の夕陽に向かって叫んだ。その先には、黄金色に輝く雄々しい(雌々しい?)オルファンの姿が見えた。

そして今年何度目かわからないけれど思うのだった。「トミノ・ザ・グレート!」。

(2004.03.09)




●『ドッグヴィル』

ここ数年で観た映画の中で最も衝撃を受けたのは、たぶん『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。
そのラース・フォン・トリアー監督の最新作『
ドッグヴィル』。
主演は、ここ数年で観た映画の中で最も色っぽかった『アイズ・ワイド・シャット』のニコール・キッドマン。
まさに最強合体!これは必見でしょう!! ということで日比谷シネシャンテへ。

いや〜、ラースさん、あなたはやっぱり変でした。すごいです。
またもや「この不愉快さはなんなんだ〜!」とドーンとくる重い作品でした。

単純な舞台装置が、歪み、ねじれ、異様な奥行きと広がりを見せる。
そこで展開される、予定調和的でありながらも、なにかが狂ってる不気味な物語。
一応のカタルシス。でも、心に暗い澱みたいなものが残る不快な感触。

この不愉快ながらも、奇妙に心惹かれる気分について考えた。
俺はこの感情を知っている。懐かしい気持ちさえする。

そうだ、プロレスだ。それもキラー猪木のプロレスだ!
たとえば、昭和62年4月27日・両国国技館のマサ・サイトー戦。

「はずせ〜!」と猪木が突然ロープをはずさせ、ロープのなくなった奇妙なリングで、
狂った猪木がヨダレをたらしながら、失神したマサを果てしなく鉄拳制裁し続けた、あの試合。

あるいはまた、昭和63年10月19日・静岡産業館の長州力戦。
これまた狂った猪木が「アー」だか「ダー」だか、おぞましい叫び声をあげながら、
長州の首を締めつづけ、収拾がつかなくなってしまった、あの不気味な試合。

見なれているはずのリングが、まったく別の、地獄のような異空間に変貌を遂げ、
人間の心の奥底にある暗い魂のようなものがむきだしになる不愉快さ。
だけれども、目が離せない、圧倒的な磁力、色気…。

あれだ、あれを観たときの気分に似ているんだな〜。
プロレスから消え失せてしまったあの感触を、まさかこの映画で感じられるとは。
ラース・フォン・トリアー監督、やはり要注意人物である。

(2004.03.08)




●メモ再開

できたぞ〜ッ!! …いや、まだできてないけど、やっと終わったぞ〜ッ!!

去年の6月頃に企画が立ち上がり、紆余曲折しっぱなしだった通称“シャア本”こと
語ろうシャア!』(カンゼン)が、やっとこさっとこ完成。
このまま、トラブルがなければ3月末には発売されるはず。

自分史上最大の大仕事と思われるものが終わり、やっと咽の小骨が取れた気分。
そんなわけで、メモを再開。

近日中に「語ろうシャア!専用メモ」(仮)も当HPで連載開始! …の予定。


(2004.03.06)





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※狼男=狼はガガーリン空港を主宰している男の略