タイトル■特集：∀〜新しい夜明ケ〜
書き手 ■谷田俊太郎
1999年春から2000年にかけての約１年間、
「∀ガンダム」というアニメーション作品が
ひっそりと放送された。それは「まったくガ
ンダムらしくない、まったく新しいガンダム」
だった。我々はかつてない感動を味わった。
そして今年2002年、待望の映画化！2月9日
から劇場版∀ガンダム「地球光」「月光蝶」と
いう２本の映画が同時公開される。
だが一般的にはあまり知られていないこの作品。
正直、観客動員が非常に心配…。ということも
あり、我々は勝手に立ち上がったのだった！
「一人でもいい！この機会に多くの人に見てほ
しい！」そんな願いを込めて。
ちなみに「∀」は「ターンエー」と読みます。
＞バックナンバー
これは、富野監督に関する客観的な事実や発言を元に作った物語です。
あくまでもファンから見た富野監督像ですが、∀ガンダムを見る上で、
このお話はきっと参考になるのではないかと思います。なぜなら∀は
波乱万丈な人生を歩んできた監督の新たなる旅立ちの物語でもあるからです。
ロボットおじさん
第三話 もっともっとすごいロボットを！
「モビルスーツ」が
大ブームになっていた頃、
ロボットおじさんは
もう次のロボットを作っていました。
今度は、とてもとても大きなロボットです。
巨神といってもいいでしょう。
ロボットおじさんは、はりきっていました。
「今度はモビルスーツよりもすごいロボットを作るぞ」
そして、ついに完成したその巨神には
「イデオン」という名前をつけました。
その巨神の力はすごいものでした。
星の１個や２個、平気でぶっこわしちゃうのです。
宇宙だってぶっこわしちゃう力があります。
さらに「重機動メカ」と呼ぶことにした
その他のロボット達は、
もう人の形もしていない斬新なものでした。
「これならもっと大人達も驚くだろう」
ロボットおじさんはニヤリとしました。
やがて発表する日になり、
「今度もモビルスーツみたいなものかな？」
そう思った人達が、また見に来てくれました。
「すごいすごい」
今度のロボットにも大喜びしてる人達はいます。
けれど、「モビルスーツ」ほどの
人気は出ませんでした。
なぜか日の日に客足はへっていきます。
すごすぎるものは
みんな求めてなかったんでしょうか？
それとも「モビルスーツ」と
違いすぎたからでしょうか？
そしてまた結局、
発表の場所を予定よりも
早く追い出されてしまったのです。
それでも「モビルスーツ」で有名になった
ロボットおじさんには、
次から次へと「新しいロボットを作って」
と依頼がきます。
ロボットおじさんは毎日
休むヒマなくせっせと作りました。
「モビルスーツを超えるロボットを作ってみせるぞ！
もっと新しくて、もっとすごいロボットを！」
「もっと、もっと！」
そう思いながら
毎年毎年、作りつづけました。
「ウォーカーマシン」という農作業機械のようなロボット達。
「オーラバトラー」という虫のようなロボット達。
無名だけど才能のある若者を抜擢して作らせたこともあります。
そのロボット達は「ヘビーメタル」。
どれも今までにない新しいロボットでした。
おじさんは作るたびに新しい試みに挑戦しました。
でも、どうしても「モビルスーツ」ほどの人気者にはなりません。
やがて工場の経営者の方からも
苦情がくるようになります。
「もっと売れるロボットを作ってくれないかね？」
そして事態は思わぬ方向に進んでしまうのでした…。