イラスト■小島千里
タイトル■哀愁のバーチャファイター4は覇王パイの夢を見るか?
書き手 ■大岡まさひ
『バーチャファイター』とバーチャ現象は
さまざまなものを内包しています。
悲喜こもごもな人間ドラマもあります。
現代社会の抱える矛盾や、ストレスや、欲望を
映し出す鏡でもあります。テクノロジーの進化や、
それがもたらす新たな問題や、新たな愉しみも
集約されています。そう、ですから、これは
きっと「バーチャ論」です。論です論。
「バーチャファイター」というゲームを通じて、
現代ニッポンの一側面が透けて見えるようなものに
なればこれ幸い。マジで、透けて見えると思います。
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04■Ver.C日記 (2001.01.29)
〜強いベネッサがいましたの巻〜
今日は原稿の〆切と打ち合わせが
あったので、それらをやっつけてから
夜の新宿ゲーセンに向かったです。そうそう、それで思い出したけど、
新橋(仕事でよく行く)にもあるんだよね、
バーチャが盛んなゲーセン。たしか「2」のときから盛り上がってて、
「3」のときに隣に店舗拡大までした
と記憶しております。
ありゃ絶対バーチャバブルで
儲けたんだろうなあ、
俺の金も当然かなり入ってるよなあ、
くっそー、世の中やっぱ
やらされるよりやらせる側のほうが
お得だよなあ、べらぼーめぇっ、
とかいうふうに思ってた。で、「4」が出て久しぶりに
そのゲーセンに行ってみたら、
ちょっと前まではわりとさびれてて、
脱衣マージャン系ゲームばっかりが
ずらずらと並んでた印象だったフロアが、
いきなりまたバーチャだらけに
なってたので笑いました。
新筐体は4台。あとは昔の筐体に
「4」を入れたヤツが6、7台かな。
面白いのは、さすが新橋、
やってる人はほぼリーマン
メインなんすよね。
7割くらいはスーツ着て
バチャってます。
夜なんか大盛況です。
そこそこ強い人もいるし、弱い人もいます。
弱くてもカードの表示見ると試合数はすごいです。
金持ってるからね、社会人は。ただ、ここ、惜しむらくは台の
メンテがよろしくない。
バーチャカード(正式には「VF4キャラクター
アクセスカード」)をスロットに差しても
認識してくれなかったり、
レバーもなーんかこースコスコだったりして、
あれじゃーヤル気うせるよ、オバチャン
(いつも店番してるのは大抵オバチャン。いい人なんだけど)。まあ、そんなわけで、最近は新橋は
わりと敬遠気味です。
「3」の頃は、打ち合わせ帰りに寄ったら
有り金ぜーんぶ使い果たしちゃって、
某編集部の宇野さんって人に
電話して帰りの電車賃借りたことも
あったんだけどなあ…(懐かしいネ!)。閑話休題。
とにかく、今日は新宿に行ったんだった。「Ver.c」稼働直前ということで、
たいして遊んでる人はいないだろうな、
と思ってたんですけど、
行ってみると今日はなんだか賑わってた。
ちなみに、このサイトでは∀の話が
盛り上がってますが、
ゲーセンではガンダムのゲームも盛り上がってます。
でも、今日はガンダムよりバーチャのほうが
全然、人、多かったぞぃ。
だからどーしたってわけじゃないけど、
一応張り合ってみました!そして、おもむろにマイカードを差して
やり始めたら、「一級」のベネッサが乱入してきた。
その人のリングネームがまた面白かったな。
でも対戦相手のリングネームをここで
披露しちゃうといろいろ問題があると思うので、
名前は一応秘密です。
あー、でもありゃあツッコミがいのある
リングネームだった。
書きたいのに書けないのはつらいなー。
ま、それはいいや。そのとき僕が使ってたパイカードは「二段」です。
ほんとは「四段」なんですけど、実は同じパイの
カードを2枚持ってるんすよね。
なんで2枚も持ってるのかというのは
また話が長くなるので端折りますが
(こういうの多いですが)、とにかく
一級対二段の闘いが始まったと思ってください。
思ってくださいましたか?当然、二段(しかも実質四段)のほうが一級よりは
強いハズなんですが……いや、ふつーに負けました。
つーか、この人、勝率8割近かった。
たぶん、ほかのメインキャラ持ってて、
ベネッサは最近使い始めたんじゃないかなあ。
こういう人、多いです。
強い人のサブキャラはやっぱり強いので、
勝てません。キチーです。それと、そもそも僕はベネッサという
キャラを相手にするのが
苦手で、闘ってても何がどーなってるのやら
よくわからん状態なんです。
少なくとも、ちょっと前まではそうだった。
それで興味を持って最近少し遊びで
ベネッサも使って研究してみたりしてたんで、
キャラのほんとの特性が
やっと飲み込めてきたところでして。だからよけいによくわかった。
そのベネッサの戦略は実によく練られていて、
合理的で、的確で、効率がよくて、
なーるほど、ベネッサってキャラは
こうやって使うもんなのかー、というのが
理解できたです。いや、感心してる場合じゃないんだけど。
俺、5回くらい乱入して、全敗したし。
しかもそいつ、俺との対戦で初段に昇格したし。それであきらめてほかの台に移ったんですが、
その人はその後も連勝してて、
15連勝くらいで誰も入って
こなくなったようでした。
そこのゲーセンでは一人だけレベルが
高い感じだったからね。
ゲーセンもゲーセンごとにレベルの違いってのが
あるもんなんす。で、こっちが台変えて、
わがままな連携ばかり使うアキラとか、
わがままな連携ばかり使うアキラとか、
わがままな連携ばかり使うアキラとかと適当に
対戦しているうちに、そのベネッサ使いの人は
どっかに行ってしまいました。そして小一時間が経過。
そろそろ僕も疲れてきて、
自販機で買った缶コーヒーなんぞ飲みながら、
後ろからほかの人たちがプレイしてるとこを
眺め始めていると、また彼が戻ってきました。
しかもけっこう強いアキラに乱入して(今日、
アキラ多かったんだよねやたら)
ボコボコに蹴散らしてる。あー、あいつだ、また来たんだ、と思いながら、
こっちはぼーっとその様子を眺めてたんですけど、
やがて心の中にふつふつとした感情と共に
ある言葉が思い浮かんできました。リベンジ−−。
やってみっか、と思い、
頭の中でとりあえず対策を組み立てる。相手は理論派の的確なタイプだから、
勝機があるとしたらこっちも常に二択に
持ち込むようにする。
相手が一回でも転んでくれたら
起き攻めは中段と下段で二択、
ガードされたら反撃されるリスキーな技でも、
当たったときのダメージ効率を優先しよう。
向こうの起き攻めも避け投げ抜けとかは
使わずに上か下かのガードで我慢して待つ。
こっちのラッシュ中は深追いしない、
ベネッサお得意の避け攻撃を誘って、
ガードできたらワンコマンドで投げる。
下段のカウンター狙いの連続技は、途中で
割り込むのはあえてあきらめて、全部ガードした
あとの相手の下Pを避けて潰す。
向こうのラッシュ時もガードに徹して
Pか投げあたりでカウンターを狙おう。…とかなんとか。
んで、乱入したんですけど、
いやーこんときは相当マジでした。
たぶん、ほかの何をやってるときよりも
マジメな顔をしてたと思う。
相当に集中して、とにかく注意深くやった。
知ってる人には絶対に見られたくないね、
ああいうときの姿っていうのは。
瞳の中で炎が燃えてたと思うですよ。
オーガガのトップページ並に。いや大マジで。そいで勝てました。
相手連コインしてきたけど、2回目も勝ち。
3回目も勝って、4回目はこっちの集中力も
息切れ気味で、相手も対策の対策練ってきたっぽく、
やられちゃいましたけど。
でも、面白い対戦だったし、思ってたように
手堅く動けたし、
自分としてはとりあえず満足。
ガチンコの読み合いってやっぱおもろいなー、
って感じでした。そして僕は今日もバーチャの教訓を得た。
一、キャラ対策を事前に研究しとくのはやっぱ大事。
バーチャは勉強あるのみだ!二、集中力と根性を発揮できれば、キツイ対戦も何とかなる!
三、Ver.Bのパイだって手堅くやれば勝てるんだよなあ。たぶん。
何しろ、ベネッサというキャラのことは、
その対戦を通じてもう大体わかっちゃったからね。
そいつの真似すりゃ俺でもベネッサ、
けっこういいとこいっちまうんでねーの? って感じ。
とにかくコツはつかんだよ。
対ベネ戦も、ベネ使って勝つための方法もね。と思って、試しにその後、別のゲーセンで
ベネッサを使ってみたら、
全然動かせずにあっさりぼっこぼこに
されちゃったんすけど。あーもう難しいなあ、バーチャって。
今日はこのあたりで。
ほいじゃ、ばいちゃ!(←バーチャをもじったあいさつ)。
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