イラスト■小島千里

タイトル■哀愁のバーチャファイター4は覇王パイの夢を見るか?
書き手 ■大岡まさひ

『バーチャファイター』とバーチャ現象は
さまざまなものを内包しています。
悲喜こもごもな人間ドラマもあります。
現代社会の抱える矛盾や、ストレスや、欲望を
映し出す鏡でもあります。テクノロジーの進化や、
それがもたらす新たな問題や、新たな愉しみも
集約されています。そう、ですから、これは
きっと「バーチャ論」です。論です論。
「バーチャファイター」というゲームを通じて、
現代ニッポンの一側面が透けて見えるようなものに
なればこれ幸い。マジで、透けて見えると思います。

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09■トルシエ戦術でバーチャする!? その1

こんちわ。アレですね、いよいよW杯がすぐそこのあたりに近づいてきて、
世の中いろいろ大変なことになってます。
いやー、僕自身もかなーりワクワクドキドキモードに入ってきてますよ。
チケットが取れなくてじかに試合を見に行くことはできませんが、
スカパー! は見まくります。
とくに5月17日の代表選手発表の日は僕の誕生日です。
いや、まるで関係ありませんが…。

で、まあ、本サイトでもロビー田中氏のサッカーコラムが始まったりしてて、
ここはひとつ、オレもサッカーコラム書きたい! とか思ったりしたわけです。
しかし、本職、じゃないけど、本来書かねばならないはずのバーチャコラムも
最近サボってるし、しかもサッカーネタで何書いていいのかもよくわからん、
と悩んだりした僕は、突如、ナイスなアイデアを思いついたのであった、のです。

そう、バーチャとサッカー(とくにトルシエ戦術)との融合解説ってのはどうか!
つまりは、サッカーにおけるトルシエ戦術を、
オレのバーチャにおける対戦戦術に取り入れるとどうなるか、という、
なんつーかある種かなり無理やりな実験企画です。

サッカーファンにもバーチャファンにも両方楽しめて
(実際はどっちも嫌い、もしくはどっちかしか好きじゃない人にはまったく
 面白くない可能性高し)、
原稿を書く僕としてもバーチャとサッカーを同時に語れるという二兎を追う企画。
これは絶対素晴らしいと思ったのです(オレ的に)。

たまたま、僕はバーチャではいまだにずーっと四段でして
(一回、渋谷の「バーチャ博」っていう、ゲーセンにバーチャばかりが50台
 並ぶというバチャっ子たちのお祭りに行ったら、いきなり三段に降格
 させられたんですが、その後何とか四段復帰)、
これはまだまだサッカー一流国グループよりは格下で、
二流国グループにも入れるかどうかという日本サッカーのポジションにも
近いのではないか、ということはその国の今やろうとしているサッカー戦術と
バーチャにおける四段的ゲーム戦術とはオーバーラップするところもあるのでは?
ということも深い考えの中に入ってます。

とかゴチャゴチャ書いてないで、どうなるかやってみます。とりあえず。
その初回は、「トルシエのフラットスリー&プレッシングサッカー」を
バーチャに活かす、です。

●フラットスリー&プレッシングサッカー

トルシエサッカーの基本戦術のキーワードは
フラットスリー。
要は3人のディフェンダーがフラットに並んで
最終列を形づくる−−。

ってのはよく言われることですが、そのフラットスリーを
支えているのは前線や中盤からの飽くなきプレッシングです。
つまり、フラットスリーをできる限り(相手陣地方向へ)押し上げて、
コンパクトなフィールドを作り、厚くした中盤で相手選手にガンガン
プレッシャーをかけていく、だからこそ最終ラインは3人で守れるし、
そのやり方で相手ボールを奪えれば、もともと中盤に人数が多いので、
いわゆる「厚い攻め」が展開できる、というのが基本的考え方だと思います。

で、これをバーチャの戦術に当てはめるとするとどうなるか。

パイというキャラは技の威力は低いが、出が早いことが特徴なので、
まさに「プレッシングスタイル」がハマるはず。
パンチや、穿中拳(発生の早い中段攻撃)、あと単脚っていう
ぴょんぴょん飛んで蹴る技があるんだけど、
これらを細かく繰り出して、相手にプレッシャーをかけていく。
とくに単発のパンチ(P)は、ガードさせてもこっちが有利になる技。
しかも技の発生は全キャラ中最速なので、
相手の連携に割り込んで「暴れる」(コレ、バーチャ用語)際に
役に立つ。
あるいはこういう小技をしつこく出して当てることで、もっと
ダメージを与えられる大技(浮かせ技や投げ)も活きてくる。

さらに言えば、フラットスリーの肝となる、最終ラインの
細かい上げ下げ。
これはバーチャの相手キャラとの「距離」の取り合いと捉えたい。

パイの場合は、基本的に接近戦は分が悪い。
やれないことはないが、重量級キャラなどの膝を当てられると、
それだけで空中コンボから体力をごっそり持っていかれるので
ダメージ効率(コレもバーチャ用語かな)が悪い。
そこで相手膝が当たりづらいような距離を常に取るようにすることが肝要。

これ、やろうとするとけっこう疲れるんですけど、でもたしかに大事です。
森岡や宮本も、だから(「だから」かよ)いつも相当疲れると思うですよ。
毎試合毎試合、状況に応じて相当に細かいステップでラインを
上げ下げしてるから。
頭も脚もバテバテになるくらい使いまくってるはずです。

ちなみにこの(「この」かよ)「相手との距離の取り合い」は、
僕自身、一発の威力がでかいアキラ戦などではかなり
意識していることです。
相手としては接近戦をやりたがってるはずだから、その場合は
ガードさせるだけでも相手を押し戻せる技を使って、
とにかく「あっち行って!」とやる。
で、相手がじれて出してくる連携に、前述のパンチや穿中拳を
細かく、しかも丁寧に当てて、カウンターを取る。
で、カウンターが取れれば、二択を迫ることができます。
簡単に言えば、パンチでカウンターを取ったら、
投げと中段のどっちかを出せば、どっちかが当たって
(どっちかは外れるわけだけど)、それで相手にダメージを与える
ことができると。

さて、以上に述べてきた2つの対となる要素、
トルシエサッカーにおけるフラットスリーのラインの上げ下げ
つまり、バーチャでの相手キャラとの距離の取り合いと、
トルシエサッカーにおける前線や中盤での執拗なプレッシング、
すなわち、バーチャでの細かい小技による牽制とは、
それぞれが有機的に組み合わさってこそ正しく機能するものです。
どちらか片方が欠ければ、それだけで、むしろ穴だらけのヤバイ戦術となる。
逆にパーフェクトにに機能すれば、効果的な守備ができるばかりでなく、
守備から攻撃への切り替えすらもスムーズになる。

てゆーか、そうだったのかっ!!!

オレ、もうちょっとこのムッシュ・トルシエ戦術を
バーチャに活かさなきゃ!

てなわけで、ばいちゃ。また、次回。




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