イラスト■小島千里
タイトル■哀愁のバーチャファイター4は覇王パイの夢を見るか?
書き手 ■大岡まさひ
『バーチャファイター』とバーチャ現象は
さまざまなものを内包しています。
悲喜こもごもな人間ドラマもあります。
現代社会の抱える矛盾や、ストレスや、欲望を
映し出す鏡でもあります。テクノロジーの進化や、
それがもたらす新たな問題や、新たな愉しみも
集約されています。そう、ですから、これは
きっと「バーチャ論」です。論です論。
「バーチャファイター」というゲームを通じて、
現代ニッポンの一側面が透けて見えるようなものに
なればこれ幸い。マジで、透けて見えると思います。
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10■トルシエ戦術でバーチャする!? その2
〜日本代表vsノルウェー戦と「も、ダメだぁ〜」〜
いやはや、ノルウェー戦、完敗でしたね。
0−3というスコアもそうですが、内容的にも日本はまるでいいとこなし、
一方のノルウェーは巧くて強くて速い、いいサッカーやってました。
ノルウェーはW杯は予選落ちで出られない国だっちゅーのに。で、さっそくあの試合を無理やりバーチャにたとえて分析してみると、
全体的印象としては、けっこう頭脳的なプレーをするジェフリーと
対戦していいようにボコられちまった鬱な昼下がり……ってなところでしょうか。ジェフリーというのはVF4で最も重い体重を持つパンクラチオンで闘う
キャラですが、ノルウェーの迫力はまさに一発の威力がでかい
ジェフの迫力そのまんまに見えました。
しかも、威力があるだけでなく、
今回の相手はヤル気も巧妙さも日本を上回っていました。まず、相手はこっちの動きを事前にちょいと見ていて、逆をつく方法を
最初から意識していた。それと、脅威となる武器をうまくちらつかせて、こっちがちょっとビビった
ところに全然別の選択肢も見せたりして、けっこう小ずるく立ち回られた。といった印象がありました。こういう相手、つまりジェフ使いなんかと、
たまたま徹夜明けモードなんかのときに、
しかも今まで行ったことのないゲーセンで対戦しちゃったりしたら、
十中八九、いいようにやられます。ノルウェーはフラット3の弱点を突く方法をちゃんと予習してました。
バーチャでも、対戦する前に乱入する相手のスタイルを見たり、
巧い人だと1ラウンドめの対戦でほぼ相手のクセを見切ってたりするもんです。さらに、「脅威となる武器」とは、ジェフリーにおける膝とか投げ、
ノルウェーにおける高さとフィジカルとかいったあたりのことです。
それ見せつけられた後にちょっとテクニカルなことやられると、
けっこう簡単に引っ掛かっちまう。おまけに日本の選手はみんなお疲れっぽかったし(あと、とくにトルシエは
やつれてた)、アウェーの会場はけっこうな曲者グラウンドだったように見えた。あと、前半の日本の布陣は代表の「バランス悪いバージョン」だった。
それでももうちょい戦えないと特定の選手(たとえば戸田あたり)が
出られなくなったときにヤバイんだけど、まあしょうがない。
日本の実力からしたらここまで来るだけでも大変だったんだから、と思います。でも、もしまた次にノルウェーと対戦する機会があったら、
絶対勝てない相手でもないですよね。そう思います。
日本はまだまだ全然大して強くもないけど、
スポーツ新聞が突如悲観しはじめてるほどに弱くもない。だって、四段パイのオレだって、七、八段ジェフリーくらいには、
たまにだったら勝てるんだし。いや、たまにね。
地元にわりと有名な覇王のジェフリーがいるんだけど、
その人にはまだ通算で1回しか勝ったことないですけどね。
今まで20回くらいは対戦してるんだけどなあ……って、
ああ、思い出すと情けない。
なんであのジェフリー、勝てないんだろ。
っていうか、オレは絶対あと1回もあのジェフリーには勝てないんじゃねーの!?
って、悲観してるのオレじゃん……。そういえば、話ちょっと変わりますが、
僕の知り合い(ゲーセン友達って感じ)に
けっこう強いラウ&カゲ使いのバーチャプレイヤーがいまして、
その彼が対戦してケチョンケチョンにやられて負けると
よく言うセリフがあるんです。「も、ダメだぁ〜」
ってセリフ。
かなり、相当、むやみに、脱力した感じでつぶやきます。
で、これ聞くと僕は毎回、大笑いしちゃうんですよね。
気持ちがすっごいよくわかるから。
ほんともう、バーチャで「完敗」すると
そんな気持ちになる。
ダメダメモードがやってきます。
参考までに、自分がやられている過程で脳裏をよぎるのは、
大体次のようなことです。コイツ、強ぇぇよ、なんか全然通じねー、
つか、なんでオレはいいようにサンドバックにされてんだ、
バカかオレ! そんな技にまでやられんなよ!!
オレが今まで積み上げてきたものは一体何だったんだろうなあ、
うぁぁぁ、ダメだ、ボクちゃん、全然バーチャに向いてねー、
もう、お家にかえゆぅ……(泣)で、その結果として、実際に出てくるセリフが、
「も、ダメだぁ〜」
だったりするわけです。
いや、実際、そんな目にあって、このゲームやめちゃう人も
けっこう多いと思うんですが。ここで、またサッカーに話戻します。
僕はノルウェー戦はテレビで見てて、
後半に2点目を入れられたあたりで、
「も、ダメだぁ〜」
と思っちゃいました。トルシエなら「戦うメンタルがない」と言うことでしょう。
もし、テレビの前の僕じゃなくて、
やってる選手たちがそんなことを思ってたらね。
いや、選手たちはそんなこと思わなかったと思います。
「まだまだ、絶対ひっくり返してやる」と考えていたはずです。
っていうか、そうだったと信じたい。日本代表ファンとして、W杯本番のことは別に心配していません。
ノルウェー戦の教訓は必ず本番に活かされるだろう。
さまざまな問題点はちゃんと修正されていくはずです。まだ時間はある。ただ、まあ、ちょーっと心配なのは、ノルウェー戦で、
久々に代表のダメダメモードを見ちゃった気がすること。
そりゃ前のレアル戦も負けたし、よくはなかったけど、
でもあの試合はちゃんと選手たちが「戦ってた」気がしたから、
全然僕としてはOKでした。
けど、今度のは、「戦ってる」感じはしなかった。
「も、ダメだぁ〜」的ムードが、なんか……。
昔どこかで見た、悪いときの日本の姿をフラッシュバックさせるような……。
だだだ、大丈夫なんすかね、トルシエニッポン。ま、そのへんもね、ちゃんと立て直してくれればいいんですけど。
いや、立て直すに決まってますが。えー、今回、トルシエ戦術の話にならなかったな。
ほんとは前回の「フラット3&プレッシング」戦術を、実際に
バーチャに採り入れて試してみたその結果報告をしたかったんですけど、
それは次でやることにします。
その前に、本物の「フラット3&プレッシング」戦術が機能せずに
負けちゃったからしょうがないよなあ。ハハハハハー……。ま、「オスロ・ショック」記念ってことでひとつ、
滑った筆のままに提出いたしましょう。ほいじゃ、ばいちゃ!
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