第六章 牛の首

宿へ帰ると風呂に入る余裕もなく食事の時間が近付いていた。
着替えだけを済ませて急いで食堂へ。
宿代はそんなに高くないのだが食事はなかなかうまかった。

食事の席では家族連れの子供がこっちを興味津々で見ておりかなり可愛いかった。
子供がいるため当然のように下ネタ禁止となったのだがそこで無口になるオガちゃんが笑えた。

食後は順番に入浴タイム。
俺を含めた約8名は風呂に入るのを後回しにしてカードゲームをすることにした。
思えば2年前の合宿では「ハゲタカの餌食」というカードゲームでめちゃくちゃ盛り上がった。
ハゲタカに続くブームを目指して俺は今回の旅行のため面白いカードゲームを探して購入しておいたのだ。

その名も6ニムト
「シックスニムト」と読むのだろうかそれとも「ロクニムト」?
なにはともあれこれが面白いのだ。
104枚のカードを使って遊ぶゲームで牛の首を取った数ができるだけ少ない人の勝ち。
後でわかったのだがこれはドイツのゲームらしい。
しかも1994ドイツ年間ゲーム大賞,1994ドイツゲーム賞1位まで受賞している。
詳しくはいろんなサイトで紹介されているので興味がある人は調べてみてほしい。

まあとにかく牛の首を取らなければいいのだ。
後にこのゲームが奇跡的な激闘を生むことになるのだがここではまだ練習段階。
YAMAの勝負弱さがすさまじくかなり盛り上がった。

オガ 「YAMAさんはPKもカードゲームもダメなんですねぇ。」

さすがオガ。
毒のあるセリフは抜群だ。

俺はカードゲームもほどほどに風呂へ入り疲れた体を癒す。
さすが天然温泉、なんとなくヌルヌルしていて体に良さそうな湯だった。

風呂から上がるとカードゲームはまだ続いていたが部屋に戻るとその他のメンバーは爆睡モードに入っていた。
よく見ると数名は起きていたがマンガに熱中している。
毎年の合宿で思うのだがなぜか宿に備え付けられているマンガをやたら読み耽るやつがいる。
せっかくみんなで来ているのだから読みたいマンガがあれば帰ってからマンガ喫茶に行けばいいのに。



このまま各自思い思いの時間を過ごすこと1時間。
舞台はサッカーと並ぶ合宿のメインイベントである宴会へと突入することとなる。