Experiments on 135kHz,136kHz,137kHz Low Frequency band
[135kHz, 136kHz, 136kHz 長波帯の実験]
7L1RLL(若鳥)
11 July, 2010 V.1.1
A Sample of 136KHz Antenna Coils. The coil No.1 has a 1/4 inch nut at the center for usage of a tripod. Wires are for 10000 volts.
[136KHzアンテナコイル群。配線は,10000V耐圧電線(白)によっている。
第1.14版(2009/11/19)からは,第1コイルは,可変インダクタンス(Variometer)式とした。
また,移動時にカメラ用大形三脚に取り付けられるように,第1コイルボビン中央には,カメラアダプタ(1/4インチのメスネジ)を取り付けている。]
1. Abstracts(概要)
This page summarises 7L1RLL's experimental activities on 136KHz Low Frequency band (hereafter LF).
[このページには,筆者(7L1RLL)の136KHz長波帯(LF)実験の概要を示す。]
アマチュア無線の135.7〜137.8KHzは,欧米では136KHzと記述されることが多く,
欧米のQRSS応用では運用周波数が137KHz台であることから137KHzと書かれる。
どういう訳か,日本国のJARLなどだけが135KHzと宣伝しているので,
世界を対象にWeb検索する場合:136KHz又は137KHzを使い,
日本国内だけを検索対象とする場合:135KHz,136KHz及び137KHzの三つの周波数を指定しなければ,検索漏れが生じる。
そこで,このページの表題には三つの周波数群を列挙し,文中で帯域全体を示す場合は,136KHzに,表記を統一する(V1.10)。
1.1 Purpose for the experiments(実験の目的)
- Study on LF band(長波帯の性質の研究)
アマチュア無線に新しく(2009年3月30日に)与えられた未知の周波数帯の性質を研究し,知見を得る。
- Study on LF antennas(超短縮アンテナの研究)
波長=2200mに比べて,超短縮アンテナのアマチュアでの最適解を探る。
- Study on Propagation in LF(長波での微弱電波伝搬の研究)
長波で,WSPR微弱伝播報告網,
QRSS[(送信:QRS),
(受信:Argo,
SpectrumLab)]などを用いた微弱電波伝搬の実験を行い,知見を得る。
1.2 Initial Configuration for the experiments(当初の136KHz実験機材)
これらの送信機群は,すべて移動運用を想定し,最大でも出力50W[等価等方輻射電力(EIRP)1W以下]としている(1/4波長500mに比べて1/50も短縮した垂直10m以下のアンテナ及び仮設置のアースに50Wを給電しても,
とてもその水準の電力輻射はしない)。
- 136KHz Homebrew WSPR/PSK31/CW Converter
136KHz/10.136MHz homebrew converter is shown as left:OCXO(10MHz+-E10), right:ring modulator(unsuitable), bottom left: cutoff frequency 500KHz LPF in next photograph.
失敗作の周波数変換部の写真を次に示す。
Layout of 136KHz Converter Module[試作した周波数変換器(失敗作第1版)]
このモジュールの大きな特徴は,局所発振器(Local OSC)としてOCXO 10MHz(恒温槽付き10MHz水晶発振器,短期安定度10の-10乗,NDC製ジャンク部品)を利用していることにある(写真左上)。
写真右にダイオード4本及び変調コイル2個による平衡変調器(方式選択失敗部分),
写真左下に遮断周波数500KHzの5次バターワースLPFによって中波放送との干渉の低減[多周波数相互干渉(俗に混変調)及び雑音混入の予防,
136KHz高調波による中波以上への妨害の除去]などを実験意図としている。
このコンバータの動作原理は,親無線機(以下,親機。IF(Intermediate Frequency)機)の中心周波数(if)を10136KHz,局所発振器周波数(lo)を10000KHzとし,
送信時にはif-lo=136KHzが生成され,
受信時には136KHz+lo=10136KHzが親機に送られることを意図している。USB,LSB,CWなど電波形式の選定は,親機の設定に依存する(V1.23)。
高調波のうち,if+lo=20136KHz及び2if+lo=10272KHzは遮断周波数500KHzのLPFで除去される。しかし,高調波2if+2lo=272KHz及び3if+3lo=408KHzは,
現在ではスペクトラムアナライザの雑音床水準以下だが,30dB増幅した後に主波-70dBに納まらないほどに頭を持ち上げるなら,LPFの遮断周波数(現在:500KHz)を低く(例:200KHz)設計し直す予定である(V1.23)。
これらの構成によって,周波数の安定したWSPR(微弱信号伝播報告,電波形式:F1B),
PSK31(電波形式:G1B)及びCW(電波形式:A1A)若しくはQRSS(超低速CW,電波形式:A1A)の実験を想定している。
局所発振器として恒温槽付10MHz水晶発振器(OCXO)を利用しているからといってこの周波数変換器方式送受信系全体が高い周波数安定度となるわけではなく,
送受信系全体の周波数変動は,組合わせる親機の周波数安定度(TCXO組込機で1ppm程度)に依存する。TCXOが組込まれていない並みの親機に接続すると,周波数安定度は10ppm以上に悪化する。
局所発振周波数として10MHzを選んだ理由は,WSPR(微小信号報告系),QRSS(超低速CW)などのように送受信周波数が0.01Hzまで受信側で観察される応用の場合,
恒温槽水晶発振器水準(0.1ppm)の周波数安定度が望まれ,更に10MHz OCXOは産業用周波数計などの計測器の時間基準,周波数基準の部品として使われていた経緯から,
取外し部品(ジャンク部品)が入手し易いからである(V1.23)。
2009年11月30日現在では,主要部の周波数変換効率が低過ぎるので受信モニタ及び試験信号発生器程度の役割りだけしか果たし得ない失敗作だが,今後,この失敗を踏台にして第2版以降に
利得を稼ぐ半導体変調器への変更,フイルタ強化,電圧増幅器(俗に中押し),電力増幅器(50W)などを追加して実用水準にする構想である(V1.22),(V1.23)。
2009年12月2日現在,変調器のコイル巻数を変えて,スペクトラムアナライザで-20dBmで受信している137.78KHzのQRSS3信号(電波形式:A1A)をこのコンバータ経由で
親機FT-817でS=9で受信し,
コンバータの電源を切るとその信号が受信できないので,周波数変換機能は動いている[局部発振周波数(lo)の漏れによる親機側での2周波相互干渉の模様だ。]。
一方,10,137.78KHzを親機FT-817から1W(30dBm)送信しても,
コンバータ出力(LPF通過後)は-36dBmだけしか出ていない(V1.24)。
-
136KHz Homebrew CW transmitter
この送信機は,CQ hamradio誌2009年6月号からの模倣であるが,水晶発振器(10ppm〜50ppm)が基準で,QRSSに求められる周波数安定度が期待できない。
更に部品集め時に分かったことだが,廃品種,保守品種が使われており,将来,他の人が部品補給に苦労するなどの理由によって,実装を中止した(V1.29)。
- Readymade Transmitter(市販136KHzCW送信機)
市販136KHzCW送信機(Thamway TX2200A/50W with TCXO)及び表示部拡大(Magnifying the display unit)
上の写真のThamway TX2200A(TCXOオプション付)を送信機の一つとして使っている(V1.18)。
これは,送信機だけなので,Rig(架)に組合わせる受信機は,状況に応じて,Yaesu FT-100/FT817nd又はKenwood TS-50をTX2200AのReceiver端子から受信アンテナ線を接続している。
なお,QRSSの超低速CW(短点=3〜120秒)を考慮して,長時間の周波数安定性を目指してオプションのTCXOを導入して,
最小周波数設定は1Hzを得ている(周波数安定度:2.5ppm)
。
標準品(周波数安定度:50ppm)とTCXOオプション付き品(周波数安定度:2.5ppm)との外見上の差は,
周波数表示部の小数点以下が2桁(標準品)か3桁(TCXOオプション付き)かにある(V1.30)。
筆者(7L1RLL)の136KHz長波帯の実験では,この送信機はアンテナ系統の調整,受信回路の調整などの信号源の役割が大きい。
写真を撮影するのが変更申請審査終了後だったため,この送信機の本体正面に日本国総務省総合通信局の移動用に免許を受けたことを示す赤い免許証紙を先に貼付けた状態での写真となった[写真の
表示窓右側注目。HI(笑い声の電信略号。この発声はアルファベット棒読みで“エッチアイ”が正しい。)]。
外部キーヤ,受信機などを接続する前にこの送信機のKey入力電圧を計ったら,開放時12V,Keyオンのときの流出電流は実測9.8mAであった。QPRS,WSPRなど計算機支援の応用系を使う場合,
送信機のKey-in回路と受信機の-PTT回路の両方に配線することになるが,相互干渉(Thamway TX2200A/50WのKeyin開放:12Vが,受信機の-PTT開放電圧約5Vに流入)
するため,音声界面のPTT回路にダイオード2本で逆流防止機能を追加した(V1.15)。
更に,この種の送信専用機と受信機(例:FT-100/FT-817nd)とを組合わせてQRSSを運用する場合,受信役の無線機のPTTが働かないように,
計算機界面装置にPTToffスイッチを設けた(V1.16)。
しかし,3台のTCXO組込み無線機を使って,Thamway TX2200/50W(TCXO付き,実出力10W運用)の送信周波数をYaesu FT-100(TCXO付き)のモニタ音と
別なHFアンテナに接続したYaesu FT-897D(TCXO付き)の出力音との調音させてみると,1Hz程度のうなり(唸り)が観測できる(この実験は,
他の2台の無線機の変動を含む。)。
Anritsu製周波数計MF76Aで測定してみると,QRSS120のとき137,799.98〜137,799.99Hzと
ゆっくりだが0.01Hz変動していた(V1.20)。
この0.01Hz変動は,通常速度のCWにとっては過剰精度だが,帯域を狭めてSN比向上を図るQRSSの超低速CW運用では,必要な安定度である。
この0.01Hz程度の周波数変動は,このようなTCXO搭載の普及機では,良い精度に入る(V1.17),(V1.20)。
QRSS120を中国天津に滞在中のKL1X(Laurence)に聴取してもらったQRSS受信画面例
のように,周波数変動が大きいと137.788KHz辺りに幅が0.1Hz程度に広い送信になる可能性がある(このQRSS受信画面の軌跡は,
中央上部に.-. .-.. .-..(RLL)と読めないこともないが,周波数が0.1Hz幅に変動していることから自局の電波が中国に飛んだのではないことを示している(V1.21))。
筆者のQRSSの送受信は,受信機待機周波数:137,780Hz,実際受信周波数:816.5Hz,Argoオフセット指定:0Hz,
TX2200A/50Wの送信周波数:137,780Hzに設定して,相手の受信画面の137,780Hzに0.01Hz幅の軌跡が出ることを想定して,"TEST 7L1RLL"を送信している。
ここで,筆者の受信機の一つFT-100の場合の計算機応用系Argo周波数較正(Calibration)は,受信機周波数(137,780Hz),送信周波数(Measured
Frequency:137,780Hz),較正前のArgo受信画面の表示周波数(Display Frequency:800Hz),Argoのオフセット周波数(-16.5Hz)としている。
Argo画面の受信周波数表示:800HzはCWトーン(800Hz),受信無線機FT-100の周波数誤差:-16.5Hzである。これらの数値は,無線機ごとに周波数を測定して決めることになる。
このように,0.1Hz単位の周波数較正すると,
送信機周波数,受信機周波数及び受信系Argoの周波数表示の3者が一致し,
欧米のQRSS受信画面(137,779〜137,781Hz)の2Hz幅の0.1Hzきざみの周波数目盛りにも合わせることが可能となる(V1.25)。
一方,TCXOオプションの付かない10Hzステップの荒さの送信機では,QRSS受信画面の周波数を国際的な2Hz幅内に合わせて送信するのが難しいと思われる。
しかも,TX2200A/50Wは,QRSSで超低速CWを送信すると発熱に耐えかねて送信遮断される点の影響は大きい。例えば,
QRSS3(短点:3秒,長点:6秒)ですら,筆者(7L1RLL)の場合,アンテナ反射波(SWR=2.5)の影響もあるが,31W送信まで落として長時間の運用をしている(V1.17),(V1.26)。
QRSSのArgo受信画面で経過時間が遅い[滝の流れが遅い(超高速撮影風)]場合,CWの短点・長点による送受切り替え時に受信機に(キークリック風な)雑音を表示しまうことがある(V1.18)。
受信系としてSpectrum Labを使う場合,137780Hz受信波をSpectrum Lab画面
の780Hzに合わせるために,受信機FT-100周波数補正値(Frequency/offset)=-16.5Hzを指定した(これ以外の設定は,初期値のまま)。この見本画面では,左側に強さ別色分け,時刻などの現状を示す枠があり,中央枠に左方向へ流れる滝(waterfall)があり,
右に横向きに音声帯域(550〜1300Hz)の入力強さの曲線,中央枠の780Hzに筆者の呼出符号のモールス符号の一部7L1R(--... .-.. .---- .-.)が受信された状態を示している。更に,左下の小枠には,入力波形がサイン波であることを表示している(V1.26)。
QRSSの受信系Spectrum Labの受信幅を最小(Min):769.0Hz,最大(Max):790Hzの21Hz区間とし,周波数偏移(Offs):-13.9Hzとして,
周波数目盛り:137,779.9Hzに表示するように微調整した。受信機FT-100(TCXO付き)の周波数安定度は+-1ppm,最小1.25Hz設定機能があるが,ダイヤル目盛り最小周波数設定は10Hzだから,
実際には10Hzおきにしか目視設定できない。
一方,附属のSpectrum Lanサーバ機能を動かしたら,局所通信網(LAN)内の隣室に設置してある別な計算機からもSpectrum Labの受信画面が監視できるようになった。
ただし,現在の計算機環境では,ルータ(経路器)より外側のInternet側からは固定IPアドレスでないので,出入りできない(V1.27)。
QRSS受信系Spectrum Labは,ソフトウエアスペクトラムアナライザのようなものだから,Thamway TX2200A/50W(TCXO付き)の送信波形を観察していて,中心周波数+-50Hz,-40dBの双子が存在していることに気付いた。
これは,近接スプリアス,受信機側での混変調又は受信系Spectrum Labでの発生のいずれかであるが,受信機FT-100の減衰器20dBをオンにすると-50dBに軽減され,
Spectrum Lab画面では双子部分でのモールス符号を表示しない水準となる(V1.28)。
- Slow-Hell Transmitter(Slow-Hellビーコン送信機)
2010年7月9日には,136kHz_Slow_Hellビーコン送信機の無線機増設申請が審査終了した。
この機械は,1Hz強の帯域に複数周波数の断続によって絵文字を描かせる機能があり,自宅で運用しているQRSSグラバに送信電波を受信させ,一人で屋外から電波伝播試験するなどに使うつもりである。
1.3 First ever contact at 136KHz(136KHz初交信)
7L1RLL contacted with JA1MVK(Hisa) about 200 meters in distance on October 29 2009.
The used equipments were TX:Thamway TX2200A/50W with RX:Kenwood TS50, Coils and Slope antenna 5m High.
筆者7L1RLLの136KHzCW初交信は,2009年10月30日11:10,JA1MVK加藤久二さんと距離200mでHis599/My559であった。
このときの設備は,送信機:TX2200A/50W,受信機:Kenwood TS50(7.1MHz対応メーカ有償改造済み機),コイル群及び第3コイルの上部(地上高:1m)から移動用伸縮アルミニューム柱5mとの間に7mの1万ボルト被覆電線を張った
貧弱なアンテナ(Antenna B)であった。
車が駐車でき,アンテナ柱が立てられ,接地線が50m〜100m仮設営できる場所が見付かれば,交信距離は伸ばせると推定される。
実際,2009年11月20日T11:05,JA1MVK加藤さんとの2回目交信は,自局がV型アンテナを使い,距離1.5KmでHis499/My449と距離を伸ばした。
1.4 Most Longest Contact at 136KHz(136KHz自己最長距離交信)
7L1RLL contacted with JH1GVY(Morioka) about 3 Kilo meters in distance on November 10 2009.
The contact is my longest distance at 136KHz amateur radio band.
The used equipments were TX:Thamway TX2200A/50W with RX:Kenwood TS50, Coils and V shape antenna 3m high(See photo for the antenna).
筆者7L1RLLの136KHzCW第2回交信は,2009年11月10日14:30Jに送受確認(いわゆる“鳴合せ”)の後,
JH1GVY森岡 進さんが移動し,15:00J,距離1.85KmでHis599/My519で交信できた。更に,3Km先地点に森岡さんが移動し,15:43J,His599/My519で自己最長距離記録を更新した。
このときの筆者の移動地は日本国埼玉県八潮市大瀬運動公園,設備は送信機:TX2200A/50W,受信機:Kenwood TS50(7.1MHzメーカ有償拡張工事機),第2コイル短絡及び第3コイルの上部(地上高:1m)から移動用V型ダイポールに給電した(写真参照)。
136KHz Mobile installation at Yashio city,Saitama,Japan(八潮市大瀬運動公園での設営風景)
この交信は136KHzの波長約2200mを越えたので,電界・磁界の1周期が生成され,最初の1波長越えの目標(いわば“一里塚”)をやっと越えた。
この自己最長距離交信は,双方とも移動局[Map(現地地図)]で,
当事者2局間には鉄道(つくばエクスプレス),高速道路(常磐道)があって,河が蛇行した地形であった。更に,近くに東京環状道があり,
電波雑音は比較的多い場所だった。今後,雑音が少なくて,アンテナ柱が立てられる位置が見付かり,アンテナ同調を精密に行えば,交信距離は伸ばせると推定される。
無線用電源は,Additional Battery for Vehicle[車載無線機のための電源供給方法]によっている。
しかし,136KHz運用の現地では,原動機の点火雑音(バリバリ)が受信機で聞こえる。自車の原動機を停止させても,外来雑音が同じ程度あった。これは,受信外来雑音を低下させる手段が必要なことを示唆している。
バリバリの雑音でも,3Km先からの電波は雑音を破って599であったが,弊局の電波は519で届いていた。電波強度は,8目盛*3dB=24dBも弱かっただろうか?
耳感の個体差はあるにしても,自局のアンテナ放射効率が桁違いに悪いことを示しており,直列共振に追い込むなど改良の引金にしたい。
2. Plan for Antenna Installations(アンテナ設営案)
136KHz(波長2200m)のアンテナは,次の図のAntenna A及びAntenna Bのように超短縮アンテナの設置を想定している。二つの形式のいずれを設置するかは,
そのときの目的,設置場所,設置時間の余裕などによる。長波帯にとって重要な接地は,長さ50mの絶縁線(径1mm)を車の周囲の地面に這わす予定である。
例えば,初交信のときには,Antenna Bとし,接地は車と地面との容量によるだけだった。第2回交信では,Antenna Aとし,接地線100mを運動場端の芝生にできるだけ伸ばした。
第1.14版から,自宅運用に限り,14階鉄骨コンクリート造り建物の建物接地を試用してQRSS(超低速CW)のQRP送出を送信系QRSによって試み始めた。
なお,136KHzにアンテナを同調した場合,BC放送波(例:810KHz=AFN,954KHz=TBS)が聴取不適になる程度まで減衰し,両波(954KHz-810KHz=144KHz)による混変調として144KHzに
BC放送が聞こえないことを確かめた(V1.21)。
A Plan for Antenna Installation[移動時のアンテナ設営案].
V型アンテナをタイヤベースに立てる場合,同軸ケーブルの外皮導体と地面との間の絶縁強化のため,絶縁管を同軸ケーブルに被せた。
V型アンテナは,HF(3.5MHz,7MHz,14MHz)では双極(Dipole)antennaだが,136KHzバンドに流用する場合の動作は,
V字(万歳の手)の部分が容量冠(Capacitance Hat)となり,垂直部分の同軸線(芯線及び外皮導体)が放射機構部と想定している。
途中にHF帯のバラン(Bulan)及び万歳の手の先に3バンド別直列共振コイル(+浮遊容量)があるが,
長波では単なる導体として動作していると想定している。
3. Antenna coil configuration(空中線線輪の構成例)
My antenna coil configuration is shown as follows :
136KHz実験時のアンテナコイル構成例を次に示す。
-
Matching Coil(マッチングコイル)
これは,送信機出力50オームを第1コイルにインピーダンス整合させるためのもので,
直径61mmのフェライト製トロイダルコア(FT-240#61)に線径1mmのUEWを5回ごとに引出線(タップ)を出しながら75回巻いている。
このマッチングトランスは,移動運用を想定し,第1コイルボビンの中側へ取り付けた(このページ冒頭の写真参照)。
第1.14版から,このマッチングトランスを省いて,可変インダクタンス機構の第1コイル及び第1aコイルによって調整している。
-
Coil No.1(第1コイル)
このコイルは,直径227mmのボビン(PVC管)に6T,8T,10T,12T,14T,16T,18T,
20T,30T,40T,50T,60T,70Tとタップを出しながら100回UEW線を巻いている。キャパシタ1000pFとによって137KHzに並列共振させている。インダクタンスは,
計算上は1.8mHだが,1000pFとで137KHzに並列共振する事実から,実際のインダクタンスは0.75mH程度と思われる。
なお,外部アンテナなしで137KHz,30W,CW送信のとき,キャパシタ両端電圧は,約3500Vになっていた。
共振用のキャパシタ1000pFは,第1コイルボビンの中側へ固定した(このページ冒頭の写真参照)。
更に,第1.14版(Nov.19,2009)から第1コイルの中央にボビン直径80mm,40回巻きの副コイル(0.190mH)を設け,回転できるように改良した。
このVariometerによって,最大電流点を求め易くなったが,まだ,SWRは最低でも4.3程度と高い。
-
Coil No.2(第2コイル)
No.1コイルの内側に巻き方向を合わせて取り付け(冒頭の写真参照),
空芯の昇圧トランスを形成している。そのボビンは直径140mmの塩化ビニル管で,0.5mmUEWを200回巻いている(計算上のインダクタンスは,3.8mHである。)
ただし,外部V型アンテナを接続する場合,第2コイルは不要で短絡している。
ここは,更に微調整機構(Variometer)を導入する予定である(第1コイルに可変インダクタンス機構(Variometer)を導入。第1.14版)。
-
Coil No.3(第3コイル)
このコイルは,外付けアンテナとの整合用であって,直径300mmの溶剤空缶に80回巻いて,
計算上1.77mHを構成している。このコイルの巻終わり端は,MPコネクタの芯線(又は外皮導体)に接続できるようにしている。
2009/11/16,V型アンテナへの電流を最大にするには,この第3コイルを短絡した方が良いことが分かった。第2コイル及び第3コイルを短絡した状態で,
アンテナ電流1.536Aを得た。ただし,第1コイルにNJ接栓を付けて,再実験を行う予定である(実験終了,第1.14版)。
-
Current Detector(簡易電流計)
ありあわせのトロイダルコアにUEW 1mmを10回巻いて電流検出器とした。検波電圧を
外付けの電圧計で計る簡単なものである。
Picked up from Hideo Yamamura's Book[山村英穂著,“トロイダル・コア活用百科”,CQ出版,P.381より引用]
50オーム擬似負荷に137KHzを34.3V印加したとき,メータ読みは0.554Vであったので,直線と仮定すると,34.3(V)/50(オーム)=686mA,つまり,メータ
読みの1.238倍と計算した。外部アンテナを接続しない状態では,マッチングコイル出力が同調回路(第1コイル)に流れ込む電流は829mA,第2コイルと第3コイルとの
間の電流は2.4mAであった。
その状態では,第1コイルとキャパシタ1000pFとによる同調回路(本来ならアンテナ)に流れ込んでいる。
外部アンテナとしてV型の3バンド(3.5MHz,7MHz,14MHz)を接続し,第2コイルを短絡した状態で,第3コイルへ電圧350mV(計算上:電流0.42A)が流れる。
なお,この電流は,もっと流れるように直列共振を調整したい。
外部V型アンテナを接続する場合この第3コイルは不要である。
しかし,もっと短縮したYaesu ATAS-25を使う場合は,この第3コイルをアンテナ直下で接続した方が電流が多く流れた(第1.14版)。
電流計は,負荷インピーダンスが高かったが,山村英穂さんの回路を引用して,手直しした(V1.19)。よって,これ以前の測定電流値は表記した回路での測定
ではないことに留意されたい。
第1コイルを人工的に137KHzに並列共振させたことによって,送信・受信とも約10dB改良する効果があった。
並列共振時にはインピーダンスが高くなり,上下の不要帯域を低減し,混変調防止の役目を担っていると感じている。
また,第3コイルと外部アンテナとは,直列共振させインピーダンスを最低とし,所定周波数でLF電流が最大になるように調整する。
V型アンテナの垂直部分(3m)が主放射部分で,傾斜部分の2本は容量冠(Capacitance hat)を構成している。更にアンテナ素子先端の三叉の直列共振回路
はLFでは単なる導体として働いていると推定している。
車の後部座席に積んで日本国埼玉県八潮市に移動したとき,第3コイルのボビンのテーパによって,巻線に弛みが生じていた。これは,合成樹脂ネジなどで巻線の
歯止めの必要性を示唆している(2009.11.16透明アクリル樹脂ネジで3箇所留めて解決した。)。
4. 136KHz Related Lisences(136KHzの免許群)
筆者(7L1RLL)は,136KHz帯の実験のために,3種類の送信機群の免許を得た。いずれも,電子申請を利用
したTSS保証認定事業部経由の日本国の関東総合通信局長(担当:無線通信部陸上第3課)への変更申請である。これらの占有帯域は,100Hz以下の条件を満たしている。
読者の参考のため,免許申請時に添付した送信機系統図の写しを次に示す(送信機番号は,各自の実情に合わせて変えられたい。)。
- 136KHz Transverter(136KHz周波数変換器)
10MHz送信機からの変調波を10.135KHzのOCXO発振器と変調して,WSPRのF1B(周波数偏移変調),PSK31のG1B及びCW(QRSS含む)のA1Aを得る。
この136KHz周波数変換器は,2009年10月31日現在,実験回路から-30dBm程度の136KHz変調波を得ていることをスペクトラムアナライザで確認している。
この免許は,TSSの電子保証認定事業部経由,2009年6月21日に申請,2009年7月7日付けで審査終了して,すぐ発給された。
この回路は,将来の改良として,周波数変換器の変換効率の向上,電圧増幅器,電力増幅器を追加して,実用水準の電波(QRP)を発射できるように研究中である。
- 136KHz CW Transmitter(136KHzCW送信機)
この送信機は,JA1MVK加藤久二さんが日本国のCQ ham radio誌2009年9月号に発表された回路の模倣版である
この免許は,TSSの電子保証認定事業部経由,2009年6月21日に申請,2009年7月7日付けで審査終了して,すぐ発給された。
2009年10月31日現在,印刷基板を作成・補正して,穴あけ直前にある。
- Thamway TX2200A/50W CW Transmitter(サムウエー製TX2200A/50W)
この無線機は,2009年9月26日購入し,TSS電子保証認定事業部経由で変更申請提出し,2009年10月15日審査終了し,2009年10月26日付け許可になった。
この無線機には,アンテナ切り替え回路が組み込まれており,受信機へのアンテナ切り替えを行い,送信時には微弱電波を受信機で監視できる(ミュート機能)。
また,高安定水晶発振器(TCXO)の“オプション01”を注文装備した。これによって,+-2.5ppm(標準:+-50ppm)にし,周波数分解能を最小1Hz(標準:10Hz)に
している。
5. History(履歴)
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2009.10.31,First Release(開示)
とりあえず,公開開始した。
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2009.11.2,Addition of Date of Licenses(免許群の年月日追記)
取得した免許群の年月を追記した(備忘録)。更に,トロイダルコア型番を補足した。
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2009.11.3,[Version 1.04], Addition of Current Detector(電流計追加)
簡易電流計を追加した。
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2009.11.4,[Version 1.05], Addition of Plan for Antenna Installation(アンテナ設置案追加)
想定するアンテナ及びアースを追加した。
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2009.11.5,[Version 1.06], Addition of Isolated tube around coaxial cable at the tire-base(タイヤベース部絶縁補強)
タイヤベース周辺の同軸ケーブルに柔らかい絶縁管を被せ,絶縁補強した[外部導体への給電を想定した対策]。
ついでに,読者にとって全体がふかん(俯瞰)し易いように,アンテナ案を4.から2.へ配置換えした。
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2009.11.10,[Version 1.07], Addition of Most Longest QSO(最長3Km交信を追加)
2009.11.10現在までの自己最長記録3Kmを追加した。この程度の距離では,筆者にとって満足感はなく,
次の目標として,一桁上の数十キロメートル水準を目指したい。
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2009.11.11,[Version 1.08], Addition of Receiver(受信機名及び給電方式を追加)
受信機及び車載無線機供給電源方式を追加した。
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2009.11.12,[Version 1.10], Addition of Explanation for LF Antenna(長波アンテナ解説を追加)
V型アンテナの長波(LF)での機能を追加した。ついでに,帯域の周波数表示を136KHzとした。
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2009.11.13,[Version 1.11], Addition of QRS and Argo site(QRS及びArgoの導入先URLを追加)
超低速CW送信の計算機プログラム(QRS及びArgo)の導入先を追加した。
しかし,移動アンテナの試験に当っては長時間の運用をしないことから,QRSS(QRS,Argo)ではなく,
Consolidation of CW-Keying using OIKey-F88 Keyer(キーイングの統一,OIKey-F88の一利用例)
などによって,連続してID及び定型文を自動送出して,自他が受信する形態の運用の方が多いだろう。
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2009.11.16,[Version 1.13], Addition of Coil Stopper(第3コイル端をネジで留めた)
V型アンテナを使うときの最大電流は,第3コイル短絡時に多く(1.48A)流れることを発見した。
今後,第1コイルにMJ接栓を取付け,直接,アンテナに供給できるように改造して(コイル浮遊容量を除外して)再実験予定である(第1.14版で実験済み)。
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2009.11.19,[Version 1.14], Addition of Variometer(第1コイルを可変インダクタンスとした)
137KHz並列同調の第1コイルの中に,副コイルを設け,回転できるようにした。同時に,第1コイル出力にMJ接栓を設けた。
自宅運用試験として,14階建て鉄骨に接地し,仮アンテナとしてHF-430MHz用のYaesu ATAS-25に自家製短縮コイルの第3コイルをアンテナ直下においた。
これで,QRSS(超低速CW,電波形式:A1A)を処理系QRSを用いて自宅からも送信できるようになった。
しかし,QRSとAgroとを組合わせて,短点の時間を60秒に設定してみたら,CQ文(CQ 7L1RLL K)の1回の送出に1時間半程度の時間がかかっている。よって,このモード(QRSS60)での交信は,内職をしながら,気長に行うことになりそうだ。
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2009.11.22,[Version 1.15], Revised Audio Interface(音声界面のPTTにダイオード挿入)
送信機:Thamway TX2200A/50Wと受信機:FT-100とを組合わせてQRSS(送信:QRS,受信:Argo)
を実験するために,FT-100のデータ端子を接続すると,Thamway TX2200A/50Wが連続送信してしまう障害を発見した。
そのため,計算機と送受信機との界面であるCW機能と音声入出力機能との統一附加回路の受信機のデータ端子の-PTT線と
送信機-PTT線との双方にダイオード1N60を用いて逆流を防止して解決した。
同時に,関連ファイル名を136KHzに統一した。
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2009.11.23,[Version 1.16], Revised Audio Interface(音声界面に送信禁止スイッチを追加)
送信機:Thamway TX2200A/50Wと受信機:FT-100とを組合わせてQRSS(送信:QRS,受信:Argo)
を実験するために,FT-100のデータ端子を接続すると,Thamway TX2200A/50WのCW送信のとき,FT-100が送信してしまう障害を発見した。
そのため,計算機と送受信機との界面であるCW機能と音声入出力機能との統一
附加回路の受信機のデータ端子の-PTT線に選択スイッチを設けて,FT-100/FT-817ndの非送信を選択できるようにした。
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2009.11.24,[Version 1.17], Add Text for TX2200A/50W(TX2200Aの解説文を追加)
送信機:Thamway TX2200A/50Wと受信機:FT-100とを組合わせて,
QRSS(超低速CW,送信系:QRS,受信系:Argo)を実験すると,長時間運用すると温度上昇のため,出力を4W程度までしかあげられない現状を追記した。
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2009.11.25,[Version 1.18], Add URL of Thamway(サムウエー社のURLを追加)
送信機:Thamway TX2200A/50WのメーカURLを追記した。併せて,
QRSS(超低速CW,送信系:QRS,受信系:Argo)を実験するとき,
Argo受信画面に短点・長点の切替時にリレー切り替えチャタリングがうるさく表示されてしまう現象を記述した。
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2009.11.26,[Version 1.19], Modified antenna current detector(アンテナ電流測定回路を変更)
電流検出トランス2次側の負荷抵抗を75オームにして,計測電流値の変動を防いだ。
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2009.11.29,[Version 1.20], Measured TX frequency(送信周波数変動を実測)
QRSS120で送信中のTX2200A/50Wの周波数変化を計測し,0.01Hz変動することを確認した。
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2009.11.30,[Version 1.21], Modified frequency variation(送信周波数変動の結果,考察変更)
QRSS120で0.1Hz変動の中国天津の軌跡について,0.01Hz変動の自局からの電波ではないと断定した。
併せて,アンテナを136KHzに同調させた場合,中波帯の放送波(例:810KHz=AFN,954KHz=TBS)が減衰する事実を追加した。
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2009.11.30,[Version 1.22], Add 136KHz Converter(136KHz周波数変換器の写真追加)
10136KHzと136KHzとの間の周波数変換器の模型の写真及び簡単な説明を1.2に追加した。
ついでに,受信・周波数解析系:SpectrumLabの無料配布先のURLを追記した。
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2009.12.1,[Version 1.23], Add Description for 136KHz Converter(136KHz周波数変換器の説明追加)
10136KHzと136KHzとの間の周波数変換器の周波数関係の説明を1.2に追加した。
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2009.12.2,[Version 1.24], Add Status of 136KHz Converter(136KHz周波数変換器の状態追加)
10136KHzと136KHzとの間の周波数変換器のコイル定数改良後の状態説明を1.2に追加した。
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2009.12.3,[Version 1.25], Add Reference for QRSS frequency(QRSSの送受信周波数関係追加)
QRSSの受信系Argoを利用の場合,送信周波数137780Hzに受信軌跡を一致させるArgoへの設定値を追加した。
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2009.12.4,[Version 1.26], Add Sample of Spectrum Lab(Spectrum Labの見本追加)
QRSSの受信系としてSpectrum Lab利用の場合,
送信周波数137780Hzを受信軌跡780Hzと一致させるための受信機FT-100周波数補正値(例:-16.5Hz)及び見本画面
を追加した。
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2009.12.6,[Version 1.27], Add Description on Spectrum Lab(Spectrum Labの説明追加)
QRSSの受信系としてSpectrum Labを利用の場合,
監視画面の周波数幅を21Hz区間とし,周波数偏移値(Offset):-13.9Hzに変え,附属のサーバを起動したら,LAN経由で別な計算機から監視できる態勢にできた。
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2009.12.8,[Version 1.28], Add Sprious at +-50Hz(TX2200A/50Wモニタの近接スプリアス説明追加)
QRSSの受信系としてSpectrum Labを利用の場合,
監視画面の送信周波数の+-50Hzに,-40dBの不要輻射の存在が認められる現象を追記した。
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2009.12.9,[Version 1.29], Stop the development of second transmitter(第2送信機実装中止)
QRSSの送信機として単純な水晶を基準とすると,周波数安定度(1ppm)の確保が難しいと判断したので,
実装を中止した。
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2009.12.17,[Version 1.30], Add a photograph of TX2200A display(TX2200A表示写真追加)
送信機TX2200AにTCXOオプションを組み込んだ場合の周波数表示例を追加し,併せて,標準品(50ppm),TCXO付き(2.5ppm)を明記した。
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2010.7.11,[Version 1.31], Add a Slow-Hell Transmitter and QRSS_Grabber(Slow-Hell送信機,QRSSグラバ追加)
自作Slow-Hell送信機及びその受信系QRSSグラバを追加した。
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Amateur Radio Activities by RLL[RLLのアマチュア無線活動]
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