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2005年5月16日(月) 2005.5.15 後楽園ホール
昨年9月12日以来となるJWPの後楽園ホール大会。前回は日向あずみのデビュー10周年記念と、M's Styleとの全面対抗戦が主軸となったが、今回はJWPジュニア、JWPタッグ、JWP無差別級選手権の3大タイトル戦が中心。女子プロレス界では団体内のベルトを最高峰とする興行が少なくなる中、JWPではあえて伝統的な方針を貫いた。入場セレモニーでは、所属全選手を代表し、倉垣翼が「久々の後楽園で選手一同、いつも以上に張り切っていますので、ご声援よろしくお願いします」と挨拶。観衆は932人と、まずまずの集客となった。
▼第1試合 20分1本勝負
○木村響子(8分45秒、変形キムラロック)斎藤啓子×
斎藤啓子との一戦に「ソウルフル勝負」というテーマを掲げた木村響子は、新コスチュームでバナナを片手に入場。斎藤との握手を拒否すると、若手選手らしく、まずはエルボー合戦。これは互角となったが、ホームの利を活かした木村は、お得意の「フォッフォッ、フォッ」のパフォーマンスで原人スタイルを爆発させた。対する斎藤も変化に富んだDDTで何度も木村を追い込んだが、最後は新技の変形キムラロック(顔面と腕を決める複合技)を決められてタップ。格闘美3・6新木場で斎藤に敗れた木村が、見事にリベンジを果たした。
▼第2試合 JWPジュニア選手権
[挑戦者]○渡辺えりか(16分46秒、変形バックドロップホールド)松尾永遠×[王者]
※渡辺は第12代王者
黒のガウンに、黒の新しいコスチュームを着て入場した渡辺えりかに対し、王者の松尾永遠は堂々と腰にJWPジュニアのベルトを巻いて入場。JWP、NEOの試合で何度も対戦している両者は、お互いの手の内を知り尽くしているが、王座奪取に執念を燃やす渡辺は、いつも通り関節技を主体に攻撃。だが、ダメージを最小限に食い止める術を身につけた松尾は、ゴムのようにスラリ、スラリと逃れていく。攻めあぐねた渡辺の前に待っていたのは松尾の“マック地獄”。この技で、渡辺も木村も苦杯を舐めてきたが、どうにかカウント2で返した渡辺は、STOの連発で勢いに乗ると、腕を決めたまま新技の変形バックドロップホールドで松尾を撃沈。橋本真弥時代を含めると、5度目の挑戦で
第12代王者となった渡辺は、ファンから金、銀の紙テープの祝福を受けたこともあり、涙を流して喜びを爆発させた。
渡辺のコメント:
「本当はジュニアを卒業しなければいけないけど、ジュニアのベルトを獲らないと先に進めない。やっと、ジュニアでスタートラインに立てた。でも、このままじゃ、誰かに獲られちゃうと思うので、凄い嬉しいのと先が怖いのと半分半分。ジュニアで王者になったんだったら、もっと強くならないといけない。橋本真弥で一度は引退して、復帰したら元同期は一人前になっていて、焦っても体も心もついてこなかった。これで、やっと自信がついた。元同期に並べるように、ドンドン防衛して、上のベルトも狙っていきたい」
▼第3試合 30分1本勝負
○コマンド ボリショイ&GAMI(13分23秒、片エビ固め)ECO&KAZUKI×
※掌底
試合巧者コンビのコマンド ボリショイ&GAMI。コミカルなテイストの中にも、しっかりとした基礎や実力の裏付けがあるからこそ、相手を惑わすテクニックも際立つ。一方のECO&KAZUKIは、蹴りと膝を武器にバシバシと叩き込んでいくスタイル。ただ、タッグを組んで間もないECO組に対し、タッグタイトルも獲っているボリショイ組が一枚上手だった。コンビネーションも多彩に繰り出したボリショイ組は、GAMIがしっかりとECOをブロックし、ボリショイがKAZUKIを強烈な掌底で仕留めた。
▼第4試合 30分1本勝負
○前川久美子(15分28秒、体固め)春山香代子×
※踵落とし2連発
JWP無差別級王座への出直しを迫られた春山香代子は、現WWWA世界シングル王者の前川久美子とスペシャルシングルマッチで対戦。序盤は蹴りで優位に立った前川が余裕の表情を浮かべたが、春山はぺティグリー、ラリアットなどでペースを掴むと、場外でセントーンも繰り出すなど、一歩も引かない戦いを見せると、徐々に前川の表情が厳しくなっていった。春山がオレンジ☆ブロッサム、オレンジ☆トマホーク、ダイビングギロチンドロップなどを次々に決めていくと、前川の闘争心に火が点き、最後は底力に勝る前川が鬼の形相で踵落とし2連発を放ち、春山をマットに沈めた。
▼第5試合 JWPタッグ選手権 60分1本勝負
[挑戦者]○米山香織&闘獣牙Leon(20分28秒、米−ZOU)倉垣翼×&AKINO[王者]
※米山組は第23代王者
「入場を楽しみにしていてください」と公言していた米山香織は、ザ・グレート・カブキのコスチュームを纏って登場。後ろに控えていた本物のカブキが、鮮やかなヌンチャクを披露して喝采を浴びた。挑戦者組は、上り調子の米山だけでなく、パートナーの闘獣牙Leonもメキメキと頭角を現してきており、現在の女子プロレス界で最も勢いのあるタッグチームだが、王者の倉垣翼&AKINOはスピード、パワー、テクニック、コンビネーションなど、全ての面でバランスの取れた難攻不落のコンビ。序盤から米山が捕まり、苦しい展開となるなか、ところどころでコンビネーションを交えて王者組を揺さぶるも、倉垣&AKINOを追い詰めることはできず、敗戦ムードが漂ったが、AKINOのトルネードAが倉垣に誤爆。そこから激しくスピーディーな動きとなり、倉垣の一瞬の隙を突いた米山が米−ZOUで丸め込んで、大金星を挙げた。敗れたAKINOは「おめでとう。素直に認めるよ。でもな、これで終わるウチらじゃないんだよ。今度は挑戦者となってそのベルトを狙ってやるよ」とアピール。倉垣も「またやらせろ」と再戦を希望した。第23代王者となった米山の「苦戦しましたけど、結果的には楽勝でした」のマイクはご愛嬌か。
米山組のコメント:
米山「カブキさんが応援に来てくれて、心強かったです。合体技はもっとあったけど、あの相手では出させてもらえなかった。(倉垣組は)パワーもあって、スピードもあって、技のキレもあって、パーフェクトなチーム。でも、こっちの方が若さと勢いとベルトに対する気持ちが大きかった」
Leon「米山とはデビューした時からライバル。組んでてもライバルだけど、燃えさせてくれるパートナー。組んでて楽しい。(次期挑戦者は?)おもしろいのは西尾(美香)&Hikaru。実力ではこっちが勝っているし、Hikaruが復帰したらやってみたい」
▼第6試合 JWP無差別級選手権 60分1本勝負
[王者]○日向あずみ(20分31秒、片エビ固め)伊藤薫×[挑戦者]
※みちのくドライバーII。日向は2度目の防衛常々、「ベルトの価値を高めたい」と語っている日向あずみが、その相手として目をつけたのが伊藤薫。最高の舞台で、最強の挑戦者を迎えた日向は、いつも以上に気合を表に出して臨むも、伊藤の一発、一発はどの技も強烈。ダイビングフットスタンプへの布石か、日向の腰を集中的に狙う伊藤に対し、日向はその必殺技を避けるために、伊藤の足に的を絞った。中盤、場外戦では鬼気迫る伊藤がイス攻撃を畳み掛け、場外マットにパワーボムを敢行。何とかリングに戻った日向は、みちのくドライバーIIで勝負にかかるも、伊藤も垂直落下式ブレーンバスター、ライガーボムでお返し。ヒールホールドで再び伊藤の足を絞った日向だが、スパイラルボムからダイビングフットスタンプを食らってピンチに陥った。しかし、足攻撃が功を奏し、伊藤はすぐにフォールにいけず、日向は何とかカウント2でクリア。驚異的なスタミナで蘇生した日向は、2度目のみちドラを返されるも、スパイダージャーマン、飛び膝蹴りから3度目のみちドラで伊藤を葬り、2度目の防衛に成功した。
伊藤のコメント
「王者から伊藤薫を指名してきたということは、ベルトの価値を高めるために呼ばれたと思う。負けてしまったけど、伊藤薫は強いと思わせる試合はできた。この戦いを無駄にしないで、ベルトの価値を高められる選手と防衛戦をしていってほしい。(日向は)動きのいい選手で、新人のころも脚力もあるいい選手だと思った」
日向のコメント:
「素直に嬉しいです。(伊藤には)一度も勝ったことがなかったですから。大きい人が相手となると、まだまだ課題もある。でも、そういう人に勝てたのは自信になる。9月の後楽園でも、自分がメーンで無差別の防衛戦をしたい。(相手は?)JWP同士で、後楽園のメーンをやってみたい。(当たってみたい選手は?)6月に引退するシュガー佐藤とかは、もう当たれなくなるので、興味あります」