終わりのない物語

第5幕「ひらけゴマ」


 
――地下への扉は三ヶ所あった。内一つは崩れて埋まった倉庫で、見るべき物は特に無く、残りの二つは短い階段を下りたところにあった。その半地下の部屋は、裾の広い二等辺三角形をしていて、左右の壁の真ん中に一つずつ、階段口の向かいの壁(これが底辺にあたる)に向かって扉がついていた。

ジェイ:いかにも何かありそうな変な配置だな。両扉の材質と蝶番の仕組み、それに鍵穴を見るぞ。
GM:黒い艶消しの金属製で、蝶番はこっちからは見つからない。把手も鍵穴もないぞ。ただの壁にはめ込んだ金属板と見れない事もない。
プラート:クトゥルフ-注1じゃこの手の扉はダミーで、向かいの壁のカーテンの後ろに隠し扉があるんだ。GM、向かいの壁の真ん中を調べてみる。
GM:(いいとこ突くけど、ちょっと早い)シーフ技能で振っていいよ。……何も変わったところはなかった。
クレイ:その間に二枚の扉を詳しく調べる。センスマジック-注2も密かにかけておくね。
ジェイ:なんだよ、お前ソーサラー入ってるのか。出し惜しみしてたな。
プラート:ウィザードスタッフ-注3なんか持ってたっけ?(クレイのシートを覗き込む) ……無いな。
ジェイ:わかった。このロングスピアに仕込んであるに違いない。(笑)
クレイ:あ、それいいな。今度やろうかな。(やめろって:GM)実際はワンドを袖の中に隠し持っている。
GM:扉をチェックしているクレイはあやしい踊りを踊った。達成値はいくつ?
クレイ:発動チェックだけじゃないの? なんかヤダなぁ。(サイコロを振って固まる。出目は3)……ぼく6才。
一同:つかえねぇ〜〜〜。
GM:えーと扉の表面にうっすらと魔力、枠に沿って強く光っている部分がある。何か文様のように見えるんだけど、それが連なってちらちら光っている。両扉とも同じ形で、それ以外に光るところはない。
武士の情けだクレイ、ソーサラーかセージでINT知力チェックしてみそ。
クレイ:お代官さま〜〜ありがとうございます〜〜へこへこ(揉み手をしながら米つきバッタのように頭を下げる)。ていっ!(11が出た) すごいぞ14だ。
GM:(なんて確率通りな奴)……昔々のそのまた昔、「神代の民」は4つの氏族に分かれて暮らしていたそうな。そのうちの一つ、「大地の民」のシンボルに見えないこともない、と君は思った。
クレイ:と、いうことは……(キャラシートの裏の覚え書きを読み返している)、四大精霊の加護=四氏族? ドリスにセンスオーラ-注4を頼む。
GM:ご想像通り、センスオーラで扉にノームの精霊力が働いていると教えてくれる。そのシンボルが何かの文字で形作られているのもわかったんだけど、ドリスには読めないのでした。
セラ:書き写してもらえば? 時間はあるから両方とも丸写しできるでしょ。
GM:……結構大変だったけど、なんとかなった。しかし失敗もしているので、紙は12,3枚必要だ。持ってる?
クレイ:かろうじて。足りない分はセラから貰う。
GM:下位古代語ローエンシェントが読めるのは、セラとクレイだっけ。中身これね。(紙片を渡す)写し終わるまで他の人達は何してるのかな。昼までかかるけど。
プラート:階段の向かいの壁を端からじっくり調べる。
ジェイ:外を見回りがてら、ぶらぶら散歩。
セラ:上の瓦礫の中でめぼしい物が無いか見てみます。建築様式とかそういうのも。
クレイ:昨夜見つけた鍋で昼飯を作る。(何に使ったかわからんのに……:ジェイP)
GM:プラートは3回ロールしていいよ。シーフ+敏捷度ね。
プラート:あいよ。……15、12、16だ。
GM:さっき調べた真ん中のところが、周りに比べて滑らかな気がする。終わり。
プラート:あっそ。やっぱり古文書の解読待ちかー。で、なんて書いてあった?
セラ:途中に虫食いが入ってるけど……
暁の女神の子にして(ホニャララ)の民を導く我らが始祖、静寂と英知を司る(ホニャララ)、その御名をとこしえに称えん
で、もう一つの方も同じ文だけど、最後の「御名」が「御代」になっているところが少し違うの。
ジェイ:ホニャララ?(笑) なぜホニャララ(笑)。
クレイ:いや、本当にそう書いてあるんだって。欠けたところに括弧して。
GM:ピーとか××じゃ、なんかヒワイな言葉みたいだからさ。ちなみにホニャララ(笑)は読めない単語。イメージ的には子音だけの発音とか、発音法則を無視した単語ね。
セラ:(扉の前でホニャララと唱えた後)だめ? ……他に心当たりはないでしょうか。
GM:関連すると思われる知識技能+知力で振って。ない人は素目ね。目標値は15。
セラ:それは6ゾロのみになりますね。……だめでした。
クレイ:以下同文。
プラート:11以上だけどやっぱムリ。ドリスは知識系、入ってないんかね?
GM:「残念ですが、わたしにもサッパリ……」と言っている。「ただ――」
ジェイ:あっ、出た! 6ゾロ、完全成功!!(一同どよめく)
GM:(ちっ、いらんことを……)発音できないのは古代語じゃなく、精霊語だからじゃないかと君は思った。
ジェイ:精霊語の発音記号? 謎だ。でもドリスにその考えを伝えておこう。
GM:(あー、イベントが一つ消えた。……)そうするとドリスはしばらくノームと話をした後、何か唱えたらしい。君らにはさっぱり見えないが、何かが起きた後、階段の向かいの壁がうにょ〜んと溶けて入り口ができた。例の言葉でトンネルの呪文が発動したとドリスが教えてくれる。
プラート:やっぱりそこにあったんだな。俺の読みは正しかった。
ジェイ:じゃあ、隊列マーチングオーダーを決めよう。2・1・2でいいよな。俺とプラートが前、ドリスが中、セラとクレイがケツって事で。
プラート:それだとあんまり具合が良くない。俺としては。(クレイPを見る)
クレイ:考えすぎだと思うけどなー。でもセラとドリスは入れ替えてもいいかな。セラはチェイン(メイル)とラージ(シールド)だから、前にも立てるし。ドリスにインフラ-注5使わせると明かりも邪魔になるから、丁度いいかも。
ジェイ:しかしこのパーティ、後ろが重い-注6な。
GM:相談ナシで、みんな好き勝手に作ったからね〜。
セラ:でもその割にクラスが分散しましたよね。何にでも対応できていいんじゃないでしょうか。
クレイ:おかげでレベル低いぞ。

[ 脚注 ]

注1
クトゥルフ神話大系が原作のTRPG「クトゥルフの呼び声」。キャラクターが見てはいけないモノを見て、発狂してしまう事がよくある。
注2
その名の通り「魔法感知」。ソーサラーの呪文の一つ。これを使うと、視界内の魔力を帯びたものが光って見える。
注3
いわゆる魔法使いの杖。これが魔法を使う際の発動体になるので、無いと呪文の成功率が下がる。
注4
シャーマン固有の技能その1。周りにある精霊力を見分けることができる。
注5
シャーマン固有の技能その2。インフラビジョンの事。暗視能力の一種で、サーモセンサー的な視界に切り替えることができる。
注6
前衛としての純戦闘クラスがジェアードしかいないゆえの発言。実際パーティバランスからいうと、もう一人ファイターが欲しいところ。