大陸諸国

1.各国概要

モーゲン光国
神によみされた国であるという誇りを持つ古い国。シャイニングスター教団が強い影響力を持つがゆえに、ハイ・カスター、ロー・カスターの各国とは対立する事が多い。大港湾都市ローアンは、西方のヴァーン四島や、アーアルシャン諸島との交易で、この国に莫大な利益をもたらしている。
首都:光都ブリリステーロ。
カスター王国
カスター連合王国の首座。都市国家アラフラとその双子都市アルファラを加え、まとめてハイ・カスターと呼ぶこともある。全ての信仰を擁護している為、昔からモーゲン光国とは反りが合わずに何度も干戈かんかを交えている。王都には魔術師ギルドの本部がある。
首都:王都レグニール。
双子都市アラフラ
元々はカスター王国の一都市だったが、現在はカスター連合王国内の一国となっている。700年ほど前に、とある原因不明の魔術災害に曝された時、しばらく隔離された上に街の出入りを禁止され、飢え死にの憂き目を見た。そのため都市住民の怒りと反発を招き――調査のために現地に滞在していた魔術師団も、この時の処遇に腹を立てた――、紆余曲折を経て単独の都市国家となる。現在では、現地に留まった魔術師達の研究機関が成長し、近隣で随一の魔術研究都市となっている。
双子都市アルファラ
元々はカスター王国の一都市だったが、現在はカスター連合王国内の一国となっている。700年ほど前に、とある原因不明の魔術災害に曝された時、街の1/3が崩壊した。以後、アラフラと共に手を携えて独立の道を歩む。崩壊した部分は再建せず、葡萄棚にしたところ上質のワインが醸せるようになった。現在では、アルファラ・ワインは最上の格付けを与えられている。
ラストレイル王国
元々はカスター王国の一領土だったが、500年ほど前に独立した。豊富な鉱山資源に支えられた豊かな国であり、近隣の宝石流通価格はこの国の関連ギルドで決定される。腕の良い鍛冶師・細工師が多い。この国にブロダイエズとエルファム、イェーブを加えてロー・カスターと呼ぶ事もある。
首都:王都ロードナイト。詳細はこちら→「ラストレイル王国
ブロダイエズ
近接するエルファムの民と共存し、領主家にはその血が混ざっている。その為、エルファムの奉じる神イベルキューズを邪神と見なすモーゲン光国には、再三に渡って侵略・支配を受けている。その都度民人はエルファムに逃げ込んで時期を待ち、カスター王国等の援助で国を取り戻すという事を繰り返している。
エルファム
イベルキューズを奉じる、背の高い先住民が住まう大森林を指す。転じてその民の呼び名でもある。精霊や土地の小神に近しく、魔術の技に秀でる。穏やかな気質だが侵入者には容赦がない為、モーゲン光国からは「暗黒の森」、「悪魔」などと呼ばれている。
イェーブ
白霧山脈の麓にある、イベルキューズを奉じる小柄な先住民の住まう地を指し、転じてその民の呼び名となる。陽気で物怖じしない気質だが、環境の変化を嫌うため、外界へ出る事はほとんどない。酒好きなので、最も近いアルファラとは頻繁に交易を行っている。

 

2.名所案内

教団自治領
光都ブリリステーロから見て、ブルーレイクを挟んだ北側に位置する、広大で豊かな土地。教団本部自体は光都の大聖堂にある。この土地を治めるのは、高位の司祭や神官達であり、その地位は他国の郷士ロードと同様である。
スワイン
モルヴィエの沼地に唯一ある村。招かれたのでない限り、余所者が自力でこの村にたどり着くことは難しい。
ヴァーン四島
ローアンと頻繁に交易をしている西の島々。海底火山の活動が激しいせいか、しょっしゅう地震や噴火などで煙をあげている。きつい臭いがあるが、各島それぞれには効能の違う温泉が湧き出ている。
名産品はたまに採れる、「炎の滴」と呼ばれる結晶片。
アーアルシャン諸島
ヴァーン四島より更に西南にある。小さい島々が狭い間隔で点在するため、外洋船は中まで入っていけない。島と島の行き来は平底の細長い艀、または浮島のように組み合わさった筏を使う。
名産品は多種多様な果物と香辛料。
海族
かつてはモーゲン沿海を荒らし回った海賊たちの末裔すえ。今は海洋交易商人に鞍替えしているが、モーゲン光国においては「ならず者」と同義である。しかし、近隣海域における海賊の被害はモーゲン光国が圧倒的に多い為、あながちその定義は間違っていない。
海賊列島
昔、様々な理由により、お尋ね者になった(主にモーゲン光国で)人々が逃げ込んだ場所で、交易船を襲って日々の糧を得ていたため、この呼び名がついた。現在は海洋を自由に航行し、遠くラストレイル王国までも交易して回る「海族」の本拠地になっている。
<神の渦潮>
アーアルシャン諸島よりも更に西の彼方にある、巨大な渦潮地帯の事。これがある為、それ以上西へ航行する事ができない。渦を越えられた者も、越えてきた者もいないが、その先には神々の国があると言われている。
北の荒野
いつの頃からか存在した不毛の土地。かつては緑豊かな草原地帯だったと伝えられている。この広大な荒野を越えられた者はいない。
双子都市
ハイ・カスター東の都市国家、アラフラとアルファラの事。この二つは街の基本構造及び中心に位置する城の造りが、鏡像のように対になっている。俗説では、二つの城は大昔のカスター王国にいた双子の王女の居城で、名前もそれぞれの王女にちなんでいるという。
中立都市エッティングロート
しばしば対立してきたモーゲン光国とカスター王国の緩衝の役目を果たす街。地理的にはカスター王国内にあるが、完全な自治都市として独立している。元の領主はカスター王国から扶持をうけていたが、とある事件がきっかけで<大連盟>締結後に中立都市となる。

 

3.人名・用語豆辞典

アルファラ・ワイン
カスター王国東の街アルファラが産出する上質のワイン。かつてこの街を襲った未曾有の災害の後、その痩せた土地をなんとか活用しようとしたのが始まり。今では最上のワインは、この地で生み出されるとまで言われている。
<アヌーブン>
シャニングスター教の過激派による秘密結社。その行動理念は、
  1. 4神以外の邪神を滅ぼす事。
  2. その為には神々の世界を探索し、その秘儀を深く理解する事。
である。度重なるブロダイエズ侵攻の裏には、彼らの暗躍があったと言われており、教団はあまりに行き過ぎたアヌーブンに眉を顰めているというのが一般的な見方である。
アヌヴィンの民
4人の神々に仕えていた小神の一族。邪悪な土俗の神を追放した時に活躍したが、その後4人の神が去ると同時に眠りにつき、神がこの地へ帰還する時に再び仕えるために現れるという言い伝えがある。
アマティラ
ラストレイル王国で信仰されている、運命を司る神。シャイニングスター教団の聖典では、神々に追放された土俗の邪神と見なされている。
象徴:金色の環に囲まれた緑の
イベルキューズ
ブロダイエズ、エルファム、イェーブで信仰されている生と死、その狭間にある均衡を司る神。シャイニングスター教団の聖典では、神々に追放された土俗の邪神と見なされている。
象徴:向かい合う黒と白の山羊
<イリスの石>
産出地不明の虹色に輝く貴石。なんらかの魔力を秘めていると思われるが、いまだ詳細はわかっていない。発見されてより、様々な人の手を渡り歩いたが、この石を手に入れる為に盗難や殺人が度々行われた。現在所有者、所在地ともに不明。
エングリン族
土俗の邪神に仕えていたと言われる土地神の一族。邪神の追放と同時に力を失い、更に卑小な存在になったと言われている。イベルキューズを信仰する地において、この一族は神の化身とされており、調和をもたらす者として敬われている。
「影使い」
700年前に双子都市での大規模魔法災害を引き起こしたといわれている人物。その正体や使われた魔法の術式は現在でも全くの不明。しかし影を本体から分離する事で、その物体の構造を崩壊させるという原理だけは、時の魔術師ギルドの研究で解明されている。
歌聖レフティアーノ
伝説の吟遊詩人。現在のカスター王国レフティアーノ候家は彼の興した家である。
銀竜の騎士
カスター王国剣匠、エルマー・ブルーレイクの事。長剣と小剣の二刀流を遣う、氷の魔剣ウェルリーフの主。その呼び名は、常に傍らにいる銀竜の子からついた。現在はエッティングロートに居を構えており、街の治安を維持する事に大きく貢献している。
<大連盟グランリーグ>
第7次モーゲン・ブロダイエズ戦役の後締結された、対モーゲン光国同盟。主旨は光国の理不尽な侵攻に対して、互いに助け合おうというもの。
銀竜団シルバードラゴン
エッティングロートにある傭兵団。元々は剣匠のエルマーに教えを請う戦士達が、寄食の見返りに近隣の警備をかって出たのが始まり。現在は街の警備と隊商の護衛、街道の巡回などをこなす守備隊と化している。そのおかげで、中立都市になったにもかかわらずエッティングロートの治安は向上した。正式団員は30名程度。
会員制秘密クラブシークレット・タバーン「ザナドゥ」
各国の貴顕の中でも、ごく一握りしか会員になれないというクラブ。所在地は不明。しかしこのクラブの会員には、必ずその時の王や領主が名を連ねているという。
シャイニングスター教団
モーゲン光国の国教を司り、光皇の助言者としてこの地を治めている。4人の神、カナート、モルタナ、ヴェーダ、ファン・テトリンを奉じており、それ以外の神を認めていない。教団本部は光都にあり、その壮麗な大聖堂は教団の誇りである。教団の詳細はこちら→「シャイニングスター教団
「ジュエル・ボックス」
カスター王国王都レグニールにある小さなソーダスタンド。秘伝のソースを加えたアイスクリームやパフェ、ソーダ水などが大人気で、遠くの街からも訪れるほどである。しかし、氷を使うため値段は高い。主人のジョゼは童顔なために、近所では「ジョゼ坊や」と呼ばれている。
第7次モーゲン・ブロダイエズ戦役
<大連盟>のきっかけとなった戦い。第6次戦役で四散したブロダイエズ領主家の長子ミハイルが、10年かけてレジスタンスを構築し、敵の将軍までも味方に引き入れ単独で国を奪回した。また、巧みな外交交渉を駆使して近隣の国との同盟強化を図っている。
ツウェイン家
ブロダイエズの領主一族。その歴史は古く、モーゲン光国建国の時代まで遡れる。始祖にはエングリン族の血が入っている為、モーゲン光国は何度となくこの領主家を根絶やしにしようと侵攻を繰り返した。一族の家紋は飛竜と五つの星。
<蔦の葉>
ラストレイル王国港町コーラルから、艀で1時間ばかり南にある蔦の葉の形をした島の事。ここには最近発見された巨大な遺跡が地下深くに埋まっている。かなり複雑な仕掛けが調査を阻んでいるが、各地から集まってきた冒険者の活躍により、次第に解明されてきている。現地には、探索者達のための村ができている。
ドラゴンハート
滋養強壮、若返り、不老の効果がある稀少な花。エルファムの奥地にのみ群生している。夏の終わりから秋にかけて青紫の釣り鐘形の花を咲かせる。
東方三聖剣
カスター王国大将軍の配下、東方三将と呼ばれる側近が所持する三本の魔剣の事。それぞれが決まった主にしか使えない。通称(真名は主にしか明かされない)バーントシェンナ、オーキッド、シアンと呼ばれている。
ニアルド・ティエップ
カスター王国大将軍、トラフォート候。王国第一の盾として、王の信を得ている。名家の出であるが、気さくな人柄ゆえに兵達の信望は高い。ただの冒険者だった魔剣を持つ義兄弟(上からサンシール、カウル、ヨカナン)を口説き落とし、側近に迎えている。跡継ぎのローランは上将として名を成しているが、次男のナイアルは現在勘当中。
火の車バーン・ホイール
ラストレイル王国サイトリンにある質屋兼雑貨屋。店主は「燃える男」ザック。地図集めが趣味で、客から旅の話(主に間道、離れ村落、森の抜け道、隧道のような地図作製に関わる事)を聞くのを楽しみにしている。手元にない地方の地図は、自分で作りに出かけてしまう為、店はしょっちゅう休みで経営も火の車。口癖は「おおー、燃えるのぉ」。レグニールの「ジュエル・ボックス」店主ジョゼとは文通友達。
ブリリステーロ
古代神聖語で「輝ける星」を意味する。光都という呼び名は、ここからきている。
マテーノルージョ
古代神聖語で「暁」を意味する。モーゲン光国の古名。
闇啼鳥モルグル
裏の世界では大変有名な凄腕のシーフ。主に冒険者として活動していたようだが、どんな罠や警戒を敷いた場所からでも、望みの物を持ち出してくることができたという。現在の所在、及び所属ギルドは不明。
蜥蜴男リザードマンアンリ
ある魔術師に呪いをかけられ、蜥蜴男にかえられた戦士アンリ・ファーブルの事。元はモーゲンの下級貴族の出で、剣の腕はかなりのものだった。とある冒険の最中に強大な力を持つ魔術師と対決し、その際一緒に旅をしていた親友を連れ去られた上、呪いをかけられたという。以後、元の身体に戻るため、そして親友を助け出すための旅を続けている。