終わりのない物語

第2幕「夜もやっぱり一騒動」


 
――酔っぱらいはそのままどっかへ行ってしまい、気の合う二人はクレイの提案で飲み直すことにした。プラーティシュは気が殺がれて、はや2階へ上がっている。

GM:下で飲み直すの? それとも二階で酒瓶持ち込み?
ジェイ:二階の方がいいな。クレイとセラの部屋のが広いから、そっちでろう。
クレイ:僕は酒飲めないから、お茶でも貰っていこう。
セラ:その人(ジェイプレイヤーを指す)名前なんていうの?
ジェイ:ジェアード・レセル。二十歳前、男。ファイターとしか思えない身体つき。そっちの二人は?
GM:(自己紹介の間)その頃プラーティシュは自分の部屋でどうしているのかな。
プラート:寝てるよ。
GM:2D振って、知力(ボーナス値)+シーフレベル-注1ね。
プラート:12。
GM:突然何かが覆い被さって来た。−4で回避。……首に紐が巻き付いた。
プラート:ぐえぇ〜〜〜〜!!
GM:隣の部屋のみんな、聞き耳チェックどうぞ。
ジェイ:10。
クレイ:12。
セラ:やーん!! 1のゾロ目ピンゾロ
GM:10点はあげないよ-注2(ケチッ:セラP)。ジェイとクレイは聞こえる。何か争うような音がする。クレイはそれが隣だとわかるけど。
クレイ:壁に耳を当てて聞いてみます。
GM:聞き耳。……14? 首を絞められたような悲痛な声がする。
(プラートに向かって)このラウンド-注3、9ダメダメージもらって。
プラート:ひえ〜〜〜死んじまうよぉ〜〜〜。
 
――結局プラーティシュは残りHP2で助け出された。襲ってきた男は惜しいところで取り逃がしてしまったが。

プラート:ぜーぜー、死ぬるかと思ったぜ。「これは……また助けられましたね」
GM:と言ったつもりだけど、ノドが潰れて声にならない。
セラ:「喋ってはいけません。争いがあるとは悲しいことですが、神にあなたの傷を癒してくださるようお願いしてみましょう」(サイコロを振る)9つ。
プラート:ラッキー。じゃあさっきの言葉を繰り返す。
ジェイ:いいってことよ。困った時はお互い様だぜ。
クレイ:うちらの部屋へ移ろう。いろいろ訊きたいから。ここ狭いしね。
ジェイ:落ち着いたら名前を名乗って二人も紹介するぞ。
GM:ちゃんと言ってあげて。
ジェイ:あいよ。俺はジェアード・レセル。(その後見た目を説明し、残る二人も紹介する)
プラート:わたしはプラーティシュ。外見は前に述べた通り。
セラ:すごい名前ね。華麗なる者プラーティシュだって。
――カレイなる者、なんちゃって。(つ、つまらん。:ジェイP、 座布団一枚とっちまえ:プラートP)
クレイ:名乗ってて恥ずかしくないのかな?
プラート:ふっ。俺の美しさの前には全てが許されるのだ。わはははは(悪役風な高笑い)。
GM:設定と言ってることが違うねー。
プラート:いいの、これ全部プレイヤー発言だから。こいつプラートは表情出さないし何も言わない。
GM:……それはおいといて、話を元に戻しましょう。
セラ:えーと、どうして襲われたのか心当たりはありますか?
プラート:やっぱしあれかな(とGMマスターを見る)?
GM:さあ? 君は顔見てないしねぇ。でも手際の良さからいって専門職だね。
ジェイ:大きな声で内緒話するな〜〜〜。好奇心がうずくぢゃなひか。
プラート:勝手にうずいてろ。「さっぱり見当もつきません。さっきのお客の嫌がらせかも」
ジェイ:そんな馬鹿な。いくらなんでもそこまでしないだろ。
セラ:あの男だったの?
GM:違うよーん。全然見たことない顔だった。
ジェイ:じゃあ別口かな。
クレイ:男の持ってた紐ってさ、ギャロット?
GM:2D振って。……そ、南部のアサシーアサシン&シーフ共通仕様(笑)のギャロットだ。
クレイ:ふーん。
セラ:ギャロットってなぁに?
GM:暗殺者がよく使う紐でね、絞殺具ってやつだな。首絞めて殺すんだよ。
クレイ:だからさ、ジェアードの言う通り別口だよ。ああいう暗殺者って普通は雇えないし、雇えてもすごい高値だから、バード如きに大枚はたいたりしないさ。
まあ、バード相手に失敗するくらいだから、安いのかもしんないけど。
セラ:じゃあ、失敗したからまた来るんじゃないの。
ジェイ:可能性大だ。
セラ:本当に心当たりはないんですか?
プラート:「ええ……ないですね」(笑)
クレイ:うーん、怪しさ大バクハツ。なんて白々しいんだ。
ジェイ:俺は根が正直だから信じる。「身に覚えがないのに襲われるんじゃたまらんだろう。どうだ、俺たちと一緒に行かんか? 一人よりはいいだろ?」
GM:ジェアード、いつの間に俺達・・になったの。
ジェイ:さっき。俺、二人の用心棒として雇われたんだ。
クレイ:無一文だっていうから、お情けで連れて行ってやるだけだよ。
GM:どうする? プラーティシュ。
プラート:そうだなー。おし、一緒させてもらおう! そうしないと話が進まないし(笑)。(←それは言わない約束でしょう〜:GM)
ところで、行き先は?
セラ:まだ決まってないわよ。風の吹くまま気の向くままに、ぶらぶらと。
クレイ:出るとしても、あと二日ばかり待ってくれないかな。ちょっと寄るとこがあるからさ。
ジェイ:いいと思うが、宿は「居住区山の手」に移した方がいいだろうな。その方が安全だ。……ってことで、宿代よろしく。
クレイ:へいへい。
GM:いくら持ってんの?(クレイのシートを見る) 金持ち〜〜。
ジェイ:いいよなー。俺なんか装備買ったら文無しだったぜ。
プラート:シーフはツール-注4以外高い物は買わないからな、ってそれはD&D-注5か。
クレイ:別にシーフというわけじゃないんだけど。
セラ:ただ「一般人の服」-注6を着ているだけよね。
GM:で、どうするのかな? 今夜はこのまま寝て、次の日は山の手に移るんだね?
セラ:危ないから、プラーティシュとジェイは一緒に寝た方がいいでしょうね。
ジェイ:そうだな。じゃ、そういうことで。俺のとこ雑魚寝部屋だから、お前んとこ行くよ。
プラート:ベッドは一つしかないんだが……
ジェイ:毛布があれば床でも寝れるよ。
GM:狭くても一緒に寝れないことはないけど?
プラート:いやだ。男と一緒に寝るなんて。
GM:じゃあね、ジェイはCONチェック-注7してみそ。……大丈夫、風邪はひかなかった。
ジェイ:今夜さえ乗り切れば、明日はふかふかのベッドだぜ。うーん寒い。
クレイ:ジェイが単に馬鹿なのか、はたまたプラートが人非人なのか。意見の分かれるところだな。
セラ:両方(きっぱり)。
ジェイ:せめて善良なお人好しと言ってくれ。あいつプラーティシュはヒトデナシでいいから。
プラート:いやいや、そんなご謙遜をっ。
GM:……そして何事もなく夜は明けた。

[ 脚注 ]

注1
不意打ちチェック。これに成功すればすぐに防御行動をとれる。失敗すると、マイナスの修正がつくので、避けづらくなる。
注2
このゲームでは絶対失敗の1ゾロを振ると、経験値が10点貰える。GMがそれを適用しなかったのは、セラの自発的な行動によるものではなかった為。
注3
戦闘時の時間単位。1ラウンドにつき一つの行動ができる。このゲームでは1ラウンド/10秒。
注4
シーブズツール。いわゆる「盗賊の七つ道具」。
注5
「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の事。TRPGの金字塔。現在のファンタジー系RPGは、ほぼ例外なくこのゲームの影響を受けている。「赤本」「青本」といったらコレ。
注6
冒険者達は大抵、一目で職業を推し量れる格好をしている。戦士は鎧に武器を持ち、僧侶は僧服に神の聖章を下げ、魔術師は長衣に魔法の杖を携える、というように。盗賊はその職業柄、町中にいる普通の人々と同じような格好でいる事が多い為、プラートは軽装のクレイがシーフだろうと見当をつけている。
注7
コンスティテューション(体力)チェックのこと。体力(の修正値)+冒険者レベルで判定。