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「バイファム」第1話感想

ロボットは、「空想科学」の産物であり、同時に(リアルロボットアニメでは)軍用兵器でもある。「宇宙をも身近なものとし」、「地球より四十余光年離れた」というナレーションや宇宙ステーションの絵は、どちらかというとミリタリーよりはSF志向の出だしだろう。「バイファム」では地球は常におぼろげな存在だ。そして謎めいた存在の石板。結果論になるがその割に、超光速航行や人工重力の説明がないのはちと惜しい。
准将(司令)の「蒸す」というセリフから察するに暑い季節、もしくは暑い土地のようだ。
「5つ」……クレアドで見つかった石板の数。
「17年」……ベルウィック入植から経過した年月。
クレークとケイトはクレアドへの入植を中止するよう要請するが、司令は受け付けない。つまり植民は軍の指揮下に行われているということだ。そこへ何のメッセージもなしにアストロゲーターがステーションと通信衛星を襲ったという報告が入る。そういえば、何故、今戦争に踏み切ったのだろうか。宇宙空間の戦闘は、ARV相手に宇宙服を着ただけの人間が応戦するのは結構すごいかも。そういえば「バイファム」はパペットファイターなど、「生身」に近い感じで戦うシーンが多いのかも。
まだ日常にいる子どもたち。彼らの頭上は既に戦場だが、それを知るよしもない。木陰のペンチは本を3冊くらい持っていたが、全部あそこで読む気だろうか? 鳴り響くサイレンとともにここも戦争に浸食されていく。フレッドは異星人の艦が飛んでいるのを見たことがあると言う。敵機はXU23a一機だが、そこから無数のウグが降下してくる。んー、そんなに積めるんだっけ?
「2200名」……クレアドの住民の数。
ロディ、フレッドの両親は既に家を出ていた。ベルウィックで落ち合う約束をするのだが……。閉じられないままのシャッフル家の玄関。フレッドはちょっと振り返っていたけれど、きっとすぐ帰ってこられると思っていたんだろう。
基地に着いたはいいが、ここにも敵がおしよせる。爆破されるシャトル。民間人が乗っていたんじゃないだろうか。2人の目の前でディルファムが撃破される。立ちつくすフレッドを叱咤するロディ。バッグを置き忘れたのはフレッドにとって命取りだ。
「イチイチマルサン現在、収容率86%」……11:03現在の民間人の収容率(そのまんま)。あっ、午前中なのか。英文解説で"afternoon"って書いてしまった(すでに訂正)。
シャトルに石板が積み込まれる。もしこのシャトルに石板が載せられなければ、いやそうならなくともジェイナスにクレーク、ケイトと子どもたちが乗り合わせなければ、運命は全く変わっていただろう。
小学1年の時に(おお、「バイファム」の年だ)、学校で「おもらし」したことがある。自習時間中にもよおしてきて、机からはなれようとしたら「授業中に立っちゃだめだよ」と隣の女の子に言われた(余計なお世話だよ、小学生的ではあるけど)。仕方なくそのまま我慢していたのだが、当然限界が来た。だから、フレッド、気持ちは痛いほど分かるぞ。恐いのは、その後の記憶が途絶えていることだ。どうなったんだろう? 確か保健の先生(厚化粧だった)に洗ってもらったんだと思うのだが。
「JO3、C面オールクリアだ。離陸を許可する」、ああ何かカッコいい。それにしても戦闘機のパイロットや基地の人たちはどうなったんだろうか。
シャトルは無事大気圏を離脱した。人心地ついたのか、ロディにむやみに質問するフレッド。そういう心の余裕は、不安な状況に気づくための余裕になってしまう。それに答える「地球軍も黙っちゃいない。負けやしないさ」というロディの言葉は、まだ避難民のそれだ。
第1話は戦闘シーンが長く、従って手に汗握っている(だけの)時間が長いので感想もつけづらい。
数字にこだわったのは「ごたくどす」(クイズゲーム)ではそういう問いが多いので(鬼だよ、ホント)。

日常は戦場になり、人々は後戻りできない。

原画
渡辺ひろし、西島克彦、白土理徳

Vd: 1999.2.12, Vd: 1997.10.3