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「バイファム」第16話感想

冒頭、BGMだけの時間がやや長い気が。第2ステーションを出てから18日目。前回(第15話)の翌日(…あれ?)。みんな昨日は眠れなかった。カチュアが異星人であること、そして「親たち」が地球に避難していたはずなのに、タウト星に囚われていると分かったから。とテープに吹き込むスコット。
食事中(?)会議がもたれ、針路を地球にとるか、それともタウト星にとるか決がとられようとしていた。メシを食うのに忙しくて聞いていなかったケンツは、そのくせタウト星に両親がいるのか調べるべきじゃないかと発言。しかしそんなこと調べられっこないのだ。みんなの意見はすでにおおかた決まっていた。もちろんタウト星のほうだ。ジミーに意見を求めるクレア。口ごもるジミー。
カチュアは一人展望室で宇宙を見つめ、やがて顔を手で覆い泣き出していた。シャロンは、まだカチュアの意見を聞いてないと言う。が、ケンツはカチュアの意見を聞いたらややこしくなるだけだと。どうせ敵なんだから敵の星に……、とたんにジミーが反論を。スコットはカチュアの意見はこの際保留することに決める。
ケイトさんはああ言うけれど、やはり自分はジェイナスにはいられない、そう結論したカチュア。「ケンツの言うように、わたしは敵なのよ」
ブリッジでは、針路変更のプログラムをロディとマキが入力中。小型艇の格納庫に異変発生(ドッキングカーゴのあたりにあるように見えるが、それは変では?)。連絡を受けたスコットたちの中で、一番はやく気づいたのはジミーだった。駆け出すジミー。でも手遅れで、カチュアはすでに飛び出していた。どこへ? なにしに? 思わず口に出すマキだが、ロディだって知るはずはない。思わず声を荒らげるロディ。「どなんなくったっていいじゃない!」(2回目、口ぐせか?; 前回の相手もロディだったような)。
再び自室にひきこもっているケイト。タウト星に子どもたちが向かう気持ちはよく分かるが、無謀だ。できっこない。しかし自分もこのままいやおうなく連れて行かれる。思わずまた酒に手がのびる。その時、カチュアが飛び出したという知らせが入った。我に返るケイト。カチュアは自分が連れ戻す、これは大人の責任、そう言うケイトはすっかり立ち直っているようだ。「子どもなんかに負けてられないわ」
ジミーとケンツの死闘(?)が格納庫で繰り広げられる。「敵がそんなに好きなのかよー!!」、言われて顔を赤らめるジミーの噛みつき攻撃。キンけり。とどめに頭突き。今回、ケンツはなんにも言っていないのだから災難だ(元凶だから仕方ない!?)。つんのめったケンツはケイトにぶつかる。ケンカは一応さたやみ。
ジェイナスからのコールに、カチュアは一度だけこたえた。一言、「さよなら」と。ロディは「ケイトさんのナイト役」として、バイファムでケイトのパペットファイターを追う。
格納庫ではジミーとケンツのにらみ合いが続く。この非常時にケンカされてはかなわんと、バーツはケンツを、クレアはジミーを連れていき、2人を引き離す。
小型艇の中のカチュアは「ママー、パパー」とつぶやいて泣きはらすばかり。
カチュアを追うケイトは、ロディに話しかける。お酒で逃げることなんてしないと。謝るロディ。「どうして謝るの?」――「すいません」――「ほら」
ブリッジに集まった子どもたちはマキの疑問を繰り返していた。シャロンは「死ぬ気かもな」とつぶやく。多分これはマジで言っているんだろう。ケンツはいづらくなり、ションベンしてくると言って出ていく。
小型艇の進路が変わった。泣いているカチュアは操縦なんてしていない。たまたま、なのだが、ブリッジも、ケイトたちも気をもむ。ケイトは「どこへ行くという目的がないから」と。
円周通路のホログラフィーに向かって石をけるケンツ。さすがにしょんぼりして座りこむ。「オーッス」――シャロンの声がかかる。「ここ、座ってもいっかー?」「勝手に座ればいいだろ」「オレさ、宇宙ばっか見てると、なんかこう、寂しくなったりしてさ、ときどきここにこうして空を見にくんだ。おかしいだろ? 本当の空じゃないって分かってても、ジンジンきちゃうんだ」空が夕暮れに変わっていく。「――あの子、知らなかったんじゃねえか? 自分が異星人だってこと。最初から分かってりゃベルウィック星のとき、逃げてたはずじゃん」カチュアのことなんか気にしていないと言って逃げ出すケンツ。「ムリしちゃって」と笑うシャロン。シャロンが「あの子」なんて言葉を使うとは。
「敵」の戦闘艇が、カチュアの小型艇に接近してきた。「敵」とはどっちにとっての敵なのか? どうせジェイナスだって察知するだろうし、自分はもうあの船とは関係ない。でも、あそこにはジミーがいる。しかしそんなときにジェイナスから通信が入ってしまった。ケイトとロディがそっちに向かっていると。「来ちゃだめ!」、思わず叫ぶ。こっちには敵がいるのだ。もう目前にせまる。「こわい、パパー、ママー」、「助けてケイトさん、わたしこわい」、恐怖でカチュアは自失している。ケイトは小型艇の(舵を?)ロックして、ジェイナスの誘導に任せるようカチュアに指示する。
ケンツはブリッジでなりゆきを見守っていたが、ついにこらえきれなくなる。「もたもたしてっと敵にやられちゃうよ!」、そう叫ぶと砲座に向かって走る。「ビーム砲で援護するんだ!!」
戦闘艇からウグが3機出てきた。後ろからロディたちにせまる。「わたしに構わないで逃げて!」、「わたしなんてもうどうなったっていいのよ!」と自分を捨てたカチュアの言葉にケイトは叱咤する。もっと素直に子どもらしく、大人の真似なんかしなくていいと。
ケイトはパペットのミサイルを発射し、その隙にジェイナスを目指す。しかしパペットは被弾、ケイトはコントロールを失い、しかも脱出もできない。ケイトは13人に最期の言葉を残す。そしてロディにだけ(彼にだけ聞こえるように?)、別に言葉を贈る。「ロディ、あなたは素敵よ。一緒にお酒、飲みたかったわ、自分をごまかすお酒じゃなく、楽しいお酒を……」「ケイトさーん!!」…ロディの絶叫が虚空に吸いこまれる。(しかし死に際にこんなこと言われたら、一生忘れられそうにない……。ケイトさんの面影をこのままずっと引きずりそうだ。)
ついに子どもたちだけの船となったジェイナスの運命やいかに!?それは次回のお楽しみ(講談風)。
せっかく山になる回なのに、作画がいまいちなのは残念。物語の進行と作画のスケジュールは一致しない…。ケイトの最期でのカチュアの絵なんかちょっと…。あと、今回のケイトはなんかバタくさいような顔をしていた。
原画
伊藤誠、星野絵美、小野順之

Vd: 1999.9.5, Vd: 1998.1.16