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「バイファム」第17話感想

昨日ケイトさんが死んだ。「ついに」というか、やっとというか(不謹慎な発想か…)、ジェイナスには子どもたち13人が残されるのみとなった。しかし軌道変更の作業を中断するわけにはいかない。
ケイトの部屋の洋服ダンスにはわりと着替えが入っている。クレアドでは遺跡の現場から車で基地に直行してそのままシャトルに乗ったのだと思っていたが…。そういや、ベルウィックに研究所があるって言っていたけれど、そこには行ったんだろうか? それよか、着替えの服は全部普通の女ものぽかったけど、どうして着なかったんだろう? バンダナも何本かある。枕なんかも女性っぽいケイトのベッドは体の重みでついたシワがまだ残っている。ページが開いたままの本。机の上に山と置かれたコンピュータ類。グラスには飲みさしのお酒がまだ入っている。
ケイトの感触がまだ残る部屋。感傷にひたるロディ。(彼にしてみれば)無遠慮に入ってくるクレア、フレッド、マキ、シャロン。さらにマルロ、ルチーナ。段ボールを電車にして入ってきた2人は、すっこけてうるさい。
ケイトさんのお葬式。遺体はないから遺品を宇宙へ流す。そんなことして意味なんかないと思うロディ。葬式をしてもしなくてもケイトさんが死んだのに変わりはない。でも、葬式をあげてしまえば、けじめがついてしまう。一つの区切りがついた過去のできごとになってしまう、それにたえられない、そんなところだろうか。出て行きしなにロディは何かを落とすが、シャロンに見られる前に拾い上げる。
お棺(救命艇)の前に立ち並ぶ12人。救命艇が棺桶なのも皮肉だ。ロディは来ない。献花している造花はカチュアがこしらえたもの。一体どんな気持ちで作ったんだろうか。「さっすが異星人」って異星人だからって手先が器用とは限らないと思うけど。ケンツは、自分なりにケイトさんを守れなかったことを歯がゆく思っているのだろうか?
途中でカチュアはいたたまれなくなって、走って出てゆく。追いかけるジミー。廊下でつまづいたカチュアは、そのままうずくまって泣きだす(手塚治虫っぽい演出?)。みんなはロディよりカチュアを気づかっている。しかし、ロディのあの態度で、彼がケイトに普通でない感情をいだいていたのが公然となったはずだが、バーツはもう知っているとして、スコットやクレア、マキはどう感じているのだろう。
ケイトさんはどこへ行くのか? 小さな子どもが必ず口にする疑問(でも、第2話とかで同じ光景を見たはずだが…)。「ヘヴンリーランド」=天国。この時代では、天国は空の上ではなく、宇宙のはてにあるところのようだ。
「あばよ、ケイトさん」射出されたお棺はあっという間に見えなくなっていく。それを展望室から一人見つめるロディ。ケイトさんとの思い出がまざまざとよみがえる。おとといのキスは、今回の絵を見る限り、単に唇が重なっただけではない……。ロディは人知れず涙を流す。
葬式が終われば、軌道変更作業が本格化する。2.8日ごとに軌道変更のチャンスが巡ってくるが、次のそのチャンスが7時間後にやってくる。その時機を逃したくない。ロディは何かにつかれたように作業をこなす。肩に力が入りぎみだ。それを危なっかしく見守るバーツとスコット。心配している2人の視線もロディには目に入らないようだ。しかしスコットはわけは分かっていないようだ。「このニブチン」、「チン」ってなに……?
マニュアルカセットの山を持ってきたシャロンの首に目がいくロディ。そこに巻きつけられているのはケイトのバンダナだ。ケイトさんのタタミ…ではなくカタミ、って、シャロンはどっちかというと単に気に入っているだけのような…。
マキ、フレッドのプログラミング班はついに音を上げる。人の2倍働けというコンピュータの指示はとてもじゃないがこなせない。マキは、ベルウィックでシャトルを飛ばしたときのカチュアの才能をあてにするが、どこかへ行ってしまった。ロディは休息を命じられるが、フレッド、マキの様子を言いわけに、それはできないと言い張る。しかしそうやってすぐに突っかかってくるのが疲れている証拠と、2人とも譲らない。スコットの言うように、今のロディはプログラミングをミスしかねない。マキはカチュアを探しにいく。
ブリッジを出たロディはやはりケイトのことに考えが戻る。クレアとペンチが呼び止めても耳に入っていない。ケイトの部屋を通り過ぎかけたロディは、寝室にカチュアを見つける。花束を持って立ちつくすカチュア。振り返るとロディが立っていた。「きみはどうしてあの時飛び出したんだ」花束が床に落ちる。「どうして異星人だったりしたんだ!」彼女の両肩をつかんでロディはカチュアを責める。つかんだ両手に力が入る。その痛さにカチュアが声をあげる。我にかえるロディ。両腕でカチュアは自分の体を抱きしめる。ロディは自分のしたことに茫然とする。2人の背後で何かが割れた。怒りに震えてジミーが立っている。「カチュアに何をした!」ロディの足にしがみついてジミーは「カチュアをいじめるな!」と繰り返す。ここのジミーはかなり恐い。ちょっと尋常でない。
2人がいなくなった部屋でロディは、カチュアが落とした花束を拾い上げる。そしてケイトさんのお酒をラッパ飲みしてあおってむせる。ということは、バーツに酒を教わったわけでもないんだな。ケイトさんの写真を見つめるロディ(クレークも写ってるんだけど…)。部屋に入ってきたのがシャロンだったのはもっけの幸いか。ほかの子が、ロディが酒くさいのにきづいたらうるさそうだから。「俺はもうすぐ15だぞ。少しぐらい飲んだってかまわないさ」それをシャロンはかるくあしらう、「ムリしちゃってー、酔ってるんじゃない?」
彼女が知らせたのは、宇宙船の破片がジェイナスに接近しつつあるということ。このままではジェイナスに衝突する。真顔になったロディは現実に引き戻される。
ロディを待たずして、バーツはすでに格納庫で出撃の準備をしている。そしてケンツも高ゲタを持ち出した(シミュレータにも高ゲタを取りつけて訓練したんだろうか?)。血が騒ぐ。
「酒飲んでそんなに走って平気なんかー?」というシャロンの声にも耳を貸さずにブリッジへ走るロディ。オペレータをつとめる彼は、計測器に熱源反応を見る。が、反応は再び出ることはなかった。スコットは見間違いをうたがう。「絶対間違いないんだ!」叫ぶロディにまわりは白ける。明らかにロディはまいっている、みんなそう感じたのだろう。あとで彼が正しかったと判明するのだが……。
宇宙船の破片は、破片というより残骸で、時限式の爆弾がなければ手に負えない。スコットはひきとめるがロディは爆弾を持って、バイファムで出撃する。飲酒運転。シャロンの「さっき酒を飲んだからじゃない?」を聞いたら、スコットはロディを無理にでも引き留めるべきだと思う。再び機器は熱源を検知していたが、誰も気づかない。
バイファムを操縦する感動でケンツはむやみに銃を撃ちまくる。が、当たらない。「この照準、おかしいんじゃないのか?」――かつて同じことを言ったじいさんがいたっけ。
追いついたロディの「敵が隠れているかもしれないんだ」に、また銃をぶっぱなすケンツは、自分の開けた穴に落っこちていく。単細胞。2人も中へ入る。何かが光る。おばけクジラの腹の中に入ったピノキオのような感じだ。ケンツが上から降ってきた。破片を破壊するため、中に爆弾をしかける。再び光る眼(?)。
爆弾のカウンタをセットして脱出するところでARVに襲われる。罠だった。オペレータのクレアは結構うまくやっている。
バーツ、ケンツはすでに外へ出ていて、2機のガッシュも出てくる。ロディだけは中に残される。銃をはじき飛ばされるロディ機。相手の斧も飛ぶ。戦いで時限爆弾が刺激されて危険なことこの上ない。
ジェイナスへ向かったガッシュを狙うケンツは、ジェイナスを傷つけてしまう。軌道変更まであと2時間。なかなか当てられないケンツに、「狙って撃て!」と叱咤がとぶ。いつの間にかカチュアがいない。
ロディはガッシュを鉄棒で壁に串刺しにする。そして拾い上げたライフルでなんとか敵を撃破する。
ケンツは業を煮やして「いい加減にやられろ!」と叫ぶが、かえって敵に後ろをとられる。彼の窮地を救ったのはカチュアだった。カチュアがパペットファイターに乗って目の前にいるのが信じられないというようなケンツ。
ロディとの交信が途絶えた。ロディはどうやら(落としてしまった)ライフルを拾おうとして、壁に挟まれたらしい。
残る1機のガッシュの相手を続けるバーツの応援をしようとするケンツだが(「バーツさん」と呼んでいた)、それよりロディのほうが大変だった。カチュアが宇宙船の残骸の中へ飛びこむ。「来てはいけない!」、「俺のことはほっといて逃げるんだ!」と叫ぶロディ、「いやです」と答えるカチュア。今度が自分が仲間を助ける番ということか。ロディはさっきカチュアを責めたことを謝る。ケイトさんが死んだのはカチュアのせいではなく、全部この戦争が悪いのだと。その声はほかの全員に届いていた。カチュアはバイファムを傷つけることなく壁をミサイルで破壊する。"Hurry up!"カチュアが叫ぶ(それとも単に「早く!」?)。飛び出した2人の後ろで爆発が始まる。そして最後のARVも撃破した。宇宙船の残骸が爆発するシーンはCGを使用していたようだ。こうして一応危機は去った。ブリッジを走っていくシャロン。
格納庫で脱力している男の子連中。1人立っているカチュア。「ごくろーさんごくろーさん」シャロンの声が響く。彼女は、「ロディこれやるよ」と、首に巻いていたバンダナを差し出した。「ケイトさんのタタミだぜ」、「それを言うなら…」、「わかってるよ、カタミだろ」しかしロディはシャロンにかえす、「気に入ってんだろ、君にやるよ」、「ホントー、じゃあいっただきー。どう? 」、「似合ってるよ」、「やっぱし?」
カチュアに礼を言おうとしたロディは、「タタミ」を落とす。またしてもシャロンが手に取る前に、ただし今度はバーツが拾い上げてしまった。意を決したケンツもカチュアを見直したと言って(ぎっちょなので左手で)握手する。そして、フレッドは軌道変更に成功したことを伝えてひとさし指をたてる。……カチュア抜きでやったのか……。
前半ではケイトの死を悲しむ子どもたち(特にロディ)が描かれたが、後半では早くもカチュアのほうが中心になっている。
シャロンがバンダナを「カタミ」に手元に置いたのは、単に気に入ったからなのか、それともそういう辛気くさいことをマジに話すほどいい子じゃないけど、本当にケイトの死に心を痛めているのか。
今回のガッシュとロディのバイファムの戦闘シーンを作画した人として有名な西島克彦は、本当はメカより女の子が描きたかったらしく、スタジオライブが「うる星やつら」の作画を担当しなくなることが決まってから、猛反対を押し切ってディーンに移ったそうな。で、この前までやっぱり「AIKa」の監督をしていたのは1998.7.29に書いたとおり。
原画
渡辺浩、西島克彦、松下浩美、只野和子、小林早苗、江古田豊、こうじなひろし

Vd: 1999.9.12, Vd: 1998.1.23