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「バイファム」第19話感想

ベルウィックの軌道を離脱してから10日目。つっこみから逃れたな、この表現。「軌道を離脱」ってどういうことなんだろう??それが分からないと、一体ジェイナスの旅が始まってから何日なのか知ることはできない。敵の交信の傍受や、UOの接近通過もますます多い。
今しも敵が遠方から正面に接近している。しかも、妙な動きを見せている。つかず離れず。思わずこぶしを握りしめるスコット。ブリッジは(慢性的に)人手不足なので、彼はクレアを呼ぶが、彼女はマルロとルチーナの子守りをしている。
風呂上がり。クレアは2人と一緒に風呂に入ったことになる。……この年頃の女の子が小さい子に自分の体を見せるってどんなものだろう? 結構抵抗あるような気がしないでもないが……。聞かれてほしくないことも色々あるだろうし。あ、今日不機嫌なのは案外そのせいかも。
「おねえちゃんのにおい、ママみたい」と言われてもクレアはちっとも嬉しくない。結婚もしていないのに所帯じみるなんて、と思ったかはさだかではない。「ママみたいにやさしい」とは言われたものの、ロディたちが格納庫に走る姿を見て、クレアもいつまでもかまっていられない。
敵の動きが妙だとバーツは言う。敵はついに相対速度0=ジェイナスと同じ速度で後退(と言うか、お互い同じ慣性系(?)にいないと戦闘もやりづらいと思うから、ことさら「後退」と言うこともないようにも思うが、まとはずれなことを言っているかも)。ようするにジェイナスと一定の距離を保ち続けているということ。妙なそぶりなので出撃はとりやめ。砲座にまわったケンツとジミーは結構仲よし。カチュアの件からは回復しつつあるみたい。
にらみ合いの長さにブリッジもしびれがきれてきた。スコットは警戒態勢を一時解除し、みんなに休憩させる。緊張のとけたところへ、マルロとルチーナがのぞきに来る。パパやママに会えるのか、宇宙人が攻めてきているのかと。「じゃまにならないように、ちょっぴりだけ」のはずだったが、ちょっぴりでも邪魔になってしまう。
子どもの管理はクレアの責任だ。しかしクレアとしては早くブリッジへ行かなければと思って、寝かしつけるところまではしなかったし、スコットだってクレアをあてにしていた。とは言え、スコットは自分の責任をまっとうするので精一杯なので、クレアが同じように苦労していると察するところまでは期待できないだろう。しかし2人を部屋に戻すクレアに、スコットの「それとクレア何かあったかいものを持ってきてくれないかな」はきつい追い打ちだ。こういう「ついでに」的なものの頼みかたはかんにさわる。クレアの「わかったわ、スコット」という返事はかなり声が「すわって」いた。
コックピットからブリッジに戻るバーツ、ロディ。小さい2人に「ねしょんべんすんなよ」と声をかける(が、無駄だった)。スコットと3人で、敵のこの動きは罠ではないかなどと詮議。そろそろみんなうんざりで、バーツは床に座っている。
今度こそ2人を寝かしつけるクレアに、マルロはこわい夢を見ないおまじないを頼んで手を差し出す。ルチーナもクレアの手をかぶせてもらって、2人とも安心して眼を閉じる。
が、オレンジジュース(?、オーダーはあったかいものじゃなかったっけ…?)を用意するクレアのところにパジャマを濡らしたマルロが。早い。僕はどちらかというと朝、目が覚める直前のことが多かった気がする。「あー、やったなこのチビ」、シャロンの嬌声がとぶ。クレアとすれば笑い事じゃない。子どもたちのかえの下着はもう1枚しかないから(「子どもたち」って、マルロとルチーナで同じパンツ使い回してるわけじゃないよね…?)。ひょっとするとクレアよりシャロンのほうが子守りには向いているのかも。本人はやりたがらないだろうけど、おねしょしても不機嫌にはならないだろうし。ストレス溜めこむ性格のクレアだと、子どものほうも気をつかっちゃうよ…。ただしシャロンだとクレアよりは「テキトー」な世話になるかな。クレアは手の抜きかたを知らないからね…。
敵の状況は変わらないままで、夜のこととてケンツとジミーは砲座ですでに眠りこけている。ロディも「にらめっこも疲れるよ」ともらす。シャロンはクレアの様子が変だと誰に言うともなしに。「"わたしの身にもなってちょうだい!!"ってこうだもんね」そのクレアはみんなが飲んだあとのコップ(?)を洗っている。おずおずと入ってくるルチーナ。マルロの顔が赤いと。叱りつけてベッドに戻す。情けなくて泣きたい気分だ。スコットの「くだらないこと」で、クレアの忍耐も限界に。眉がつりあがり、ついで目尻が下がる。
ロディとバーツはついに出撃しようとするが、クレアの声が後ろの廊下から響いてくる。「あたしだって好きこのんで洗濯や縫い物なんかやってんじゃないのよ!」本音爆発。マルロやルチーナの世話だってしたくてしているんじゃないと。「おまけにママの役まで」って、洗濯や縫い物までで十分ママだと思うぞ(それに炊事に掃除に…)。しかし「それなのにあれもこれも」、「そんなのもうたくさん」がすでに主婦的発言という気も…。つまりは変わりばえのしない家事&雑用ばかりの日々に飽きたんでしょ??とは言うものの、本物の主婦だっていやになるのだから、「まだ14歳」のクレアにはとても耐えがたいのは確かだ。クレアは言うだけ言って泣いて走り去る。スコットに聞かれたのはともかくほかのみんなにまでいたのはまずかったかも。スコットは「ハァ?」――クレアが聞かなくてよかった。
とにかくロディ、バーツは出撃。スコットは高加速して敵を刺激するなとあくまで慎重。
洗面所で顔を洗うクレア。鏡の中の自分はひどい顔をしていると思ったかもしれない。自然に母親の思い出がよぎる、ジミー(写真)、カチュア(回想の中の育ての両親)、子どもたちで(両)親の顔が出てきたのはこれで3人目。なるべく出さないほうがいいと思う。最終回で再会できるにせよ、そうでないにせよ。おそらくほんの数ヶ月前なのだろう。そのときのクレアは短パンをはいている。意外に活発な子なのかもしれない。スコットたちに髪型をバカにされたと母に泣きつく、母がカットした髪型を。床屋なりに行かないのは相当「甘えんぼう」なのか、それとも母親が親バカなのか。
隣で水の流れる音がして現実に引き戻される。ルチーナがタオルを濡らしていた。クレアを見て叱られると思った表情に。タオルからしずくがぽたぽたと落ちる。マルロはひどく熱を出していた。思わずルチーナを責めて、自分の過ちを思い出す。
ロディたちにあわせてVRC探査ロケットを準備。この先に何があるか探るこんたんらしい。敵に接近するロディたちは敵からの交信を傍受、ジェイナスに転送する。その直後敵は少しずつ後退しはじめた。その動きにロディは慎重になるどころか、「やつらがどう出るかつついてみる」と加速して突っ込んでいく。バーツが止めようとするが、いかんせんネオファムはバイファムよりパワーがないから追いつけそうにない。
敵は反転、ひきかえしてきた。やはり、罠だった。急には止まれないバイファム、ロディは逆にそのまま切り込んでいく。しかし早くも被弾。援護の砲座の2人は気持ちよく寝ているところをマキの声に起こされる。1人で敵の相手をするロディは危うくやられるところを追いついたバーツに救われる。2人は反転、ジェイナスへ逃げ込む。ジェイナスからはVRCが発射され、敵はそれを追いかけていった。
熱もひいて目が覚めたマルロ、つきそっていたクレアとルチーナは座ったまま寝ている。マルロが目が覚めたのは尿意のせい。2人に毛布をかけて、今度はもらさずにトイレへ。
敵の交信は解読された。つまり敵の言語を地球側もある程度知っているってことか。その中身は「あと1つあったぞ」とか「連中逆に利用するなど考えられない」とか。伏線。さっき発射したVRCは撃破されたが、その直前まで撮っていた映像に何かが映っていた。1000倍に拡大したのを増幅する。減衰した情報を元に戻す=モザイクをはずすみたいなことだから、便利な世の中だ。映し出されたのは、ケンツ曰く「中継基地」。古い船を改造して情報の中継基地にすると。そこまで5光秒、25時間だ。つまり時速約54000kmということに(計算あってる?)。バーツは一眠りできる時間があると思うが、スコットはそうはいかない。
目が覚めたクレア。マルロも、そしてルチーナもいつの間にかベッドで寝息をたてている。クレアの表情がなごむ。「ママー」という2人の寝言に、「ここにいるわ、ルチーナ、マルロ」。一瞬歯ぎしりが聞こえたような。「あたし、このジェイナスの小さなママになってあげるわ、あたし頑張らなくちゃ」クレアのひそかな決意。
スコットはまたもや先行きのことで悩みができてしまった。しかも明日のことだ。「どうしてこのまま黙っていかせてくれないんだ」それは無理な注文。
クレアは勝手に切れて、ストレスを発散して、勝手に母親役を自覚するという回。ありがちな展開だが、「バイファム」には似つかわしいと思う。ひいき目か!?
今回は佐々門信芳1人で原画を描いているが、RVの戦闘のところだけ違う気もする。
原画
佐々門信芳

Vd: 1999.9.19, Vd: 1998.2.6