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「バイファム」第20話感想

前回(第19話)発見された敵の中継ステーションの最接近まであと数時間(=前話からおよそ25時間後)。敵との戦いはさけられない。それだけでもスコットのいらいらの種なのに、敵がちぐはぐなビームを乱射している。なぜ当たりもしないビームを撃つのか、スコットはよけいにいらつく。
例によってロディ、バーツはうって出る作戦。背中をかくスコット。いらついているせいか、彼はいつもより語気が荒い。とりあえず攻撃した場合の結果をシミュレートし、その答で結論を出すことに。
それにしてもスコットはカリカリしている。背中をかいていて、バーツに「落ちつきがねえんだよな、さっきから」と言われるくらいだし、その後、風呂に入っているかとからかわれたときの(本人はジョークと言っているが、マジで言っている気がする)、「3日に一度はちゃんと入っている!」もかなりヤバい雰囲気だった(宇宙船の中だと3日に一度で問題ないんだろうね)。「目の前に敵が迫ってるんだぞ、さっさと持ち場に戻るんだ!」でブリッジのみんなもただならぬ雰囲気を感じとった。「リーダーはこの僕なんだ」とつぶやくスコット。
バーツは、スコットはなるべく危険の少ない方法を探しているのだし、やつは責任感の強い男だからと、スコットの態度に納得いかないロディをなだめる。「俺はお前みたいに大人じゃないからな」とロディ。
さっきのシミュレーションは、2人はいい結果が出るようにするようなことを言っている。改竄はいかんぞ。前回の敵の通信の中身についても話していた。
2人は格納庫に降りる。ケンツはもうニュートロンバズーカのマニュアルを熟読していた。ニュートロン(neutron)は辞書によると「中性子」とある。「中性子砲」と書くととんでもなく物騒な武器のようだが、実際にはどういう武器なんだろうか。(2人と一緒にブリッジにいたはずの)マキはパペットファイターの整備を終えている。
ケンツとマキも一緒に4人で作戦を練る。ニュートロンバズーカでステーションのどこを狙うか。あてずっぽうに答えるケンツ。いっぽうバーツの出した答も単純という気がする。いやそれとも事前にコンピュータに判断させておいたのか。だとしたら「ここだ!」なんて言っておいて……。しかし意外にもバーツも結構コンピュータを扱える。
洗面所で顔を洗うスコット。「どいつもこいつも勝手なことばかり言って…」ふと鏡を見る。顔が赤い。手も震えている。それでも「まったく頭にくる」、「バシッと、バシッと決めなきゃ」とつぶやいて、よろめきながら廊下を出る。まともな判断力もなくなったみたい。
「遅れてすまない」とブリッジに入ってきたスコットを見て、待っていたみんなはびっくりする。「なんか悪いもんでも食べたんじゃない?」(ペンチの「同じもの食べてるのに」は考えようによっては笑える) 「なんか"えんがちょ"ってかんじ」つまみ食いでもしたのかと気づかう(?)クレア。「お薬とってきます」とペンチ。
しかしスコットはそれを断る。シミュレーションプログラムを走らせるのも。代わりに彼はキャプテンとして言いたいことがあると。そんなごたくよりいまはシミュレーションが大事なみんな。が、「作戦はコンピュータの分析の上で決定されなくてはならない」と知ったかぶりのケンツは「うるさい!」と一喝される。「どうして僕の話が聞けない!?」そんな時間はないという答に(さっき目の前に敵が迫っているって言ったのはスコットだしねえ)、「だったら僕に話をさせればいいじゃないか、それなのに、それなのに」と言ったところで気が遠くなってスコットは倒れこむ。
倒れる前の、脂汗かいているスコットがやたらえぐく見えたのは気のせいか。じんましんがでているように思えたのだが。
一瞬きょとんとなる子どもたち。クレアがあわててスコットを抱き起こそうとするも、スコットは「僕にさわるな!」(ちょっとひどい)。スコットは熱が高い。なおもふらつく足で立ち上がるスコットをクレアは取り押さえる。ジミーも。「うるさい!」とわめき続けるスコットだが、無理矢理医務室に運び込まれた。
「オレもびっくりしたぜ。とつぜんあれだもんな」とシャロン。これが伝染病だったりしたら、ブラックな結果だが、過労なんだろう。「もうふつうにはもどれないのー?」――マルロにはよっぽど恐く見えたのか。
「ところでカチュア」とさりげなくロディは切り出す。しばらくスコットの代わりをやってくれないかと。「ほかに適任者はいないんだ」艦長席を見上げるカチュア。「はい!」と思わず答えたもののふいの話にとまどいの色はかくせない。
スコットが倒れたため忘れられていたシミュレーションをフレッドがうながす。分析結果は、攻撃を受ける確率…88%、その場合戦って勝つ確率…18%、先制攻撃をしかけた場合に勝つ確率…62%、勝った場合通過できる確率……88%。
先制攻撃をしかけても62%という結果にロディもバーツも失望し、また不安になる。でも「やるっきゃない」。そのためにツインムーバまで用意しているのだ。
出撃間際のロディたちはいつになく慎重だ。特にケンツには噛んで含めるように注意を与える。やばかったら突っ切れ、逆噴射して減速すると狙い撃ちされるからと。ケンツはスコットみたいだと感想を。
ハッチを開ける段になって、カチュアは「わたし困ります」、「わたし自信がないんです」とロディたちに訴える。しかし、今さらだ。「でも」と、ぐずぐずするカチュアのかわりにシャロンがハッチを開けて、4人は出撃する。4機もそろうとさすがに壮観だ。いつものように「兄さん気をつけて」とフレッド、「いってらっしゃーい」とマルロ、ルチーナ。
バイファムが爆発する。あまりの恐怖にはね起きたスコット。つきそっていたクレアとペンチが心配そうにそばに寄る。スコットは「もう人が死ぬところなんか見たくない」と夢の内容を思い出して話す。「みんなが好きなんだ。みんなが力をあわせたからここまで来れたんだ(ら抜き)」スコットはまだ高ぶっているようだ。クレアにまた寝かされる。
後ろを振り返ったケンツは、「ジェイナスがあんなに小さく見えるよ」。「バカ、見るんじゃないよ。おっかなくなるじゃない」とマキ。
艦長席のカチュアは、ジェイナスから変な波が出ているのを発見。波のもとはカーゴルームだった。カーゴルームと言えば遺跡の置いてあるところだ。しかしそれ以上考えている余裕はない。そう言えば、今のブリッジはカチュアとフレッド、シャロンしかいない。クレアとペンチがいないせいでとても手薄だ。あれ?、ジミーはどこに?
中継ステーションが迫ってきた。作戦としては、ケンツは敵の動きにかまわず所定の位置まで接近することになっている。バイファムとネオファムがツインムーバをはずすと、ルザルガが出てきた。
戦闘中だというのにどっちの弾が撃墜したかで軽くもめるロディ、バーツ。気がつけばケンツのニュートロンバズーカは所定の位置を行きすぎている。無理にに近づくケンツ。ステーションを破壊したからいいようなものの「所定の位置」で同じ結果が得られたはずだから無謀だ。ケンツは爆風に吹き飛ばされるが、無事だった。
しかし帰投する4人をルザルガが追いかける。やぶれかぶれになったんだろうか? カチュアが指示を出すがかえって混乱するばかりだ。その様子を聞いていた(ちょっと変)スコットは叫ぶ、「それじゃ駄目だ!」。すっくと立ったスコットはまずクレアとペンチを砲座に回す。「みんな死ぬんじゃないぞ」とブリッジへ急ぐ。バーツもロディも窮地に追いこまれている。バーツは「やばいぞ、はさまれちゃった」(ベルウィックでもあったような…)。
そこへスコットの指示が飛び込む。ロディ、バーツに状況を教え、ケンツはそのまま帰させる。マキは後ろに迫っているルザルガにミサイルをぶち込む。砲座のクレアたちにも援護射撃を。クレアは「上下角18、撃ちます!」と勇ましい。そして4人とも収容。
帰ってきても息づかいが荒いロディ、バーツ。パジャマ姿のスコットは「こんな賭けみたいな危険な真似はもう二度としたくない」と。今度ばかりはシャッポを脱ぐ2人。「やつはやっぱり俺たちのリーダーだ」。
すごく以前から(「のび太の魔界大冒険」を映画館で観たときから?)気になっていたのだが、どうして、大長編「ドラえもん」に出木杉くんは出てこないのだろうか? 頭はいいし、スポーツも得意で、人望もある彼がいれば……。答は、つまらなくなるからだ。出木杉くんはいま書いたように、オールマイティ、1人でなんでもこなせる。それぞれ得手・不得手を持ったデコボコの5人(4人+1匹?)がお互いに足りないところを補いつつ冒険するから面白いのだ。「魔界大冒険」のラストでジャイアンではなく出木杉くんが銀の矢(だっけ?)を投げてしまったら興ざめだ。
この第20話はほかの子どもたちの持たざる、スコットの資質を確認するという割とありがちな話だ。その実験台というかある種の試金石(この用法はあまり適切ではないが)にさせられたのはカチュアだった。
カチュアにはちょっと出木杉くん的なところがあると僕は思う。最初のうちはまるで目立たなかったし、そのためほとんど何の役目も持っていなかったのだが、ベルウィックからシャトルを発進する準備で初めてその頭のよさの片鱗を見せて以来、少なくともコンピュータに関しては相当なものがあることを示している。また、第17話ではパペットファイターの操縦までこなし、ロディの窮地を救っている。
もちろん、彼女は異星人であると判明しているから、出木杉くんとは異なった役回りを与えられているのは明らかだ。しかし、それでもやはり彼女のふるまいや考え方には、年齢にそぐわない大人っぽさ、それこそ「できすぎ」たところがある。
彼女が今回キャプテン代理をやり遂げられなかったのは、その「できすぎ」の印象をある程度うち消す効果があった。彼女もやはり子どもなんだね、と確認させるのに意味があるとすれば、この点ではキャプテン代理にカチュアを据えたのはそれなりに積極性のある選択だ。
しかしこの際もっとも重要なのは、スコットの試金石として誰がふさわしいかということだ。ここで(例えば)フレッドが試金石にならないのは明白だ。ある程度やれそうかな? と思わせる子でなくては話にならない。だから、年長組の中の誰かが本来はもっとも適任だろうし、カチュアは普通は年長組には数えられない。
ただし、これが選択を難しくているのだが、キャプテン代理は失敗しなくてはならないと運命づけられている。失敗する以上、その子の印象は悪くなる。
これまでの各話で本人の株を下げかねない(=「テヘヘ」ですまされない)失敗を犯した年長組はいない。1人の1回の失敗が全員の冒険の失敗につながるような状況だから当然とも言える。だからこそここで失敗すれば、スコットがそれだけ光るのだが。(もっとも株が下がると言っても、その失敗が教訓となって次の成功に生きればそれでいいと考えるとますます難しい。)
クレアは前回のことがあるから、今回またこういう役回りをさせるのはちょっとかわいそうだし、(得失点みたいなものの)バランスが悪くなりそうだ。
ロディ、バーツは戦闘要員だからジェイナスに残しづらいのだが、スコットとの対比としては真っ先に考えられる。ただ、やはりこの2人、とりわけロディにそういう失敗をさせるのは抵抗があるところだ。また、今回に関しては、スコットのサポートがあってこそ彼らもまともにRV戦をこなせることが分かったのは、間接的にスコットを引き立てる効果を持っていたと言える(ただしあの場面はちょっと違和感があったが)。
マキは年長組の中では一番目立っていないから、思い切ってここで彼女をキャプテン代理に据えてもよかったかもしれない。かわりにカチュアを出撃させるのも、不可能ではないだろう。しかしそれほどマキの艦長代理就任を後押しする要素とも言えない。
ようするに、代理が務まりそうなやつなら誰でもいい、しかし誰かを選べと言われると、1人1人事情があってなかなか適任者(?)がいないといったところだ。誰も出木杉君でない=一人一芸なのだから、ふさわしい代役がいないのは当たり前だし、そもそも今回はそれを確認するエピソードなのだ。
このまま書いても、書けば書くほど選択に迷うだけだろうが、カチュアが選ばれたのは事実だし、それについては上で述べたとおりだ。彼女が試金石としてふさわしいかをつけ加えるなら、彼女の大人びたところを考慮して、マキと同じくらいだろうか。僕は悪くない選択だと思う。

* それがきっかけになって、彼女が活躍する機会が増えることもあるだろうから。しかし、彼女がこの後そういう機会がまるでなかったと予想できるはずもないのも確かだ。

原画
富沢雄三、大島城次、小野順之、服部あゆみ

Vd: 1999.9.25, Vd: 1998.2.13