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「バイファム」第21話感想

中継ステーション撃破から3日。「無茶苦茶」な方向に向けた、「気の遠くなるような距離からの」ビーム攻撃は相変わらず続いている。ほかの目標があるのか? などと考えてはみるが、なぜそんなことをするのかは相変わらず分からない。カチュアは「エクストラ力線」という言葉を使う。前回(第20話)彼女が発見した、カーゴルームから出ている「変な波」だ。それが関係があるのではないかと彼女は推測する。「エクストラ力線」はこの世界では一般名詞として通用しているような感じでもある(「エクストラ力線」って何?、みたいな発言がなかったので)。
作業着を着てバイファムを整備するロディ、バーツ、それにケンツ(しかしロディがいつも着ているのは作業着と大差ないような…)。機械油にまみれた体をシャワーで洗い流す2人の話題もエクストラ力線。2人と一緒にシャワーを浴びずに、浴室の前をうろうろするケンツ。2人といれかわりにそそくさと入ってゆく。その行動をいぶかる2人は、「シッポでもはえてるとか?」と、深く考えない(でもその数年後に本当にシッポの生えているキャラになるんだもんな…)。
ランドリーのシャロンはそれを聞き逃さない。「オーモシロそ、ンフフ、オーモシロそ」ククトニアンがいるくらいだから、シッポのはえた異星人がまぎれている可能性も、などと考えたわけはない(そういや、「ダイナマン」の敵、ジャシンカは有尾人だっけ)。水と油のはずのペンチが一緒だったのは、2人の仲のためにはよかったのかも。
さっきカチュアが言ったことを確かめるため、スコットたちはカーゴルームへ。たしかに波のもとは遺跡らしい。ジミーは遺跡の周りに生えたコケが枯れているのを発見。そこに、やはり遺跡が気になるバーツとロディが。バーツはいつのまに髪をセットしたんだろう? 胸のポケットにはひそかに櫛が入っているとか?「これを見てくれ」とスコット。
で、入浴中のケンツが映し出される切り換えに笑ってしまった。シャワーではなく湯船につかりたいらしいケンツ。体の洗い方も結構細かい。脱衣所からのぞく2人には湯気が邪魔だ。いわゆる入浴シーンではありがちだが、男なのは初めてみたぞ。しかも尻より先に前が見えてしまった。「なんだ、あいつのちっちぇえな」「あれ、シッポじゃないわよ」シャロン、君は設定では父親と風呂に入ったりはできないはずだぞ。比較対象は誰なんだ。ペンチにはシッポじゃないんなら、なんなのか、彼女の口から言わせてみたい(鬼)。
ジミーは遺跡が前となんとなく違う気がしていた。そう聞いてスコットはためらうが、バーツは遺跡のケースを開ける。とたんに波が強くなった。相変わらず湯気。どう関係があるのかは不明だが、波が出るようになったのと、敵の妙な攻撃が始まったのは同じ頃だ。ジミーはやはり前と違うと思う。しかしどう違うのかは分からない。
その時、敵のビームがまぐれでジェイナスをかすめて、船体が大きく揺れた。ブリッジで電車ごっこをしていたマルロ、ルチーナもびっくりして床にふせる。すわ敵襲と思ったのか、ケンツは慌てて風呂を飛び出す、泡を体につけたまま。脱衣所の2人は、敵襲?よりケンツの尻が気になる。というか、目に飛び込んできて……。「あいつまだケツが青いでやんの」ゲラゲラ笑うシャロン、ペンチもかみ殺した笑いをこらえきれない。屈辱に耐えるケンツ。
今の攻撃の損害はとくになかった。またこれを最後に敵の攻撃がやんだ。ということでパペットで外に出て船体の損傷を調べる任務をケンツに与えようとするが、ケンツは1人傷心を抱えて廊下を歩く。「くっそー、男に恥をかかせやがって。あとで軍法会議にかけてやる」ケンツは通りかかったPX(購買、設定資料を見ないと分からないが)に入っていく。
そのまま行方不明になったケンツ。シャロンとペンチの悪事が発覚。恥ずかしさにうつむいているペンチ。シャロンと同類になってしまったわけだ。シャロンはまるでへいちゃら。「オレ見ちまったんだよ、あいつの青いの」「およしなさいよ、あなたそれでも女の子?」「だと思うけど、だろっ?」とペンチにふっても、彼女はいよいようつむいてしまう。「女の子がどうしてお風呂のぞいたりするの?」(<男はのぞく生き物ってこと?)、「それも男の子の」(<女の子のならいいの?、それはそれで危ないと思うけど…)、「はしたないと思わないの?」本当ならペンチもシャロンを攻撃するはずなのだが、なぜか攻撃されるがわに(なぜもへったくれもないが)。「見たかったんだもん」ペンチも否定できなかったりする(だって"前"もしっかり見てたもんね)。自分がいつもいかにタテマエを振りかざしているか身にしみたかも。とにかくひとの秘密をのぞくまねはいけない。「だってひとの秘密っておもしろいんだもん」これもまた真実とはいえ。「ペンチあなたもよ、なんてことかしら」小うるさい寮長みたいなクレア。
もともと尻が青くないマルロやルチーナには、なんで青いのか不思議だ。「きっとトマトと一緒なのよ」とマキ。「小さいとき青いんだから」おっきくなって赤くなるんならお猿さんとはうまいことを言うかも(数年後には満月を見ると…<しつこい)。いなくなったケンツを案ずるジミーにマキは飯どきになれば出てくるから「心配しなさんなって」と言って(マキの動きがよかった)、外に出るしたくへ。
結局あたった箇所はやはり心配なかった。ブリッジからもそれを確認したところで昼食のチャイム(鳴るんだね)。クレアが艦内放送で昼食ができたのを伝える。ブリッジの床に落書きしているマルロとルチーナも食堂へ。
マルロのソーセージをとろうとしたルチーナはちゃんとかえした。いつかのマルロと違っていい子。さっき艦内放送したのはケンツに聞こえるようにするためかも。でも、ケンツは出てこない。「あいつ一本気だからな。落ちこむとなにするかわかんねえぞ」と言ってバーツは首をしめるまねを。ウケをとれず静まり返る食堂。
急に心配になったみんなは食事中だというのにケンツを捜しに。まずシャロンが行こうとするが、彼女じゃ逆効果と思ったロディは、かわりに自分が。そしてペンチのかわりをフレッドが自らかってでる。「大丈夫、ケンツのやつきっとわかってくれるよ」と。自分の言葉がきっかけになってしまったバーツも。そしてなぜか(後で説明されるが)ケンツが気になるジミーも食堂を出ていく。それを見送るカチュア。ジミーが彼女とかかわらない行動をとるのは極めて稀だ(動物の生態を解説しているみたいだ)。
何時間か前のケンツと同じようにフレッドもPXの前を通りかかり、同じようにそこに入って道草。オルゴールに聞きいる。ちゃんと捜せよ。奥の倉庫から物音がして、入っていった中からケンツが出てきた。軍服に軍帽。どっかから調達してきたソーセージ(それとも非常食で普段から持っているのかな?)。機嫌を直してみんなの待っている食堂に行こうと説得しようとするフレッド。そんなことはもうどっかに行ってしまったケンツ。倉庫の奥で彼が発見したXXXな雑誌(でも、軍にあるのって「プレ○ボーイ」なんてもんじゃなくて「デラ○ッピン」とかもっと刺激が強いのじゃないかと思うが……)。「いーか、男と男の約束だぞ。俺たちの秘密だぞ」が、その秘密は早くもバレる。「ほほー、男と男の約束ねー」2人がとっちめられたかは不明。
とりあえずケンツは発見された。相変わらずトロいジミーは、まだ捜しているところをロディに見つかったと教えられる。「ジミー、心配してくれてありがとう」とロディ。
色気去って食い気。やっぱりお腹の減っていたケンツは遅い飯をぱくつく。その横で謝る(つもりの)シャロン。ペンチは給仕役。「わーりかったよ、ホント」と切り出すシャロンだが、当人は謝っているつもりなのかすら怪しい。「ケツが青い」なんて口に出したうえ「もう3cm背が伸びれば」と身長のことまで。ケンツが黙っていたのは食べている途中だからだろうが、ついに口にものが入ったまま叫ぶ。「さっきから黙って聞いてりゃ!」またもやさっきの蒸し返し。「アオケツ・チビチンのくせに」(ひどすぎる!)「このペチャパイ!」(バカの一つ覚え的)
そこをジミーが無理矢理ケンツを外に連れ出す。廊下でやおらズボンをおろすジミー、そのお尻にケンツが青アザを発見。ジミーが差し出した手を握って、2人の仲は完全回復、それどころか(カチュアが飛び出す)前より深まった。
スコットはこりないシャロンをたしなめる。「もっとおしとやかにできないのか?」「オシトヤカって? ホーホホ」
波乱ぶくみの飯はどうやら終わったが、バーツはロディをどこぞへ。それを見送るフレッドの面もちは複雑。「ほら、好きなんだろ?、こおゆうの」と弟と同じようにいきなり突き出されるロディ。最初は一応目をそらせていたが、だんだん食い入るように……。
同じ頃、ブリッジではスコットがフレッドにロディたちの居場所を聞いていた。「兄さんたちなら」と一応、場所だけ答えるフレッド(なかなかずるい返答)。「ロディ、バーツ!!」と呼び声がして2人は慌てて隠れようとするが、とっさに企むバーツ。「ロディ、バー…ツ?」罠の撒き餌につられたスコット、シャカシャカ走る。ああ、前回はきめたのに……。はじめは立って見ていたのがウンコ座り(失礼)になって読みふける。
再び敵のビームがかすめてスコットは我にかえる(かすめるまで我にかえらなかったというか)。「いかんいかん、ついうっかりしてしまった」と言いつつ、小脇に抱えているのは何かな? しかし今の攻撃でドアが開かない。くしくもバーツがそうなるかもと案じていたように。
ロディたちはまんまとブリッジに来たが、今度は2人を捜しに行ったスコットがいない。変に思うクレア、思いあたるふしのあるどころではない2人。スコットが2人に助けを求めたのは賢明だ。閉じこめられたスコットは「ふー、これで助かる」と一度は思ったのだが。
もう一度敵のビームが狙いはともかく、どんぴしゃなタイミングで。エロ本がなだれる(なんかのマニュアルをカモフラージュしたみたいな表紙だ)。「す、すごい…いやまずい」あせるスコット。急いで戻そうとするが、さらにすばらしいタイミングのビーム。グラビアに生き埋めになり「助けてー!!」と情けない叫び声。あわててロディたちはドアを破壊する。スコットは無事だったし、スコットとしてもこの2人に見つかったのならまだしもよかったのだが。「男の子、男の子」と笑うバーツの後ろにシャロンが。「あれー? ハダカばっかじゃん」「へー、オトコはオンナのハダカ見ていいわけ?」(返す言葉もないです)「あー、みんなに言っちゃおー」スコットの弁解もむなしい。「深いわけがあるんだ」クレアの前でそんなこと言っても通じないぞ、絶対。「わかってるよ、黙っててあげるさ」こんなことが言える女の子は野郎の妄想の産物という気もする。
「それにしても……くそっ、僕はそんなにスケベじゃないぞ」スケベの前に「ムッツリ」がつくだけじゃん。ウリと目の前に出されて弱みを握られたスコット。シャロンはこれで当番をさぼったりしたんだろうか……? 苦笑いのロディ、バーツもあんまり人ごとみたいに見られるもんじゃないと思う。
ある意味でターニングポイントの回。登場人物: 13人だけ、舞台: ジェイナス、周囲は宇宙だけ、なのは今回で終わりと言ってさしつかえない(あとは第26話くらいか)。もちろんそれは後から振り返ってはじめて分かることだが、それでも今回の次回予告(に出たタイトル)によって何か冒険に進展があるとある程度想像はできる。以前に書いた「銀河鉄道999」的な手法のとれる期間が終わったということ(「13」観終えて(2.1))。実際には「999」とは違うと僕は主張しているのだが、それでもこういうお膳立て(シチュエーション)には安定感があった。(脚本を)書くほうも、観るほうも安心して書く、観ることができる。事実「バイファム」はそういう話(13人だけ、周りは宇宙)だと大抵は認識されているのだが、意外にもそういう期間は相当短かったことになる。
スコットにコミカルな演技をさせたのは狙ってのことなのは言うまでもないが、賛否両論あるところ。わざわざこんなことを書くのは、僕の弟にはお気に召さなかったから。「もっとシリアスでいい」が彼の弁。今までのシリアス崩しの限界を越えているのは否めない。
原画
渡辺浩、西島克彦、松下浩美、江古田豊
Vd: 1999.9.26, Vd: 1998.2.20