「13」感想(直見版) vol.2 #14-26

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Vd: 1999.3.5

「13」観終えて(おまけ)

おまけなので、どうでもいい話を。まずトゥランファムは、結局わざわざ出した割にあまり活躍しなかった。どうもロディ、バーツの方がカメラに映っている度合いが大きかった印象がある。旧タウト星篇でトゥランファムが全く登場しなかったからかも知れない。旧作でも新型なのに主役交代とはならなかったし、どうも運のないメカだと思う。

ここ数日の「13」が何故駄目だったか/「13」がこうだったらを巡る議論を読んでいて、思ったこと。ファンは怖い。もしかして制作者側よりも細かく設定に精通しているんじゃないだろうか。こういうことを言うとスタッフは絶対否定すると思うが、スタッフにとって「バイファム」はたくさん作ったアニメの一つにすぎない。いい加減に作ったはずはないが、その一方で、どれにも同じだけの愛情を注いでいるはずだ。かたやファンにとっては、唯一か、あるいはそう数の多くない偏愛(聞こえが悪い)の対象だ。しかしそんなことは予め分かっているし、そういうファンがいるからこそ「13」を制作したはずだから、その「偏愛」に応えるべく、もっと頑張ってほしかった。
だが、また一方で、その偏愛にがっぷり四つになって構えるより、醒めたというか、ある程度突き放したというか、一種、斜(はす)に構えたような対応もできるんじゃないかと、放映前に思っていた。こんな「バイファム」もあるのか、とファンが思わずうならされるようなのだ。どういうのかときかれても、僕はうなる立場なので想像がつかないし、僕に想像がつくようなのじゃいかんと思うが。


Vd: 1999.3.1

「13」観終えて(2.2)

「バイファム」の魅力は、もっぱら「あの13人」にあるのだと、「13」放映終了に寄せて(4)で書いた。1997年の末頃、「13」が制作されるという報に接した人々は多分、あの13人がまたワイワイやってくれるんだ、という期待に心躍らせたと思う。じゃあその「ワイワイやる」の具体的な中身は何なのか、から今回の話を始める。
13人の性格というか、行動パターンは終始一貫して変わっていないようだと、「バイファム」は成長の物語かで書いた[*]。「13人がワイワイ」という表現で事足りるのも、こういうことがあったら、ロディならこう反応する、バーツならこういう行動に出る(……)が、具体的に想像できるからだろう。
それなら逆に、13人のそれぞれ個性的な振る舞いを観られさえすれば満足なのかもしれない、と考え出すと一話完結オムニバス型の企画に容易に結びついてしまう。「バイファム」第2クールの一見オムニバス的な見かけと、ジェイナスというそれにふさわしい舞台のゆえに、OVA第3巻を始めとして[*2]、そういう話が氾濫していることは前回述べた。それを「13」のように連続ストーリーものにまであてはめてしまうと、破綻をきたすのではないかとも述べた。「バイファム」の物語は決してオムニバスではないからだ。
「オムニバスではない」は、(金太郎アメのごとく)均質ではないということだ。それはストーリーだけではなく、キャラクターもそうだ。さっき述べたことと違うように聞こえるが、僕が言いたいのは13人個々人ではなく、それぞれの関係だ。例えば、ペンチとシャロンの関係あたりが分かりやすいだろうか。下着の洗濯の件でケンカ(第13話)、詩を読まれる(第14話)、ケンツの入浴を覗く(第21話)、対照的な寝相(第38話)と二人の関係は、少しずつ微妙に進展しているといえる(最後の寝相の描写も視聴者にとっては二人の関係(「つながり」ではないが)の一端を示している)。ケンツとシャロン、フレッドとペンチ、ケンツとジミー(あれ、年長組がいないや…)なども同様である。
ところが、オムニバスにしてしまうと、そういうことは起きない。「13」の場合、そうそう「バイファム」(旧作)でもあったよね、こんな場面、で終わってしまう。こうなったのは(あるいは、それが可能なのは)しかし一方で「バイファム」が一度完結した作品であるため、最終回の状態で一種の極相[*3]を迎えているためだと考えられる。つまり、必ずしも「バイファム」第46話での13人の関係そのままではないだろうが、イメージとして、安定した、反面固定的な人間関係ができあがってしまっている。先の「ワイワイやる」は実はこれも含んでいる。誰かをつつくと、その刺激が他の誰かにどのように伝達されるか、ファンなら手に取るように見当がつくのだから。
となると困ってしまう。我々は「ワイワイやる」を観たかったはずなのに、現実に形になった「13」を観ると、食い足りないと感じてしまうからだ。「バイファム」がただそれだけではないのだから、当然と言えば当然だ。これはかなりの誤算だ。
話は少しそれる(ように見える)が、「13」はファンサービスの傾向が強い作品だ(同じことは「13」放映終了に寄せて(4)で述べた)。悪く言うと、「バイファム」のいいとこどりだ。女の子たちのバスタオル姿、水着姿、ねまき姿、髪をおろしたマキetc.、シャワーシーンがなかったのは結構意外だが、「バイファム」のおいしいところは(になかったものも含めて)、ほぼ網羅されている。それはそうした、いわゆるサービスシーンだけでなく、キャラクターの行動にまで及んでいて、前々回の「旧作を知っている人なら思わず」という描写は多いものの、逆に言うと知らない人にとってはどうってことはなかったりするのではないだろうか。そして「13」ならではと言えるエピソードは存在していない。こうした見方からすると「13」は「バイファム」のサブセットと呼べる(「上澄み」と訳すか「下溜まり」と見なすか、どっちにしろ似たようなものか……[*4])。
僕はサービスシーンの多さからして(エロ本、ケンツのレッド・ベア、失敗に終わった旧作挿入歌の使用なども含む)意図的にそうしたのだと思う。というよりは、元々あった要因に迎合したのだと思う。まとめよう。
「バイファム」の前提要素: 「13」の目指したもの: 「あの13人にまた会える」というファン・サービス。
そのための形式: インサイドストーリー、オムニバス(両者は表裏一体)。
その形式をとる理由: 「前提要素」のゆえに、手っ取り早く目的(ファン・サービス)に到達できるから。
以上のような路線で行くなら、全編単発1話完結にして、かつ1クールくらいにしておいたほうが、そのファンサービス(もっと言えば、これらの方針全て)の皮相さに、我々も(幸か不幸か)気づかずにすみ、13人の芝居をそれなりに満足して眺めていたのではないかと思う。

*1 僕が13人が成長していないと言っているのは、例えば「失敗から何かを学ぶ」のような、前回と似た状況で前とは違う行動がないように思うからだ。シャロンの初潮の話が結局語られなかったのも、スタッフが「当然性格も変わってこなきゃならない」(別冊アニメディアPart2)といったあたりを問題にしたかららしい。
*2 多少ずるいがムックなどの小説も。
*3 大ざっぱに言うと、何も生えていない土地に草が生えて草原になり、まず陽樹が生え森になり、次第に陰樹に取って代わられ、行き着くところまで行き着いてこれ以上変化しない(次の状態へ移行しない)安定した状態。
*4 UNIXに対するMS-DOSのような関係だ……。


Vd: 1999.2.28

「13」観終えて(2.1.5)

まず(1)(一歩さんの日記)。うんうん、それは「13」ではやってない。僕の場合、やってないのはやれないからだ、少なくともやりにくいからだと思ったのだが(このあたり「失敗する運命」です)、……すいません、キャラクタの部分については、今日書いていて明日載せる予定の文章[*]でもう少し違ったことを書いています。でもまあ、基本的には似たことを言っているわけで、「13」オリジナルのキャラクタのかけあいをやる余地もないのではないかと主張している。少なくとも「13」の設定では。少々しゃべってしまうと、イメージとして13人の人間関係ができあがってしまっているから今さらいじれないのでは、という論旨だ。一歩さんの意見は、「いじる」よりはむしろ推し進めるに近いから、そう言われると、やれたのかもしれないと思えてくる。ただし、それは「13」のコンセプトから外れるように思う。僕の認識は基本的に"「13」=拡大OVA第3巻"なので。これはスタッフの手抜きなのだが。
同じ理由で、(2)もスタッフはそういう頭と体力を使う設定をやろうなどと考えもしなかっただろう。正体不明の組織ラピスと、とってつけた旧タウト星をみれば明らかだ。だが、それはやれるのにやらなかったという怠慢なので、本当にそれが可能なのかを考えるべきだろう。ククト側の情勢を説明するのは、基本的にカメラが13人から離れない「バイファム」では難しい。……と、思ったんだけど「13」ではルルドとか結構出しているしねえ。ジェイナス内部も、ちゃんと描かれているのはブリッジと第三格納庫と居住区くらいだし……と、こう考えるとスタッフ怠慢論に行き着いてしまう。「てしまう」と書くと聞こえが悪いが、これを考え出すと、(特に一歩さんの案だと)「13」の枠組みでのリカバリーではなく、別の新作の話になる。後者がより前向きだが、僕が言っているのは(一歩さんが書いているように)「13」が何故失敗したのか、なのであって、それをスタッフが怠慢だからと言ってしまうと話が続かない。いや、僕も「安易だ」とか言っているのだが、それならそれで何故そういう選択に陥ったのかを探ってみようとしているのだから。でも少なくとも運命論はまずいのかも。
何を書いているのかごちゃごちゃしてきて分からなくなってきたが、とりあえずまだ続編を作る余地はありそうだ(とはいえ、もはやねじ込むスキはないかも)。「バイファム13 OVAシリーズ」みたいなのを。でも「スコットの後悔日誌」の時も一瞬思ったんだが、「バイファム13 OVA」と「バイファムOVA」はほぼ等価だよね……。

* まじめに書いている文なので例外的に時間をかけている。


Vd: 1999.2.27

「13」観終えて(2.1)

前もって断っておく。今回の話は「バイファム」ファンにとってはあまり気分がよくないかもしれない。
「バイファム」でキセルはできるだろうか? 言い換えると、「バイファム」を最初の1クール観た後、いきなり最終回を観てすますことはできるだろうか? 「銀河鉄道999」(漫画、TV版)と「バイファム」は結構似ている。「999」なら第1巻を読んだ後、第18巻に飛んで、はいおしまいという芸当も可能だろう。両者とも旅の途中の過程は、言ってみれば最終回での感動の増幅装置としての役割でしかないとも言える。
どちらも、連載漫画や連続ストーリーのTVアニメにありがちな傾向を帯びている。例えば「うる星やつら」はその典型だが、あれは34巻もあるくせに作中で時間は結局全然進んでいない。八百比丘尼のような状態だ(「火の鳥 異形篇」参照)。だから最終回だけ時間の進み具合が異なっている(一冊全部で一つの話になっている)。
「999」も、巻紙のナレーションで始まり、変な停車時間(その星の1日を地球時間に換算した長さ)、盗まれる定期、さらわれるメーテル、決闘する鉄郎、発射ベルの鳴るプラットホームでは車掌がやきもきして待っている、宇宙を背景になぜか曲がりくねる列車が描かれ(宇宙空間だからまっすぐでいいじゃないか)、含蓄のあるようなないような巻紙ナレーションで終わる。毎回その繰り返し。列車は一応先へ進んでいるはずだが、ちっとも分からない。救いは鉄郎が徐々に機械の体が幸せをもたらさないのに気づいていくことだろうか。
「バイファム」も同様に、と書くと読者の方は反感を覚えるだろう。実際のところ、「バイファム」はそうなりかねなかった(=なってない)。ジェイナスという閉鎖空間は「うる星やつら」をやるにはもってこいだ。おまけにロボットものは毎度戦闘が入る。が、意外にも「バイファム」第2クールは、毎回のようにジェイナス左後方からのパースで終わっているにもかかわらず、まずラレドの死、カチュアの脱走、ケイトの死というように14-17話は完全に話が続いている。この話はここで切れてしまうが、その後18-20話、また途切れて第21話、22-23話とプチプチ途切れつつも、底の方でそれぞれのまとまりが次のまとまりへバトンを渡している。18-20話の中継基地撃破に22話でローデンが驚き、あるいは第21話でリフレイドストーンから発せられたエクストラ力線の話を聞いたローデンが「ガーディアン」と言ったように。第3クールに入ってからは、26-30話のタウト星を巡る攻防は完全に連続している。ククト星着陸後は言うに及ばずだろう。
これは重要な点だ。「バイファム」最終回の感動は、それまでの長い冒険がいよいよ終わりを迎え、そしてその苦楽をともにした子どもたちが別れ別れになる、そして視聴者も子どもたちと別れる、その感慨にある(言ってしまうとつまらないが)。その感動をしみじみ味わうためには、その長い冒険の過程をちゃんと観ているべきだ。しかしその途中がキセルしたくなる内容ではどうにも飽きてくる。そこを途中をすっ飛ばせないようにしている「バイファム」は「うる星」化しそうでしていないという危ういバランスを保っている。(もっともキャラクターにはその傾向があることは「バイファム」は成長の物語かで述べたが。)
しかし一歩間違えて、そうなってしまった例もある。OVA第3巻がそうだ。これは単発OVAだからまだ仕方ないと言える。だが、TVシリーズともなると罪が重い。もちろん「13」のことだ。ただでさえジェイナスの中は「うる星」化しやすい。おまけに必然的にインサイドストーリーになるのだから、バトンを渡そうにも渡すことはできない。それがもっとも端的に表れたのは「ボギー不調篇」(MAGIさんの呼称に従う)だろう。この4話自体はあらかじめオムニバスでいくことが企図されていたのだから、それはそれでいい。しかし(「13」が根本的にインサイドストーリーだからどうにもしようがないとはいえ)、その前後の「双子&ラピス篇」、「旧タウト星篇」にしても前者が「13」の中ですら忘却されたまま終わってしまったように、基本的に自己完結していて、それが次に続かない(バトンを渡さない)スタイルをとっている。そもそも割と見過ごされているようだが、ジェイナスでベルウィックからククトまで航海していた期間は1ヶ月かそこらだ。本当はそういう余地はないのだ。いかにもありそうな気がするが、それでいてそうそうない。
だから、第2クールで子どもたちをジェイナスから降ろしたのは、ある意味ではかなりの英断だ(苦しまぎれかもしれないが)。しかしこの話は、お膳立てといい、筋運びといい、細かい演出に至るまであまりにお粗末すぎた。もうちょっとうまく料理していれば、異色のエピソードとしてそれなりの評価を得たかもしれない(「ジェイナスから途中下車する」というアイデアはどういう形であれ賛否両論ありそうだが……。)
そうはいっても、OVA第3巻は評判がいいではないか。さらに開き直るなら、本編じゃない上に、インサイド・ストーリーなのだから、「うる星やつら」になってもしようがないじゃないか。僕も「消えた12人」は好きだ。ただ、あれはたった1話だ。「13」は26話もある。そうなると制作側も視聴者側もそれぞれ問題を抱える。作る側としては26話分も物語を進めることはできない。繰り返すが、「うる星やつら」が話の始めと終わりで結局何も変わっていないのと同じく、インサイドストーリーもその始まりと終わりで物語に進展はない、いや、あってはならない。ということは26回連続ストーリーとはいいつつも、そうはできそうもないし、実際そうならなかった。視聴者側としては(「13」はもっと細かいところで色々と批判されているが)、おちの見えていて、しかも本筋と絡まない話を26回観させられるのは、「13」第22話のRVとの別れのシーンの白々しさが端的に示すように、いささか、というかかなりうっとおしい。
それはもちろん「消えた12人」だって同じことなのだが、60分のストーリーならともかく、「双子&ラピス篇」で12話分、「旧タウト星篇」で8話分の出来事が本編に影響を及ぼさないようにして、それぞれクライマックスを迎えるのは、残念ながら無理があったと言わざるを得ない。とりわけ、典型的なジェイナスの日常話である「ボギー不調篇」と異なり、子どもたち以外の人物を出したときに、それで話が結局展開しないのはやっぱり変だ(ラレドやローデンと比較するといい)。
こういうインサイド・ストーリーには付き(憑き)物と言える問題で批判するのはこれくらいにして、「13」が「バイファム」第23-26話の間に置かれたのは色々と理由があるだろうが(総集編が入っているとか、トゥランファムを出せるとか)、一方でジェイナスで航海している間なら「うる星」化しやすい、もしくはできるという気安さがあったともいえる。そういう安易な道に何故走ってしまったか、それは第一にインサイド・ストーリーと親和性が高いからだが、それ以外にも理由はあると思う。その理由はある程度「13」がインサイド・ストーリーになった理由でもあるが、それは次回に。

付記。「13」と「うる星やつら」の近似については、「アーティファム」*12で触れている(自分で書いたのを忘れていた……)。


Vd: 1999.2.25

「13」観終えて(1)

"THE ASTRO ENEMY"は流れなかったなあ、結局。どうやって流すんじゃい、って、そのとおりだけど、後半のあの挿入歌の嵐ではあながちあったとしても、それほど不思議ではない。そこで思ったんだが、「バイファム」を全く知らない人に「13」を見せるとして、どういう順番がいいだろうか。僕なら、旧作第21話の後に「13」を続けて観るのは全く賛成できない。何故なら、そうすると「13」で「君はス・テ・キ」を先に聴いてしまう。それだけだが、この一点は「バイファム」を知っている人なら誰でも譲れないんじゃないだろうか。
ということは、「13」は「バイファム」を全部通して観た人向けなんだよなあと思ったりしたのだ。何も「君はス・テ・キ」だけでなく「旧作を知っている人なら思わず」(この後に何が続くかは別として)が随所にちりばめられているからだ。「バイファム」より後に「13」が制作された以上、それはしごく当然の成り行きだ。ただ、「13」の場合は、それがインサイド・ストーリーであるのが、事をややこしくしていると思う。
それはさておいて、「13」は「バイファム」の後に観ればいいのなら、別に正史に含める必然性はないはずだ。でも、同じような位置づけのOVA第3巻は一応正史の中に入っていると考えて差し支えないんじゃないかって? ただ、あれも普通は「バイファム」本編の後に観るからそう思えるのであって、あれだってネタばれはいくつかある。「13」の場合、さらにその新設定が問題をはらんでいて、どうにも扱いに困ってしまう。ラピスはまだしも、旧タウト星は……。アナザーストーリーということで別待遇にしてしまうのが無難だが、はてさてどうしようか。ああ、なんてマニアックな話題なんだ。こういう正統/邪道的な話ができるようになると、一見さんお断りな作品になっていってしまう……。
Vd: 1999.2.23

「13」第26話感想(直見版)

ア番がない。サブタイトルの短さとあわせて旧作後半の構成を踏襲したということだろうか。
「安全防護服とも言えるジェイナス」を再利用して脱出する、その準備に子どもたちは追われている。打ち上げまでの時間は限られているらしいが、ジェイナスとのランデヴーのためだろうか。第23話を見る限りは1日に2回程度は接触するチャンスがあるらしい。それとも敵がまた来るだろうってことか?
プロペラントタンクの残量のチェックをするマキ、スコット。荷物を積み込むジミー、ケンツ。ケンツは「父ちゃん、母ちゃん、待ってろよ。この星から出たらすぐ助けに行くからな」とはりきっている。機体各所の固定アームの点検にあたるカチュア、フレッド。二人の発見した不良個所を実際に修理するロディ、バーツ。「これでこの星から脱出できると思うとほっとする」そうだが、それにはまだ早いんじゃないかな。視聴者の我々は安心だけど。コクピットの機器を調べるクレア、ペンチ。この二人でさえこんなことに動員されているわけだ。今回作画のせいか二人とも幼く見える。それにあわせてかどうか、この場面でのペンチの言葉づかいがかわいい感じだ。マルロ、ルチーナは「パパたちにもうすぐ会えるんだ」と今度こそ喜んでいる。フレッドとカチュアは今度は打ち上げ用のプログラムを打ち込む。いくら何でもそりゃあ無理だろうと思ったら、リグレーがマニュアルを翻訳してくれたんだそうだ。
リグレーとじいさんは、銃と双眼鏡で外を監視している。じいさんは子どもたちだけでプログラミングまでできるか案じるが、リグレーはジェイナスを自分で動かしてきた13人のこと、機械については自分たちより扱えるだろうと。それに機械は日々進歩しているから、じいさんはお役ご免だそうだ。そこへスコットが出発の時間を伝えにやってくる。スコットは二人も一緒に行くものだと思っているのだ。「ここに残っていてもしょうがないでしょう」、そりゃそうだが、二人はそもそも「骨を埋める」つもりだった。「この星から出た後のことはジェイナスに戻ってから決めましょう」と言い置いて、スコットは準備の作業に戻る。後に残された二人は戸惑う。自分たちもいつの間にかこの星には死にに来たことを忘れていた。しかし子どもたちが自分のことを忘れていなかったのはうれしい。「どうしましょう?」
崖の向こうで何かが光った。敵だ。ジャーゴが3機。シャトルをすぐ飛ばす、それは無理だ。プログラムを変更しなくてはならない。かといって、まともに応戦したら、真っ先に発射台を狙われてしまう。だが隠れるにしろ、シャトルはどうしようもない。そういやベルウィックでもシャトルが見つかったっけ。シャトルとジャーゴは相性がいいのか? ロディ、バーツは敵の目をひきつけるために出撃する。ジャーゴのくせにのそのそ歩いて接近する。敵が300mまで迫ったところで二人は飛び出す。まずネオファムが1機撃破。(ネオファムの足のスジが太い。)残った子どもたちは援護したいが、そううかつにはできない。バイファムとネオファムは宇宙に帰っても重要な任務があるのだが。ケンツは「作戦たてんだよ」と叫ぶが、そう言ったって急には。
苦戦する二人。二人とも「地上戦だと思うように動けねえよ」ということだ。さらに、「ビーム砲のエネルギーも切れかかってきやがった」。しかしよく今までもったものだ。「相手にがんがん使わせて一発必中のチャンスを狙う」ってのはそんな簡単なことじゃない。構えて撃つふりだけして撃たないで何とか敵をかわす。
発射台の中では何やら準備が慌ただしく進む。あと20分。フレッドは時間を遅らすかスコットに尋ねるが許されない。チェンバー夫妻とマルロ、ルチーナは戦闘の様子を見守る。「必ず何とかなるわ」と安心させようとするリグレーに「わかってるわ」と毅然とした表情のルチーナ。チェンバーは「ロディたち(珍しく名前を呼んでいる)を助けてやる手だてが何一つ浮かばん」ともどかしがるが、それにも「おじいちゃんたちが助けなくても負けないもん」と。「いつもはおそらだけど、負けたことなんかないもん」「必ずジェイナスに帰ってきたもん」だから今度だってきっと帰ってきて、ジェイナスに帰ったら、パパやママに会わせてくれるだろうと。いくら何でも大人すぎやしないか。この二人が大人(それも老人)より、重い言葉をマジな顔で発するなんて……。「信じる、か」とつぶやくチェンバー。
しかし、あと12分。フレッドは兄を心配して血相を変えている。それに比してカチュアはコンソールをじっと見つめながらも落ちついている。「大丈夫よ、必ず帰れるわ」だが、ネオファムはついに弾切れだ。丸腰になり苦し紛れに石を投げつけるが、ジャーゴの銃口が光る。チェンバーが「一度は死んだ身じゃ。体当たりでも何でもして守ってやるわ」という覚悟で援護しようとするが、それより速くスコットたちのトラックが飛び出していく。「バーツ、こんなところでくたばったら(あ、言葉づかいが…)承知しないからね」とマキ。2台のトラックの間にロープを張って、それでジャーゴの足をからめ止める戦法だ。ロープのはしにはオイルか何かが入ったポリタンクがくっついている。それに火を放つ。炎につつまれて爆発するジャーゴ。ジミーの「メリー、僕も頑張るよ」は脈絡がないような。シャロンの放ったバズーカの1撃で体勢を崩した(というより気をとられた)最後の1機をロディが狙う。コクピットを貫いたビームは最後の1発だった。喜ぶチェンバー。「やりおった! なんちゅう子どもたちだ」
残り5分。スコット、そして他の子どもたちも老夫婦に乗船を促す。が、返ってきた言葉は「いや、わしゃあこの星に残る」。二人が生きていく場所はこの星しかないと気づいたのだと。死にに来たこの星に「生きるために」残ると語る。そして死んだ星に緑を甦らせる夢にもう一度チャレンジしよう。中断していた緑を取り戻す石の研究を再開しよう。それができればこの戦争も終わらすことができるだろうから(この辺がよく分からない)。「お前たちに目的があるように、わしらにも生きる目的がある」チェンバーは「何をしておる」と強いてみんなを送り出す。このままでは別れづらくて、昇りかけたタラップを降りて戻ってくるケンツ。「じいさん、俺ずいぶんひどい言い方もしちゃったけどよー」、じいさんはそれを一喝して乗り込ませる。しかしじいさんが「これを持ってけ」と渡したのは、ジャムだ。シャロンが呼んでいる。「ケンツ、おいてくぞー」ケンツが最後に言い残したのは「腹こわすなよ」だった。ロディは「お元気で」と言ってバイファムに乗り込む。最後まで残るスコット。「もうええ、はよう行け」「必ず両親に会えよ、子どもたち」
シャトルはいよいよレールの上を滑り出す。それを見送る夫妻。RVは切れ残りの翼の上に乗っている。もらったジャムを見つめるケンツは、シャロンに指を突っ込まれて味見される。「うんめー」「だあああああああ」窓の外を見るとじいさんが旗を振っている。"HELLO, VIFAM"がかかる中、二人は子どもたちに声援を送る。「最後まであきらめちゃいかんぞー!!」そして、シャトルを見上げるククトヤギ。
大気圏を離脱すれば、すぐそこにジェイナスが。「みなさんのお帰りをお待ちしていました」「両親たちがいるタウト星に向かって出発だー」前にも聞いたことがあるような……。
「バイファム」第27話(26か?)に続く……でいいのかな。最後に何かクレジットすればいいのに。
Vd: 1999.2.18

「13」第25話感想(直見版)

「再びジェイナスへの帰還の道は閉ざされてしまった」というわけである。森の中、マルロとルチーナの泣き声が響く。まだ責め立てられているケンツ。これだけ言われて泣き出さないのがすごい。「何だよ何だよみんなして! 俺だって一生懸命やったんだよ! それなのに」みたいな感じで。「たーく、せっかくぶんどったもん壊したんじゃ、軍曹から二等兵に格下げだな」とシャロンにからかわれて「そこまで言うことねえだろ」って、いや言うことあるだろう。
メリーが急に倒木に乗り、その上を歩き出す。後からついていくジミーは その端から見えたものにひそかに衝撃を受ける。ククトヤギの群だ。倒木とメリーの様子を見ていたチェンバーは何かひらめく。「脱出するテはまだあるぞ。あれを使うんじゃ」(遅いんだよ、思い出すのが……)。
それは一種のマスドライバーで、身も蓋もない言い方をすれば、見てくれは「銀河鉄道999」の、あの途中で切れている線路だ。リアルロボットアニメでは「ドラグナー」、「Vガンダム」に登場している。打ち上げる物体が自力で推進しないのが普通のはず。大砲で弾を宇宙に飛ばすようなイメージだ。ジュール・ベルヌはその方式で月旅行する小説を書いたんだったっけ(読んでないけど…)。旧タウトにあるマスドライバーは、この星を開拓する際に使われたもので、10数年前まで稼働していたのだとじいさんは言う。しかし一体何を打ち上げたのだろう。じいさんは「資材の運搬」と説明しているが、この星に持ち込む物はあっても、持ち出す物なんてあるんだろうか? 何かの鉱産資源とかならともかく。大質量の物体を打ち上げるからこそ「マスドライバー」のはずだ。ただし、だったらこの星が放棄されている理由が分からない。それを言うと、この星が無人なのはそもそも絶対変だし、それに対する説明もないのだが。……脱出できなくなると困るからこの辺でやめとこう。
落とし穴に落ちた敵兵は何と這い出していた。「ロードランナー」を思い出してしまった。墜落した輸送機には紫のジャーゴ2機が搭載されていた。それが動き出す。あまりにうかつな子どもたちではある。
さて、マスドライバーを使うと、打ち上げられた物体は子どもたちがチェンバーと出会った例のステーション近くに到着する(つまりステーションは「静止衛星」ってことか)。そこからならジェイナスを呼ぶこともできるだろう。だが、カーゴは人間を安全に運べるのだろうか? みんな先を競って確かめに行くが、ケンツ一人は座り込んでいる。最初に調べたやつは明らかに荷物用だ。宇宙服でも着ない限り無理だ。他のを当たるが、「もしなかったら」――「一生いるしかない」ってしつこいぞ。「ないなんてことになったら」――「ああ分かってるさ」ならまだしも。が、無情にもじいさんがあるはずといっていたそれはなかった。カチュアまで一瞬肩を落とす。その彼女がシャトルを利用できないかと考えつく。フレッドが片翼がもげているからバランスが悪いと指摘すれば、マキは「残った片方の翼も取っちゃったら」と提案。思いつきとはいえ「グッドアイデア」だ。シャトルはエンジンはやられていないから、宇宙に出たらそれで推進できる。それにバイファムとネオファムでジェイナスまで誘導することもできる(これは都合良すぎる気が……ガス欠になるだろう)。RVは荷物用カーゴで打ち上げればいいという腹づもりだろう(でもRVに乗っていれば機密性はクリアできるから、2人が先に宇宙に出て改めて残りの子どもたちを拾い上げる手はずを……無理かな)。
となれば実行あるのみ。フレッドは台車が動くかどうか、制御室の装置をいじり出す。一発で主電源のスイッチを見つけるなよ。どうやら作動機の電源が切れているらしい。これはトラックの動力を使えば何とかなる。しかしいくらフレッドでもいきなりククトの機械を扱えるはずはない。どうせなら、じいさんにやらせればよかったのに。
「それだ、ここでじっとしてたって始まらない。やれることはなんだってやろう」という復活したスコットの号令のもと、子どもたちは2班に分かれる。一方はここに残ってカーゴの準備、もう一方はシャトルにあたる。が、ケンツは爪はじきだ。さすがにしょんぼりしている。といっても「二等兵元気出せー」と再びからかわれると、「言いてえこと言いやがってあのペチャパイが」と久々に「ペチャパイ」発言。
トラックで移動する車中、メリーはまた自分の仲間の群を見る。今度は前より大きい。そしてやはりそっちへ行きたがる。シャロンは仲間を見て云々とジミーに言うが、それはもう彼自身分かっている。
カーゴの方は簡単に電源を接続する。やたらに簡単だ。カーゴ(正確には台車)を外に出すスイッチはじいさんが知っていた。「これでわしを見直したか?」と名誉挽回しかけるも、カーゴはすぐに止まる。どこかが故障しているらしい。みんな…いやリグレーがマニュアルを探し始める(マニュアルは普通の冊子だったり、ディスクだったり)。何しろククト語だから。じいさんは「余計なことをしないでくれ」と追い出されてしまう。
一人外でコッペパンをかじっているケンツ。そこへじいさんもやってくる。ケンツのコッペパンを勝手に半分とる。精一杯やったが結果が悪かっただけって、あんな軽挙妄動する学者も怖い。「みんなに悪いことしちゃったよなー」のケンツのほうがまだ救いようがある。チェンバーはお尻のポケットからジャムを取り出し、指でべたべたパンに塗りつける。しかもケンツのにまで。さすがに汚いだろう……。いくらリグレーのお手製だからって。
「前から気になったんじゃが」とチェンバーは「ブタの旗」が何なのか尋ねる。ブタじゃなくてレッド・ベアーというやりとりの後、ケンツはあれを見れば父ちゃんたちが、助けに来たって分かると語る。目印の旗なのかとじいさんも納得する。
シャトル班はマキの「ご提案」をやり始める。といっても当のマキ、シャロン、カチュア、ジミーは見てるだけだが……。ビームライフルの出力を20%に下げて残った主翼を切断する。「万事O.K.」が、後は持ち帰るだけとなったとき、メリーが逃げ出す。ジミーが追いかけた先には、ククトヤギの大群。見渡す限りヤギだらけ。メリーが首輪と綱をつけてなかったら、もう見分けられなくなっていたかも。カチュアも追いついたところで、さっきのジャーゴが登場する。他のヤギはそれに驚き先を争って逃げ出すが、メリーは逃げない……。しかしジャーゴの攻撃に3人(?)とも吹き飛ばされてさすがにメリーはどこかへ行ってしまう。この状況でもまだメリーを気にするジミーはほとんど半泣きだ。敵襲に気づいたロディたちが応戦に向かう。「ここにいろ」と言われたマキたちもトラックで二人を救出に。しかしジャーゴのビームが開けた穴にトラックごと落ちてしまう。外に投げ出されたのは幸いだったのかも。
マスドライバーの制御装置の修理はどうにかすんだ。そこへケンツがやってきて、「偉そうなことは言えないけどさ」と前置きして、試しに打ち上げたらどうかと提案する。「ぶっつけ本番」では心もとないだろうから。今度はそれで正解だろう。カーゴも台車もたくさんあるから。奪った輸送機は1機しかないからこそ、慎重に慎重を重ねるべきだった。それを他の子どもたちに断りもせずに……。ともかく、この意見にはクレアも賛成だ。
RV同士の戦いを見守る4人。ジャーゴのホバーしたような地面すれすれを飛ぶさまがカッコいい。固唾をのんでいる後ろに敵兵が迫る。気づいたときには銃を突きつけられていた。一方、マスドライバーはスコットとフレッドのカウントダウンでレールの上を滑り出す。他のアニメだとリニアで駆動していた気がするが、これは火薬式(というか燃料で推進する)だ。カーゴはきっと宇宙空間まですっ飛んでいったことだろう。そして切り離れた台車はすばらしいタイミングでロディたちの戦場へ落ちてくる。人質を取られてやむなく主砲を捨てたロディ、バーツだが台車の爆発に敵が気をとられた一瞬に銃を拾い上げ、ジャーゴを撃破。ガンダム撃ち、つまり片手撃ちだ。「バイファム」全編を通じて初めてかも(どうだろう?)。さらにそれに驚いたのかククトヤギの大群が飛び込んできて敵兵をなぎ倒す。その中にメリーを見つけたジミーは崖からダイブ。後先考えてないみたい。多分うまくメリーの背中に乗れなかったら無事じゃ済まなかっただろう。
試射の成功にスコットはうれしさのあまりクレアに抱きつく。それとは反対に、ジミーはメリーを放す決心をする。「メリー分かったよ。さよならだ」、そう言うと、綱をはずす。さらに綱を地面に打ちつける。「帰れメリー、帰るんだ」カチュアが彼の肩に手を置く。「ジミーこれでよかったのよ。ジミーだって一人より仲間がいたほうがいいでしょ」それにうなずくジミー。「そう思ったから僕……」みんな口々になぐさめる。マキが「みんながシャトルを待ってる、急ごう」とさりげなくジミーを独りに残す。静かに涙がこぼれ落ちる。
みんなのところへ戻ればケンツが元気づけてくれる。「メリーはお前のことを絶対に忘れねえよ」

メリーとの別れは、メリーとジミーを中心にしたエピソードがそれまでにあればきっともっとよかったと思う。そんな余裕はなかっただろうが、なのにここにきていきなりこれを持ち出すのは欲張りだ。島本和彦がギャグでやっていた、いきなりオイしい場面だけやり逃げするのに近い。
メリーが菜園の貴重な生鮮野菜を囓ってしまい、赤ちゃんがいなくなったこともあって他のみんながメリーにつらくあたるのを必死にかばうとか。


Vd: 1999.2.9

「13」第24話感想(直見版)

鳥がさえずる森の中、車が2台並んでいる。子どもたちのと夫妻のとだ(どっちも本当は子どもたちのだけど)。フレッドたちは荷台から荷物を降ろしているが、ケンツはじいさんの「怪しい行動」を勝手に監視しに行ってしまう。バーツはロディと葉っぱでRVをカモフラージュしながら、じいさんはあまりあてにできないし、彼の約束は「口からでまかせ」ではと疑う。それを立ち聞きしてやけに落ち込むスコット。
ケンツが追いかけていった先で、チェンバーは石を積んで墓標を建て、アランに祈っていた。リグレーも来て一緒に祈る。リグレーは子どもたちをどうするつもりか尋ねるが、実はチェンバーは「何とかしてやりたいのだが、どうすればいいか」考えあぐねていた。リグレーは助け船を出す。無線を使って輸送機を呼び出し、それを盗めないかと。チェンバーはその案に喜んでリグレーに抱きつく。「さすがわしの女房、ほれなおしたぞ」リグレーは「アランが見てます」と言うが、見ているのは「ほかにもいる」無論、木陰からのぞき見していたケンツだ。隠れるケンツだが、帰る方法が見つかったと言われて飛び出す。
残りの子どもたちはちょっとした飯ごう炊さん(?)をしている(何かいっつも飯を作っている感じ)。そのみんなをじいさんは作戦会議に招集する。チェンバーの周りで円を組む子どもたち。フレッドの体育座りがいいぞ、好きな人には。以下作戦の内容。チェンバーは囮になってここへククト軍を呼び出す。故障で不時着したと言って救助に来させるのだ。となれば来るのは4、5人ほどの小隊だ。その兵士たちを捕まえる罠を作り、輸送機から誘い出す。「やっつけちゃう」のはまずい。戦闘になったら輸送機も無事じゃない。「あとはこのポール様に任せておけ…ゲホゲホ」さて、蛍光グリーンの頭(=カチュア)が見えていたのに、最後に子どもたち全員を映したときにはカチュアがいなかった(いい加減だ)。とりあえずジミー、シャロン、マルロ、ルチーナ以外はこの会議に参加したはず。
まずは食事だ。ついに自前で食糧確保に乗り出したらしい。「ケンツたちのカエルもおいしそう」ジミーはカエルを目の前で丸焼きにされるのは平気らしい。前に見たイタリアの田舎を舞台にした映画で、地主の子どもがとったカエルがそのままその家の食卓に並んでいたから、食べないってこともないのだろう。シャロンは寝そべりながら食べている。「お行儀悪い」スコットは例によってチェンバーの計画がうまくいくのか心配だ。しかしバーツに「だからって一生この星にいるつもりか」と脅されると態度を変える。またもや意味のない優柔不断だ……。確かにロディの言うとおり、おおざっぱな計画ではあるが。そのロディは、うまくいくよう子どもたちがフォローするんだ、と。
そこへじいさんがやって来て、飯が終わり次第罠を作れと言う。罠という意のは落とし穴で、それを研究所の前に掘るのだ。作業は主にRVで行う。だからマキ以外の女の子は食事の後かたづけをするくらいで、後は暇だ。シャロンは木の下で気持ちよさそうに目を閉じて寝ている。マキとケンツはカモフラージュ用の木の葉と枝を持ってくるが、マキの「おーい、スコット!」は変じゃないだろうか。ケンツはまたもやじいさんを追いかけて研究所の中へ。「ケンツのやつ勝手に任務を作るの得意だから」(マキ)とはよく言ったものだ。
じいさんは研究所の中で通信機の修理をしようとしていた。それを覗いてケンツはまたばれる。そして先の戦闘で腕を痛めているチェンバーに代わって修理をやらされる。「親に会いたいんじゃろ? だったら手伝え」
RVを起動したロディは前の戦闘の時に墜落したXUに気づく。あれを見られたらまずい。が、じいさんは故障か何かで火を噴いて墜落したとか、乱気流に巻き込まれたとかでごまかせばいいと言う。「そんなんでだませんのか?」とケンツ。「だますんじゃ!」ということで作戦はそのまま続行。ロディとバーツは穴を掘り始める。
ケンツが「うぉー、あったまきた、もう!」と言って滅茶苦茶に配線していた割に通信機は直る。しかしどう見ても、つないでいるのはミニプラグとかが端子になっている単なるオーディオコードだ。ケンツは「小型の銃とか持ってんのか?」とじいさんを気づかう。もっともじいさんは「作戦どおりに事が運べばばれやせん」と余裕だ。そしていきなり通信開始。が、軍の通信を傍受して(簡単だ…)既に捜索隊がここへ向かっているのが判明。
落とし穴班はまだ作業中。穴は掘り終えて、でかい葉っぱでカモフラージュしているところ。本当におっきい葉っぱだ。慌てて研究所から出てきたケンツは危うく穴に落ちそうになる。ここの音楽の使い方がくどいような。その前の作業のシーンに「小休止」(だったはず)を使うあたりも。それはともかく予定は大幅変更。ケンツの報告にボケた返事をしていたスコットも大わらわ。とりあえずバーツ、ロディ以外は森の中に隠れることに。そこなら万が一見つかっても逃げ切れるだろう。それまで何にもしていなかったはずの女の子たちも荷物をまとめ出す。ケンツは荷台を引っかき回して銃を見つけて胸にしまい、またどこかへ。敵との遭遇まであと8分。RVの作業はまだ終わっていない。
じいさんはククトの将校姿に変装。「一世一代の大芝居」なんて言っているが、緑の髪のかつらに、トランクの中のあのつけヒゲなんかの小道具を見ると、何回「一世一代」をやったのかという気がする。変装したチェンバーにケンツは持ってきた銃を渡す。チェンバーを心配したのではなく、「失敗したらジェイナスへ戻れないだろ」と憎まれ口を叩く。3分を切った。落とし穴のほうも準備が整い、バイファムとネオファムも姿を隠す。車に乗り遅れたケンツはリグレーと一緒に建物の中へ。ケイトとルチーナ状態。一人二役なので。
XUは研究所の前に着地。降りてくる兵士を、チェンバーは「迎えに来るのが遅い」と叱責、「たるんだ精神を直すから全員整列しろ」と命じてまんまと全員降ろす。全体進めとばかりに兵士たちは落とし穴のほうへ進む。見事全員はまる。つまり落とし穴はちょうど全員乗ったところで落ちる程度の耐久度だったのだろうか? ま、いいか。チェンバーの後ろにいた、銃身が三つある銃を持った兵士もリグレーが「ただ無我夢中で」蹴落とす。
その様子を双眼鏡で一部始終見ていたバーツとロディも「あのじいさんやりやがったぜ」、「こんなにうまくいくとはな」と感心する。「じゃあジェイナスへ戻れるんだな?」と喜ぶスコット。「おいていかれないように早く戻ったほうがいい」
チェンバーはノリノリだ。「よろしい。ではこれから輸送機内の点検を始める。ついてまいれ」ケンツと一緒に一人残っていたパイロットも縛り上げてますます得意満面だ。そして「俺たちの輸送機」を「昔取った杵柄で」試し乗り……。
千鳥足に飛ぶ輸送機は子どもたちのほうへ向かってくる。逃げ出す子どもたち、逃げ遅れるスコット。コクピット内は阿鼻叫喚だ。じいさんが「ばかもん! 隣を押すんじゃ!」と怒鳴れば、ケンツは「右ってどっちだ!?」そして死にそうな表情の敵兵。
その酔いそうな動きを見ている子どもたちは、クレアが「スコットどうなってるの?」と聞けば、スコットは「カチュアどうなってるんだ?」僕も知りたい。彼らの見ている前で輸送機は今にも落ちそうだ。「きゃああー、落ちちゃう!」、ペンチが悲鳴を上げる。一瞬空中静止。そして予想通りそのまま墜落していく……。そ、そんなあ。
「ばっかやろー、おおばかやろー、もー何てことしてくれたんだ、このオタンコナスのドアホウ野郎が」、以上シャロン。「大変です、キャプテンが倒れてます」

もう、目も当てられない。今さら手遅れ&前にも似たことを言っているのでややくどいが、「Out」1994年5月号に池田憲章が寄稿した文章を。「『銀河漂流バイファム』。まさにジュブナイルSF。しかし演出はクール。この微妙なバランスがこの作品の妙味でした。[*1]」そこんとこ、分かってるんだろうか? なんて「バイファム」の生みの親である「13」スタッフに言ったら失礼だろう。だけど、今回はあんまりだ。話を持たせなくてはならない、それはそうだ。前々回と同じような墜落劇を「また」させるなら、今度はコミカルにするなりしないとまずい、それもそうだろう。だからって、ああ、何を書いたらいいのか。とにかく、あまりの馬鹿馬鹿しさに笑いながら怒っていた。
そう、「バイファム」のキャラクタ造形なら、本来今回みたいになっているのが始めに予想されるあり方なのを、あえて「クール」にした「微妙なバランス」を自分で崩してどうする。しかもその崩し方があまりに行き当たりばったりというかやけっぱちというか、投げているのが見え見えだ。
そもそも、そんな理屈っぽいことを持ち出すまでもなく、今回の話のオチに首をかしげない人はいないだろう。どうしてああいう場当たり的でとってつけたようなオチにしたんだろう? 例えばやっぱり敵との戦闘になって輸送機は破壊する/される結果に終わるとか、この案がありきたりにせよ、今回のオチは最悪の選択肢だったとしか思えない。とにかく今回に関しては、「自殺点[*2]」というより他に評しようがない。
出すぎたことを言うなら、せっかくケンツをあの場に居合わせたのだから、彼が敵に見つかって、戦闘になって、で輸送機を撃墜せざるをえなかった。その過程でチェンバーがケンツを助ける、じゃ駄目だったんだろうか?
あるいは、首尾良く奪取するも次回、増援がやってきてやはり破壊されるとか。

*1 正確には画面写真のキャプションなので本人の文じゃないのかも。
*2 今は「オウンゴール」だっけ……。サッカーって物騒な言葉を使いたがらないよね、野球と違って。


Vd: 1999.2.2

「13」第23話感想(直見版)

前話のラストを引きずっている。
風が吹き渡る。ケンツは怒りまくっている。パイロットのロディたちに「なんでぶっこわしちまったんだよ!!」とあたり、マルロとルチーナの「ジェイナスにかえれないの?」にはまともに答えてしまう(で、マキにポカっと)。おまけにペンチの「永久にこの星から出られないのかしら」にも「そう、じいさんばあさんになってもな!」とヤケ気味だ。カチュアはこんな時でも「大丈夫よ、きっといい方法が見つかるわ」と、状況は分かっているのにそう言えるところがすごい。スコットは気合いが抜けきっている。「僕がチェンバーさんを信じたばっかりにこんな状況に」と、例によって自分を責める。
ロディは「あの状況じゃ仕方なかった」となぐさめるが、ケンツは武器をありったけ持ちだして、「何もかもあのじいさんのせいだ」とチェンバーを探しに行こうとする。とにかく、チェンバーたちを探すことに。彼らなら脱出方法を知っているのではないかと。「貸しをかえしてもらう」のであって、決して「とっ捕まえてズタズタ」にするのではない……。RVも取りに行かなくてはならない。バーツの「相棒、こんなめにあわせてすまなかったな」が虚しい。
チェンバー夫妻は何やら森の中、チェーンソーで木を切っている。彼らのそばには例の石板が。リグレーは子どもたちが無事に出発したかどうか案じている。
子どもたちを乗せた車が出発するが、「待ってろよ、じじいめ」と息まくケンツは車体が揺れた拍子にまたもや落っこちかける。クレア、ペンチ、シャロンにケツをつかまれて何とか転落せずにすむが、お尻丸出しだ。「やめろよおエッチ!!」じゃなくてさあ、座ってろよ。
と、RVが止まる。轍が消えている。二手に分かれて探し出すが、うっかり車を降りたケンツは今度は危うく置いてけぼりを食いそうになる。どうやらじいさんたちの車は、追っ手を撒くためか一度同じ轍の上を逆走したらしい。でも追っ手って誰だろう? 子どもたち? バーツは自分たちだと思っているが、どっちかというと敵(ククト軍)かな。ここで気になったのはRVの首の動き。左右に頭を振るときに、首の付け根の頭の乗っている台座(というか、何というか)まで一緒に動くのだが、何か不自然じゃないだろうか。(他の回は知らないが)この回は何度かこういうシーンがあって、見れば見るほど気になってくる。
だが、(早くも?)日が暮れてきた。マルロはお腹がすいたと言いだしたし、フレッドとケンツのお腹も鳴りだした。どこか安全なところ、この砂漠を抜けたら今日はお休み。そう、今は砂漠を走っているのだが、ククト星でも急激にそういう地形の変化があった。もしかしてこれは両星とも、自然の再生中だからなのだろうか。
同じように夫妻も野宿していた。やはり子どもたちがうまくやっているか心配している。頭上にはククトが白く明るく輝く。
翌朝。銃を車に運び込むケンツ。いちいち出すこともないだろうに。しかし何だか元気がない。「朝飯があんなちょっと」だったのは、「この先この星に何日いるかわからない」から、食事の量を半分に減らしたのだ。ケンツは一生この星にいるなんて冗談じゃないと言うが、それは昨日の自分のセリフじゃないか。それに車の中ではちゃんと座れってば。
眼下に建物、それに森の中には石板が見える。そして人影が…? 一行は廃墟の建物にたどり着く。真っ先に飛び出すケンツ。マキ、スコットが追いかける。どうやらここは「何かの研究施設だって感じ」だ。と、シャロンがやって来て夫妻が見つかったと(無駄な展開のような)。シャトルが壊れれてしまったことを告げる子どもたち。バーツはじいさんの胸ぐらをつかむ。ケンツはもっと過激だ。銃を突きつけて「覚悟しろ」って、ルービンに同じことをされた時のことは忘れてしまったんだろうか。急に妙なノイズがかかったと思ったら、懐かしのXU23aの効果音だった。そして2機のジャーゴが飛び降りてくる。
夫妻が危ない。「まずい、死なれたらアウトだよ」とマキが叫ぶ。さらにシャロンは「オレたちが脱出できる可能性はじいさんっきゃないんだよ!」と。冷静な判断だが、そういう計算をさせる状況になったのはつらい。ケンツが夫妻を助けるのを拒んだりするのもまずい。そこまで救いようのない奴じゃないだろう…。じいさんは「わしらに構うな」と死ぬ気でいるが、「あんたらに死なれたら困るんだよ」に、はっとなる。ショックだからか…? ロディをバイファムをジャンプさせたところを撃たれる。やられる時のロディの表情がちょっといいかも(そういう趣味はないけど)。木の間から撃たれるバーツも。ロディは木陰から狙ってジャーゴを撃破。シャロンはXUを狙うが、大はずれ。代わりにケンツが撃つ。一発で落下し、強いのか弱いのか…。
戦いがすんで、ケンツは改めて怒っている。「敵に通報したな、じじい」だが、彼らも追われている身だという。アランに会うためにこの星に来たのは本当なのだが、「嘘も方便でな」ってのはあんまりだ。この星に収容所がないって知ってて嘘をついたのは、自分のための方便だろうに。そんなんじゃ「アランの名誉にかけて嘘は言わん」なんて誓っても信じてもらえなくたって当然だ。とにかく、「聞いてくれ」と言って彼が話し出した真実とは……
39年前。地球の第一次学術調査団に参加していた艦がククト星付近で隕石事故のため難破。チェンバーは奇跡的に生き延びる。当時(旧)タウト星では緑を再生させる研究が行われていた。その研究チームにチェンバーは拾われた。彼は植物学者だったためそのままチームに加えられる。彼はそこでリグレーと知り合う。やがてアランが生まれる。
しかしアランが5歳になった時、ククトの軍はタウトでの研究成果を軍事利用するため、ククト本星の中央研究所にごっそり人員を移す。そこでは混血児のアランに対して周囲は冷たい。そしてその頃には地球の移民船がイプザーロンに進出、情勢は悪化していた。アランは16歳でついに家出してしまう。夫妻も嫌疑をかけられ逃げ出す。
その後、夫妻は会いに来てくれたアランと再会を果たす。だが、追っ手の手から両親を守るためアランは……。
今のチェンバーって若い時と頭の形(髪にあらず)が変わっている気がする。その頃の人相のまま普通に歳をとればもう少しましなじいさんになったんじゃないだろうか。リグレーも結婚した頃はかなりの美人だった。
研究員の中に若かりし頃のサライダがいないか思わず探してしまった。
チェンバーが遭難してからアランが生まれるまでどれくらい時間が流れたか分からないが、アランはミューラァよりかなり年上らしい。しかし19でアランが死んでしまってから、かなり時間がたっているはず。その間夫妻はどうしていたんだろう。
「ククト本星」は設定ミスくさい。あの描写はコロニーとは思えないし、ククト星だとしてもちょっと変だ。
ケンツの「いい加減にしてくれよ」という反応はごもっとも。旧作でミューラァの過去を直接聞いたのはロディだけだって思い出した。ロディにそういう役回りをさせるのもあまり好きではないが、全員で聞くよりはマシなのかも。とはいえ、足止めされている今と、リベラリストの所にいる時では状況が違うしな……。一方でカチュアにカメラを振ったのはよかった。
じいさんが掘っていたのは自分たちの眠る墓穴だった。「もう思い残すことはない」から「撃ちたければ撃ってくれ」とケンツの銃の筒口を顔に向ける。それは困る。「何か脱出の方法を教えて」もらわなくては。だが、片道切符のつもりでここに来た夫妻は、「シャトルが駄目なら脱出の方法はない」としか答えられない。茫然自失のクレア。銃を乱射するケンツ。事態を悟って泣き出す、ルチーナ、マルロ(クレアにすがりつくルチーナの表情が旧作っぽい)。
リグレーはそんな子どもたちにアランの面影を見出す。ケンツ、バーツ、それに「女の子も欲しかった」「私たちまだ死ねないわ。この子たちは今何よりも私たちを必要としているわ」という説得にチェンバーも態度を変える。この人、何だかんだ言って、奥さんに弱いらしい。ここで「一世一代の大仕事、とくと見ているがいい」なんて見得を切るから、「ほんとーに大丈夫なんだろうか」というスコットのしまらないオチがついてしまう。
緑を再生させる研究をどう軍事利用するのかよく分からない。もしやその実験の影響でククト人は髪に葉緑素を含むようになったのだろうか?
あっと、石板だけど、じいさんの回想シーンには出てきたけど、まさか子どもたちがそれを見ているわけないし、じいさんは石板については何もしゃべらなかったように思う。
Vd: 1999.1.26

「13」第22話感想(直見版)

夕暮れ。前回の直後。スコットの書き置きを持つ手が震える。落胆のあまりがっくり膝をつくスコット。ペンチは泣き出してしまう。悲嘆にくれる中、それでも夕食のしたく。書き置きは火の中に投じる。ため息をつくクレアとマキ。BGMは「銀河漂流」だが、この曲は夜のジェイナスなんかのほうが雰囲気的に合ってると思うのだが。「ママやパパにもうすぐ会えると思ってたのに」が、みんなの気持ちだろう。
ケンツはライフルを持って、車で飛び出そうとする。「おいケンツ行こうぜ」とシャロン。「オレに近づくとケガするぞ」とゲバルト棒(?)を振り回す。「それはあたしたちもそうよ」と言ってクレアはスコットにも尋ねるが、「あー」と気のない返事。
が、マルロとルチーナは「ぼくたちおこってないよお」カチュアが言うには頭上のククトの向こうに両親がいると。みんな気を取り直すが、スコットは「そんなの無理だよ」「どうやってこの星を出るっていうんだ」クレアは「なんてこと言うの、あなたキャプテンでしょ?」しかしバーツがシャトルがあると言って俄然元気を回復するスコット。「なんだ、あのシャトル飛べるのか。よかった〜」現金だ。「よーしみんなでシャトルを飛ばすぞ、オー!!」(一人で言ってる)。
虫の声。夜。シャトルの点検をしている。別段問題はないみたい。ケンツは一人森で何やら(トイレ?)。と飛んできたコウモリにびっくりして尻もちをつく。下はジメジメしている。地面にめり込んだ車輪はバイファムとネオファムで持ち上げようと相談しているところへ「化け物だ」とケンツが戻ってくる。もちろんコウモリのことだが、懐中電灯の明かりに照らされたクレアを、いくら驚いていたとはいえ、スコットが「クレアちゃん」と呼んだのはいただけない。
夜中かと思ったら、まだ晩飯前。カレー(?)を食いながら、シャトルの滑走路の相談。フレッドの発案で森の隣の草原を滑走路代わりにすることに。「本っ当に」シャトルを運べるのか、「本っ当」に機器に異常がないかとスコットはやけに慎重。さらに明日は滑走路にする草原のチェックだと。「必ずシャトルを飛ばす。ずぇっったいに成功させるんだ、ずえっったいに帰るんだ」と気合いが入っている。
ケンツはまだじいさんのことを怒ってる。じいさんの真意もよく分からない。ロディは「どっちにしたってこの星が両親のいるタウト星って決めてかかってた」と言うが、ということは、「はずれ」だったときのことをロクに考えていなかったんだろうか? 多分じいさんの言うことをまともに信じていたってことなんだろう。しかしそれにしてもスコットはシャトルが飛ぶと思っていなかったのだから、一体両親を助け出した後どうするつもりだったんだろうか? それは(この後)ククト星に降りるときにも問題になることなのだが。両親を助け出すつもりなら、帰りのことも考えないと本当はまずいんだよなあ。一応ククトではジェダたちと接触するつもりではいたからそれでいいのかな。それはともかく、メリーが何度も鳴いているのがジミーには気になる。
みんなねまきを着て寝ている。シャトルで寝ているロディはバーツにRVをどうするか話しかけるが、「仕方ないだろ、置いてくしかないんだ」。「かなりの戦力不足」と言うが、別にジェイナスには一機ずつしかないんじゃないんだし(パイロット数より多いだろうし)。じいさんたちは意外と近くにいた。まだ様子をうかがっているらしい。ばあさんが「責任を感じ」ているからか。
ケンツは敵の見回りが来るかもしれないからと、バイファムで寝ていたが(寝てちゃ意味ないような)、寝ぼけてコウモリの群を敵と勘違い、ライフルを撃ちまくる。なんつーか、またタマの無駄づかい。おまけにみんなを起こしてひんしゅくを買う。
「この草原ならしっかりしててよさそうだ」バイファムの手の上にのって双眼鏡で草原をバードウォッチング観察するスコット。「あれなら大丈夫だ。大丈夫飛べるよ」ということになって作業開始。
その前にこのバイファムとネオファムを使うのもこれが最後だからと「撃ちおさめ」。"HELLO, VIFAM"がかかる中、空に消えていくビーム。ケンツは遊びで撃つならおれにもやらせろとうるさい。ロディはいい表情だが、撃ち終わった後、バーツが「快感だぜ」って言うのは×。
さて、シャトルを持ち上げにかかるが、バイファムは地面に足を取られて危うくシャトルのコクピットをつぶしかける。メリーがマルロとルチーナを引きずってどこかへ。とうとう森まで来てしまう。二人の手を振りきり、前のめりに倒れるルチーナ。「いたーい」そこへ「おばちゃん」の手が。まだいるのは、一行が飛び立つまでは見守ろうってことだろうか。そこへジミーがやって来る。じいさんが言うには「ククトヤギはこの実が大好物」だと。カチュアも来る。「おまえさんたちだけで離陸できそうかね」とじいさんが心配する。ばあさんは「ごめんなさいね、だますつもりはなかったのよ」と言うが、どう考えてもだまされたとしか思えない。じいさんが先走ったと言いたいのだが、「わしが悪いと言いたいのか?――わしが悪かった。謝ってくればいいんじゃろ」しかしカチュアは「行かないほうがいいと思います」と止める。ケンツとシャロンが怒ってるし、また話がこじれるだけだ。「わたしがみんなに言っておきます。お二人が謝ってたって」で、二人は去っていく。「へーんなの」
シャトルは草原へ運ばれた。ケンツはやっぱり血相を変えた。「何だと!?あのじいさんがいた?」が「行っても無駄です。もういません」それでも「黙って行かせたのか? 追いかけりゃまだ間に合うぞ」と。しかしみんなはつれない。「荷物を積み込みましょう」冷めやすいシャロンも「おまえしつこいね」とからかう。「旗がかえってくればいいってもんじゃねえ」と最後まで本当にしつこい。この場面、何故かスコットがガニマタ。なんで普通の時なのにわざわざそういうポーズをとらせるんだ? 今から発進すれば、ジェイナスとは30分後に接触可能、それを逃すと半日後と分かり、にわかに忙しくなる。「パパに会える〜」が流れる中シャトルに乗り込む。メリーはなかなか言うことをきかない。
ロディとバーツだけは、「ネオファムとバイファムの始末」をつけに。「君はス・テ・キ」がかかり、ロディは崖の下へ置いてくる。正確には滝の裏側である。ディテールアップされたバイファムを見つめ「今までありがとう、さようならバイファム」バーツはジャングルの中へ。ケンツもついて来る。バーツがコクピットを降りるときに一瞬目をぬぐったように見えた。でもその後はそんなそぶりはなく、沈んでいくネオファムに敬礼する。「これがオレの弔いかただ。世話になったなネオファム。ゆっくりやすめよ。あばよ」
シャトル発進である。スコットは「もうすぐ飛ぶよ。ここを飛んだらすぐに両親に会えるんだよ」と一番嬉しそうだ。このシャトルは意外に翼が広い。さて、加速していくが「何だか変だぞ、この草地」水鳥の群が飛び立つ。草が深いせいか、フラップが動かない。方向転換するも、今度は目の前に崖が迫る。急ブレーキをかけ、車輪と左の翼が折れる。崖下には落ちずにすんだものの、間一髪だった。しかしもはや飛ぶことはできない。「そ、そんなあ」
今回は、脱出失敗篇その1というわけだが、意地悪な見方をすると、内容がただ話を引き延ばすだけだから、挿入歌を中身にしようってことだったんだろうか。
Vd: 1999.1.19

「13」第21話感想(直見版)

じいさんたちはトラックをかっぱらっていった。「いったい何のために?」「抜け駆け」か? 息子に会いたくて、いても立ってもいられなくなったのでは? なら、気持ちは同じ、後を追おう。捕虜収容所へ向かったか分からないが、でも「両親を救い出すためにこの星に降りた」のだ、行くしかない。で、一気に評価をおとしめる「パパに会える、ママに会える」が流れる。それをBGMにレッドベアーの旗は「俺たちの夢と理想がナニしてる」とか何とか。よほど脚本というか筋書きが混乱していたのだろうか。つまりどっかで「パパに会える〜」を使う腹づもりだったが、どうもこの先では流せそうにない展開になることが分かって、急きょ挿入したのではないかと。ちと欲張りすぎたきらいがある。ま、今だから言えることだし、あくまで推測だが。
RVが先行するが、道は悪い。「ほどんど獣道」だ。ひたすら歩くRVだが、目の前に雪山。雪が初めての子どもたちがいたりする。「あれ、ゆきっていうの? おさとうみたいにまっしろ」(マルロ、ルチーナ)。シャロン、ペンチも初めてらしい。「なめると甘い」なんて軽口をたたいてはみるが、山越えだ。雲行きが怪しい。山肌にしがみつくように車を運転するスコット。うるさいケンツに「運転手に話しかけるな」は当然。車は崖下に落ちそうになり、ケンツは車から振り落とされそうになる。RVに引き上げてもらうが、RV2機が活動できる場所があるなら、落ちるほど狭い道ではないと思うのだが。
小休止。スコットがもらった絵地図を広げるが、じいさんたちは先に行ったはずなのに、跡がない。しかしともかく目印の岩山はあった。とりあえずロディ、バーツが先に行って基地の様子を確かめることにする。「早くパパとママに会いたい」とペンチは一緒に行きたがるが、ケンツはやけに聞き分けがいい。残りの子どもたちはジミーの見つけた洞窟で待機、偵察している間にトラック用のチェーンを作ることにする。
その頃チェンバー夫妻はトラックでひた走る。が、子どもたちがいる山に雪が降ることに気づく。「あの山の向こうにククト軍の基地があるんでしたね?」に「ああ、確かにある」と言うが、やはり怪しい。そして「あの子たち大丈夫でしょうか」とリグレ、「なーにあいつらなら大丈夫だ」とじいさんは答えるが……。
先へ進むロディたちだが、霧が深い。「ここまで来て焦って失敗したら元も子もない」と、あきらめて一度引き返し天候の回復を待つことに。残ったスコットたちは洞窟で暖をとる。小型バーナーを使ってメリーのホットミルクを飲むが、「ママたちもあったかくしてる」のだろうか……。歩哨に立つマキは相方のケンツにふと尋ねる、「軍曹、あんた親父さんに会ったら何て言う?」「んなこと考えたことねーな。マキお前考えたことあんのか?」「まだなんだ」「なんだ」「ちょっと聞いただけ」
チェンバーのトラックは「わしらのふるさと」へ帰ってきたらしい。「あの丘を越えればわしらの旅も終わる」「もうどこへも行かんでいい」「もう一度見ようと言ってた」を勘案すると、この時点ではアランのこともデマに思える。
スコットたちは出発。車はタイヤにチェーンを装備している。そしてその中ではケンツの指導のもと、子どもたちは「てっぽう」の扱い方を習う。それを使うときが来ないといいのだが。珍しく画面転換のカットがはさまれて(「トランスフォーマー」でエンブレムが出て来るみたいな純粋に画面転換の)、ロディたちも前進を再開している。…さっき引き返したのは何だったんだ? しかし先行しているはずのじいさんたちの車のタイヤの跡がなかったり、いい加減追いつきそうなものなのに見えなかったりで、疑念がつのる。
またまたチェンバー。基地は「今は使われていない」し、捕虜収容所は「知らん」じいさんは「地図どおりに行けば遭難なんかせん」というが、リグレは車を止めさせる。そして引き返す。
ようやく基地を見下ろすところまでやって来た子どもたちだが、基地の様子は「んー、分からない」。双眼鏡でのぞく限り基地には「誰もいねえ」。おまけに基地には交信の様子がなく、完全に沈黙している。ついにロディとバーツは「いちかばちか」RVで接近する。ロディたちは門を蹴たおすが、やっぱり変だ。「まずは収容所だ」と、用心しいしい進むも、人っ子一人いない。どうやら「ご用済みの基地」だと分かり、バーツの怒りが爆発する。
収容所なんてどこにもない。じいさんにだまされた。そういえば、「ジェイナスを降りるときにトラックを2台持ってったほうがいいって言ってたのはおじいさん」だった。スコットにも思いあたるふしが。「あれが全部でたらめだなんて」落胆する子どもたち。そしてようやく自体を理解したマルロ、ルチーナ。
とにかくシャトルに戻るが、チェンバーがいるはずもない。しかしレッドベアーの旗が風にはためいていた。そして、その下に置かれていた手紙曰く「あなたたちのご両親はこの星にはいません。いそいでもう一つのタウト星に向かって下さい」。ダブルショック。
この前水着シーンをやったと思ったら、今度は雪。なかなか忙しいが、「13」は旧作より季節感がある。
Vd: 1999.1.12

「13」第20話感想(直見版)

スコットのナレーション。「怪しい老夫婦にだまされたあげく」って、あんたがそこにいたら、もっと目も当てられないことになっていたんじゃ……。で、「機敏かつ華麗なチームワーク」ってあんたは何もやってないんじゃ……。
ステーションのドックはあつらえたようにジェイナスにぴったりだ。これは旧作でも何故かそんな感じだったっけ。シャトルの修理にみんな忙しい。コクピットではカチュアたちが作業しているが、ごそごそ動くマキの下半身に何やら感じてしまった(重症)。
ロディたちはシャトルのエンジンのあたりをいじっている。ものは相談なのは「バイファムたち」(この呼び方はこれが初めてのはず)をどうするか。大気圏突入は「耐熱シートをかぶせれば大丈夫だ」、着陸にはビニールをワイヤーで補強したパラシュートを作成することに。耐熱シートは以前プールを作るときに使ったものらしい。
そこへチェンバーが「まだ終わらんのか」とせっつきに来る。バーツは「部品を探すのに時間がかかる」とシラを切る。シャトルを奪って逃げられるかもしれないから、「こっちの準備が整うまではシャトルの修理も終わらない」ことにする。
スコットはスコットでみんなに指示を出したり、ジェイナスをどうするかで頭を悩ませたり。彼によると毛布は1人2枚。では全部で何枚か? ――ケンツはかけ算があまり得意ではないらしい。「あいつら」の分をどうするかと言ったときに、その「あいつら」の片割れのじいさんが……。ここでもチェンバーの態度はでかい。でかいリュックに、シャベルを積みこめと。「救出するのに穴を掘るかもしれない」から「つべこべ言わずに積めばいい」。で、「忘れたらシャトルに乗せない」。
マキ班は修理が完了したが、じいさん対策で「出発間際まで終わらないことにする」。
またもや「メリーのご飯」の干し草を準備するジミー。作ったはしからメリーに食べられているような。じいさんは至る所をうろついていて、ここにも登場。
クレア、シャロン、ペンチは人間の食料の準備。助け出した人たちのことを考えて、一週間分用意する。「オレたちだけで救出なんてできんのか?」と不安になるシャロンだが、クレアは「するのよ。絶対に救出するの。そのために来たんだから」と決意は固い。それをこっそり聞いたチェンバーは何を考えているのか。
手持ちぶさたなのはマルロとルチーナ。ジェイナスがベルウィックを出航するときは、形だけでも手伝っていたのだが、今回はせっぱ詰まっているからか、食堂でじっとしている。そこにはリグレもいるが、無愛想というか自分の中に閉じこもっているというか。ルチーナは彼女にキャンディーを差し出す。
スコットは、収容所の「正確な」場所を知るためにチェンバーに地図を頼むが、紙とペンでいいのか? しかしチェンバーはまたもや不審だ。敵は「それなり」にいるとか要領を得ない。逃げるように「わしは食堂にいる」と言って出て行く。スコットが正座して聞いていたのは律儀というか。
ケンツは例のレッド・ベアーの旗を作成。2回目のはずなのに、シャロンの口ぶりはそうは聞こえない。「また赤ブタかよ」とか言わせればいいのに。(こういう細かいところでも続編なのかリメークなのか曖昧な扱いがある。)
耐熱シートをまかれたバイファム、ネオファムはほとんどミイラだ。スコットは「無茶だ」と反対する。しかし「RVもなしに救出に行く方がよっぽど無茶だ」と言われてあっさり「分かった、準備を続けてくれ」。このパターンが多すぎる。「他に降ろす手だてがあるはずだ」とか一くさり議論してから引き下がって欲しい。しかし耐熱シートだけでは確率21%で、RV内部の温度の上昇を抑えるためには「耐熱性のある盾」が必要と分かる。大きければ大きいほど落下速度を抑えられる。ロディはシャトルの翼を用いることを思いつく。シャトルの翼の上にRVを載せるのだ。
それで「計算上大気圏突入は問題ない」となるが、スコットは「ちょっと危険すぎる」とやはり不安だ。ベストタイミングは数秒しかない。それでも出発。
ロディとバーツはボギーに留守を頼み、ジェイナスの明かりを落とす。ジェイナスは(旧ククト?)周回軌道上に載せて、敵に発見しにくくする。だけど、明かりを消してもあの白い船体ではどっちにしろ目立つことこの上ないと思うのだが。全面鏡張りにできるわけでもないから仕方ないけれど。
いよいよ大気圏突入。RVのコクピットに入ったままとは思わなかった。まもなく交信不能に。マキはシャトルの角度の調整に苦労するが、現代のスペースシャトルだと、全部オートなんだが……。
一面の雲海。バーツは危うくバーベキューになりかけるが、結果オーライ。パラシュートを展開するが、シャトルからなし崩しで離脱。またもやバーツがパラシュートに穴があくアクシデント、これも柔らかいところに降りて(落ちて)結果オーライ。
雲の下には緑が広がる。緑ばかり、滑走路がない。目印の湖は干上がっていて、滑走路は草に覆われて場所が分からなかった。マキは湖に強行着陸。スコットはロディたちが無事だったのに思わず泣き出してしまう。「もうダメかと思った。でもよかった」と。が、じいさんが消えた。
近永健一作監の回だった割に、絵はぱっとしなかった。あの大量の原画スタッフはどこの人なんだろう?

さて、今回の大気圏突入はリアリティという点で落第と言わざるを得ない。リアリティというのは「現実味」の「味」とか「っぽさ」をどう表すかだ。大体の場合、それは作中でのもっとも「らしい」説明とか解説的な描写によってなされる。現実にはあり得ないことでさえ、しっかり説明されると、我々は何となくそうなのかと納得してしまう(例えばワープ航法)。今回の大気圏突入というイベントは丁寧に追うことで、そういう解説をするのにはもってこいなようで、緊迫感があることもあいまってか、リアルロボットアニメではしばしば一話費やされる(バルキリーとかレギオスとかは割とあっさり降下していた気がするが)。
だが、そういう解説は全編で、または全ての箇所についてやる必要はない。例えば「ガンダム」だってドダイとかゲターとかはどう考えても変だと思うが、他に解説がちゃんとしている部分があるからあまり気にされない。リアリティはそこに任せたというわけだ。しかし、やる以上はきちんとやらないと、手のつけられない結果になる。特に大気圏突入は現代でも行われているし(だから説明するのに具合がいい)、しかも「13」のシャトルは現代のそれと大差なかったのだから、あれではアラが見えすぎる。しかしここはアラのあってはいけないところなのだ。
どうしてもRVを地上に降ろさないわけにはいかないのは十分理解できる。が、そういう理解を視聴者に求めるわけにもいかないのは言うまでもないことだ。


Vd: 1999.1.5

「13」第19話感想(直見版)

傷ついたアーガマはサイド1へたどり着く。心を失ったカミーユがそこで出会ったのは、もう一人のカミーユ自身なのかも知れない。アクシズの艦(ふね)はジオンという過去を引きずって現れた。二人の少年のめぐり会いは、新たな時代の始まりを予感させるのだろうか。次回、機動戦士Ζガンダム、シャングリラの少年。君は刻(とき)の涙を見る……
(ここまで小杉十郎太の声で読んだ人は偉い)
何が言いたいのか。もし「ZZ」の第1話が「Ζ」の第51話だったら、つまり最終回の次だったら、この「13」第19話みたいだったんじゃないだろうか(まあ実質的にはほとんど同じことだが)。
そこまでとは言わなくても、作品の中で急に世界観が変わった気がする。芦田豊雄が「パーフェクトメモリー」で言っていたように、「バイファム」では大人は劇画調、子供はアラレ(「Dr.スランプ」)みたいにと、意図的に描き分けていたはずだ。それが不自然でなく同居できるのがアニメの強みだと(実写では無理)。それが今回あっさり覆されてしまった。チェンバーはどう考えてもゲンゴロウ島(アラレの住んでいる島)の住人だ。もちろん、スタッフも考えがあってのことだろう。しかし僕には上記のギャップは「バイファム」の危ういバランスであり、魅力であるし、それを崩すのはよほどの理由がなくてはできないと思えるのだが……。

ククトはもう目で確認できる。望遠鏡でタウト星を観察するマルロ、ルチーナ、ペンチ、ジミー。歓声を上げる子どもたち。両親は間近なのだ。ところで前方がやけにまぶしいが、この光は何だろうか? これが地球光ってやつ?
しかし問題はタウトが二つあるということだ。大きいのと小さいの。ククト星を挟んで180度の位置にある(ありがち)。どっちが「本物」か、迷う子どもたち。ボギー曰く、「タウト」はククト語で「月」。月が二つあるのはありえることだ(というより、クレアドやベルウィックに月はあるんだろうか?)。大きい方は地球タイプ、捕虜を収容するならそっちだろう。いやいや、岩牢のほうが閉じこめるには都合がいい。さて……。スコットの思いは、民間人の収容所は地球タイプにあってほしいということだった。それはみんな同じだ。
みんな腹ごしらえして準備に取りかかる。そのせいか「スッテキな」ステーキだ。しかしさっきから見てるとマキは全然手をつけてない。しかもバーツにつまみ食いされたりして。「おまえの辞書には感謝って言葉がないのか」はひどいぞ、バーツ。「パパやママに嫌われたくないから」頭を洗って欲しいと言うルチーナ。
ところが、風呂場から「イヤーッ!!」乾燥機から干し草が……。メリーの「お弁当」だが、なんか、よく考えるとすごくくすぐったそう。
ブリッジでは、ロディたちが通り過ぎる彗星を眺めている。色といい速さといい(よく知らないけど)何となく嘘っぽいが、バーツの眺めるマキの表情が最高だったのでとりあえず許す。
ところが、タウト星近くには敵の宇宙ステーションがあった。それを見る13人の絵がすごく手抜き。スコットは迂闊に出撃するなと止めるが、すぐに「分かった」と折れてしまう。簡単に分かるなっ。前にも何度かあって、その度に不自然だと思ったのだが、どうやらスコットが慎重なところを見せようとしているらしい。バーツの「…だな」の安売りも目立つ。
ロディたちはステーションに接近するが反応がない。思い切って開いているハッチから侵入。やっぱりもぬけの空。代わりにそこには地球のシャトル、ロブスター号が。RVを降りて調べるロディ、バーツ。そう簡単にエアがあるかよ、今まで開け放してあったのに(それを言い出すと、毎度のことだが、宇宙服も着ないで出撃する方も問題だけど)。
タラップから降りてきたのは地球の軍人。"France in hell"、もとい「地獄で仏」だ(これは僕が考えたのではない)。彼はチェンバー少佐と名乗る。一見して怪しい。何と言っても揉み上げ。そしてサイズの合わない軍服(ベルトの上が余っていて、ウェストが合っていないと分かるのが妙に細かい)。チェンバーは機動兵器から降りてきたのが子供なのに驚く。ま、これは当然。が、聞き方がしつこい、「本当に本当に本当なんだなー?」早くも不審に思うバーツ。チェンバーが言うにはこのステーションは自分の部隊によって制圧されたと。ロディはジェイナスに連絡を取りたいと言うが、それは自分の部下に任せて、事情聴取につきあえとチェンバー。自分は第38方面軍に所属するとチェンバーは言う。ケンツはまるで気づかないが、他の3人にはそろそろバレバレだ。ああっ、だからって何てことを! マキ、いくら何でも鼻の穴に指を突っ込むなんて……。マキの指がぁぁ。しかし突っ込みがいのありそうな鼻だ。で、カツラ、つけヒゲ、眼鏡がはがれてもやっぱり怪しいじいさんがそこにいた。
が、そこへリグレ(さらに混乱させてみる)登場。形勢逆転で4人は捕虜に。二人はタウトに行きたいのだが、ここまで来てシャトルが故障、代わりにジェイナスを乗っ取ろうという算段だ。リグレをネオファムに乗らせたまま残して、チェンバーはバイファムでジェイナスへ乗り込む。ブリッジに通信が入る。「わしはポール・チェンバー」……誰も知らん!!人質をとったから抵抗するなと言うが、砲座は発砲。普段ならブリッジと砲座の意思の疎通ははっきりしている、というか通信が筒抜けになっているはずだが。
一方ロディたちは脱出を試みる。髪留めでドアのロックをこじ開けようとするマキ。ケンツが急にハッとなったのは、マキにどきっとしたのかと思いきや、単にもよおしてきただけだったのね。しかしその自前の水をひっかけたおかげでドアの錠は開く。…さっきバイファムが出てったから格納庫の中は空気がなくなってそうな気がするのだが。
ジェイナスではシャロンが銃を構えて「不意打ちで何とかする」という物騒な案を出す。そこへロディからの通信が入ったからかどうか、最初からそのつもりだったのか(後者であってほしい)、ロープの輪でチェンバーの足をすくって、あえなくお縄となる。
ジェイナスはステーションに入港し、一同は夫妻を取り調べる。チェンバーはお涙ちょうだいの芝居でジミーの同情を勝ち取り、一緒にタウトへ降りることへ。まあ言っていることは真実で、息子のアラン(切れ長でつり目の好青年)がいるタウトへどうしても行きたいと。


Vd: 1998.12.22

「13」第18話感想(直見版)

敵の攻撃で船尾が被弾して以来(?)、ボギーの調子が悪い。そういうものなんだろうか? とにかくボギーは不調で、これまでの船体各所のトラブルも本来はボギーが報告しなくてはならない。今も艦長席のコンソールの表示が荒れている。スコットはブチブチ文句を言うが、カチュアは航法システムに異常はないからとムッとする。ブリッジではまたもやマルロとルチーナが遊んでいる。だるまさんが転んだ、だ。また追い出されるが、このパターンは多すぎ。しかしコンソールの表示に問題があるのにボギーは異常がないと言う。
ケンツは砲座のチェック(前もやったような……定期的にやってるのか?)。だが、検査の完了サインが出ているのにOK.にならない。バーツがやっても同じなので、OK.ということにしてしまう。
スコットの入力した航路データにエラーがあると言う。ボギーは航法システムに異常をきたすと警告。スコットは自分が正しいと信じ、マニュアル操縦に切り替えようとする。
その時今度は火災発生の警報が。火元はキッチンだが、スプリンクラーも防火シャッターも作動しない。駆けつけてみると、グラタンが焦げただけだった。だが、調理器(「超力」に変換されて爆笑したよ…)はオートマチックに設定したのに、設定温度が高すぎている。
みんなはボギーが信用できないという結論に達する。カチュアはちょっとした誤作動を起こしているだけだと言うが、逆にその誤作動が問題だと反論される。「だったら」と、カチュアが声を荒らげる。「私が修理します」と。これにはみんなも驚く。「カチュアが怒ったぜ」と。「ヒステリーじゃないの?」とはシャロン。フレッドは彼女が「寝る間も惜しんでメンテ」して、徹夜していたことを知っていた。これを伝える場面で、マキの足が小さかった。
火事騒ぎでシャロンが放り出した、洗濯物はメリーに食べられそうになっていた。「イチゴ」に目をつけるとはとんでもない奴だ。
カチュアはボギーのハードの調査を始める。ボギー本体は一部屋占める大きさだ。ロディとフレッドも手伝う。しかしいくらモジュール化されているからと言って、いきなりパーツを抜き出していいんだろうか? この時点で既にボギーを落としていたとは思えないし。まいっか、60年後のコンピュータなんてビル・ゲーツでも想像できないだろうし(あ、MSのOSがのっかっているとは信じているだろうけど)。ハードの不調を「ソフト的に対処」していたが、それでは駄目だと言う。そりゃあそうだ。ハード的っていっても、場所にもよるけど、カチュア風に言えば「脳ミソにキズができている」ようなものだから、ひどく不自由だ。ロディはコーヒーを飲みすぎて口の周りにブチブチができたことがあるそうだ。フレッドが夜通しキーボードを叩きながらコーヒーをがぶがぶ飲むのは想像できるが、ロディはどうしてコーヒーをそんなに飲んだんだろう?
ブリッジでは、航路データのエラーが取れないため、ついにボギーを切り離す。スコットは航路の天文図を調べているから小天体群はないと言うんだが、その天文図がどれくらい信用できるのか怪しいものだ。
ケンツはさっきの砲座の整備をまだ気にしていて、マニュアルに目を通すが、悲しいかな、字が読めない。ジミーは「重み」だと言うが……。と、シャロンが通りかかって、ケンツは自動調理器の修理を手伝わせられる。自動調理器がないとメシが作れない。前は結構手で料理していたように思うけど……。
ブリッジのマキは慣れないマニュアル操縦に神経を使っていた。あんますることないと思うけど。さっき進路変更したから?
ボギーを修理していたロディ達は基盤のショートを発見、問題の基盤を交換する。そのためいきなり再起動させるが、うーむ、そんな簡単でいいのだろうか? 便利だなあ。しかし"Hello!"のメッセージの後、「システムデータに不整合」があり、途中で止まる。不便すぎる。航路データは確かに艦艇には重要だが、それが変だからってスキップすればいいわけで、起動できなかったら大事だと思う。大体、人間と会話できるくらいにボギーがロードされているのに、全部落ちるなんて理不尽だ。
ジェイナスの前方には「スクリーンのシミ」もとい、地球のものではない人工物が浮かんでいた。ロディとバーツは外に出る。ところで調理器の不調は、部品のショートと分かった。さて、ロディたちがRVで出ると、浮遊物も動き出した。機雷だったのだ(あの爆風ではあまり威力がない気が)。だだっ広い宇宙で機雷を使うなんて、よほどそこを船が通らざるを得ない理由があるんだろう(あまりにありがちな突っ込みだが)。で、ジェイナスはやむを得ず急ブレーキを掛けることになるが、そんな簡単に減速できるんだろうか(これもありがちな突っ込み)。と、「ボギーの熱の原因」は"1"と"l"をスコットが勘違いして入力したためと判明。それを指摘しないボギーも不親切というか不便だ。それを訂正したら(ということはボギー以外に独立したコンピュータがあるということだが)、嘘のようにボギーは立ち直る。ボギーは状況を解析、機雷には親玉がいると判断する(しかし黙視できるくらい近くにいるなら、それと分かりそうなものだ)。さらに、砲座の調整は、砲身の「歪み」(「重み」ではなく)がとれていなかったと分かる(これもどこがまずいのか教えろって)。
デコイをおとりに、ロディたちは自動追尾システムの親玉を破壊(これが、シューティングゲームのボスキャラ並みに硬い)、スコットはみんなに責められてトホホだが、とりあえずボギーは完全復活である。
スコットの表情が、特に口つきが嫌に目立つ回だった。
Vd: 1998.12.16

「13」第17話感想(直見版)

草木も眠る丑三つ時。どこからともなく怪しい笑い声が。ペンチはふと目を覚ます。何この音…、音じゃない、声だ。シャロンはぐっすり眠り込んでいる。恐る恐る外へ出て見たものは…!?シャロンの「ハックション!!」が妙に野太かった。前(OVA#3)と逆の気が。今回はペンチじゃなきゃ駄目なんだけど、夜中に手洗いに行ったら、などの気づかいがほしかった。「起こしたんだけどあの子全然」はペンチだと思う。
朝になってみんなに訴えるが、誰も信じてくれないので、「寝ぼけてなんかいないわ」と泣きベソである。一人フレッドはケンツを誘って調べるが、早くも「ケンツ、戻ろうよ」。ケンツは「俺たちだけになる前、このジェイナスではたくさんの人が死んでるからな」とおどかすが、簡単に言うな、そんなこと。また例の声が。フレッドは自分の落とした鉢植えの音に仰天して逃げ出す。ケンツは女の顔を見て同じく。幽霊の正体見たり肖像画。
今度は、ロディ、バーツ、マキも行ってみる。何かというとすぐ銃に頼るケンツ。誰かたまには、武器に頼るのは男らしくないとか言ってみれば? ともかくオバケに銃は通用しないのがやはり、「相場に決まっている」だろう。とにかくケンツの見たオバケの正体はあっさり分かった。バーツたちがますます信じない一方、ペンチはフレッドに「夜になったらあたしの部屋に来て」、「寝ないで起きていてほしいの」わお。「わたしを守ってくれないの?」にこたえないわけにはいかない。しかしフレッドは「女の子の部屋に夜出入りするのはよくない」とあくまでジェントルマンだ。さてまた夜になる。ケンツは卑怯にもタヌキ寝入り。ほとんど敵前逃亡だ。ジミーは本当に寝ている。ペンチは「わたしのそばにいて」と頼むのだが、フレッドは……。クレアたちも気づいて、「逃げっこなし」で調べる。影の正体はメリーだったが、では声は??
メリーはどうやらトイレットペーパーを食い散らかしていたらしい。しかし、ということは、ジェイナスには一年分トイレットペーパーがストックされているのだろうか? それはあんまり無駄が多すぎる気が。ウォッシュレットかなんかにするべきのような。どうせ軍艦なんだから多少の耐乏生活はあって然るべきだろう。
スコット一人はとりあわない。メリーについてはジミーが弁解。ペンチはすっかりフレッドを見損なってしまった。見かねた兄貴は原因調査にフレッドも「一緒に来い」。
完全武装のフレッド。しかしあの時のスコットのほうが重武装だった。なにせあの時は12人いなくなったんだからなあ。今回のフレッドは主にスポーツ用品で身を固める。何となく「ムテキーング!!」と叫んだりペンチに「ムテキングさまステキィ」とか言わせたくなるような格好だ(あのなあ)。手にはゴルフクラブ、そしてバットを背負う。ヘッドフォンは防音用らしいが、それじゃいざというとき、かえってまずいんじゃ。ブリッジではケンツが調子よく、死んだ民間人が一時安置されていたなどとしゃべる。スコットたちはセントラルエレベーターバレルのほうへ進めと指示を出す。その近くにダクトが集まっていると。問題の怪音が聞こえてきて、手を離すなって。恐くて先に進めないフレッド、しかし置いて行かれて一人になると余計に恐い。先に行ったロディたちに異変が!?このあたり、BGMは「異星人」。二人の声に思わず先に進むフレッド。二人の姿は消えている。ペンチとロディの声がエコーする。「僕に無理だなんて言わせないぞ」と、火事場のクソ力を発揮する。すごすぎ。フレッドは猛然と前進する。ロディたちが転落したのはさすがに芝居ではなかった。フレッドは通気用のファンのシャフトに布が絡まっているのをあっさり発見。これであんな音になるだろうか? ま、ペンチたちにはああいう風に聞こえたのだと納得しよう。
バーツとロディが気を回してくれたこともあって名誉挽回。「ぐっすり眠らせたい人のため」なのだ。「案外尻にしかれる」でどーしてクレアのほうを見るんだぁ?
スコットがバカやんなかったのはいいのだが、今回の場合つまり何にもしなかったってことだ。マルロとルチーナも。絵が全体的に何となく旧作っぽかったと思ったら佐々門信芳作監&原画だった。
ねまき姿をあまり見せすぎると価値が目減りする。
Vd: 1998.12.8

「13」第16話感想(直見版)

鹿児島は指宿。ウソ。常磐ハワイアンセンター。ウソ。砂蒸し温泉を楽しむジミー(しつこい)。ジミーは円周通路の遠景パターンにワイキキを見つけた。が、旧作の水谷利春の名作劇場風のあの絵とはあまりに落差が大きい気がする。それと近景の木とかはホログラフではなく、スコットが木の幹のコントロールパネルをいじったくらいで模型なのだが。とにかく、ジミーは「地球の海、見つけた」とメリーとともにご満悦。しかし夜更かしは禁物、「朝寝坊をしないように」とスコットはすげない。「シャワーを浴びてお休み」って、プールじゃないんだから。
バーツとロディも風呂上がり。ジェイナスの修理の進捗と明日の作業の相談。さて、と女性軍がシャワーを浴びている、「よし僕らも」…「引き上げよう」だったか。段差につまずいてよろめくスコットにバーツは「運動不足」を指摘。女性軍は脱衣所(?)で体重を計っている。500g増えたというシャロンだが、前に計ったのはいつなんだろう? つまみ食いのせいらしい。カチュアがいなかったのは、彼女の体重のことは秘密という配慮なんだろうか。あとイプザーロンの各惑星の重力はどうなっているんだろう? シャロンは体重計をいじって5kg増やすが、やりすぎ。そんなに増やしたら普通はばれる。あ、スコットが前にいつ計ったのにもよるのか。とにかく、スコットはまんまとひっかかる。髪がおりているスコットだが、あんまこの人のシャワーシーンを長々と流すことはないと思うんだが。スコットが女の子達の後に風呂に入ったのは何かよこしまな…というのは考え過ぎか。
朝、廊下に足音が。目を覚ましたロディはそれがスコットだと分かる。音だけで分かるあたりが、すっかり家族同様になっている感じだ。ロディとバーツは何かハプニングがあったと勘違い。ブリッジに走る。ロディのTシャツが青である。スコットはトイレに走ったのだということになるが(それはそれでありそうだ)、ジョギング姿のスコットに出くわす。ボーイスカウトに入っているだけあって、団体行動が好きなスコットは、朝食の最中にみんなでジョギングしようと提案。しかしみんな現代っ子。ただでさえ集団行動は嫌いだし、ケンツとフレッドはあっさり「早起きなんてヤだ」。(こんなこと言っちゃなんだけど、この調子だとボーイスカウトは2058年には消滅しているかも。) クレアも、スコットの体重発言に「失礼ねっ」とご機嫌ななめといったところ。シャロンが自分のいたずらをしゃべったから誰もとりあわない。しかもスコットはその後ブリッジで体操をしているところを見ると、彼一人真相を知らないらしい。みんな今日の作業に取りかかる。フレッドとカチュアがコンソールでキー入力するたびに電子音でクリック音がしていたが、いつまでこの効果音を続けるつもりなんだろうか? 作動しなくなった防護シャッターを修理するバーツは配水管に水滴を発見。対処しなかったのは、後から考えると悔やまれる。明日もスコットがジョギングをするかと期待するシャロンをマキは「あんたのいたずらがバレなきゃね。たくっ」とたしなめるが、結局本当のことは言わなかったらしい。
再び朝。スコットはまたジョギング。バーツみたいにトレーニング・ルームにすればいいのに。シャロンはわざわざ早起きして確かめる。長距離ランナーの孤独という感じの(そうか?)スコット。ランドリーで、いや風呂場から水音が聞こえる(これが前者だったらボツった下ネタになったのに)。風呂場をのぞくと、ペンチが朝のシャワー、ということはなくて洪水である。裸足でかけてく愉快なスコット。シャロンは慌ててみんなを起こすが、フレッドは寝起きが悪い。目がショボショボ。ボギーは「全て順調、以上ありません」と怪しげなトーンで繰り返すばかり。シャロンとケンツは漏れた箇所をふさごうと試みるが、とてもじゃないが無理。おまけに水圧のせいかどうか、シャワールームのドアまで開かなくなった。
外からスコットが頑張ってもドアは開かない。ロディたちが駆けつける。バーツは上半身は上着をはおっただけ。シャロンたちは中からやたらにドアを叩く。落ちつけと言われてもとてもそうはいかない。ロディたちは壁を壊そうかと思案するが、水が外にあふれたらジェイナス自体が危うい。
ロディたちはブリッジへ走る。第1(貯水)タンクと第3タンクの間が詰まっているらしい。ジミーはすることがない。シャワールームではケンツの身長より水かさが増してきた。ブリッジでは水がジェイナスの中にあふれたときの被害を計算するが、バスルーム決壊案はとてもじゃないが無謀と判明。しかし水はもうスコットの身長までたまってきた。シャロンたちはきゃたつに乗って、何とかしのぐ。配水管の穴を手でふさいで時間を稼ぐ。シャロンのネグリジェの裾が浮き上がりそうなもんだ。ロディたちは、とにかく水を外に出すしかない、ためる場所がなければつくると、格納庫で作業を始める。シャロンはケンツの服で配水管の穴をふさぐ。しかし一時しのぎにしかならない。ジミーは色々と道具を持ってくる。浮き輪、底の抜けたバケツ、モップ、縄ばしご(?)…ジミーはテンポが遅れているだけで判断そのものは正しい奴だったと思うのだが。これではあせったときのドラえもんだ。しかしハンマーはとりあえず役に立つ。スコットは戸を破ろうとして、ジワワーン、はなかった。今度はバズーカ登場だが、それだと中にいる二人まで穴があいてしまう。
バーツはヒートのこぎり(?)で壁に穴をあけ始める。中のシャロンたちはパイプにつかまるが、そのせいでパイプがちぎれてますますピンチに。シャワーの出っ張りに足をのせてしのぐが、ケンツはハッパが足りなかった。天井が近くなってきた。
が、マキが元栓を見つけて水が止まる。さらにロディたちの作業で水が排出される。汲み出した水はプールくらいもあった(ちょっと浅いみたい)。みんなようやく息をついたところで、ホイッスルが鳴り渡る。ジミーがプールへダイブ!(おまえ、何にもしなかったくせに…) みんなしばらくプールを楽しむことになる。しかし浅いにせよ、マルロ&ルチーナは大丈夫なんだろうか。どうやらスコットはまだ体重計の真相を知らないらしい。画面が引いていく中、一人泳いでいるあの影はきっとスコットだ。シャロンのあの詰め物は何でつくったんだろう?
ありがちな、背景を飛ばして&不自然なポーズで女の子全員集合ショットがなかったのは、何とも言えず複雑な気分だ。
Vd: 1998.12.1

「13」第15話感想(直見版)

RVでジェイナスの船体修理。あちこちに亀裂が走っているのを、パテで…ウソです。銃で、カネボウの怪しいお菓子(カチンカチン、ネルネルネルネ、プニョプニョポッコンなど)にありそうなモコモコしたのを出してふさいでいる。外壁の第2層まで達しているところもあるというが、この間のルービンの修理はなんだったんだろう? あの時はもろに内部がむき出しだったんだが。
ペンチは自動調理器の不調をスコットに訴える。クレアの手料理でパスタをつくろうというフォロー。が、今度はケンツが砲座が2台、完全にイカれていると。これは後回しだが、ケンツは不満。みんなが命令を聞かないとスコットはイラだつ。クレアの、「みんな疲れてるのよ」というフォローに、スコットは、「誰だって疲れてるよ、だからって」とますますイラ立つ。これにはクレアがむっとなる。さらにシャロンが掃除機がつまっていると、ホースをスコットにむけるが、目下、彼女は「およびでない」。「静かにして下さい」とカチュアが珍しく声を大きくする。ボギーの不調だ。おまけにマルロとルチーナまで、リボンの色はブルーとピンクとどっちがいいかで騒いでいる。ここでももめごと。
ボギーは未確認大型飛行物体の接近を警告。しかも識別できない。ククトの情報部か?、と一瞬不安が走る。と思ったら何のことはない、キエフ号。まだ割と近くにいるらしい。ボギーのミスだった(ところでボギーに、君はミスをするかと聞いたら、どういう答えが返ってくるんだろうか)。
ところが、バーツがリボンの色は、女の子はやっぱピンクと答えたことが「最悪のその日」の全ての発端になる。「何で女の子はピンクなんですか?」と詰め寄る女性陣。顔の影が恐い。「らしい」は偏見だと。ロディが止めにはいるが、言葉尻をとらえてあとは売り言葉に買い言葉。「口からでまかせ」、「無責任」、「取り消して下さい」、「プラス、頭の一つも下げるんだね」、「ガミガミ女」、「野蛮人」、「なにいい子ぶってんの」、「けだもの」、「男ってやーね」、「すぐ暴力」、「見苦しいわ」、「女のくせに」、「戦争状態」、「上等だ」。口げんかだとやっぱ女の子のほうが強いみたい。カチュア一人はかやの外だったのだが、彼女も引き込まれる。
女の子組は早速実力行使。まかない役をボイコット。自分たちだけパスタを食べる。何も知らないケンツがとばっちりをくう。「うるさいハエ」扱い。マキのフォークが恐い。「女性を甘く見たむくい」である。が、ケンツはパスタの残りを見つける。勿論タバスコ(これ、一応商標なんだけど)入り。タラコ唇状態になって、してやったりの女性陣。仕返しを危ぶむが、案の定部屋の前にバリケード(もっと頭使えよ)。いたずらの応酬。スコットはケンカしている場合でないとまともな意見を持ち出すが、お互い先に謝れと譲らない。スコットは僕が冷静にと、解決策をひねる。ポクポクポクポク…チーン(ウソ)。
というわけで緊急事態が発生。格納庫に集められる12人。うかれたスコット。緊急事態とは「くだらないケンカ」のこと。野蛮な方法ではなくゲームで決着しようと言う。フレッドは実はうまく立ち回っているようで(こういう才能は将来役に立つだろうな)、あまり関わっていないらしい。
選手は3人ずつ。第1ゲームは障害物競走。クレアとペンチがみにくい譲りあい。出木杉なカチュアが率先。マキは「大丈夫、カチュアならできるよ」と励ますが、どこまで期待していたのやら。ところが、ケンツは早まった勝利宣言の油断でケツをしたたかにうつし、バーツとマキ、シャロンとロディは引っ張り合い。漁夫の利、あー、もとい、黙々とこなすカチュア(カメラアングルが…)がテープを切る。スコットのもくろみは見事外れる。「意外な展開」だが、男性陣の負けは負け。当然スコットも含めて納得しない。
第2ゲームはキャベツ切り競争。自動調理器の調子が悪いので一石二鳥である。確かに体力差は関係ない。クレアはキャベツ切りが得意でないのを白状。ここでも口げんかだが、「馬の餌でも刻む」、「指切ってベソかくな」、「牛の餌」、「恐竜だって食わない」とやはり女の子が一枚上手。二連勝を狙うペンチだが、何とフレッドが一番速かった。また意外な展開である。ともかく一勝一敗、「仲良く引き分け」、「男だ女だなんてくだらない争いは水に流す」はずが、学級委員はいつの時代も損な役回りだ。「友情、なんてすばらしい響きなんだろう」がむなしく響く、メリーの鳴き声と一緒に。
再び戦争状態。ロディたちはカチュアがウサギみたいにすばしっこいのに驚いていた。そう、彼女に「うる星やつら」のイナバくんが着ていた衣装を着せてみたい(バニーガールじゃなくって)。
女の子たちは、「ジェイナスの男の子ってデリカシーに欠ける」、「メンゴ、ケンツしちゃったぜ」、「バーツのガサツさだけは許せない」と言いたい放題。
ケンツはつまみ食いするが、「お尻ペンペン」の罰が待っていた。「舌かんで死ぬ」って……。ペロンとむかれて一発くらう。スコットは「キャプテンの権限できちんと言い渡す」ことにする。頭一つ下げて謝れば気がすむのにって、多分実際に謝ったら調子に乗って変な要求して余計にこじれそうだ。そこへケンツが消化器攻撃。が、女をなめんなよで、集中砲火の逆襲。たちまち泡だらけに。スコットがたとえ女の子でもガツンと言ってやると食堂に入った頃には、仲良く後かたづけ。「結果として、みんなのストレスは解消された」
ジミーが何もしなかったのは仕方ないが、実はひそかにペンチも応援だけだったりする。
Vd: 1998.11.24

「13」第14話感想(直見版)

しょっぱなからマキとクレアの顔が変。マキはアーモンドみたいな目というか。
ホルテはもはや「収容所送り」はあきらめていた。その代わりキエフが来るまで待てと。「タウト星へ責任を持って送り届けるつもりよ」って、あのなあ、反逆罪じゃないかあ? ほどなくキエフから連絡が。"LAPIS S・S・K ИEB"(化けてたらすいません)って…。「聞こえて?」というしゃべり方はまだ生きていたのか。変な、というか何故か笑ってしまう顔のエキストラども。「双子の赤ちゃんは無事母親の元に」という情報が。と、「13」中間報告(おまけ)は早まったか。でも、ということはあれからかなり時間が経過したのか? いや、それだとキエフが来るのにそれだけの時間がかかったことになる。うむむ?
とにかく「あなたたちのおかげよ」に、どうしてバーツが「人として当たり前のことをやっただけです」なんて照れて答えるかな。シャロンだろ。そのシャロンはまだ落ち込んでいた。無神経さではシャロン以上のケンツ。「何も今になっていなくなることねーじゃねーか」、この気のない、というか心にぽっかり穴ができたような物言い。やっぱりいまだに納得しきれないシャロン。ケンツや他の子たちの当番もきっと率先して代わってたんだろう。「こんなの(乳母車(?))が残ってるからいけねーんだ」をまともにとるケンツ。デリカシーなさすぎ。
どっかで見たことがあるようなないようなデザインの船。スケールを変えればザンスカールの新型MAでも通りそうな(「こんなデカブツ、懐にもぐり込めばァァ」でザコがやられる)。これがキエフか。宇宙空間での運用しか考えていないんだろうな。スコットは「ジェイナス」って言っていたけれど、ここを気にするのは細かいかな。スコットとクレアが二人に同行する。
「新人をスカウト」、しょーもない冗談だが、にしては時間をかけすぎ。早速タウト星の情報を集めるが、「正確な状況の把握ができない」ってそりゃ無理だ。と思ったら「我々の仲間でも情報の収集ができない」ということは、諜報活動でもしているんだろうか? それよか、先取りしたずるい指摘だが、タウト星が二つあるくらい知ってそうなものだ。ひょっとしてこの時点ではシナリオが…いやいや伏線としてやむを得なかったのだろう。
うーむ、スコットの肩幅がやけに広い。今回全般的に作画が荒れ気味。頭身がころころ変わっているように見える。あと、他のラピスのメンバーを見ていると、どうもホルテだけ特注の制服を着ているらしい。
「ルービンさんが迎えに行ってくれるって、さぁー」で、全員がキエフに行くことに。「これでまた新しいパンツが」が開口一番のペンチ。ところが、ロディ、バーツ、カチュア、ジミー、シャロンは残る。
セーラー服を着せられるフレッド。ペンチの着せ替え人形状態。せっかく新しい服をもらっても、ローデンからの補給の時もそうだったけど、アニメだと服装を変えるのは相当な冒険になってしまうのは残念だ。ぬかりなく遊戯室まである。ここまで用意がいいということは、この船で難民を輸送することも多いのだろう。今いないのは単なる偶然? ホルテはまたもや「あとでお風呂に入れてあげるわね」と。しずかちゃんなみに風呂好きらしい。ククト風呂ってどんなのだろう? ケンツは箸で飯を食っていた
ラピスのブリッジ要員はその間も各地の情報を集める。が、「ナイナ地区」って、ククト人の地名は語尾は"os","us","es"とかで統一したんじゃなかったっけ? タウトは違うか。でもこれは元々は地名ではないし。多分ククトも。
そこへ「ミス・ホルテ」で呼び出し。本部から緊急連絡。この距離からだと"SOUND ONLY"らしい。本部ってどこにあるんだろう? ホルテは「第3方面地区担当」ということだ。かなり偉いみたい。連絡内容は、軍の情報部がスコット達の事情聴取をしようとこちらに向かっているとのこと。ロボトミーにされたらかなわないということで、みんなジェイナスへ(ウソ)。発進できなくて、ルービンに見つかるが、「おねがい、おばちゃん」で (?)何とか戻る。
ジェイナスではロディとバーツが直ちに発進しようと言い出す。ルービンをキエフに戻すために一芝居うつ。彼女はそれを見ぬくが、あえて戻るのだった。別離は淡い想いを残して……
このままジェイナスと「バイファムのテーマ」で終わるのかと思ったら、ホルテが……。彼女も最後の最後で自分の子供観がいかに甘かったかを悟る。が、「せっかくのしみじみムードに水をさします」と評したい。悪いこと言わないから、あんたは内地で広報活動でもしていたほうが似合ってる。美人だし、弁はたつし。
「おばちゃんのおりょうりおいしかったよ」ってどっちに言ったんだろ?
今回はペンチの顔、しぐさが独特だった。前もあったけれど、一体誰の作画なんだろうか。ケンツの敬礼はやっとちゃんと左手になっていた。