「13」感想(直見版) vol.1 #1-13

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Vd: 1998.11.23

「13」中間報告(おまけ)

ルルドは無事赤ちゃんを取り戻したのだが、あの艦が基地に戻るまでどれくらいの時間がかかるのだろうか。いくら何でも一週間くらいはかかりそうだ。その間、どうやって赤ちゃんの世話をするんだろう? あの艦にミルクはないかもしれない。ましてオムツやほ乳瓶はなおさらだ。どうなったんだろう、気になるなあ。ルルドなんかオムツかえられるんだろうか? 奥さんと逐一交信していたりして。バリルなんかは結構あやすのがうまかったり。
シャロンとジミーはその辺も考えるべきだった。
Vd: 1998.11.22

「13」中間報告(3)

前半の物語について。本来は第14話まで見てから語るべきだが、僕にとっては双子の赤ちゃんが父の手にかえったところまでで前半の決着はついている。ホルテたちとの別れはエピローグにすぎない[*1]
この立場は、第1クールはラピスではなく赤ちゃんが主題だと言う見方である。そしてその見方に立てば、あの第13話のシャロンとルルドのクライマックス[*2]に至るのに、一体ラピスの二人はどんな役割を果たしたのか、という疑問が出てくる。
このことは第4話感想でも既に触れているが、結局この二つは絡みあわないまま話が進み、それ故ラピスのほうは余計なコブになってしまった。さらに言えば11話(第1, 2話を除いて)かけて赤ちゃんをかえすだけではあまりにドラマの密度が低すぎる。
ホルテは旧作の頃子どもだったファンの十数年後の姿であるという論に対しては反論する言葉を持たない。そのようなメッセージを受け取る人もいるということだし、それは一向に構わない。そのように感じ取った人にとっては彼女たちの存在は価値があるのだから、この物語はそうでない人とは随分と違ったものになっているのだろう。だが、(それが制作者の意図かどうかは別として)それはあまりに普遍性に欠けるメッセージではないだろうか。
なお、「バイファム」における大人ということに関しては1998.9.22で紹介した「'80年代アニメ大全」という本が、その視点で旧作を論じていることを紹介しておく。また、僕から一言いうと、ホルテが14年後の「バイファム」ファンなら、14年後の13人ということにもなりかねないのではないだろうか。

*1 もっともストーリー全体を評するという意味ではエピローグも含めて論じなくてはならないのだが。
*2 そのできは今はおくとして。


Vd: 1998.11.21

13人のカ・ラ・ダ〜「13」中間報告(2)

「13」になって子どもたちの体つきがどれくらい発育変化したか。いろいろと変わったということだけなら、ぱっと見でもわかる。どこがどのように違っているのかという考察(かなりアホかも)。13回見て気づいたところをつらつらと。
足が「末端肥大型」((C)芦田豊雄)でない
マキとフレッド。末端肥大型のわかりやすい例は、「ジャンプ」の武井宏之の描く足だ。ふくらはぎの部分から足首にかけての独特の線のことだ。このようなラインだと、なぜか子供らしく見えるという決まりがあるらしい。「バイファム」の場合、ペンチ、シャロン、ジミーあたりも末端肥大型であってよいのだが、服装が服装なので脚の線が分からない。
マキとフレッドの脚が常にそのように描かれているわけではない。設定資料をお持ちの方は、この2人のところを参照してください。普通のときと末端肥大型のときと両方ある。
ただしこの様式は最近はすたれつつある。当の芦田豊雄自身放棄したみたいだ。そういうわけで二人とも13では普通の脚になっている(すべての場面でそうかきちんと確認したわけではないが)。
なお、マルロ、ルチーナは「13」でも末端肥大型のまま。これは近永健一が旧作の設定をかなり遵守して、「13」のデザインを起こしたからということもあるだろう。
カチュアの足が細い
カチュアの場合は、旧作からして故意にそのように描かれていた。当然「末端肥大型」ではない。「13」の彼女は、旧作に輪をかけて脚が細くなったように見える。これは彼女の足(靴をはく部分)が以前より小さくなったからだ。ちなみに「バイファム」第23話のラストのアイキャッチ風の絵では、珍しく(?)カチュアが上記「末端肥大型」な感じだ。
首が細く、かつ長い
ケンツ、ジミー、マルロ、ルチーナ以外全員。旧作ではみんな首が短くかつ太いが、「13」では長くなっている。ロディ、バーツでさえ。おっとスコットには注目していなかったのでそうでもないかも。
腕が細い
ロディ、バーツ、マキ。これは服の袖口が広くなっているので相対的にそう見えるのかもしれないが、それでも細く見えるように狙ったのだろう。
目が横長
クレアあたり。1998.11.19で言ったことと同じ。ただ「バイファム」でも作画監督により揺れがあった。個人的には縦長目の彼女が好みだ。
体が細っこい
ロディ、バーツもそうだが、僕としてはシャロンに注目。腰のあたりがかなり細くなっていると思う。
髪のテカリかたが変わった
ペンチ。何というかテカッているところが増えた。
総括すると、全体的に体が華奢になり、また大人っぽくなったということのようだ。この体つきだと一歩間違えるとロリコンアニメになりかねないような(失言)。また、お断りしておくと、あくまでこれは僕が気づいた範囲のことで実際には「バイファム」と変わらないような容姿のこともあるかも知れません。
補足。今MAGIさんのところの新作投稿のシャロンのイラストを見て思ったけど、彼女は案外旧作から首が長いのかも。
もう一つ。胸の話をし忘れた。別に今さら言うまでもないと思う。
Vd: 1998.11.20

「13」中間報告

Op.とEd.について少々。「オメガの扉」の扉については第1話感想で少し触れている。が、アニソンというやつは毎週聴くはめになるわけで、何回か聴いていると、最初のうちは抵抗があったのにそのうち慣れてしまうことはよくある。ということでもう一度今の時点での所感を書いてみる。
まずOp.はやっぱり駄目。歌詞があまりに違いすぎる。英語力がよほどないか、それとも意図的に無視したかどっちか。"HELLO, VIFAM"の内容は「小さな胸を張り裂いてしまいそうな運命のおぼつかなさを、手を取りあってのり越えていこう」というものであって、「無限(「オメガ」)の可能性」とか、「夢」とか、「君」を歌ったものでは決して、絶対ない。この差がOp.の絵にも如実にあらわれている。そして前者のほうが「バイファム」にふさわしいことは言うまでもない。あきれた換骨奪胎だ。
1998.11.14で指摘した韻をサビの部分で下手クソに真似しているらしいのも鼻につく。(そうは言っても慣れでつい口ずさんでいるんですけどね。)
Ed.の"Don't Cry"は"NEVER GIVE UP"も「バイファム」と関係ないことではひけをとらないので、歌詞については何も言わない。ただ個人的に絵が駄目。だんだん明るくなっていくという構成は、僕のEd.イメージとはまるで逆。「イデオン」、「ザブングル」、「マクロス」、「モスピーダ」系(当時の記憶に頼っているところもあるのでちと怪しい)じゃなきゃ嫌。ワガママかも。
Vd: 1998.11.17

「13」第13話感想(直見版)

母艦に戻ったルルドだが、バリルに対して怒りをぶつけていた。「貴様それでも軍人か」――どこの世界でも上官のセリフはお決まりのようだ。バリルは「軍人と言えども人間」と抗弁し、「人としての尊厳を失ってまで軍籍にとどまる気は(ありません)」とまで言い切る。しかしルルドもさすがにただの鬼軍曹(もちろん階級はもっと上に決まっているが)ではなく、「ククトニアンの全存在と未来がかかっているのだ」と逆に言い放つ。
ジェイナスのブリッジでは敵部隊が何故去ったのかをいぶかっていた。ここでメインスクリーンにフリッカーがかかっていたが、このこだわりは蛇足のような気もする。60年後の表示装置でもやっぱりかかるのかなあ? そうでなくとも、フリッカーが発生しているということは、我々はあくまでカメラを通して彼らの行動を眺めているということになるのだが、果たしてそれでいいのだろうか? 結局、撤退の理由は赤ちゃんの存在であろうとひとまず落ちつく。破損箇所のチェックで「電気系統、修理不能」と言っていたのは「不要」の聞き間違えか?
シャロンも同じ結論を出していたが、彼女はもっと重要な結論も出していた。「いざとなったら未婚の母するつもりだったけど、やめた。ガラじゃねえもんな」がいかにも彼女らしい。そして「父ちゃんのとこ返して(帰して?)やる。何たって子どもは親に育てられるのが一番」とついに決心したのだ。
再びブリッジ。これからどうするか。「断固戦うだけ。助かるみちはそれしかねえだろ」と言うケンツが、何故かタートルネックを着ている。スコットは赤ん坊を交渉材料にして停戦することを考えていた。ホルテに仲介を依頼する。だが、彼女は「赤ちゃんを引き渡しても助かる保証はない」、「赤ちゃんを助けるために撤退したのではない」から交渉はしないと答える。確かにルルドの目的はリフレイド・ストーン回収なのだからもっともだ。とはいえ、子どもたちはそれを知っているんだっけ? それにホルテたちはリフレイド・ストーンの存在を知らないんだっけっか?
ともかく、「逃げるっきゃねー」、「今までもそうしてきたんだし」というのが結論。そ、目的を達成するのが目的であって(すげー変な言い方)、その目的は敵の殲滅ではないし、勝つことですらないのだ。この決定はシャロンには寝耳に水だったのだが、エンジンを「パワーアップ」(「13」用語)する15-20分を稼ぐために、避難民を脱出させる偽装工作をロディが思いたつ。ウェアパペットをダミーにするのだ。スコットはルルドに攻撃延期の通信を送るが、ルルドは聞こうともしない。ダミーをひっぱるのにラピスの小型艇を借りることになる。スコットが二人の部屋を訪ねてみるが、ホルテはキエフと連絡がとれなかったことで絶望していた。さっきあんな強いことを言っていたくせに……。現状を正しく把握することと、あきらめないことは実際には別といえば別だが、何となくつじつまが合わないように思う。とりあえずルービン(ホルテを「さん」づけで呼んでいたのは変なような)は彼らの頼みを聞き入れる。ケンツはルービンに習ったのか小型艇の自動操縦を簡単にセットする。ルルドは何故か避難民が脱出することは知ったみたいで、「避難民は脱出の模様、確認します」に「確認する必要はない」と切り捨てて攻撃を開始する。
パワー全開で逃げようとするも、ジェイナスのエンジンは不調で、60%。シャロンは赤ちゃんのところへ。ビームに続いてARVも全機出動する。おそらく12機だが、「バーツ」、「だな」のバーツたちはたった2機で応戦する。「全力投入って感じだ。気合いが入るぜ」と余裕だ。マキたちも砲座……がない!!なのにビームはちゃんと出ている!?おいおい。敵の攻撃はますます激しい。ケンツの応援要請でカチュアとジミーが砲座に。マキは代わりにトゥランファムで出撃する。だけど、この時点で砲手はケンツ、カチュア、ジミーの3人。3台も砲座、あったっけ? BGMもあっていない気が。「追撃戦」は苦戦している音楽ではない。また砲座がない。エンジンパワーがダウンして、さらに危機におちいる。スコットの「ルルド艦長、分かってんのか!こっちにはあんたのかわいい双子の赤ちゃんが乗ってるんだぞ!」もむなしい。砲座につこうとするルービンにホルテは「中立を守るラピスの立場を忘れたの」と止めるが、ルービンは「この状況で戦わずに命を守る方法があるなら教えてください」と振り切る。攻撃の衝撃でケンツは砲座から引き剥がされ、腕を痛める。ルービンが代わって、「ルービンさん、かっこよすぎる」。エンジンパワーダウンは続く。いくらバーツでも被弾して「俺に構わず行け」とは言えないんじゃなかろうか。スコットは「全員生きて親に会うんだ」とそんなことは許さない。またまた砲座がない。
ついに完全に包囲されてしまった。だが敵は攻撃してこない。にしても子どもたちはあんまり怖がっていない。
「双子の赤ちゃんを渡したいんだ。ルルド艦長どこだ」、「この子たちに絶対親に会わせるって約束したんだ。ルルド艦長いないのかよ」と呼ぶシャロン。
「それ以上近づくと撃つぞ」とルルドは彼女の行動が理解できない。彼女の抱えているのは「爆弾」以上に効果的なものだった。以下、シャロンとルルドの感動的なやりとりが続く。
「何故だ、何故そこまで他人の、しかも敵の子どもに」――「赤ん坊に敵も味方もあるもんか。そいつは大人の勝手な理屈だよ」
「何故身の危険をおかしてまで」――「夢だったんだよ。(……)そう、夢だよ。こうやって父ちゃん母ちゃんにギューッと抱かれる子どもの姿、そいつを一目見たかったんだ。(……)オレたち13人のクルー全員の夢なんだよ」
あんま好きくない。とくに「大人の勝手な理屈」は、双子の赤ちゃんを世話していたとはいえ、ククトニアンは不気味な存在であって、戦争が始まった理由が大人の理屈にせよ、子どもたちだってククトニアンを敵だと思っているのは(この時点では)本当は変わらないはずだからだ。ロディがジェダに会う前にこういう話が挿入されるのは、その二人が初めて顔をあわせるシーンが名場面だっただけにいっそう木に竹をついだ印象を与えてしまう。
野暮ですか? なんつーか、シャロンの言う「夢」にもあまり納得できないんですけど、ヒネてるのかなあ。
さらにジェイナスには子どもたちしかいないことが分かり(スコットの名演技にだまされたらしい)、ルルド艦は本部に虚偽の申告をして引きあげていった。ルルドって結構おセンチ。
なごやかなクルーのなかでシャロンだけがめいっぱいむせび泣いていた。辛(から)く苦い涙。
Vd: 1998.11.10

「13」第12話感想(直見版)

警報の鳴り渡る中、シャロンはどこへ向かうというのか。赤ちゃんたちの両親が見つかった!本当の名前も分かった!(「お兄ちゃんのほうがねえ」で切れたのは残念) ペンチの注進に喜べないシャロン。その時が来るとやはりショックなのか、それともあまりに唐突なのにとまどったのか。しかもその父親が目の前にいる敵となると話は余計に別だ。「あれが父親」はないと思うけど。ルルドはホルテの説得にも耳を貸さない(でも彼も地球語堪能なのかな? あれは視聴者の便のために日本語にしているだけ?)。あと15分だと言い放ち、威嚇射撃を始める。「自分の子を殺す気か!」とシャロンの悲痛な叫び。新手まで迫る。それも10機。これでは確かに「やられちゃう」。
ホルテはここで脱出と判断する。ロディ・バーツの二人は、「ジェイナスを捨てたらタウト星までどうやって」、両親に会うにはジェイナスを捨てるわけにはいかないと反論する。しかし命あっての物種だ。ここは彼女が正しいだろう。バーツの顔が変。カチュアも。クレアは小さい子たちだけでも脱出させることを提案する。それにギクッとなるシャロン。ペンチは全員脱出しようと言う。断固徹底抗戦を強硬に唱えるケンツに彼女は「あなた一人で戦えば」。あ、ケンツ、おい、よせ。フレッドじゃなくても怒るぞ。目も当てられないケンカをスコットが一喝(!)。「全員で脱出する」ことを決断してきぱきと指示を下す。久々に(初めて?)キャプテンの面目躍如(クレアまでびっくりしていたし)。騒ぎの間にシャロンは姿をくらます。カチュアはさりげなく彼女を追う。シャロンを説得するのは自分の役だと思ったのだろう。シャロンの胸の内を親身に分かっているのだ。
みんなに3分で荷物をまとめさせる間に、ラピスの2人とスコットたちは脱出の方法を考え始める。連絡挺に乗り切れない分「あたしたち二人が残」ったら、誰が操縦するんだ? 予備のポッドなんてあったのか。家出用[*]のジェイナスの小型艇は何人乗りなんだろう?
後方から接近してきたARVは距離をとって停止。不気味だ。
シャロンは部屋に閉じこもってバリケードを築く。カチュアの説得も無駄。いつもながらBGMの切り替わるタイミングが一瞬早い。ルチーナはクマのぬいぐるみ以外なんにもいらないの? ケンツは本物の銃器を部屋にため込んでいるなんて。フレッドの重いバッグには何が、と思ったら方便だったのか。いや、ペンチの前なので強がっている可能性も。それより、さっきあれだけケンカしていてああいう会話ができるか? ジミーはメリー用に草を刈っているけれど、あれは本当は野菜なんじゃないかな。ロディとバーツはRVに別れを告げている暇なんてないだろう。あと7分。シャロンの説得にクレアも加わるが、彼女はどうしても意地を張る。もうあと5分。待ってもらおうなんて気楽なことで。あと2分。「このとおり」頭下げても音声だけなんでは?(ま、電話でもペコペコしちゃうけどね) 1分過ぎた。脳天気なスコット。
「許せ」で攻撃を開始するルルド。ブラグのビームはやたらに出力が大きい。それでいてあんなに撃ちまくれるとは。マキは勇ましくも砲座へ向かう。仕方なくジェイナスは戦闘態勢に。「悲壮」ではなく「勇壮」なBGMが流れる。敵が1機だからか、他のARVが待機しているからか「僕にきかれても分からないよ」に「そりゃそうだ」などとバーツは余裕かましている。そしてケンツは「体中の血が騒ぐ」のだと。
シャロンは相変わらず閉じこもったまま。
ブラグの連射で砲座の危険性が露呈された(前から分かっていたけど)。ルルドは自暴自棄になっている感がある。一方のロディも彼が赤ちゃんの父親であると知っているから、ためらう。「撃たなきゃやられる」と言うバーツ。「俺たちは人殺しじゃない」は過去のものとなったのか、リアリストなのか。しかしルルドは滅法強い。ミューラァ並みか。RV2機+砲座3台を相手に互角で戦う。そこへ後方のARV部隊が。ここでそのギャグはないだろ。砲座が奇妙に小さい。BGMがやむ。バリル以下はルルドを止めに来たのだ。「父親である前に軍人」がククトの価値観のようだ。しかし部下たちは無理矢理連れて帰る。カチュアは早くもシャロンのところへ走る。ホルテが無重力バレルに落ちたのに気づくのはいいが、そこで「ホルテさーん」にエコーをかけるな。で、ルービンはこの間何をやっていたんだ? まさか、ホルテの待っていろという命令を真に受けるはずはないのだが。今回この2人はほとんど何もしなかった。
勘違いしたシャロンはバリケードをどかす。目の前にカチュアが立っていた。ほ乳瓶を持って。カチュアは自分の不安を切々と語る。「たとえ鬼のような親でも本当の親ならあたし会いたい」と。思うに、彼女は自分のそんな気持ちを打ち明けるようなことはできるならしたくなかったのだ。そしてそれを表に出してしまったから、普段抑えていた感情がこらえきれなくなって、涙がこぼれてしまう。器一杯に張られた水が表面張力でかろうじてあふれないような感じ。彼女が内心を吐露したその言葉にシャロンの心も揺れる。
無粋にも(シャロンとカチュアを二人にしたという意味では気がきいているが)気絶したホルテの結末が。唇が厚い。緊張が解けたのかしらんが、冗談言って笑っている場合じゃない。「バイファム」が明るいムードなのはそうだが、ギャグをやるならやるで適時適所にはさむべきだ。場違いなのが多すぎる。

* それ以外に使われたためしがないんでねえ。


Vd: 1998.11.3

「13」第11話感想(直見版)

ジェイナスの不調はほぼ復旧した。「俺たちの二世」もすっかり元気になった。シャロンたちは赤ちゃんのお世話。シャロンが手に触れると、赤ちゃんも握りかえす。「めちゃかわいいよ」、確かにこの頃は一番かわいい。肌ざわりも「ぷにゅぷにゅ」して「マシュマロ」みたいだし。ただ、こういうかわいさは人形とかペットに通じるものがあって、一概に好ましくはないが(そう思っている親の多いこと)。「オレにも母性本能があるっちゅーことかな」なんて自分で言うなよ。マルロとルチーナは相変わらずユニゾンで「よかったね、元気になって」。一人カチュアは、赤ちゃんたちが「なついた」ことに不安を覚える。
スコットとクレアはホルテの部屋を訪れたが、彼女は机に伏せて寝ていた。ケイトのときもこんなことがあったが、今回は何の事件も起きなかった(当然か…)。「ほとんど眠っていない」で赤ちゃんを看ていたというホルテ。前話から数時間以上はたったらしい。二人の用件はどうやら双子の赤ちゃんの今後についてだったようだ。「経験のない私たちがみていくのは限界がある」とクレアは案ずる。
ブリッジでも同じように「赤ちゃんを返す」ことを話しあっていた。カチュアが持ちかけたようだ。「情が移って別れるのが辛くなる」といういつもながら理知的な判断。「ホルテさんに預けるのがベスト」というカチュアの意見にそれぞれ納得する。
ケンツはルービンのためにわざわざ格納庫までココアを持ってくる。「ここにいたんでありますか」って敬語がなっていないような。ククトニアンはココアをうまいと思うのだろうか。残念だが飲まずじまいだった。ケンツはまたもや右手で敬礼した。困ったことだ。
ブリッジでの相談は続く。「世話をすればするほどかわいくなってくのがこわい」と言うカチュア。そこへホルテ、続いてケンツがやってくる。スコットは間接キスを狙っていたのだろうか? 「バイ菌が移る」とはあんまりだ。ルービンはキエフと連絡を取ろうとしていた。が、妨害電波で通じない。これはリフレイド・ストーンとは関係ない、よね。ロディは敵の動きが変だといぶかるが、どう変なのか言ってほしかった。当のルルドは、パイロットスーツを着て、自らブラグで出撃する。
年長組の重い相談をよそに、シャロンは赤ちゃんの世話を続けている。そこへホルテがやってきて、「あなたたちのエネルギーを吸い取る分けてもらう」ためお風呂に入ろうと言い出す。何考えてんだか。さすがにフレッドは遠慮して、珍しくシャロンにからかわれる。
で、シャロンは赤ちゃんの体を拭く役をしたので、入ったのはホルテ、ペンチ、マルロ、ルチーナ。ホルテとペンチの会話がほしかった。ということで入浴シーンがあったらよか…(バキッ)。湯上がりのホルテに、ルービンはキエフへ戻ることを提案。
ルービン直接船で母船に戻ることを考え出す。ケンツは珍しく彼女を引きとめる。ルービンの後をつけまわすケンツは、バーツに「金魚のフン」とあだ名される。ブリッジに渋々残されるケンツ。子どもたちの全員会議が始まった。果たせるかな、シャロンの断固とした反発にあう。「オレはイヤだね」を繰り返し、「親が誰なのか、どこにいるのか分かんねーんだろ」と彼女は主張する。みんな意見を聞きながらサスペンダーをひっぱっている。が、大勢はホルテにあずけることに傾いている。というか始めから決まっていたようなものだ。そういう意味では確かに「きたねー」。だが、彼女の「赤んぼならハイどーぞって預けちゃっていいのかよ」、「こいつら立てない、しゃべれない。何にも分かんないんだったらいそいで追い出すことないじゃん」、「親がどこにいるのかもはっきりしたらあずけてもいい」よりはカチュアの「ひどい言い方かもしれないけど、早いほうがいい(これ以上一緒にいると情が移る)」に分があると言わざるを得ない。怜悧な意見ではあるが、冷たいというよりは真に赤ちゃんの身の上を考えているのだ。シャロンの気持ちも痛いほど分かるけれど……。ジミーの無効票を除いても圧倒的多数決で結論が出た。クレアとカチュアがホルテに報告しに行く。
しかし、「今後」の話が出ると、今度は子どもたちに話が移る。スコットは寄り道をしたくないと言うが、後半は……それは言いっこなし。「しつこいと嫌われる」にもホルテはまったく平気で、かえってスコットが「よくありません」とムキになる。「意見は意見、これはこれ」ってどういう意味?
さっきの結論も分かっていないだろうマルロとルチーナは「早くママに会えるといーね」と赤ちゃんに声をかけている。二人に罪はないのだが、今のシャロンには辛すぎる言葉だった。「んなことオレだって分かってんだよ」とつい声を荒らげる。赤ちゃんたちが泣きだし、二人がおびえ……悪循環。そう、分かってる、でも……。頭で納得できても心は……。
ルービンはやはり母船に行くことを決意。ロディは護衛を買ってで、ケンツもルービンをガードすると言うが、彼女はそれを断る。かっこいいけど、スタンドプレーに走っているような。中立を守るため?
が、そこへ敵がやってくる。ケンツはまたまた右手で敬礼。敵は30分以内に避難民を外へ出すことを要求、さもなくば総攻撃をすると。ホルテの会話も突っぱねる強硬な態度。しかも、同時にラピスとの連絡が付き目の前にいるルルドこそが赤ん坊の父親であることが分かった。しかしシャロンはその双子を絶対に誰にも渡さないことを決意していた。
今回のタイトルの「両親はどこに」の「両親」はひょっとして双子のことだったんだろうか?

Vd: 1998.10.31

「13」第10話感想(直見版)

スコットのモノローグなしの「静かな」(?)出だし。物思いに沈むときは、やっぱり展望台だ。ルルドの攻撃が信じられないホルテ。「非人道的」って、では人道的な戦争とやらを見せてもらおうか(「美味しんぼ」口調)。大人同士で殺しあうのだって同じくらい非人道的だと思うのだが。その彼女に声をかけるのはクレア。前話のラストからの続きだ。しかしホルテは「独りにさせて」。そして滂沱。
いつものように授乳。「ほっとするぜ」(バーツ)の後、あったかいミルクなのは「ホット・ミルク」というシャレなのかと思った(大アホ)。ケンツはミルクをねだるが自分でやることになるのもいつもどおり。
ブリッジでは艦内の温度が下がっていることが判明。現在16度。原因の追及に乗り出す子どもたち。スコットがあまり焦っていないのはいいことだ。彼らの姿を見て何かを悟るルービン。でも「環境システムの初期化」とかって言われて、彼女に何言っているのか理解できるのだろうか。
ロディ、バーツ、ケンツ、ルービンに加えてシャロンまで異常箇所の修理に。「この程度なら2時間」と迅速に判断するルービン。さすが元軍人と言いたいが、ククト人のくせに地球の艦まで対応できるとは……。ケンツは彼女の手際と胸に見入る。こらっどこ見てるんだ! と思ったら案の定シャロンの首締め攻撃(危ない)。「なーにおまえ赤くなってんだよ」さすがにシャロンではケンツがルービンに恋慕(?)し始めても何とも思わないらしい。
停電に備えてクレアは食事の準備に忙しい。とは言え、赤ちゃんがカゼを引き出した徴候を見過ごしたのは、再犯だ。「うわさ」で片づけてしまうのはいただけない。
この間ずっと展望室にいたホルテ。ジミーの何気ない一言に救われる。……あんたの場合少しは悩んだほうが薬になると思うけど(ぼそっ)。そして停電。
室内温度は10度まで下がった。そしてクレアは赤ちゃんの異変に気づいた。「赤ちゃんが大変なの」の手の広げ方が多少大げさだ。修理班の作業も続行している。ルービンの作業を正座で見つめるケンツ。ケンツも寒くなってくるが、日本の小学生は冬でも半ズボンなんだけどねえ。ジェイナスの子どもたちはマレー熊みたいに寒さに弱いようだ。
赤ちゃんたちは医務室に運ばれる。またもや報われないマルロとルチーナだ(特にルチーナ)。「ママがうわさ」していたはずなのにと訴えるが、ホルテに通じるのかな。
今回のアイ・キャッチはシャロンと双子の赤ちゃんだが、「13」のアイキャッチではシャロンが2回登場することになる。あれ? ロディもそうか?
ペンチが医務室の停電について文句を言っているところへ、前方からビームが。その衝撃でケンツは首がつる。ルービンにマッサージを受けて顔が真っ赤に。再びシャロンに「ホレたんとちがうか」とからかわれる。「まだ尻が青いクセに」と青あざが持ち出されたのも気づかずムキに否定してしまう。
室温は今や8度に。メインエンジン付近の異常が発見される。しかし敵が迫っている。ルービンは危険を冒して船外に出ることを決意。その彼女をケンツはただ「かーっこいー」としか思わない。あくまで憧れの対象でしかないのか(「ルービンさんを守り抜くぜ」って後で言ってはいたが)。防寒具を取りに行くというシャロンに「僕も行こーっと」とついていったスコットはナニか期待していたのだろうか?
赤ちゃんの熱は40度もあった。大ごとだ(僕が1998.7.19頃にひいていたカゼと同じくらいの熱だったりして)。ホルテは意を決して自分の体温で赤ちゃんたちを温める。何も全部脱ぐことはないと思うけど。「いーないーな」って、頼めば添い寝くらいはしてくれるんじゃないだろうか。ここのBGMが「バイファムのテーマ」なのはまったく納得できない。
ウグのビームがカクカクでなかったのは他でも指摘されているが、僕はあのカクカクは実弾だと思っていた。汎用挺はあんなところに主砲があったんだっけ。「バイファム」第10話あたりを見れば分かるんだが……。ジェイナスは最大加速で逃げる。そのショックでカチュアは気絶するが、気づいたときに唇が切れていることを期待した僕は変かも。
ホルテの献身で赤ちゃんの容態も落ちつき(いきなり回復するとは思えないが)、ルービンの挺身でエア・コンディションも復旧。そしてラピスについて考えを改め始めるスコット。大団円のはずなのに、メリーにホッペをなめられるオチが着くのが「13」なんだろうか。蛇足すぎる。
「ブラグ」という名前がルルド艦で使われていたのは少々問題をはらんでいる。ARVの名前は本来地球軍のつけたものだからだ。だが「13」では「ブラグ」という名前がロディたちの口から出たことが無いようにも思う。とすると、「ブラグ」に限ってはククト側の名称になる。
Vd: 1998.10.20

「13」第9話感想(直見版)

またもや前話の直後。なのに、何故かまたもやホルテたちに食事の差し入れ。前話でルルドが「揺さぶりが必要なのか」と焦っていたのにこの間に何もなかったのだろうか?
ジェイナスには子どもたちしかいないことを知らされるルービン。前話のあの状況でまだ知らなかったのか。写真を送ることを提案するルービンに対し、ホルテは「おどしよ、軍人特有の」と一蹴。軍のことなどどうとも思っていないが、彼女の素性を明かせば実際攻撃してこないかも。親父は絶対軍とコネがあると思う。
二人に届けられた食事のメニューが前のとそっくりだ。ケンツがフォークが武器になるのを心配するのは旧作のミューラァがまさにそうしたのを踏まえてなのだろう。が、いくら何でもプラスチック製ではキートンでも使い道がないんじゃないだろうか。しかもそれをドアを開けてから確認するのはマヌケだ。ドアをノックしてとクレアに言われたのにしなかったし。ホルテはクレアの手を取ったり抱き寄せたりと、スキンシップに余念がない。どうせなら、クレアの代わりにペンチにした方が面白かったと思う。ホルテに母親の面影を見出して籠絡(?)されるほうが筋が通るのではないだろうか。
当のペンチは子守役。例によって授乳。ミルクを火にかけているのは殺菌? 搾りたてなら暖める必要はないと思うが(そうでもない?)、とっといたのかな。よく考えると直接メリー(この時点ではまだ名前はついていないのか)の乳房に吸いつかせればいい気もする。乳首がでかすぎる? ヤギの乳の味が気になるペンチ。僕も(人間の)母乳の味が気になって飲ませてもらったことがあったりする(さんざん飲んだはずなのにねえ。しかもその時飲んだ味も覚えていない)。ほ乳瓶をひっくり返してさあ大変。「どうしよう」って拭くしかないと突っ込んだ僕はバカ。代わりをどうするかってことだったのね。シャロンがまた搾りに行くわけだが、彼女にしては珍しくうまくいかない。まあ、一度絞ってしまうとそう短時間で溜まるものでもないと思うが。「1、2、ピッピ、3、4、ピッピ」はジミーとシャロンとどっちのセリフだったんだろう。その間赤ちゃんは泣きっぱなしだが、3人ともただシャロンを待っていないで少しはあやせってば。
クレアはホルテの話を聞く気になり、スコットに持ちかける。しかし決して「丸め込まれた」のではない。「どれくれい待てば両親に会えるんですか? 1月ですか2月ですか、1年ですか、2年ですか、それとも10年ですか、20年ですか」、このセリフには胸を打たれた。だが「分かるわ、その気持ち」じゃないだろ、おい。ほろっと泣いてないで、きっぱり答えろよ。保証はできないという返事にせよ。そんなんだから駄目なんだよ(もしかしてごまかしているのか)。スコットもいい加減、風見鶏というか付和雷同というか、浮ついて千鳥足の言動はおしまいにしてくれ。
ケンツはルービンから敵の情報を聞き出そうとする。「撃つって言ったら本当に撃つ」なんて、気安く銃口を人に向けるなよ。銃で人を撃ったりしたら、相手は血がいっぱい出てすごく痛いって分かってない気がする。肝っ玉姉ちゃんのルービンは覚悟ができているので「撃ちたければ撃て」とちっとも意に介しない。そして結局撃てないケンツ。この二人の取り合わせは唯一期待できる。
シャロンはメリーの綱を解いて、うっかり逃がしてしまう。捕り物が始まって、ミルクとラピスの二人の話がぶつかる。いざというときに対処できないアホケンツはルービンから目を離してしまう。おまけに銃も手から離してしまう。銃はルービンの手に渡って、ケンツに狙いがつけられて(これで銃を向けられる気持ちが分かったんだろうな?)……このくだりは今回の白眉。なんなくメリーも捕らえたルービンはあっさり部屋へ戻る。
勝手に「いたく感動」するホルテ。「この悲惨な状況でも失われないあなたたちの優しさに触れて」と言ったので、子どもたちの心がすさんでいるわけではないのに気づいたようだ。縄につながれるメリーと監禁されている二人が対比される。そして何となく散漫な話し合いの末、趨勢は監禁解除へ。ただ一人バーツは穏やかでない。報告に来たスコットはホルテに抱きつかれる。クレア、もっと妬けよ。「信じられる大人」が必要なのも、子どもたちの「力になりたい」気持ちも分かるが、お食事会は順序が違うのでは? ホルテに言わせれば「こんな時だからこそ」といったところだろう。だが、敵の攻撃はいつ来るか分からないし(って彼女はそれはないと思っているのか)、それにこういう自作自演的イベントは好きになれない。この人、「オバチャン」って言われてもまるで動じない。おまけに「料理を作ったことない」。ラピスってどんな組織なのか非常に不安だ。熱意だけがものさしなのだろうか(それともコネ?)。とにかくルービン(片手で卵を割れる)が「おいしいものならなんでもいい」という投げやりな注文の元に料理を作り始めて、出てきたのが、天ぷら、春巻き、おこわ、椎茸、ハッシュドビーフ……? なんというか、やっぱ旧作でもおそらくまともに設定されていなかったククト料理を「13」に期待するのは無理だった。「こんなの生まれて初めて」ってそりゃ当然。ホルテの前口上には誰も(スコット以外)耳を傾けない。しかし「一生懸命作った」って調理したのはルービンだろ。阿鼻叫喚(?)の食事が始まったところで、敵襲。ルルドがしびれを切らしたのだろう。
久々の戦闘だがこっちは旗色が悪い。敵が5機なら大抵は簡単に蹴散らすのだが、今回はそうはいかない。ルービンは向こうへ戦闘中止を要請するが埒があかない。双子の写真を「電送」することになる。カメラが、円形絞り羽根なのが、妙なところで妙にこだわっている。マキはプラグに体当たりするが、銃を落としては元も子もない。絶体絶命のところで急に敵は引き上げていく。後には茫然自失のホルテが残された。
敵が去った後「あたしにも分からない」と言ったマキ。思わず女の子に戻ったってことだろうか?
ラピスの二人の唇が厚めに描かれることがあった。

Vd: 1998.10.13

「13」第8話感想(直見版)

前話の直後。「S字航法」ってどんなのだろう? ジグザグ航法? いやそれより何でそんなこと知っているんだ? ロディもフレッドも。ルルド艦に向かうルービンはククト語を使用。やっと聞けた。彼女の操縦テクニックは軍隊での経験による、というのは鋭いが、いくらバーツでもやけに鋭すぎないかな? そんなに軍のことを知っているわけでもあるまいに。彼女をスパイだとことさらに主張するケンツ。それはいつものことだが、例のPCカードを振りかざしての「見ろよ、見てみろよ」がくどすぎ。結局みんな覚悟を決めて砲座と格納庫に。マキが砲座に行くのは珍しいような。ブリッジを出たところで左右に分かれたけれど、いつもはそのまままっすぐ行くんだったような。エレベーターを使うはずだから、直進が正しい気がする。クレアは軍服を脱いでしまった。彼女たちはまたもやブリッジに赤ちゃんたちを抱いてくる。この非常時に泣いている赤ちゃんたちを連れてくることもないような。
ルルド艦に着いたルービン。艦のハッチが開けっ放しのままなのに、小型艇の周りをククト兵が取り囲んだように見えた。握手するなって。そりゃしてもいいんだけど、ククト人にも握手する習慣があるんですか。しかもミス・ルービン。ククトでも未婚と既婚で変えてるってこと? 地球の習慣とかけ離れすぎているのも独りよがりだが、それでも握手や「ミス」がある文化は地球でも一部のことだ。そもそも日本にだってなかった。ついさっきククト語を使ったのは何のためなんだ? 「F95ステーション」は訳だということにしよう。
攻撃が止んで、ロディたちも休息。シャロンの「早メシ」はこの場合、「早ベン」と同じ意味か。「早メシ何とか芸のうち」のときとは違うわけだ。スコットはホルテさん(あ、つられてしまった)に差し入れ。地球の食事の感想を聞きたかった。目玉焼きは、卵として保存したのかそれとも目玉焼きに加工してあるのか、どっちだろう。
ルルドは食えない男だ。ルービンもホルテに比べれば交渉に長けているが、彼女以上か。彼女を待たせている間に攻撃を指示するのだから、結果的に彼女は籠の鳥状態だ。その間ロディたちは交渉の結果を待つ。「自白剤」か。ロディは自分の運命は知るよしもない。マキがやたらに体格よく描かれている。肩幅が広い、ロディ並みに。ごっつい姉ちゃんになってしまった。逆にシャロンの腰がえらくスリムだったりするし。スコットの後頭部にかなりでかい汗がうかぶのもヤ。「きんぎょ注意報」ほどではないが。
ホルテは部屋からの脱出を試みる。いつものテだ。トイレを「化粧室」と呼ぶなんて、相当地球語が堪能だ。もしこれが僕で、しゃべるのが英語なら、9歳の子どもよりうまく話せる自信はない。ケンツは所詮は単細胞。しかし中から開けられないドアなんて、ホワイト・ベースか!?ってまぬけなことを書いてしまった。人質を閉じこめるんだから当然。いや、だからあんな普通の部屋なのに中から自由に開けられないのは、ホワイトベースのカイの居室みたいだなと。そういえばジェイナスで独房は見たことがない。
派手なハンカチだ。ククト人は悪趣味…もとい地球人とは感覚が違うみたい。ホルテはスカートの下に何か(タイツ?)一枚はいているのか。彼女はあっさりブリッジに辿り着いてしまう。とっさには状況をつかめない彼女。「子どもがこんなところで遊んでちゃいけない」って余計なお世話。何故かまたクレアたちが赤ちゃんを連れてブリッジへ。マルロとルチーナがあっさり本当のことをしゃべって、ホルテは自分が「オバチャン」と呼ばれたショックは吹っ飛んでしまう。「泣かせて下さい」とは何事だ。「私たち大人が過ちを犯して、あなたたちをこんな辛い目に」、「あなたたちのことはこの私が命をかけて守ります」この辺から彼女の独善が始まる。
ルルドは攻撃を開始しようとしていた。例のARVの目が順に光るのがかっこいい。しかし直前で中止。(代わりに)避難民の写真をよこせと言う。「ジェイナス」、「練習艦」これが分かって何になる? ジェイナスに帰ってきたルービン。「土産物チェック」がボギーに通じるとは。彼女に銃を向ける意味がよく分からない。彼女以外に誰かいるかも知れないから? 「敵さんの写真をよこせって条件もなんかしっくりこない」というシャロンの疑問の方がしっくりこない。これはロディあたりのセリフだと思う。せめて「シャシン? なんでそんなもんが要るんだ?」とか。勝手に事を進める二人に反発する13人。ホルテは一席とうとうと弁じる。「私たちは難民救出という崇高な使命に命をかけて」「私たちはいくつもの戦場でククト人地球人の区別なく」、「ラピスのメンバーにも犠牲」、「純粋な人間愛」、「悲惨な体験」、「愛を信じられなくなった」、「腕の中へ飛び込んで」、「涙の旅」――ホント、地球語うまいね。要するに、自分は絶対的に正しくてそれに盲目的に従うのが救いへの道だということか。だから折り合いがつかなければ、それは子どもたちの「不信心」だと見なす。せめて、自分の信念そのものに疑問をはさめとは言わないが、その実践に不都合があるくらいのことは思わないのか。言っていることに説得力がない。現に中学生もだませ納得させられない。「あなたたちっ」と金切り声をあげる前に少しでも考えてみろ。例えば「タウト星にたどり着けるのか」とか「たどり着いたとして何ができるのか」と何故問わない。もっと彼女にふさわしくするなら「自分たちの両親を救うためなら、敵兵を殺すのもいとわないのか。私たちなら両親を安全に保護できる」と。そもそも説得する気はなくて、自分の信念を押しつけているだけかも知れない。ラピスが今まで難民を救助してきたのは、きっとホルテの功績ではなく、他のメンバーの労苦なんだろうな。カチュアをククトニアンかと尋ねるのがかなりいきなり。何かの伏線なんだろうか。 まったく反省のないホルテは「心が痛めつけられて」、「不幸な子どもたち」、「救いがいがある」ときたもんだ。それはつまり自分の「やりがい」のためにラピスに参加していて、救われる人のことは二の次ってことでは? 一行は二人を人質に取りながらタウト星まで行くつもりなんだろうか?
今回BGMの切り換えが頻繁な上に、次の場面のものを前の場面から流し始めたりして、その場にあっていないことが多かった。「バイファム」後半のBGMを使っていたのは不思議な感じがした。
Ed.の最後でお日様が何もないところからじわじわ現れてくるのに気づいてびっくり。
録画中に家族に一瞬止められてしまったのが腹立たしい。直接見ていたし、重要な場面ではなかったからいいとするか。
Vd: 1998.10.7

「13」第7話感想(直見版)

冒頭でルルド艦が映ったのは、これが「13」なのだということで、もはやケチはつけるまい。一方でラピスの艦はどうして映さないんだろうか。常にホルテとルービンの二人しか出てこないのも謎だ。もしかして組織とは名ばかり、あの二人のボランティア活動……とは考えないけど。
ジェイナスではまたもや双子の赤ちゃんが泣いている。この頃の赤ちゃんというと、ミルクを上げるかおむつを替えるかくらいしかイベントがないわけで、やっぱりハイハイができるくらいにしたほうがよかったんじゃないだろうか。ロディとバーツは泣き声がうるさいと、ただブーたれてるんじゃなくて、抱くなり話しかけるなり、あやして積極的に世話をしろ。それから赤ちゃんたちの名前だが、確かにケンツやペンチならとんでもない名前を付けるかも知れない(スコットはどっちかというとクソ真面目に悩み始めると思うが)。それでも考えるだけマシだ。おまえら嫌なら自分で別の名前を考えろよ。(お尻を触られたくらいであんなに顔が真っ赤になるもんかな? ホクロはロディ自身が一番よく知ってるんじゃ、とヤオイな方々は突っ込んだんだんだろうか?)
一方スコットたちはブリッジでホルテについてもめている。クレアとペンチの意見には相変わらず大した根拠がない。それなのにスコットの美人だからには「だから何なの」とやけに冷たい。顔の影も恐い。やはり妬いているのか。動機が不純でもスコットが会う気になってくれれば、クレアたちにとっては構わないと思うのだが。マキは突っ込むばかりで意見らしいことは言わないのが残念。
そこへホルテから通信が入る。いきなり小型艇で近くまでやって来るところからして強引だ。おまけに調べさせろときた。結局、状況を知るための情報を手に入れたいからと言う理由で乗船を許可する。でも「距離2000」なんてククト人に通用するんだろうか? ルービンの「男に見えて?」は何か含みがあるのか(ないない)。格納庫内は本当に「ものものしい」。あれはかたちだけで、まさか本気でRVのライフルを使うつもりではないのだろう。実際なら銃を構えた兵士が取り囲むところだから、子どもたちも苦労している。
そしてスコット三曹の登場だ。今回は艦長役に扮するのではないのだから、本当はロディ、バーツでも問題ないのだが。「様になってる」のは、艦長の真似をしてローデンをだませた実績(?)があるのだから、って、今はないことになっているのか。あっ「スタンバる」なんてブライトのおはこを使うな。ホルテは「少年兵」スコットの姿を見ただけであの反応では、ジェイナスの真相を知ったときが思いやられる。それにスコットが名乗ったんだから、ちゃんとあんたも名前を言いなさい。VIPだから顔パスという環境に育ったんじゃないだろうな。スコットが下手なのか、ホルテが鋭いのか、だんだんボロが出てくる。ケンツのフォローも失敗に終わる(これは決定的にまずいと思ったんだが)。スコットが、銃をしまっていいかと聞くほどのお人好しなのに対し、ホルテはしたたかだ。「これ以上の駆け引きはやめて」などと言っておいて、誘導尋問で双子の赤ちゃんの存在を聞き出すとは。ヤギがいるのもウソではないが。ブリッジで山羊を飼うのは艦長は搾りたてを好むとかで誤魔化せるような(アホ)。
今度はクレアが格納庫に。あのベビーベッドはさっきシャロンがつくっていたやつか(船の中ではストッパーだけでは固定できないだろう)。もっとクレアを画面に映してほしかった。しかし結果的にホルテの関心は明らかに赤ちゃんに引き寄せられたから、見せたのはその場しのぎとしては正解かも(ついでに引き取ってもらえば一番だが、それはシャロン辺りが許さないだろうな)。双子と分かった理由は、顔がそっくりじゃ駄目なのか? 生まれたばかりならいざ知らず。
アクシデント発生。ここから今回の一番のアラ。なんと小型艇にはマイクと通信機がしかけられたいた。これはルルド艦がしかけたものと分かるのだが、一体どうやって取り付けたんだ? ラピスには軍の内通者がいるんだろうか? これはいてもおかしくはないかも。もう一つは既に指摘されているように(どうせこの感想で書くことなんてそんなことばかりだ)、ケンツの行動だ。あの何枚かある巨大PCMCIAカード(笑)からよく特定できたもんだ。それ以前に、あのスロットを見つけるのだって無理があると思う。スタッフはククト人に地球語をしゃべらせすぎて、設定を忘れたんじゃないだろうか。そしてスピーカーもあっさり発見。あんなところにあるの、よく気づいたね。それとは別に、緊急事態とはいえ、バーツとケンツが姿を見せたのも子どもたちにとってはまずい。ルービンは銃を平然と払いのけるなど、キャラクターの片鱗を見せた。でもこの人、スコットとホルテが話している間、すごく暇だっただろうね。ホルテが人質となり、ルービンが外へ出るところで以下次回。
ケンツが敬礼するときギッチョになっていなかった。砲座での設定も右手でやっていたし。
今回の絵コンテの青木康直は「バイファム」にも原画スタッフで参加していた(「パーフェクト・メモリー」で「康道」となっているのは誤植だろう)。ところでスタジオライブに青木康浩という人がいる(「サイバーフォーミュラ」のイラストなどをよく手がけていた)。この二人は兄弟なんだろうか?

Vd: 1998.9.24

「13」第6話感想(直見版)

タウト星への航路をセットし直したのは、例のステーションを迂回したから。ということは前回からそう時間はたっていないのだろう。ブリッジにまで赤ちゃんを連れ込むのは何でだろう? そりゃ当番だし(スコットは当番表を書きかえたんだろうか)、四六時中そばについていられれば一番だけど、マルロとルチーナに任せておいても大丈夫だと思うけど。それと、もう一人はどうしたんだろう? それにしてもいい加減赤ん坊が泣いたときの対処方法を覚えたら? いや、その前に抱いてるんだから濡れてきたら分かるだろうに。クレアの言うとおり「落ちついて」だ。おまけに腹を空かせたのにも、気づくのが遅い。
ところが、粉ミルクは早くもなくなった。……で、もうジェイナスにはミルクが一切ない。クリープとかも??全然ないのは変。だって旧作第14話でスコットが冷蔵庫から牛乳パックを取り出して飲んでいたじゃないか。自分が牛乳をたくさん飲む人間なので、かなり気になる。確かに牛乳はまるで日持ちがしないし保存するのは大変だけど、だからこそ粉ミルクかなんかのかたちで蓄えられているべきでは? まあこれ以上論議してもしょうがない。スコットはミルクをどうしようって言っているけど、その前にシャロンが別のものを作るって言っているじゃないか。なのにどうして無視して話を続けるわけ? 結局失敗したけどね。チーズを溶かすか……、水でのばしたんじゃ駄目かな。今回も胸に視線を送る「お約束」が。バーツが、マキに。シャロンは、胸がでかくても子どもを産まなきゃ、なんて言っているけど、そんなの知っててわざとやってるに決まっている。結局その場しのぎでジュースを与えることに。本当は「育児書」を見れば離乳食の作り方は載っているはずだけど。
赤ん坊の名前は、さしたる理由もなく(?)バーツJr.、ロディJr.に決定。なんだかウルトラマンの命名みたいになし崩し的に決まってしまった。ペンチがシャロンに反対しなかったとは。それ以前に何というか、いくら「とりあえず」とはいえ、もうちょっとマシな名前をつけるべきだと思う。仮に二人が大きくなって自分がどうしてその名前を持つようになったのか知りたくなったとき、果たして喜ぶだろうか? まあ、命の恩人ではあるが。しかし、みんな見分けがついているんだろうか? スコットは分かるみたいだが。でも「お尻ペンペン」発言はひどい。「そいつはいいや」とは何事だ。
ロディは、やっぱりフレッドが育てられるところを見た記憶がないんだろうか? そうじゃないと「俺たちもこうして育てられた」なんて「しみじみ」言ったりはしないと思うが。「こうして見てるとフレッドが生まれたばかりの頃を思い出すよ」ではないだろうか。もしフレッドが10歳なら、ロディは当時4-5歳なので、いい加減記憶がありそうなものだ。うーむ、疑惑の兄弟だ。これを読んで、誰かやおい系の同人誌で、二人は実の兄弟ではなかったなどというネタをやったりして(読んでいるかたはいるのかな?)。そういえば地球に着いたら、マルロやルチーナあたり、本当の弟や妹ができている可能性もあるなあ。これは話として面白いかも知れない。
しかし中継ステーションに引き返すのはやはりどう考えても変だ。つまりは、伏線をばらすのは段階的にしたかったということなんだろう。それにしてもSFマニアだったら、いやそうじゃなくても(僕は違う)普通は気づくはず。そしてステーションの中、かなりあっさり見つけた粉ミルクは駄目になっていた。もしまだ飲めたとしてどうやって回収するつもりだったのかは"?"だが。バーツがステーションの内壁をぶち破るくだりはちょっと唐突だった。赤ん坊たちが飢え死にするかも知れないと聞いて、マルロとルチーナが泣き出した時もそうだが、どうも感情の切り換えの激しさにとまどうことが多いように思う。
これもまた都合良く「ヤギ」が見つかる。後ろに立つのは後足で蹴られてすごく痛い思いをするのがオチだと思うが、捕獲に成功。明らかに家畜なのだから、逃げたりしないはず。あせっていてそこまで考えが回らなかったのか。「ククトヤギ」などという名前をどうしてバーツが知っているのやら。イプザーロンの各惑星には共通の生物が見られるようではあるが[*]、地球人からすれば本当は「ベルウィックヤギ」になる。バーツも結構辛い子供時代を送ってきたことが判明。まさか乳児期のことを覚えているはずがないから、小学生くらいの時のことなんだろうが、どうしてヤギの乳を飲むことになったのだろう? しかしヤギだろうと牛だろうと母乳に栄養があるのは同じ。何で分からないかな。ともかくミルク問題は解決。だがヤギの餌を探すのも大変だ。なにしろあの体を植物だけで養うのだ。草などという恐ろしく低カロリーのもので生きていくのだから、とにかく大量に食べるしかない。ジェイナスの菜園なんてあっという間に丸坊主になりそうだ。ところで例のメニアはどうなったんだろう? OVA第3巻に登場した奴。せっかく(?)同じ後づけ企画なんだから使ってあげてもいいのに。
さて、同時にラピスの方もまた接触してくる。「またあの女か」で「声も同じ」はちょっとかみ合わないセリフかも。スコットは赤ん坊を引き渡すことを提案。スコットにしては(失礼)、かなり名案。赤ちゃんはククトニアンだし、こちらも情が移らない前にいなくなればそれに越したことはない。シャロンやカチュアが反対。どうもカチュアの「引き渡すのですか?」という発言の意図がよく分からない。そしてマルロ、ルチーナは赤ちゃんたちが両親に会えるのかと。で、ミルクを貰う、にトーンダウン。フレッドはあれでどうやってレッドゾーンに入るまでの時間が分かったんだ?
ともかく3分だけ接触。ホルテの顔を拝んだのはスコットにとってはまずかったかも。個人的に彼女に思い入れがあるペンチと(顔を見てどう思ったんだろう)、フレッドは賛同。ホルテはつくづく怪しい物言いである。「ハンサム」とか、普通言わないだろう。それに「ある惑星」に収容されるってことは、ククトで人体実験にされるのでは? おまけに最後は「渡しなさい!」ときたもんだ。これでは、この時点ではバーツのあしらいが妥当なところだ。クレアはスコットの「ホルテさん」などに何も言わなかった。マキは外見で判断するわけ、と突っ込んでいたが(マキ自身は外見で判断してくれた方が得だと思う)。
謎のククト艦に通信内容が筒抜けになっていたのはやばやば。
今回、選曲がいまいちだった。

* スターダストはククトにもいる。ククトニアンが人為的に持ち込んだか、帰化したのだろう。


Vd: 1998.9.17

「13」第5話感想(直見版)

前話終了直後。赤ん坊が目を開ける時に二人の視点からの絵があったが、多分実際には赤ちゃんはあんな風には見ていないはず。もっとも母親の顔なんかは分かるが。
バーツ、お前バカ。おまけに他の連中も救いようがない。赤ん坊が泣くっつったら二つに一つでしょ。大体あのくらいの赤ちゃんが「病気」になったりしたら大ごとだ。
しかしここでシャロン登場。まるで「ママは小学4年生」だ。みんな、赤ちゃんも抱けないわけ? ロディなんて、フレッドの子守りくらいしてそうなもんだが(僕はして(やらされて)いたぞ)。情けなや……。てなわけで、シャロンの独壇場だ。踊り子さんたちの赤ちゃんの世話をしていたとは、その歳で生活臭にあふれているというか。いや、近所のガキンコを預かるなんて、本来ごく当たり前なんだよな。二人とも「しっぽ」つき。何だか幼児性教育みたいなことをやっている。ペンチは赤ん坊のを見ただけでも意識するとは。両親が厳格すぎて彼女の健全な成長を阻害しているような。
お風呂に入れてあげるあたりからペンチがシャロンにライバル意識を。あの時代のお風呂でも湯温は自動調節じゃないみたい。汚れが落ちると髪の色がはっきりして……、ケンツの反応はまあお決まりだ。でもスコット、一体何が問題あるわけ? そんなにとり乱すようなことか? マキの言うとおり「それがどうかしたの?」だ。ロディ、バーツあたりの反応がそっけなかったのが幸いだ。ひょっとして二人とも格納庫の時点で気づいていたのかも。しかしここでカチュアの反応が今ひとつはっきりしない。もっとカチュアを映してほしい。第一、あの母性のかけらも感じられないというか、もし子供を産んだら産褥死しそうな(暴言)カチュアに赤ちゃんの面倒をみる役はふさわしくない。始めからクレアにやらせるのが筋だ。
ところで「緑色の髪」は「ククトニアン」と等価なんだろうか? カチュアがついこの間まで地球人だと思われてきたのだから、「バイファム」の地球では、緑髪の人間がいるということだ(青とかピンクがいるのはおいておくとして)。確かにラレドに既にあったわけだが、にしてもこの時点では緑色の髪の毛が即ククトニアンにはならない気がする。また、「緑色の髪」とはっきり劇中で言われると、やはりあれっ? と思ってしまう。実際見た目はそうなのだから、それで正しいはずだ。しかし我々は心のどこかで、あれは他の登場人物と区別するための指標であり、方便であると考えていると思う。バーツやルチーナにしてもそうだ。例えば「ハマーン様には一段と髪のピンクが麗しく」(byマシュマー)などというセリフを聞いたらぎょっとするはずだ。
しかしケンツもマセたことを言ったりしてからに。目つきがヤだなあ。で、単純労働にしか役に立たない男連中は、当然下っ端仕事に。スプーンもまともに探せないケンツは、しょうもないことを言うばかりで本当に役立たずだ。スコットはオシッコひっかけられたズボンといつものと2着しか持っていなかったのか。ローテーションが狂うはめに。ズボンを降ろすシーンまでは要らないような。
おっといきなりエロ本登場。「バイファム」第21話でスコットが放り込んだやつか? 今回もフレッドが絡んだ、ご愁傷様(?)。あの後一人になってどうしたんだろう? しかしまあ前回同様中途半端なエロ本だ。
ミルクをあげているところでペンチ登場。松田道雄の本(ウソ)に眼鏡までかけて。育児書があるのは、航海中に産まれたりするからだろうか??女性士官もいっぱいいるみたいだし、あり得なくはない。やばいなあ。それはともかく、ペンチってあんなにかわいくない子だったかな? 小学生らしい罪のない対抗意識ではあるけれど、今回のシャロンは本気で怒っていた。下着の件(「バイファム」第13話)や、ケンツが捕まったとき(第35話)とも違う。そう、腹をたてていて、それでいて半分悲しいというか。ケンツは何だって、敵の前から逃げるつもりか、などという発言しかできないんだ? にしてもクレアとマキ、特にマキは何にもしていないなあ。そういえば今回マキが1回「あたし」って言っていた。
赤ん坊の方が一段落つくと、今度は敵襲。その直前のスコットの赤ちゃんのせいで云々は「腹がたって」などセリフの内容も相俟って、スコットの印象が悪くなった。で、スコットがみっともない姿をさらして、クレアにフケツ呼ばわりされるのは、よしとしよう。だが、そこでギャグに終始して、敵の攻撃がまるで意に介されないのはどういうことだろう。後方4時の方向から撃たれるのは非常に厄介な事態ではないのだろうか? 「赤ちゃんが来ててんやわんや」に焦点を絞りたかったからか。確かに今回は散漫な印象があったから、それは賢明かも知れないが……
高分子ハイポリマーでサイドギャザー付きの紙おむつなんてものはあるわけがない。当然布おむつを縫うしかない。……今までロクに赤ん坊を触ったこともないような女の子がいきなり赤ちゃんの排泄の始末までするようになるとは。昼夜問わずミルクをあげることになるだろうし、夜泣きもうるさいだろう、始めのうちはさぞかしうっとおしいことだろう。でもいい経験だ。20代、30代になって自分の子どももまともに扱えないようでは。
赤ちゃんたちを見ていることになったスコット。ブスっとした顔がだんだん和やかになっていくのは、見ていてこっちまで安らいでくる。さらにオルゴールが情感を呼ぶ。これは「バイファム」第21話でちらっと出てきたのと同じデザインだろうか?
ここまではよかったのに、ついうつらうつらしたスコットが敵の遠距離射撃ではっと気づいた後の慌てっぷりが……、どうしてそうむやみに全員を召集するかな? しかもすぐ見つかるし。この赤ちゃんたち、寝返りはうてるみたい。Op.を見ると首も座っているみたいだし、でもハイハイはできない。ということは4-5ヶ月くらいか。うーん、そろそろ離乳食の頃だ。それならスプーンでも構わないような。詮索はよすとして、せめてハイハイができるくらいにしておけば、もっと色々事件を起こすきっかけになったと思うのだが。そうすれば26話まるまる「赤ちゃん篇」にできたのに。サンライズは「ママは小学4年生」という偉大な先例を持っているのだから。
シャロンは、さっきただ機嫌を損ねて出ていっただけではないようだ。後で気を取り直したのかも知れないが、にしても片意地を張らず赤ちゃんのことを第一にしてゴム手袋で吸い口をつくるなんて、なかなかできるものではない。ペンチも自分の心の狭さに気づいたようだ。別にシャロンは自分の経験をひけらかしたかったわけではないのだ。いやペンチはただ羨ましかっただけかな。でも結局ケンカにならなかったのは残念だ。
最後に例のククト艦登場。あ、戦闘がなかった。
Vd: 1998.9.10

「13」第4話感想(直見版)

Op.で13人がブリッジで撮った集合写真が映るが、よく見るとフレッドが内股気味で立っている。芸が細かい。ただし最後の13人が草原の上に立っている場面は、影の長さ、角度と光源の位置があっていないと思う。
しょっぱな、マルロ、ルチーナとスコットのやりとりがしつこい。やや長すぎる嫌いがある上に、あまり芝居がかりすぎている。おまけにマルロのオウム返し的セリフも、これはルチーナに「まねばっかり」と言わせていたから意図的なのだが、にしてもやはりくどい。
どこへいってものけ者扱いされて、なんとか役に立ちたいという欲求と二人のケンカがうまく絡んでいる。そういえば二人とももっといっぱいケンカしてよさそうなものだが、旧作ではほとんど常に仲良しだった。それだけおざなりに扱われていたということか。ところで、ジェイナスで「おやつ」が出るとは知らなかった。宇宙船の中でおやつまで食べていたら、太るぞ。
なんと、ジェイナスの前を進む地球船があった。ローデンのセリフを冷静に考えればそうなるが、ようするにジェイナスとはまるで別の地点を出発して航路をとっただけで、追い越したとかいうわけではないということか。早速偵察を出すが、またもやバーツのおだてにひっかかるケンツ。同じパターンをあまり多用するべきではない。
やんで間もないという雰囲気の戦場。残骸は何故かARVだけのように見える。マルロがいなくなったことに気づいたルチーナ。みんなに聞いてまわるが(ここでマキがまたもやTシャツを着ていないように見えた)、ここもスコットが事情が分かるのが一番最後というあたり、いかにも見えすいたやり方だ。今回この人「とにかく」というセリフが多いように思う。旧作からそうだったっけっか? マルロは見つからないわけでネオファムのコクピットにいた(普通はシートで寝ると思うんだが)。マルロと一緒にシートの後ろから色々出てきたようだが、あれは何だったんだろう? それはそうと、マルロをコクピット内に固定しなくて大丈夫なんだろうか? あの状態で戦闘は不可能だぞ。やりようがないならしょうがないが。
初めてポッドが積極的に役に立つ。しかしあたりに人気は全くない。生存者はどこへ行ったんだろう? 戦闘直後なのだから、ジェイナスが生き残った人の救難信号をキャッチしていてもおかしくはない。カーターのブリッジに映っていたラピスが助けたのだろうか。ここで「13」になって初めてククト語を聞くことができた。旧作と違って適当に音を並べただけみたいだ。む、マルロが女の人を見たのだから、一瞬だけ画像が鮮明に映ったことになる。抜け駆けだ。ラピスが話題になったときのペンチの表情は○。それにしてもラピスが救助したのだとしたら、やたらに素早い行動だ。
ステーション内の筋書きは旧作第17話にかなり似ている。エア・ブロックが簡単に見つかるのはちょっと都合がいい。ただし、いかにも「バイファム」らしく(?)下ネタで話が展開。風船やロケットと同じ原理でとんでいってしまうマルロ。隔壁の中があくまでコミカルな一方、ロディの方はシリアス。こういうときに限って手負いのルザルガに何故か手こずる。あの激しい戦闘をかいくぐったのだから、熟練パイロットが操縦していたと解するべきか。しかしあの至近距離でほとんど銃撃戦だけなのは、お互い他に武器を持っていないとはいえ、不自然かも。ルザルガはもともと足がない上に、片腕(しかも利き手のはずの右腕)もないのだから、格闘戦に持ち込んだ方が有利のような。
「非常事態発生だ!」の時のバーツの顔がちょっと変。もっともロディはそれどころじゃない。バーツたちは空気が漏れだした中をネオファムのコクピットまで必死で戻る。だから絶対シリアスな状況のはずなのだが、一瞬前までのコミカルさが尾を引いてか(?)、どうしても見ていて笑ってしまう。音楽はそれなりに緊迫感があるのだが……。それに、赤ん坊をあんなに頭で押さえつけたり、膝で挟んだりしたら圧死するんじゃないのか? そして、ここまで突っ込むのもどうかと思うけれど、赤ちゃんが入っていたバスケットがあまりに地球風だ。
赤ちゃんたちが男の子なのか女の子なのか気にするペンチ。シャロン、「そんなの、脱がせば一発で分かるじゃん」って突っ込めよ。さしあたって今回、二人がククト人であることは話題にならなかった。マルロとルチーナのケンカは自然解消。「がきんこ」のケンカなんてそんなもんだ。だけど本当は派手なケンカを見たかった。そしてスコット、もっと暗く悩めよ。
今回ラピスについてはほとんど触れられなかったことになる。今さらこう書くのは白々しいが、ラピスと双子の赤ちゃんはどうつながるのだろうか?
Vd: 1998.9.3

「13」第3話感想(直見版)

実質的な第1話だ。本当にここから放映を始めても違和感がないと思う。前話から2日たった。
女の子連中はジミーに自分の下着を縫わせるのは構わないらしい。マキとシャロンは手伝わなくていいんだろうか? 仮にも自分がはくものだというのに……まさか、シャロンはイチゴ1枚で済ますつもりか…? いやいや、それじゃあ旗にできない。え、ノーパン? マキのほうはその間トゥランファムのシミュレータで訓練。Tシャツを着ていないように見えたぞ。シミュレータの映像が旧作とそっくりなのは賛否両論だろう。だって当時はともかく今から見るとちょっとちゃち。それにしてもトゥランファムのシミュレータはどうやって手に入れたんだろう? シミュレータ室は別にあるから、あそこでやっているってことは、トゥランファムのだと思う。ケンツをおだててその気にさせるのは、2回目か(作中の時間の流れとしては初めてか)。単純なやっちゃ。
ラピスからの通信が入ってきて例によって意見が割れる。クレアの発言はちょっとらしくないかも。「軍のコード」云々なんて思いつくほうだろうか? スコットがカチュアにラピスのことを尋ねるのは、大馬鹿。シャロン、何とか言ってやれ。「バッカじゃないの? カチュアは自分がククトニアンだなんて知らなかったんだぜ」ペンチの「物静かで……」は、僕にはコンピュータ合成の音声に聞こえたんですけど……性格悪いなあ。でも「安心して」なんてあまりに胡散臭すぎないか??確かに「ふざけて」いるぞ。大体軍のコードをどうやって知ったんだ? そもそも、地球人の捕虜を残留放射能の影響の有無を調べるためにククトに送り込むような政府が支配しているククトニアン社会に、そんな難民保護組織が存在しうるのだろうか? 最後のは彼らには分からないにせよ、また「謀略に決まっている」かどうかはさておき、いやだからこそ、この時点では慎重を期すのが当然だ。スコット、迷うなよ。それにしてもこっちが迷うようなメッセージしか送れないラピスも間抜けな組織だ。ククトニアンだけを相手にしているならともかく、地球人は寄りつかないと思う。
今回、2回ほどカメラがジェイナスから離れた。ククト軍の軍艦のブリッジを映したのと、地球軍の軍艦にもメッセージが流れたという状況を伝えた。前者は一応今後の本筋に関わってくるからまだしも、後者はちょっと余計かも。併せて戦況も伝えたかったのだろうか?
ペンチはどうも誰かに誰かの面影を見てしまう性格らしい。彼女の回想で彼女は母親に抱きついていたが、欲を言えばクレアの時のようにどういうお母さんなのかちゃんと分かるようにしてくれれば良かった。飛びつくってのはありきたりかつおざなりなので。「痛いオヒゲ」は何となくどういう人物かうかがえるが、声の形容だけでは。
彼女がラピスに交信すると、違う女性の声が出た。単なる自動音声ガイドかと思った。それにジェイナスにボギーがいる(?)くらいだし、コンピュータが相手をしているって可能性もなきにしもあらずだ(どっちもハズレだが)。どうやら彼女は両親に会えるのか確認すると言うよりは、声の主と話したかっただけらしい。考えてみると、とんでもない動機でおそろしいことをしでかしたものだ。そして、当然敵襲だ。何となく単調な戦闘だった(まあ戦闘よりはペンチが重要だが)。戦闘中、ペンチはこらえきれずに手で顔を覆ってしまう。クレアはペンチの異変に何故最後まで気づかなかったんだろう? それだけ任務に集中していたってことだろうか? ペンチは遂に持ち場を離れて(迷惑なやつ)脱兎のごとく飛び出してしまう。あれ? 部屋のドアは自動扉だったはずだが。手動で開けているように見えたぞ。
戦い終わって、全員事の次第を知る。ケンツ以外彼女を責めない。みんないい奴過ぎやしないか? 「133人前」事件なんかよりずっと深刻だぞ。まあここで「一週間便所掃除と反省文」とかいうことにならないのは旧作からしてそうなんだが。今回はフレッドが一人で彼女をなぐさめる。彼が部屋の外から呼びかけて、ベッドに突っ伏していたペンチがドアを開けるまでが、あまり早すぎる。一瞬なんて切り替えの早い女だと思ってしまった。あれはそういうタイミングではないだろうか。
今回、ラピスのことからペンチに焦点が移ってしまい、全ては謎のままに残された。プロローグとしては妥当なところか。
ところで、顔を真っ正面から見たときの鼻の描き方が旧作とは変わった気がする。芦田豊雄の絵は、(少なくとも当時は)必ず鼻がどっちかを向いているのだが、「13」ではただの点みたいになっている感じだ。最近のアニメはこういうときに鼻を描かないことが多いように思う。
エンディングをよく見たら、月が出ている。確か、クレアドにもベルウィックにも月がないはずだから、あそこは地球ってことか? ああいうパターン化、様式化された月はあまりそぐわないなあ。
Vd: 1998.8.27

「13」第2話感想(直見版)

ハナっからスコットに違和感を感じる。軽いというか、スカしているというか。生まじめで、融通がきかなくて、優柔不断なスコットに感じていた親近感が急に減じてしまった。今度の彼はそんな風じゃない。自分の両親のことをただ「親」と言うのもひっかかる。彼を見ているとどういうわけか"Boys Be..."を思い出す。何でだろう??
一方でローデンが、好々爺と言うにはまだ早すぎるが、何だかすっかり物わかりのいいおじさんになってしまった。敵中に飛び込んでいく子どもたちを止めもしないなんて、軍人ではなく、人間として常識がない。それにどうも、彼のしゃべり方がぎくしゃくして、作り事めいたセリフに聞こえてしまう。会話がぎこちないように思えるのはなにも彼だけではないが。バーツの声がおっさんくさいとか、ロディの声がシュウ(「DTエイトロン」)に聞こえるとか、そういうことではなく、セリフや間合いが不自然だということだ。人物の物腰や振る舞いに芝居がきつすぎるのと(特にスコット)相まってかどうか、妙に目につく。冒頭で、レーガンとの通信回線を開くかどうかの相談からして"?"と感じてしまう。
細かいところ、例えば格納庫でのシャロンとケンツ、フレッドが、ケンツがパンツを一回もかえていないことを暴露したこと、粉ミルクを貰ったときのルチーナとマルロ、敵が引き上げても撃ち続けるケンツなんかは全く問題ない。問題ないどころかあまりにもイメージどおりで感心させられたくらいだ。しかし基本的なところがダメなのはどうしようもない。
なにより、「バイファム」第22話でやっていたガキっぽいというか学芸会的な「お芝居」がどこかに消えてしまったのが残念だ。ああいうの、好きなんですけど。そう、ローデンが妙に寛容なことなんかより、こっちのほうがずっと肝要だ。「バイファム」第23話でローデンがリフレイド・ストーンについて話すくだりも好きだったのに。正史(あるとすれば)では、「13」が採られるのだろうが、僕は認めない。第24話第25話を差し替えるのには、まあ文句はないが、他の回まで闇に葬るのは納得できない。
RVのデザインは適度に丸みを帯びていることもあって、現代の主潮にもあっているのだが、それでもよく見るとちょっと変更されている。一番目につくのは、手の甲だ。そして首。ネオファムの足のスジがやっぱり黒くなっていたのはどういう訳なんだろう。何となく、ニセウルトラマンを思い出すなあ。この辺り設定を確かめたくても、どうにもならない。何とかならないものか。ムックなど出版されるのか心配だ。で、トゥランファムは、受け取ったはいいけれど、既に指摘されているように1機しかないのはまずい。これはまだ最終回あたりでまたレーガンか、あるいは他の地球軍と接触する可能性があるからいいとして、補修部品はちゃんと渡されたのだろうか? 大体、パイロットがジェイナスに行って(行きかけて)、トゥランファムは届いていないのもおかしい。ローデンの最期のセリフから察するとまだジェイナスにトゥランファムは行っていないと思えるのだが、実は結果的に2機貰ったことになっているのだろうか? だとすれば全て解決なのだが。そういえば、友軍がたくさんいるようなことを言っていたが、今までのところ(関西で放映されている分では)まったく遭遇していない。…全滅?
新型ARVの方は、
「変形した?」
「フフ、ハハハ、落ちろ、カトンボ!」
と、「所詮このアッシマーの機動力には…」と両方が同時に思い浮かんでしまった。おまけに腕はズゴック風だ。それにしても一体あの変形にはどういう意味があるのだろうか? 爆発的な加速を得るためだろうか? バーツは初めて見る敵だったと言っていたが、そのこと自体はそれほど珍しくもないような。
結局この回はいったい何のためにあったんだろう? 「バイファム」で2回かけてやったことを1回で済ましている上、ア番(ちゃんとあるんです)との整合性もない。そう、ア番に合わせた内容にすれば、少なくとも上で言ったローデンと、トウモロコシのヒゲについての不満は解消されたのに。
今回、原画スタッフは豪華だった。竹内浩志、山内則康、井上優子、工藤誉寿治、藤沢俊幸の名前が見える(最初の二人だけか)。ゲストメカニカルデザインの井上邦彦もライブの人だ(さすがに永野護じゃなかった)。「13」でライブ担当回の作監を一手に引き受けている近永健一だが、彼の名前を見る度に「Out」の彼の投稿を思い出して、どうしてもニヤついてしまう。芦田豊雄いわく「皇室ファンの足フェチ野郎」(「Out」'95年1月号付録)だそうだ。とんでもない言われ方だ。
Vd: 1998.8.20

「13」第1話感想(直見版)

「直見」は「じかみ」と読んでもらいたい。今回はご承知の通り総集編だ。従って指摘することは少ない。まず、始まる前にア番があった。旧作の映像を使ったものだが、これは関西でもあったのだろうか? 気のせいか立ち見をしたときにもあったようだが。Op.で、「夢はrun away」って言っているところがあるが、夢が逃げちゃまずいぞ。Op.の絵は、脳天気にみんなで笑ってはいチーズだけでなくて、旧作のカチュアの憂いをたたえた表情みたいなのが是非ともほしかった。まあ歌詞とのかねあいを考えれば釣り合いはとれているが、どうも一般に日本語より英語のほうがクサい歌詞でも割と通ってしまう傾向があるように思う。旧作では徹底的に13人しか登場しなかったが、今回は(新作であることを強調するためか)ラピスの二人や、双子の赤ちゃんも登場する。それとOp.の最後だが、今にして思えば本当に地上に降りてしまうことになった。また1998.8.18の「ガーディアン」云々はやはり迂闊な発言だった。スコットは今回「守り神」というセリフを言っているからだ。

改めて「13」第1話を観て感じたのは、「バイファム13」という作品が視聴者に様々な予備知識や、割り切りを要求することだ。なにしろ14年前の旧作の絵と1998年の新作の絵が混じり合って映し出されている。しかも総集編だ。もちろん関西での放映時にはその前の週までに「バイファム」が19話まで放映されていた。TVK、CTCでは「バイファム」を引き継いで放映された。だが、とりわけ我々関東の人間にとっては、既に結末の分かっている話の途中をつけたされることになる。我々は「13」を観続けるためには、これらにあえて目をつぶらなくてはならない。そこでふと思ったのは、今まで「13」が放映された地域にかんがみて、「13」放映の必要条件は、その前に旧作が放映されていることなのではないだろうか(十分条件ではないにせよ)。このことが正しいかどうかはさておき、視聴者はそれだけ「バイファム」に親しんでいなくてはならないとは言えるだろう。つまり「13」は、

  1. 大きな子ども(オタクとも言う)、なかんづく「バイファム」ファン向け。
  2. 「バイファム」を観ていないと理解が困難。
ということだ。一見この二つは同じ事を言っているように見える。僕が言いたいのはこういうことだ。「バイファム13」は初めから「大きな子ども」向けに企画された。故に13人を主役に据えるのは至極自然であり、従ってほとんど必然的に旧作の途中に挿入される物語となった。結果的に「バイファム」についての相当な知識が必要とされるようになった。
これはあくまで推量に過ぎない。しかし「13」が、特にその第1話が新規視聴者に取っつきづらいことは疑いない。Op.が旧作のそれのリメークであること、アイキャッチが旧作そっくりなこと、次回予告が旧作そのままなこと、サブタイトルが旧作と同じパターンであること、Ed.の構成が旧作を踏襲していること、これらはどうでもいい[*1]。新規視聴者にとっては分からないことだからだ。そして、ルチーナがさらわれる保護される場面で兵隊のリアクションが過剰なこと(cf.「ルチーナ・プレシェット…5さい!」の時の女性士官)、スコットの「僕たち13人」がしつこいことも、それが旧作視聴者の違和感に過ぎない限りは構わない。いや、たとえ新規視聴者も大げさ、くどいと感じたとしてもそれはまた別の問題だ。だが、旧作の絵を使い回して(しかも新作の絵もまぜこぜにして)、慌ただしく粗筋を解説して、はい次回から本編が始まります、ではあんまりだ。「バイファム」が導入に1クール費やしたのは、13人という人数を視聴者が完全に把握し、理解するためではなかったのか。
はっきり言って、こんなリメークとも続編ともつかない中途半端なもので、しかも「大きな子ども」を主たる対象者にした「バイファム」の新作TVシリーズなんて、「バイファム」としてはひどく不健康なものに思える。上で述べたような問題の原因もそこにあるだろう。もし今から変えられるのなら、僕が望むのはこういうものだ。どうせ「バイファム」なんて14年も前の作品だ。当時「バイファム」を観て細かいところを今でも覚えている人なんてそうはいないはず。そして新作を作るなら何より、今の子どもたちに見てもらいたい。だから時間軸は同じだけれど、予備知識は一切なくても見られるし、前作(「バイファム」)を覚えている人には、なおいっそう楽しめる作品――それが「バイファム」の新作としてあるべき姿ではないだろうか。
どうも「13」は設定を新たに起こす必要がなく、しかもコンスタントな視聴者[*2]が期待できる、そういうお手軽企画に思えてならない。しかもそれを主たる視聴者である「バイファム」ファンには彼らが流すであろう感涙で煙に巻いてているというか。しかし、それでもなお「13」を見てしまうのだ。おまけにビデオに録画までしてしまうのだ。

*1 考えようによっては手抜きですらある。
*2 まあこれは「バイファム」を覚えている人間がどれくらいいるか分かったものではないが、視聴率が深夜としてはかなり良好なところを見るとそうなんだろう。それとも再放送から見始めた人間も多いのだろうか?