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「バイファム」第23話感想

ついぞ見なかった光景、本来の姿を取り戻したと言うべきか、ジェイナスのブリッジには軍服姿の大人たちが。だが彼らにとっては、老朽艦のジェイナスは扱いづらいようだ。前回からはせいぜい3日程度?
そのロートルで子どもたちはここまでやって来たのだ。ジェイナスを動かし、敵の中継ステーションを破壊する。ローデンの言うように、まさに「大人顔負け」だ。本職の軍人たちにとっても、彼らに見習うべきことは多いだろう。
子どもたちは日課や雑務から解放され、ひさびさにのんびりした気分を味わっている。とは言え、狭い船の中だからやるべきことがなくなるとかえって時間をもてあまし気味とも言える。特にキャプテンのスコットなど、用もないのにブリッジに入りこむのは艦長席が気になるからで、オペレータにどやされる。普段は緊張から解かれるのを願っているのに、いざそれがなくなってみるとどうも調子が狂う――悲しいサガ。
それでも家事はなくならない。クレアとカチュアには、補給物資として届けられた衣類の整理という仕事がある。地球で救助物資として寄付で集められたもののようだ。サイズなどてんでばらばらで、着られるかどうか確かめなくてはならないというわけだ。中に"VIFAM"の文字がプリントされたシャツがあった。今なら"HONET"、"MIRRAGE"とかになるだろうか。あってもおかしくないような、そうでもないような。
衣服が地球から来たということは、ローデンたちも地球から来たのだろう。ローデンの登場自体がかなり急に決まったとは言え、地球―イプザーロン間のタイムラグは作中に織りこんでほしかった。
年下の子どもたちは暇なもの。ケンツは格納庫で新鋭機を眺めてご満悦。モンロー年鑑にも乗っていない最新型に乗ってみたいと。
ジミーは菜園で花の苗に水をやっている。きれいな花を咲かせてみんなに1本ずつあげるつもり。一番大きいのはママに。ペンチとフレッドは円周通路のベンチで二人で読書。座ったまま、ずりずりペンチににじり寄るフレッド。「いやらしい!」観ているほうまでどきっとするセリフだ。あわてるフレッドに、本の登場人物に血相を変えるペンチ。「ジョバンナおばさんって、フレールがもらわれてった家のおばさんなんだけど、ひどいのよ」さすがに感情移入するほうのようだ。フレッドは「よかった」とひと安心。
ジェイナス随一のエンタテイナーはやはりシャロンだ。一番退屈しているマルロとルチーナにつきあうのは彼女(暇なんだからほかの子も面倒みろよ)。「ガキンチョ相手もつかれるぜ」2人とも「ちょっとやそっとのことじゃおもしろがらねえ」から。2時間もかけてオバケ装束をこしらえる。それでも興味の持続時間は30分。牙の入れ歯はPXにあったんだろうか(催しのときの小道具?)。
ペンチとシャロンのダブルショック(?)で地べたに尻もちをついているフレッド。シャロンは「もらしちゃったか?」と、鋭い質問。まさかロディもばらしたりしてはいないだろうが……。フレッドの答は「純粋に読書」ときたもんだ。
シャロンは今度はサブブリッジのコンピュータで、マルロたちとゲームのお相手。ご苦労様。
暇な時間を持て余さないのはロディたち。目的地タウトに着いたときの心配が彼らにはある。ラレドの残した資料があるはずなのだが、とあちこち引っかき回す。ラレドはいくら地球人と和平すると言っても、何もタウトのデータまで渡さなくてもと思う(先読みすれば、地球人にジェダらを助けてもらおうとしたのかもしれないが)。彼らが探しているのがケイトさんの部屋だとすると、バーツが見つけたパンツは……(でも少々子どもっぽいような)。
彼らが見つけだしたのはどうやらディスクみたい。イプザーロンの太陽系の図("KUKTO"、"TOUT"などとある)、そしてククト星付近の映像。タウトはアーティフィシャル・サテライト(artificial satellite=人工衛星)だ。「鉄の衛星」、「悪魔の星」。
スコットは、ローデンをともなってドッキングカーゴへ。スコットに遺跡と敵の攻撃の関係?の説明を受けるローデンは、遺跡が「ガーディアン」なのかもしれないと言う。あの遺跡のおかげでここまで来れた(ら抜き)のかもと。
どうタウトに攻撃するか――ロディたちの結論は、敵を中から誘い出してそのすきにロディとバーツで中に潜入する、というもの。その妥当性はともかくとして。スコットにはとりあえず話さない。また不眠症になっちゃうから。
レーガンから補給物資の第2弾が到着する。RV、部品、燃料とオイル。燃料は第一格納庫に置くほうが使いやすいと言って、差し出がましいことをしたと思ったスコット。だが、レーガンはそのように指示。
ケンツは早速パイロットたちに新型RVについて、ききまくるが相手にされず。「ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃないかー」やって来たのは「シュトロハイム少尉以下12名」彼らにスコットは「ありがとうございます」――とまどうパイロットたち。
「どういうことですか? ジェイナスは託児所も併設しているのですか?」と兵隊たちは狐につままれた表情だ。「だとしたら彼らは全員、職員のほうだな」というレーガンの答を一笑にふしたのも束の間、やってきた子どもたちの働きっぷりに納得せざるをえない。
「ねえ、おじちゃんお人形さん持ってきてくれた?」「いや、残念だけど持ってこなかったんだ」ふつうは、軍人同士もっと下品な会話をかわしているはずの格納庫なのだが。
「だけどさ、こんだけRVがあれば鬼に金棒だよな」おうともさ、のパイロットたちだが、シャロンが入れ歯を外し忘れているのに驚いているようでは。「だけどさ、パイロットがよくなきゃダメなんだろ?――変なオジサン」
いまだ驚きからさめやらぬパイロットたち。「ママのおっぱいにかじりついているような子どもがここでは主人づらですよ」まだバカにしている彼らも子どもたちが中継ステーションを撃破したと聞いてコーヒーを吹き出す。彼らはまだ実戦経験がなかったりする。
と言った矢先に実戦の機会がやって来た。あわてるブリッジ。レーガンへの通信も暗号文ではなく平文でいいと。コンソールも旧式で使い勝手が悪い。
15分後に敵と遭遇。軌道変更(=逃げる)には20分かかる。もっとかかると言うスコットだがオペレータには相手にされていない。ブリッジにはほかの子どもたちも集まる。ケンツはまたもやちょっかいを出して「お前ちょっとうるさいぞ」。
ジェイナスはボロの機器をだましだまし使っているようなところがあるらしく、ブリッジもスイッチが入らないところがある。フレッドは自分の席の操作パネルを扱いかねている兵士に、つい口を出してしまう。そのスイッチにはクセがあると。
いちいち横やりを入れられたらたまらないと、子どもたちをブリッジから出すように頼むブリッジ要員だが、ローデンは逆に子どもたちの手を借りようと判断する。ジェイナスでの実務経験では彼らに一日の長があると。不安なアデルは「心配すんなよ、おっさん」とシャロンに言われてがっくりきていたから、実は結構若いのか。ケンツは「俺たち、こう見えても(見かけが頼りないのは自覚しているのね)一個師団くらいの働きができるんだぞ」。そしてジミーと砲座へ。ロディとバーツも2人に続く。
以下、クレアが「すみません、そこあたしの席なんです」と言われて、「あたしの、席…?」と面食らうシュトロハイムを追いだし、ペンチも「すみません、慣れてるんです」。マキが「シャロン、コースは安定してるみたい」と言えば、シャロンは「わかった…、あれー?7光秒ずれてんぜ。誰だこんなプログラミングしたの?」当然、いまシャロンがどかした兵隊氏だから、カチュアが「シャロン!」と。あっけにとられる兵隊たちに、ローデンは「何をぼさっとしとる!」と喝。
敵の母船は新型。そして出てくるRVもドギルムと新型(あれっ? 名前だけとりあえずつけたけど、性能は不明ということかな?)。
パイロットたちはマルロとルチーナに見送られて出撃(この2人はさっきまでブリッジにいたのだが)。「おじちゃんたちがんばってねー」「よーし、まかせてくれ!」とにこやかに答える自衛…シュトロハイム。「敵をやっつけるぞー」となかなかノリがいい。彼と同乗のアデルはパイロットスーツを着ない。……ポリシー?(緊急だから?)
ミサイルの第一波がやってきた。レーガンから入電、敵が一隻そっちへ行ったと。六日のあやめと言ったところ。ミサイルは砲座が全部たたき落とした。軽口をたたきあう砲撃手の子どもたちに、ローデンは「平気なのか? この子たちは」。しかしその思考も、攻撃の第一波と第二波の間が空きすぎているという疑問でかきけされる。「まさか、有視界攻撃?――いや、ありえん」
敵の数をブリッジに問い合わせるアデルに、「確認しただけで9機です」とカチュア。こういうシーンは妙に嬉しくなる。しかし、いつもはそんなに大量に攻めてくることはないのに。
敵が新型であるときいたシュトロハイムは、何が大好きだと言ったんだろう? 「最新モード」と聞こえるのだが。
ジェイナスは敵の目をひきつける役をになうことになった。チビどもの前で恥はかけん、と勇む彼らだが――。戦況ははかばかしくない。すでにこちらは4機も撃墜されている。しかも向こうからは新たに4機増援が。
ローデンは、スコットをブリッジから連れだした。自分も外に出ることを伝える。ここで戦力をけちったら後で後悔するから。スコットたちにはガーディアンがついていると言って、無精ひげを剃ったその日につまらぬ事故で死んだ部下のことを話す。気分、気のせい、ゲンかつぎ「生き延びられるならなんでもいい、それを信じるんだ」。
出撃際にローデンはマルロたちと会話をかわす。いつもと変わらない日常会話。「いい名前だ」「きっと美人になるぞ」(ルチーナ、しなをつくるなよ…)そして「元気でな」。そうしてパペットファイターが飛び出していく。
しかしすでにこちらの戦力はどうやらトゥランファム1、ポッド1、それにローデンのパペット1のみのようだ。ローデンを見殺しにはできないと、ロディ、バーツも出ようとする。しかし、それではローデンが出ていった意味がなくなってしまう。スコットはそう思ったのだろうが、止めきれない。
2人はあっと言う間に3機のARVを撃墜する。その腕に一瞬、感心したローデンだが、「実戦ではなんたってオレッちのほうが上」と自慢するバーツを一喝して、有無を言わさず2人を戻す。
バイファム、ネオファムを収容したジェイナスは軌道変更を開始、最大加速で戦場を離脱していく。
LDが1995年に発売された時の「Out」の記事で、アイキャッチとして紹介されていた絵は、今回のラストで使われていたものだ。本来の目的は、やはりアイキャッチだったのだろうか? しかし出来損ないアニメだと今回で終わっている可能性もあるような終わり方だった。当時実際そうだった地域もあるわけだが。スコットではなくロディがナレーションをするのはやはり(仮)最終回であることを意識したからだろう。しかし今さらという感も。アイキャッチ(?)もロディが最後に登場した。
ケイトのみならず、クレーク博士にも見守ってもらいたいとは……。
次回予告(第24話の)がなかった。これは本放映時から全国どこでもそうだったんだろうか?
原画
佐々門信芳

Vd: 1999.10.23, Vd: 1998.3.6